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[COMPUTEX 2006#04]Intel,「Core 2 Duo」と対応チップセット「Intel 965 Express」を発表。「ゲームに強いCPU」の座をAMDから奪還
Chandrasekher氏は,1983年から2006年までの,市場におけるCPUシェアの推移をグラフで示した。このスライドからは,Athlon 64でAMDが勢力を伸ばしてきた2002年以降,Intelが若干シェアを減らしているのが読み取れるが,同氏は「シェアに多少の増減はあるものの,おおむね80%を超え,勢いを保っている」と述べる。AMDの健闘など,Intelからすれば「『多少の増減』の範疇」だと言っているわけだ。
「(このように大きな市場シェアを獲得するに至った)我々の勝因は二つある。一つはマイクロアーキテクチャの進化を積極的に図るという姿勢。もう一つは,先進プロセスルールの早期導入と実用化だ」(Chandrasekher氏)
マイクロアーキテクチャについては,Pentium Proで進化を急ぎすぎて結果的に失敗したこともあったが,プロセスルールで常に業界の先導役を担ってきたのは事実。Intelは最新の65nm世代,300mmウェハで5ラインを稼働させており,さらに45nmファブ(製造施設)を2ライン建設中と報告し,進化に対するアグレッシブさが,まったく衰えていない点を強調する。
AMDのCPUには,短期的に見てマイクロアーキテクチャのアップデートがない。CoreマイクロアーキテクチャのCPUがこの夏には出揃うIntelとは対照的で,2006年の年末商戦を,Intelはかなり強力な布陣で迎えることになりそうだ。
■Core 2 Duoの登場に合わせてPentium 4/Dはローエンドへ
基調講演では,Core 2 Duo対応の新チップセットである,Intel 965 Expressの正式発表も行われた。Intel 965 Expressは,チップセットとしては世界初となる90nmプロセスルール製造となり,ウェハも従来の200mmから300mmタイプとなる。Pentium 4/D時代には,チップセットの供給不足が何度か生じたIntelだったが,1枚のウェハ当たりの製造量を従来の240%とすることで,強力な生産体制を確保できたという。
さらに,CoreマイクロアーキテクチャのCPUが出揃い,Core 2 Duoがパフォーマンス/メインストリームクラスとなる2006年後半には,レガシークラスにPentium Dが位置づけられ,バリュークラスは,Pentium 4とCeleronの二段構えとなる戦略が明らかになった。
Chandrasekher氏は,Pentium世代の最上位モデルとなるPentium Extreme Edition 965/3.73GHz(L2キャッシュ2MB×2,FSB 1066MHz)と,Core 2 Duo E6700/2.66GHz(L2キャッシュ4MB,FSB 1066MHz)を用意し,ほかの環境をすべて同一にしてベンチマークテストを行った結果として,左上のスライドを提示した。ただCPUが変わっただけで,「Quake 4」(マルチスレッド最適化のバージョン1.2適用済み)で1.5倍,「F.E.A.R.」(バージョン1.04パッチ適用済み)で1.45倍,「Half-Life 2: Lost Coast」(Build 2707)で1.56倍などといったように,かなりのスコア向上が見られる。Pentium Extreme Editionと比べて,動作クロックで1GHz以上低いCore 2 Duoの命令実行効率が,いかに高いか窺い知れよう。
こちらはゲームではなくて業務用ソフトウェアを使ったパフォーマンス比較になる。AMD側はAthlon 64 FX-62/2.8GHz(L2キャッシュ1MB×2),Intel側はCore 2 Extreme/2.93GHz(L2キャッシュ4MB)で,結果はグラフに示されているように,30〜60%高いスコアをマークしている。この例ではCore 2 Extremeのほうが動作クロックは若干高いが,それをそれを差し引いてもこの性能差はCore 2の優位性を表している,というのがIntelの主張だ。
■ゲームに最適なCPUの座はCore 2へ?
といっても,グラフであれば(テスト環境は違うが)すでに見ている。このタイミングで見せられても,ことさら驚くほどではない。
「それでは実際に試してみよう」
Chandrasekher氏の一言に続けて,壇上に用意されたのはAthlon 64 FX-62/2.80GHzのシステムと,Core 2 Duo E6700/2.66GHzのシステム。Chandrasekher氏のゴーサインを合図に,動作クロックをそろえ,搭載メモリやGPU(Radeon X1900)の仕様も揃った状態で,「DOOM 3」のベンチマークシークエンスを,どちらが早く終了できるか,いわゆる「Apple-to-Appleテスト」(同条件テスト)を披露した。
DOOM 3の場合,影生成はステンシルシャドウボリューム技法で実行されているが,そのシャドウボリューム生成時における,頂点の引き延ばし処理を,DOOM 3ではCPUが担当している。グラフィックス処理におけるCPU負荷は意外に高く,CPUの性能に依存しやすいゲームベンチマークテストともいえるのだ。
さて,2台のPCで同時に始まったDOOM 3のベンチマークデモは,Core 2 Duo搭載PCのほうが目に見えて早く終了し,スコアとなるフレームレートの測定結果を表示していた。
“証拠写真”を下に並べたが,Core 2 Duo搭載PCでは176.9fps,Athlon 64 FX搭載PCのスコアは138.2fps。CPUの差だけで,約30%も,Core 2 Duoのスコアが高く出た格好になる。
Athlon 64は,AMDの努力の甲斐あってゲーマーの支持を集めているが,今後のIntelのマーケティング活動次第では,このイメージは塗り変わるかもしれない。「ゲーミングPC=AMDプラットフォーム」というイメージを,AMDは守りきれるだろうか?(トライゼット 西川善司)
- 関連タイトル:
Core 2
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