インタビュー
「アラド戦記」15周年インタビュー。記念イベントや今後のアップデートを開発陣に聞いた
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。15周年ということで,まずは皆さんがどれくらいの期間「アラド戦記」の開発に携わっているのか教えてください。
ユ・ジェシン氏(以下,ユ氏):
2011年くらいからですから,もう10年になります。
キム・デヒョン氏(以下,キム氏):
私は7年くらいです。
チョン・ウィソク氏(以下,チョン氏):
キムとほぼ同時期に入社したので,同じく7年になります。
4Gamer:
皆さんは,それぞれ長く「アラド戦記」に関わっているわけですね。ここまで長く続くという手応えは,携わり始めた当初から感じていたのでしょうか。
ユ氏:
はい。私は「アラド戦記」を,PCオンラインゲームの中でもほかに似たもののない,大きな魅力があるタイトルだと捉えています。私が開発に参加した頃は,韓国だけでなく中国や日本でもサービスを展開していた時期でしたから,もっと長くサービスを続けられるコンテンツになると信じていました。
4Gamer:
15年を振り返って,一番印象に残っていることはなんでしょうか。
キム氏:
ライブサービスには,さまざまな業務が発生します。とくに大型アップデートの準備は比重が大きく,常に何かしらやっています。
その中でも一番記憶に残っているのは,2014年の「ゴスロリダンジョン」ですね。完璧なゲームバランスを目指して,アップデート前日の深夜まで開発とテストを繰り返していたことを覚えています。実装後,ダンジョンにたくさんのプレイヤーが集まってくれたのを見て,やりごたえを感じました。
4Gamer:
実装前日までテストですか。新コンテンツの開発は,ギリギリまでやっているものなんですか?
キム氏:
もちろん,基本的にはその段階で,ほとんどの開発は終わっています。多くの場合はバランス調整も終わっているんですが,ゴスロリダンジョンのときは,もっと良くできると感じて,ゲームバランスを追求するために調整を重ねていたんです。
4Gamer:
それでは,これまでに実装したコンテンツでプレイヤーの反響が高かったものを教えてください。
ユ氏:
有名なアニメとコラボレーションしたイベントを開催すると,反響が良いですね。「鋼の錬金術師」や「マギ」,「ソードアート・オンライン」はとくに人気が高かったです。
また「ソードアート・オンライン」とのコラボでは,原作に登場するダンジョン「浮遊城アインクラッド」を再現しようと努めました。原作に合わせて,最上階に入場する過程を作っていくのが大変楽しかったのを覚えています。プレイヤーの皆さんにも,すごく喜んでもらえました。
新規・復帰プレイヤーを視野に入れた15周年記念コンテンツ
4Gamer:
「アラド戦記」の日本でのサービスが15周年を迎えるということで,記念イベントの開催に期待が高まるところですが,予定などを教えてください。
ユ氏:
現在15周年に向けて,豪華なイベントと報酬でプレイヤーの皆さんとお祝いをしようと準備を進めています。イベントは現役でプレイしている皆さんはもちろん,新規・復帰プレイヤーの皆さんも楽しめるコンテンツを用意します。
また,これまで15年間「アラド戦記」を支えてくださった皆さん全員にプレゼントを提供します。イベント開始は,8月31日を予定していますので,ぜひご期待ください。
4Gamer:
可能な範囲で,実装されるイベントコンテンツの内容を教えてもらえますか。
キム氏:
まず,プレイヤーがログインするだけで報酬を獲得できるイベントを実施します。また新規・復帰プレイヤーの皆さんは,適正レベルのダンジョンをプレイすると「15周年記念コイン」を獲得できます。このコインを集めると,さまざまな報酬と交換できます。
そして現役プレイヤーの皆さん向けには,これまでの「アラド戦記」にはなかった楽しさを提供する「15周年記念ミニゲーム」を用意します。
加えて,足りない装備をいち早く補えるダンジョン「セイクリッドロード」も実装します。
4Gamer:
セイクリッドロードは,どんなダンジョンなのでしょうか。
キム氏:
100レベルのエピック装備やセイクリッド装備を,ダンジョン「知恵の導き」よりも高確率で獲得できるイベントダンジョンです。このダンジョンを繰り返しプレイしていれば,高確率でセイクリッド装備が手に入ります。
また15周年記念ということで,1アカウントにつき1キャラクター限定ですが,入場に必要なアイテムを消費することなく毎日セイクリッドロードをプレイできます。毎日ログインしてセイクリッドロードをプレイすればするほど,それだけセイクリッド装備を獲得できる確率も上がっていきます。ぜひイベント初日の8月31日にログインして,チェックしてみてください。
4Gamer:
誰でも気軽に優れた装備を入手できるダンジョンという認識で良いでしょうか。
キム氏:
そうですね。従来よりもかなり高い確率で良い装備を獲得できますから,これから「アラド戦記」を始めるという人にもピッタリだと思います。
4Gamer:
イベント以外の新コンテンツ実装はありますか?
ユ氏:
新コンテンツに関しては,15周年の1年間を通じて続々と実装していく予定です。
キム氏:
まず,15周年記念イベントの開催に先駆けて,8月18日に大規模アップデートを予定しています。このアップデートでは「魔槍士真覚醒」と,ダンジョン「黒い煉獄」の「ガイド&スクワッドモード」を実装する予定です。
4Gamer:
魔槍士の真覚醒は,どういう方向の強化になるのでしょう。
キム氏
「アラド戦記」の13番めの真覚醒となる魔槍士は,ほかのキャラクターと同じく,強力な新スキルでより爽快なプレイを楽しめるようになります。また魔槍士関連のイベントも開催する予定です。
さらに今回のアップデートでは,各転職の真覚醒スキル1種,アクティブスキル1種,パッシブスキル1種が追加され,既存スキルのダメージも上方修正されます。
4Gamer:
黒い煉獄のガイド&スクワッドモードはいかがでしょう。
キム氏:
装備オプション変換材料の「絶望の鉱石」と「恐怖の瞳」を獲得できるモードです。1アカウントにつき3キャラクターまで参加でき,1キャラクターにつき週3回までプレイが可能になっています。
また,冒険者の皆様がより早くシロコ装備を獲得できるように,シロコレイドのファーミング改編も同時に適用されます。これらの実装を記念してプレイヤーの皆さんに追加特典を提供する予定もありますので,ご期待ください!
4Gamer:
韓国でのサービスでは,最新コンテンツとして「オズマレイド」が実装されましたが,これはどういった内容なのでしょうか。
キム氏:
韓国では5月に実装されたレイドコンテンツで,最大12人のプレイヤーで攻撃隊を編制し,ボス・オズマの討伐を目指します。最大の特徴は,攻撃隊の火力に応じて難度を選択できるシステムで,難度が高いほど良い報酬を獲得できます。また,報酬の獲得に競売を用いる新システムも導入しています。
ユ氏:
シナリオや演出の完成度はもちろん,難度選択システムと競売システムの実装により,韓国では今なお人気のあるコンテンツです。
4Gamer:
同じく韓国で先行実装されている新キャラクター「ブレイド」についても教えてください。
キム氏:
ブレイドは,女鬼剣士の5番めの転職キャラクターで,復讐に燃えるクールな性格という設定です。秘伝の「納刀術」とワイヤーアクションの「飛剣術」を駆使して戦います。
物理タイプの単体攻撃を得意とするアタッカーで,サイズの異なる2本の太刀をメイン武器として使用します。小太刀は鞘と柄の色が白いため「白牙」と呼ばれ,二刀流や飛剣術に使用します。大太刀は鞘と柄が黒く輝くため「黒曜」と呼ばれ,また2本の剣を納める鞘にも「金剛」という愛称が付けられています。金剛はそれぞれ異なる形と用途を持ち,特殊なエネルギーが宿っているため,納めるだけで武器の傷が回復すると言われています。
4Gamer:
納刀術や飛剣術の具体的な使い方や効果などを教えてください。
キム氏:
納刀術はコンボ中のスキルキャンセルと似ているんですが,キャンセルしたスキルの攻撃力が納刀術に反映されるという特徴を持ちます。
4Gamer:
コンボ中に納刀術を使って太刀を鞘に収めることで,次に抜刀したときの一撃が強力なものになるようなイメージでしょうか?
キム氏:
そういうことです。納刀術で使えるスキルはいくつかあり,さまざまな攻撃を繰り出せるようになります。
また飛剣術は,「鬼縛珠」の魔力で作り出したワイヤーを使って戦場を素早く駆け回りながら太刀で敵を斬るというものです。ワイヤーアクションは相手にワイヤーを掛けたり,ワイヤーを使って滞空したりするスキルで表現されており,ほとんどが広範囲移動を可能にしています。空中で使用できるスキルが多いので,ブレイドの機動性が飛躍的に高まり,スタイリッシュな戦闘を実現できます。
4Gamer:
オズマレイドとブレイドの日本における実装は,いつ頃になりそうでしょうか。
ユ氏:
オズマレイドは10月20日,ブレイドは11月24日の実装を目標としています。新コンテンツの実装が韓国や中国より遅くなるケースが多いので,残念に感じている方もいらっしゃるでしょうが,可能な限りスピーディで安定したアップデートになるよう準備を進めています。
またアップデート間隔の都合でキャラクター育成などが間に合わない事態が生じるかもしれませんが,そこはイベントでフォローしていきます。
キーボードなしでもプレイできるようにゲームパッド環境を刷新
4Gamer:
日本独自コンテンツについても教えてください。
ユ氏:
独自コンテンツは,日本の皆さんに合わせた進行過程の変更などを考えています。
キム氏:
これまで日本独自コンテンツとして,1クリックで装備を変更する「スイッチングシステム」や「アバタークローゼット」,「セリアクローゼット」などを開発してきました。これからも,日本の皆さんに喜ばれる独自コンテンツを開発していきます。
実は15周年を迎えるにあたり,日本の皆さんの多くのプレイ事情を踏まえ,新たなゲームパッド環境を提供することにしました。
チョン氏:
WindowsのXinputやDirectInputに対応しているゲームパッドであれば,ほとんどすべて使えるようになります。ゲームパッドの設定により,振動やモード,スティックを使ったマウス操作などにも対応します。ほかにも,これまでのジョイパッド環境では使いにくかった部分を補完しており,限られたボタンで快適にプレイできるなど,UI 設定も現在準備中です。キーボードを使わずに,ゲームパッドだけでプレイできるので,ぜひ試してみてください。
4Gamer:
「アラド戦記」は長寿タイトルとなりましたが,近年ではIPを使った派生コンテンツの情報も増えましたよね。
キム氏:
IP展開は,積極的に続けていきます。過去にアニメの製作を行いましたし,ねんどろいども展開しています。
またゲームでは,アークシステムワークスさんと共同で格闘アクション「DNF Duel」の開発を進めています。もちろん「アラド戦記モバイル」や,3D横スクロールアクションRPG「OVERKILL」の開発も進んでいますので,これからの「アラド戦記」を楽しみにしていてください。
4Gamer:
最後に,「アラド戦記」に注目している日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
ユ氏:
15周年に向けて,日本のプレイヤーの皆さんに向けた準備を進めています。昔から多くの方に「アラド戦記」をプレイしていただいてきましたが,現在休眠中の皆さんもぜひこの機会に復帰して,楽しんでいただけたらと思います。
キム氏:
リアルイベントを通じて日本の皆さんとコミュニケーションを取ったことが,私の大切な思い出になっています。そんな皆さんと一緒に,これからも「アラド戦記」を守っていきたいです。15周年を迎えるにあたり,本当にたくさんのイベントとコンテンツを準備していますので,ぜひ20周年30周年に向けて「アラド戦記」を盛りあげてください。私達もそれに応えるべくがんばっていきます。
チョン氏:
プレイヤーの皆さんに「アラド戦記」を楽しんでいただけることが,私達にとっての最大の喜びです。これからも努力していきます。
4Gamer:
ありがとうございました。
「アラド戦記」公式サイト
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