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印刷2006/09/11 18:45

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[AGC 2006#09]「Mass Effect」に見る,新世代デジタルキャラクター開発手法

 BioWareがXbox 360用に開発中で,PC版の登場も取りざたされているアクションRPG「Mass Effect」。E3 2006レポートとして5月13日の記事でもお伝えしているように,同タイトルは“密度”の高いキャラクターがウリだ。ズームアップに堪えるテクスチャの解像度などはもちろん,少しだけ目をそらしたり,顔を引きつらせたりといった自然なフェイシャルアニメーション(顔のアニメーション)を実装しており,「Half-Life 2以後」のキャラクター技術という意味では,「Medal of Honor: Airborne」「Assassin's Creed」と並び,次世代らしい飛躍を感じさせる作品である。

左から,BioWareでCinematic Designerという役職につくKen Thain氏と,ストーリーライターのMike Laidlaw(マイク・レイドロウ)氏,Mac Walters(マック・ウォルターズ)氏
 AGC 2006におけるBioWareのセッションでは,この飛躍を担った人物として,同社のKen Thain(ケン・サイン)氏が登壇した。サイン氏は「Cinematic Designer」(シネマティックデザイナー)という,聞き慣れない役職に就いているのだが,「プレイヤーの体験をデザインすることをサポートするのが,シネマティックデザイナーの任務です」と述べる。
 ちなみにシネマティックデザイナーというのは,独立した立場から,デジタルキャラクターの“演技”やカメラワークをチューニングし,アクションシーンと会話シーンを自然につなげていく立場を表す,BioWareの造語。映画の制作にたとえると,監督や大道具とは別に,演出家が設けられたという理解をするのが正しいかもしれない。

 ゲームの仕様を企画したり,プレイ方法などの創出を行う「ゲームデザイナー」に対して,米国では1990年台中頃に,ゲームデザイナーから独立して,マップの制作やオブジェクトの配置を行う「レベルデザイナー」という存在が注目を集めたが,サイン氏の務めるシネマティックデザイナーも,レベルデザイナーが登場したときと同じような新しい匂いを感じる。

■人間味あふれたキャラクターの作り方

 さて,セッションにおいてサイン氏は,Mass Effectに登場する女性外交官キャラクター「アサリ」(Asari)を使って,具体的な制作工程について説明を行ってみせた。
 Mass Effectで用いられているのは,「顔はデータ(≒写真)だけを取り込み,モーションキャプチャした体と後で合成する」という手法である。

 右にスクリーンショットで示しているのがアサリ。下に示した6枚のスライドは,「アサリの顔ができるまで」を示している。
 上段左のコンセプトアートに近いイメージの女性を顔モデルとして(上段中央),この顔データをもとに,上段右に示した3Dイメージを起こす。このイメージに,別途用意した「表情専用の役者によるモーションキャプチャデータ」を合わせて(下段左,中央),さらに特徴的な頭部や顔の凹凸を表現するシェーダを加える(下段右)ことにより,アサリの顔という完成形を形作っていくという。
 もっとも,まばたきや眼球の挙動,表情の変化に伴う筋肉の動きなど,多くはプロシージャル(=自動)生成されるため,アニメーションの1フレームごとに手を加えていく必要はなく,アーティストの仕事量はかなり軽減されているとのことだった。

表情を作り込むに当たっては,モデルとなる女性の表情も,リファレンスとして撮影しておき,微調整時の参考にするとのことだった。こうして顔ができたら,体と合成すれば,晴れてアサリちゃん(?)の完成である。ちなみに,全体としてはSOFTIMAGE製のフェイシャルアニメーションツール「SOFTIMAGE|FACE ROBOT」使用時と似た部分があるようにも感じられたが,セッションで関連性についての言及はなかった


 開発コストを増大させそうな,非常に手の込んだ作業ではあるが,キャラクターの顔が画面内でアップになっても不自然さがないのは,確かに「シネマティック」といえるだろう。2007年にMass Effectが発売されれば,ゲームで使用されるリアルタイムCGが,大きく進化しているのを体感できるはずだ。(ライター:奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    Mass Effect

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