インタビュー
「アラド戦記」のシナリオやクエストが「大転移」アップデートで一新。開発チームに概要を聞いてみた
- アラド戦記 グローバル室長兼アジアサービスチーム長 オム・ジョンヒョン氏
- アラド戦記 サービス企画者 イ・デヒョン氏
- アラド戦記 QA イ・ジョンウォン氏
日本でのサービスインから8年が経ったアラド戦記をリブートする
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは大転移アップデートの概要を教えてください。
一言でまとめると,「アラド戦記をリブートする」アップデートです。主なポイントは3つあるのですが,最も大きなものは,これまで実装されていたすべてのシナリオが変わることです。
今回のアップデートから,舞台がこれまでの大陸のパラレルワールドとなり,クエストを含めて非常に大きな変化が発生します。
4Gamer:
変化ということは,従来のシナリオはプレイできなくなるということですか?
オム・ジョンヒョン氏:
そうです。レベル1から54まで,すべてのシナリオとクエストが差し替えとなり,それに合わせてマップも変化します。
2つめのポイントは,ダンジョンでのプレイです。シナリオの変化に合わせて,これまで取っつきにくかった導線を改善し,例えば移動時間を短縮するなどして,プレイヤーがダンジョンの攻略に集中できるようになります。
そして3つめのポイントは,ダンジョンのパターンの強化です。今後は,低レベルからさまざまな動きを見せるモンスターが登場するので,アクションゲームとしての面白さが増すと思います。
4Gamer:
つまり,レベル54までのゲームプレイが,全体的にこれまでとはまるで違うものになるということですよね。今まであったコンテンツをなくして,これだけ大きくゲームの内容を変えるというのも大変な作業だと思いますが,今回のアップデートをこういった形式にした理由を教えていただけますか。
オム・ジョンヒョン氏:
アラド戦記は,韓国で9年,日本では8年もの期間サービスされてきました。それにより,ゲームの内容が現在求められている仕様とそぐわなくなっているんです。たとえば,低レベル帯のダンジョンは,9年前の設計そのままですから,これからアラド戦記を始めようという初心者にとってはハードルが高い。そこで今回のアップデートでは,チュートリアルの改善も含めて,初心者がきちんと段階的にゲームプレイを学習できる内容にしています。
また,アラド戦記はプレイアブルキャラクターが多いので,多くのプレイヤーはサブキャラを作って遊んでいます。サブキャラを育成するために,また序盤から同じダンジョンを繰り返して攻略するのは退屈ですから,そこを新鮮な気持ちで楽しめるようにしたいという考えもあります。
4Gamer:
韓国では先行してアップデートが実施されていますが,反響はいかがですか。
オム・ジョンヒョン氏:
韓国では,2013年9月にアップデートを行ったのですが,非常に好評で,とくに休眠プレイヤーが多く復帰してくれました。以前はアップデートのタイミングで復帰しても「何をやっていいのか分からない」という意見が多かったのですが,今回は「新キャラクターを作って,やり直しても面白い!」という意見をいただいています。
4Gamer:
復帰プレイヤーというと,以前まで使っていたキャラクターで再び遊ぶイメージがあるのですが,新キャラクターで復帰する人が多かったんですか?
オム・ジョンヒョン氏:
ええ。これは大転移アップデートで初めて見られた傾向ですね。もちろん,以前使っていたキャラクターを引き続き使うこともできます。
シナリオやダンジョンパターンの刷新でプレイヤーに新たな刺激を
4Gamer:
それでは,大転移アップデートの3つのポイントをそれぞれ具体的に教えてください。まずシナリオの変化についてお願いします。
イ・ジョンウォン氏:
新しいシナリオは,世界が変わるほどの大きな事件が起こり,それを解決するためにプレイヤーが活躍するという展開になります。見どころは,以前は友好関係にあったキャラクターが敵対したり,またその逆があったりすることです。たとえば,呪いによって堕落してプレイヤーを攻撃してくると言う設定だった「バンジェリス」は,今回は味方NPCとして登場します。
4Gamer:
敵対していたボスが味方になるというのは,これまで遊んできた人ならニヤリとできそうですね。
オム・ジョンヒョン氏:
シナリオの変化に合わせて,マップもこれまでとは異なるコンセプトで作り直しています。たとえば,「アンダーフット」が新たにプレイヤーの拠点となっていたり,逆に以前は拠点だった場所が下水道になっていたりという感じです。ぜひゲーム内で確認してください。
全体マップ |
アンダーフット |
アンダーフットに登場するNPC「メイア女王」 |
「長老シャフロン」。大転移でアンダーフットを開放したことが気に入らないようだ |
アンダーフットを起点に各地の貿易を仲介している「大商人カンナ」 |
下水道 |
下水道の女王「パリス」 |
格闘術を伝授している「アルベルト=バンスタイン」 |
4Gamer:
それでは,2つめのポイントであるダンジョンの変化についても教えてください。より攻略に集中できるようになったということですが。
オム・ジョンヒョン氏:
アラド戦記は,見た目は横スクロールのアクションゲームですが,実際にはレベル上げやパラメータの振り分けといったRPGの要素が加えられています。またゲームの進行に沿って,強力な武器や防具も入手しなければなりません。それは,良く言えばプレイヤーが試行錯誤できる要素が多いのですが,逆に言うと学習しなければならないことが多いということでもあります。
そこでゲームの序盤から中盤に掛けては,プレイしているだけで必要な操作の習得や武具の入手をできるようにしました。初心者であっても煩わしいことを考えることなく,ダンジョンの攻略に集中できるはずです。
4Gamer:
もともとアラド戦記は,簡単な操作で楽しめることをセールスポイントの一つに掲げていましたが,さらに手軽になったというわけですね。
それと今回は,新たに「スペシャルダンジョン」も登場します。これは,シナリオの展開と関連した内容になっている特殊なダンジョンで,ボートに乗って敵を撃つようなミニゲームが用意されており,結果に応じてNPCが敵や味方になるといった要素が盛り込まれています。挑戦するために消費する疲労度が高いぶん,アイテムのドロップ率も高くなっています。
4Gamer:
続いては,3つめのポイントとなるダンジョンのパターンの強化についてはどうでしょう。
オム・ジョンヒョン氏:
主にダンジョン内のオブジェクトを活用してさまざまな戦い方ができるようになります。たとえばプレイヤーが何かのオブジェクトを壊すとモンスターが弱体化したり,あるいはモンスターがオブジェクトに近づくと変身したりといったギミックが,序盤のダンジョンから登場するという感じですね。
また,動くオブジェクトを回避しながらモンスターを攻撃するようなダンジョンも登場し,全体的に攻略の面白さが増しています。
4Gamer:
しかし,序盤から複雑な要素が入ってくるとなると,新規プレイヤーにとって難度が高いということになりませんか?
オム・ジョンヒョン氏:
そこは,先ほど述べたプレイに集中できる部分でカバーしている形ですね。これまでの仕様では,難しいところに挑戦するには攻略前にアイテムを揃えたりしなければなりませんでしたが,今回のアップデートからはそこが楽になるので,そのぶんどんどんチャレンジして,先に進んでもらえればと思います。アクションゲームに慣れている人なら,今回の仕様のほうが遊びやすいのではないでしょうか。
「決闘場」はSeason2に移行。ルールとキャラクターバランスを公平に
大転移アップデートに合わせて,「決闘場」もSeason2に移行します。Season2ではマッチングシステムが改善され,新たに「RP」(レーティングポイント)が設定されるので,より実力の近いプレイヤー同士の対戦を楽しめるようになります。
また決闘場内では,アイテムの性能の扱いが変わるのも大きな変化です。これまでの決闘では,攻撃速度と移動速度の高いアイテムが重要で,有利に戦うためには装備を入手するところから始めなければなりませんでした。そこでこれからは,同じレベルのアイテムであれば,すべて一律の性能になります。
4Gamer:
今までよりも,公平なマッチングとルールで戦えるようになるというわけですね。
イ・ジョンウォン氏:
そうです。それ以外にも,さまざまな点でキャラクター間のバランスを調整し,これまでにあった極端な差をなくしています。たとえば攻撃スキルの範囲を狭めたり,バフスキルの効果を弱めたりといった修正ですね。その一方で,必殺技のような位置付けに変更したスキルもあり,あまり操作がうまくないプレイヤーでも,「これを当てさえすれば逆転できる」といったチャンスが生まれるようにしました。
4Gamer:
一発逆転では,これまでの仕様で上手にプレイしていたプレイヤーから不満が出ませんか?
イ・ジョンウォン氏:
そこは大丈夫だと思いますよ。確かに,必殺技は負けている側にとって逆転の手段にはなりますが,操作が上手なプレイヤーの場合,そうそう当たることはないかと思いますので。あくまでチャンスがある状態で戦えるという形ですね。
また今回,新たに「ミッションシステム」が導入されます。これは,毎日ランダムで提示される3つのミッションの中から1つを選択し,提示された条件をクリアすれば「勝利の証」というアイテムがもらえるというものです。ミッションのクリア条件は,「HPを50%以上残した状態で,3人の敵を倒せ」といったような内容で,中には始めるまでクリア条件が分からない「ヒドゥンミッション」もあります。
勝利の証を集めると,装備アイテムを入手可能です。これにより,決闘が好きなプレイヤーは,ダンジョンを攻略しなくとも決闘場で遊んでいるだけで装備を揃えられるようになります。
オム・ジョンヒョン氏:
また,後日勝利の証を200個消費すると入場できる「コロッセオ」というコンテンツが実装されます。これは連勝するほどいい報酬が得られるコンテンツで,コロッセオ限定の「レジェンダリー装備」も用意してあるので,決闘好きの方はぜひ入手してほしいですね。
4Gamer:
レジェンダリー装備があまりに強力だと持っていない側が不利になってしまうと思うのですが,決闘場内でレジェンダリー装備と同じ性能になる装備アイテムは,ダンジョンでも入手できるんですか?
オム・ジョンヒョン氏:
ええ,特定のダンジョンで手に入ります。ダンジョンのほうが容易に入手できるというものではないので,ぜひコロッセオかダンジョンか,どちらか得意なほうで入手してみてください。
「女鬼剣士」の新職業「バガボンド」と「ダークテンプラー」を追加
4Gamer:
今回のアップデートでは,「女鬼剣士」の新職業も実装されるようですが,これについても詳しく教えてください。
オム・ジョンヒョン氏:
女鬼剣士は,2013年に2つの職業を先行実装して非常に人気がありました。大転移アップデートでは,レベル1からプレイし直すという人も多いでしょうから,それに合わせて「バガボンド」と「ダークテンプラー」を追加します。いずれもスキルの連携で攻撃する面白さを追求した職業です。
とくにバガボンドは,アラド戦記初の二刀流のキャラクターで,見た目も格好いいので,日本で人気が出るのではないかと期待しています。実際,開発にあたっても,日本のプレイヤーをかなり意識しました。
女鬼剣士「バガボンド」 |
女鬼剣士「ダークテンプラー」 |
イ・ジョンウォン氏:
バガボンドの戦闘で特徴的なのは,「五気朝元」と呼ばれる強力なバフスキルが使えることです。このバフスキルは,「かけ直し」ではなく,「重ねがけ」が可能で,最大5回ぶんの効果が得られます。これにより,ダンジョンの進行に合わせて重ねがけが進むほど活躍できます。
4Gamer:
というと,決闘は苦手そうですね。バフを5回も重ね掛けする余裕はなさそうですし……。
イ・ジョンウォン氏:
いえ,決闘では攻撃力と攻撃速度が活きるので,五気朝元がなくてもかなり強いです。その代わり,防御力が低めなので,攻撃される前に敵を倒しきるのが重要になりますね。
オム・ジョンヒョン氏:
バガボンドは近接タイプですが,皮防具しか装備できないんですよ。
イ・ジョンウォン氏:
ただ,攻撃に集中すればいいぶん,初心者も扱いやすいですから,ぜひ遊んでみてください。
スキル「十字剣」。水平斬りと垂直斬りを行った後に爆発を引き起こし,大ダメージを与える |
スキル「爆剣」。強大な気の剣を作って前方に振り下ろす。地面に触れると爆発する。補助スロットに武器を装着すると,前方に回転しながら多段ヒットダメージを与えてから地面に振り下ろすことができる |
スキル「滅火掌」。体内の気を集中させて両手に炎を作り出し,前方の敵を攻撃する。炎が当たった敵の後方で大きな爆発が起き,広範囲を攻撃できる |
スキル「乱花剣」。前方に軽くダッシュしながら連続斬りをしたのち,気を集めて花の剣気を作る。最大攻撃回数の上限に達すると,フィニッシュ攻撃とともに花びらが舞う |
スキル「烈火地獄」。力を集中させ,強力な炎の気が宿った剣を生成して敵を攻撃する |
4Gamer:
ダークテンプラーについても教えてください。
イ・ジョンウォン氏:
ダークテンプラーは,これまでの女鬼剣士とは異なり,高い防御力と魔法攻撃を持ちます。敵をかく乱したり,影に隠れて攻撃を回避したりといったトリッキーな動きが多いのが特徴ですね。こちらはバガボンドとは異なり,上級者向けのキャラクターになります。どちらかと言えばパーティプレイ向けですね。
4Gamer:
決闘場は苦手なんですか?
イ・ジョンウォン氏:
全体的にスキルの威力が低めなので,決闘場では活躍するのが難しいんです。そのため,韓国ではダークテンプラーで決闘を挑むプレイヤーが少なく,勝率も低めです。
オム・ジョンヒョン氏:
ダークテンプラーは敵の足止めが得意なんですが,これをそのまま決闘場に適用すると強力すぎるため,スキルの効果を下げているので,ちょっと不利なんですね。上手なプレイヤーは,うまく敵から逃げて死角から攻撃するなど,巧みなプレイを見せてくれるのですが,まだ韓国でも決闘でのノウハウが蓄積されていない状態です。ですから,ぜひ日本のプレイヤーの皆さんにも研究を進めていただけると嬉しいです。
イ・ジョンウォン氏:
ダークテンプラーは,多彩なスキルが面白いキャラクターですから,ぜひいろいろ試していただきたいですね。
オム・ジョンヒョン氏:
操作の面白さは随一ですね。とくに,ダンジョンで多くのモンスターを足止めして,一気に殲滅するようなプレイが好きな方に気に入っていただけるのではないでしょうか。
スキル「イモレーション」。キャラクター周辺に魔方陣を生成して敵の攻撃速度と移動速度を低下させ,多段ヒットダメージを与え続けてから爆発する |
スキル「シャドーパペット」。前方に幻影を作り出して敵を引き寄せ,強力な剣気で闇属性のダメージを負わせる |
スキル「シャドーランサー」。ウシルの力を剣に込めて,敵に闇属性の攻撃を与える |
スキル「デストロイヤー」。空中に飛び上がって地面に剣気を飛ばし,闇属性の攻撃を行う |
スキル「デッドリーケープ」。前方にいる敵を闇のマントで球体の中に閉じ込め,闇属性の攻撃を加える |
スキル「ドゥームズデー」。闇属性の魔法の剣を作り,前方に突き刺して球体へ敵を引き寄せた後,幻影と共に攻撃する |
スキル「ブラックミラー」。前方に幻影の鏡を生成し,闇属性の攻撃を行う |
4Gamer:
それでは最後に,今回の大転移アップデートに期待する読者にメッセージをお願いします。
イ・ジョンウォン氏:
アラド戦記は,9年前の古いゲームではなく,9年間ずっと改善され続けてきたゲームです。今回の改善はこれまで以上に大きなものになりますから,ずっと遊んでくださっている方はもちろん,休眠プレイヤーの皆さんも,新規の皆さんも,この機会にプレイしてみてください。
今回実装される女鬼剣士の2つの新職業は,日本のプレイヤーを意識して力を入れているので,注目してもらえると嬉しいです。
オム・ジョンヒョン氏:
大転移アップデートは,多くの人に楽しんでいただけるよう準備を進めましたから,ぜひ遊んでみてほしいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
「アラド戦記」公式サイト
- 関連タイトル:
アラド戦記
- この記事のURL:
Copyright (c) 2005 NEOPLE Inc. All Rights Reserved. Developed by A-SHOCK
- アラド戦記オフィシャルガイド -戦いの軌跡 編-
- 本
- 発売日:1970/01/01
- スペシャルフォース公式ガイド
- 価格:¥3,469円
- 本
- 発売日:1970/01/01
- ハンゲーム公認ガイドブック
- 本
- 発売日:1970/01/01