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「サカつくONLINE」で流行っている戦術/システムはなんだ? 1周年を記念してデータを振り返ろう
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印刷2008/05/07 12:00

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「サカつくONLINE」で流行っている戦術/システムはなんだ? 1周年を記念してデータを振り返ろう

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 セガが運営している「プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」(以下,サカつくONLINE)は,4月24日で正式サービス開始から1周年を迎えた。本作はゲーム内で取引されているカードの相場を読み,次に流行る戦術/システムを予想して,先を見据えた補強をすることが,勝つために重要なポイントなるといわれていた。だが,流行と呼べるほどの大胆な動きは,本当にあったのだろうか? 今回は,セガに提供してもらったデータと,本作の立ち上げから携わっているセガ スポーツデザイン研究開発部 佐藤 高一氏の意見をもとに検証してみよう。

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使用システムのトレンドはなんだ?


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佐藤 高一氏。サカつくONLINEの立ち上げから開発に携わり,サービスイン後は,更新作業を含む運営全般に関わる。ちなみに,プライベートのサカつくONLINEは,オランダリーグでまったりプレイ中とか
 サカつくONLINEに,流行と呼べるようなものがあったのかどうか判断するうえで,一番分かりやすいのは,システム(フォーメーション)の使用率を見ることだろう。もちろん,戦術も重用な要素の一つだが,攻撃と守備それぞれ6種類あり,組み合わせが36パターンもある。細か過ぎて大きな流れを見るデータとしてはあまり適していない。というわけで,まずは下に掲載したサーバーごとのフォーメーション(システム)使用率のグラフを見てほしい。


■Aztecaサーバー フォーメーション使用率

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■Centenarioサーバー フォーメーション使用率

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■San Siroサーバー フォーメーション使用率

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 これらのグラフは,「メインスタイル」に設定されているシステムの使用率を現しており,点線が2007年9月,実線が2008年4月時点のものだ。一目瞭然で「4-3-3 1V」の使用率が伸びているのが分かるだろう。AztecaサーバーとCentenarioサーバーは「4-4-2 1V」が一番多く使われているのだが,9月から一番増えたのはどのサーバーでも4-3-3 1Vだ。サカつくONLINEで,いま流行っているシステムは,4-3-3 1Vといって間違いないだろう。

 とくにその流れがSan Siroサーバーは顕著に表れており,およそ半年で使用率が約14%も増えた。佐藤氏は,San Siroサーバーに,攻略情報などに敏感で,いわゆる“勝ちに行く”タイプのプレイヤーが多いため,このようにはっきりした形で現れていると分析していた。4-3-3 1Vが流行り始めた時期は,はっきりと分からないということだが,2007年末の時点では,すでにSan Siroサーバー上位陣の多くが,4-3-3 1Vを採用しており,それを見た下位Divisionのプレイヤー達が真似していき,いまのような状況になったという。
 自分よりもうまい人,自分のチームよりも上位にいるチームを真似るというのは,手っ取り早く勝ち上がるという意味で非常に手堅い強化方法である。San Siroサーバーには,他チームの状況を確認し,自チームに取り入れるプレイヤーが,ほかのサーバーよりも多いようだ。

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なぜ4-3-3 1Vは流行ったのか? その対抗策は


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すべてのサーバーで大流行中の4-3-3 1V。なかでも二人のMFを両サイドへ開く形がとくに人気が高いようだ。果たして別の流行は生まれるのだろうか
 San Siroサーバー上位陣が確立したと思われる,“4-3-3 1V最強説”が徐々にサーバー内で浸透していき,そののち,他サーバーへ伝承したと,佐藤氏は考えている。今回,システム使用率のデータを公開したことで,さらに4-3-3 1Vが増えていく可能性が高いと指摘しているが,そもそも本当に4-3-3 1Vは最強なのだろうか。佐藤氏は,さまざまな要素が絡み合った結果,現状では4-3-3 1Vが“効く”ようになっているが,決して絶対的な攻略法ではないという。では,なぜ4-3-3 1Vを使うプレイヤーが増えたのだろうか。佐藤氏はあくまでも推測としながらも,戦術との相性,代用選手の用意しやすさ,サカつくONLINEの試合再生シーンの特徴とファンタジスタの出現による影響をその理由として挙げた。

 まず,4-3-3 1Vは「サイドアタック」や「ボールキープ」と相性が良く,守備側は,これらの戦術に対応しづらいので,選ぶ人が増えたというのが一つめの理由だ。そしてSMFでプレイスタイルに「ウイング」を持っている選手を起用したり,「プレイメーカー」を持っている選手をサイドで使ったりと,メンバーが不足していても代役を用意しやすいことも人気を集めた要因ではないかと説明した。

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サカつくONLINEの試合再生シーンはコーナーキックが得点につながることが多すぎると,たびたび言われるそうだ。だが,点が入らないコーナーキックの場面は,再生シーンにほとんど入らないので,結果的にそう見えやすいのだという
 また,サカつくONLINEの試合再生シーンは,プレイヤーの目には見えない部分で計算され,おいしい場面が切り出されている。サッカーのおいしい場面といえば,当然ゴールシーンになるわけで,試合再生シーンではどうしても,攻撃に参加している選手の活躍が目立つ。とくに,点の取り合いになれば,流れるシーンはすべて得点にからんだものになってしまい,守備の選手に不甲斐なさを感じてしまう人が多くなる。そうなると,守備的なポジションに能力の高い選手を配置しても効果が薄いと思い,攻撃的なポジションの選手を補強する人が増える。それに伴い,システムも攻撃的なものが好まれるようになった。その流れの延長で,サカつくONLINEで設定できるシステムの中でもっとも攻撃的な4-3-3 1Vが選ばれるようになったのではないかという。また,3トップのシステムが増えたことで,両ウイングを抑えるサイドバックの存在が重要になったことが,同じ3トップでも3-4-3系が流行らなかった理由と考えている。

 また,プレイスタイルのファンタジスタは,どんなシステム/戦術だろうがきっちりと能力を発揮できる。それを習得した選手の有効な使いどころとしてサイドが選ばれ,両サイドに選手を配置できるシステムである4-3-3 1Vを使う人が増えたのではないかということだ。
 サービスインからしばらくは,ほとんどのプレイヤーが資金的に苦しくて,ファンタジスタのプレイスタイルを持った選手を雇えなかったり,ファンタジスタ育成に必要なカードを買ったりできなかった。そのため,ファンタジスタの存在自体が珍しく,どう使えば有効なのかを,プレイヤーも検証しきれてはいなかったわけだ。だが,時間が経つにつれ,ゲーム内の資金が増え,ファンタジスタを持った選手がアップデートで追加され,ファンタジスタをチーム内に加えやすい状況が整った。そののち,多くのプレイヤーがファンタジスタの有効利用法を考え,サイドに配置するようになったことも,4-3-3 1Vブームの一因と考えている。

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現在のサーバーごとの特徴は,上位陣(Divsion1-2)が強いSan Siro,中位陣(Divsion3-4)が強いCentenario,そして中間のAztecaとなっているという。比較的新しい人が多く,ワールドマーケットでの取引も一番活発なCentenarioが,いまからサカつくONLINEを始めるならお勧めとのこと
 では,4-3-3 1Vブームは今後も続いていくのだろうか。しばらくは続くというのが,佐藤氏の見解だ。だが,一概には言えないが,同じシステムと戦術を採用していた場合は,統制値が多く,資金が多いチームが有利なため,下のチームは勝ち上がりづらい。よって対抗策を考えるプレイヤーが出てくる可能性が高いという。
 また,ゲーム内に存在するサイドで使いやすい選手の数を考えると,4-3-3 1Vをしっかり機能させられる選手を保持できるプレイヤー数は限られており,現状でも選手の奪い合いがかなり発生していると指摘していた。基本的に上位Divisionに入るほうが収入は多いので,同じ選手を取り合うことになれば,お金が多いプレイヤーが有利になり,このまま同じシステムを真似しても,上位Divisionに上がり,そこにい続けることは難しいだろう。

 では,具体的な対抗策はないのだろうか。開発者/運営者という立場なので明言はできないとしながらも,佐藤氏は,「中央に選手を集めて,点の取り合いに持ち込むと有効」というヒントをくれた。そして,この流れが大きく変わる可能性として,4月23日に実装されたばかりの「ユーザーカップ」の存在を挙げていた。これは佐藤氏自身,「実装したくてしょうがなかった機能」の一つで,プレイヤー同士がある程度自由に対戦できるというもの。いままでは,ゲーム内の知り合いでも,自由に対戦できなかったのだが,ユーザーカップの実装により,好きなシステム/戦術を使っているチームと対戦できるようになった。つまり,いままで以上にシステム/戦術の検証がしやすくなったわけだ。この機能を研究に利用する人が現れ,新たな潮流を生み出すかもしれない。

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 現実のサッカーでも,流行のシステム/戦術などが生まれ,それに対抗する方法が編み出されるというサイクルが繰り返されている。かつてはFIFA ワールドカップがその見本市的な役割を果たしており,優勝したチーム,印象が強かったチームのシステム/戦術が世界中に広がり独自の発展をとげていた。現在ではシステム/戦術が複雑になり過ぎてしまったために,その役割はUEFA チャンピオンズリーグへと移ったが,大きな流れは変わっていない。

 今回の検証によってサカつくONLINEでも,現実のサッカーとは異なるが,流行のシステム/戦術が生まれ,廃れていくというサイクルが存在していることが分かった。そういった意味では,サカつくONLINEのサービスイン前に提唱されていたものが,実現できているということになるだろう。佐藤氏もその点にかんしては納得している。
 もちろん,コンセプトがゲームにきちんと反映できていたからといって,決して満足しているわけではないという。オンラインゲームである以上,今後もアップデートを続けていき,より楽しいものを提供してくれるそうだ。時期は未定としながらも,留学システムの仕様変更,チームの絶対的な強さを測れるような機能の追加などを予定しているという。さらに,選手の能力を現すランクに新たなものが加わり,より個性がはっきりとした選手が追加されるようだ。
 こういった要素/選手が加われば,新たな流行が生まれる可能性は高い。また時期を見て振り返るので,楽しみにしていてほしい。
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