企画記事
「サカつくONLINE」で流行っている戦術/システムはなんだ? 1周年を記念してデータを振り返ろう
使用システムのトレンドはなんだ?
佐藤 高一氏。サカつくONLINEの立ち上げから開発に携わり,サービスイン後は,更新作業を含む運営全般に関わる。ちなみに,プライベートのサカつくONLINEは,オランダリーグでまったりプレイ中とか |
■Aztecaサーバー フォーメーション使用率
■Centenarioサーバー フォーメーション使用率
■San Siroサーバー フォーメーション使用率
これらのグラフは,「メインスタイル」に設定されているシステムの使用率を現しており,点線が2007年9月,実線が2008年4月時点のものだ。一目瞭然で「4-3-3 1V」の使用率が伸びているのが分かるだろう。AztecaサーバーとCentenarioサーバーは「4-4-2 1V」が一番多く使われているのだが,9月から一番増えたのはどのサーバーでも4-3-3 1Vだ。サカつくONLINEで,いま流行っているシステムは,4-3-3 1Vといって間違いないだろう。
とくにその流れがSan Siroサーバーは顕著に表れており,およそ半年で使用率が約14%も増えた。佐藤氏は,San Siroサーバーに,攻略情報などに敏感で,いわゆる“勝ちに行く”タイプのプレイヤーが多いため,このようにはっきりした形で現れていると分析していた。4-3-3 1Vが流行り始めた時期は,はっきりと分からないということだが,2007年末の時点では,すでにSan Siroサーバー上位陣の多くが,4-3-3 1Vを採用しており,それを見た下位Divisionのプレイヤー達が真似していき,いまのような状況になったという。
自分よりもうまい人,自分のチームよりも上位にいるチームを真似るというのは,手っ取り早く勝ち上がるという意味で非常に手堅い強化方法である。San Siroサーバーには,他チームの状況を確認し,自チームに取り入れるプレイヤーが,ほかのサーバーよりも多いようだ。
なぜ4-3-3 1Vは流行ったのか? その対抗策は
すべてのサーバーで大流行中の4-3-3 1V。なかでも二人のMFを両サイドへ開く形がとくに人気が高いようだ。果たして別の流行は生まれるのだろうか |
まず,4-3-3 1Vは「サイドアタック」や「ボールキープ」と相性が良く,守備側は,これらの戦術に対応しづらいので,選ぶ人が増えたというのが一つめの理由だ。そしてSMFでプレイスタイルに「ウイング」を持っている選手を起用したり,「プレイメーカー」を持っている選手をサイドで使ったりと,メンバーが不足していても代役を用意しやすいことも人気を集めた要因ではないかと説明した。
サカつくONLINEの試合再生シーンはコーナーキックが得点につながることが多すぎると,たびたび言われるそうだ。だが,点が入らないコーナーキックの場面は,再生シーンにほとんど入らないので,結果的にそう見えやすいのだという |
また,プレイスタイルのファンタジスタは,どんなシステム/戦術だろうがきっちりと能力を発揮できる。それを習得した選手の有効な使いどころとしてサイドが選ばれ,両サイドに選手を配置できるシステムである4-3-3 1Vを使う人が増えたのではないかということだ。
サービスインからしばらくは,ほとんどのプレイヤーが資金的に苦しくて,ファンタジスタのプレイスタイルを持った選手を雇えなかったり,ファンタジスタ育成に必要なカードを買ったりできなかった。そのため,ファンタジスタの存在自体が珍しく,どう使えば有効なのかを,プレイヤーも検証しきれてはいなかったわけだ。だが,時間が経つにつれ,ゲーム内の資金が増え,ファンタジスタを持った選手がアップデートで追加され,ファンタジスタをチーム内に加えやすい状況が整った。そののち,多くのプレイヤーがファンタジスタの有効利用法を考え,サイドに配置するようになったことも,4-3-3 1Vブームの一因と考えている。
現在のサーバーごとの特徴は,上位陣(Divsion1-2)が強いSan Siro,中位陣(Divsion3-4)が強いCentenario,そして中間のAztecaとなっているという。比較的新しい人が多く,ワールドマーケットでの取引も一番活発なCentenarioが,いまからサカつくONLINEを始めるならお勧めとのこと |
また,ゲーム内に存在するサイドで使いやすい選手の数を考えると,4-3-3 1Vをしっかり機能させられる選手を保持できるプレイヤー数は限られており,現状でも選手の奪い合いがかなり発生していると指摘していた。基本的に上位Divisionに入るほうが収入は多いので,同じ選手を取り合うことになれば,お金が多いプレイヤーが有利になり,このまま同じシステムを真似しても,上位Divisionに上がり,そこにい続けることは難しいだろう。
では,具体的な対抗策はないのだろうか。開発者/運営者という立場なので明言はできないとしながらも,佐藤氏は,「中央に選手を集めて,点の取り合いに持ち込むと有効」というヒントをくれた。そして,この流れが大きく変わる可能性として,4月23日に実装されたばかりの「ユーザーカップ」の存在を挙げていた。これは佐藤氏自身,「実装したくてしょうがなかった機能」の一つで,プレイヤー同士がある程度自由に対戦できるというもの。いままでは,ゲーム内の知り合いでも,自由に対戦できなかったのだが,ユーザーカップの実装により,好きなシステム/戦術を使っているチームと対戦できるようになった。つまり,いままで以上にシステム/戦術の検証がしやすくなったわけだ。この機能を研究に利用する人が現れ,新たな潮流を生み出すかもしれない。
現実のサッカーでも,流行のシステム/戦術などが生まれ,それに対抗する方法が編み出されるというサイクルが繰り返されている。かつてはFIFA ワールドカップがその見本市的な役割を果たしており,優勝したチーム,印象が強かったチームのシステム/戦術が世界中に広がり独自の発展をとげていた。現在ではシステム/戦術が複雑になり過ぎてしまったために,その役割はUEFA チャンピオンズリーグへと移ったが,大きな流れは変わっていない。
今回の検証によってサカつくONLINEでも,現実のサッカーとは異なるが,流行のシステム/戦術が生まれ,廃れていくというサイクルが存在していることが分かった。そういった意味では,サカつくONLINEのサービスイン前に提唱されていたものが,実現できているということになるだろう。佐藤氏もその点にかんしては納得している。
もちろん,コンセプトがゲームにきちんと反映できていたからといって,決して満足しているわけではないという。オンラインゲームである以上,今後もアップデートを続けていき,より楽しいものを提供してくれるそうだ。時期は未定としながらも,留学システムの仕様変更,チームの絶対的な強さを測れるような機能の追加などを予定しているという。さらに,選手の能力を現すランクに新たなものが加わり,より個性がはっきりとした選手が追加されるようだ。
こういった要素/選手が加われば,新たな流行が生まれる可能性は高い。また時期を見て振り返るので,楽しみにしていてほしい。
- 関連タイトル:
プロサッカークラブをつくろう!ONLINE 2
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