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CPU性能検証を追加した「4Gamerベンチマークレギュレーション23.1」を公開
PCの世界におけるベンチマークとは,ハードウェアおよびソフトウェアの性能などを評価するためのテストプログラム,もしくはテストプログラムを含む大枠の評価基準を示すものである。
大抵の場合,PC業界ではベンチマーク用に作られたアプリケーションを使って,ハードウェアの性能を計測することが多い。しかし,ゲーマーにとって重要なのは,実ゲームにおける快適さを実現する性能があるかどうかであり,ベンチマークアプリケーションだけではそのニーズを満たせない。そのため4Gamerでは,定期的に検証対象とするゲームを選んだうえで,その検証方法を公開している。
2020年6月に公開したレギュレーション23は,GPU性能検証用のゲームタイトルを大幅に入れ替えたメジャーアップデート版であったが,このときに積み残しとなっていたCPU性能検証パートを追加したのが,今回のバージョン23.1となる。
なお,今回更新したのはCPU性能検証だけで,GPU性能検証や消費電力検証については,レギュレーション23と変わっていない。また,レギュレーション20世代以降のバックナンバーは以下の囲みから,19世代以前のレギュレーションはその下に示したリンクボタンの先から閲覧できるので,過去のテスト方法やテストに用いる機材について知りたい場合は,そちらを参照してほしい。
更新履歴
バージョン19世代以前のレギュレーショントップページ
また,本稿で取り上げるベンチマークレギュレーション23の詳細項目は,下に並べた記事内リンクから確認できる。
■ベンチマークレギュレーション23目次
GPU性能検証
ゲームを用いたGPU性能検証は,レギュレーション20世代以降,1つの描画設定を選んだうえで,3パターンの解像度設定でテストを実施することで,同じ設定でも解像度によって性能差に違いがあるか,十分に快適なゲーム体験が得られるかどうかを検証してきた。この基本方針は,レギュレーション23世代でも変わらない。
とくに,解像度3840×2160ドットのいわゆる「4K解像度」を表示できるディスプレイやテレビが普及しつつある現在では,ゲームをこの解像度で快適にプレイできるのかが気になる人も多いだろうから,高解像度に見合う性能をGPUが持つのかどうかは,重要な検証対象となるだろう。
余談気味だが,ゲームによっては不正コピーを防ぐために,PCハードウェアが変わったことを検出してユーザー認証(アクティベーション)を必要としたり,ハードウェアの変更回数が増えるとユーザー認証が困難になるものもある。プレイヤー数の多さやハードウェアへの負荷といった点で検証向きのタイトルでも,こうした理由があるために毎回多くの機種を扱うベンチマークテストには適さず,検証用タイトルとして選ばれないこともあるのだ。
レギュレーション23世代において,扱うゲームタイトルは以下にまとめたとおりとなる。タイトル名のリンクをクリックすると各論へ飛べるようにしてあるので,参考にしてほしい。
■GPU性能検証で採用したアプリケーション
- 3DMark
- Far Cry New Dawn
- バイオハザード RE:3(Resident Evil 3)
- Call of Duty: Warzone
- Fortnite
- Borderlands 3
- ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ
- PROJECT CARS 2
■ベンチマークレギュレーション23.1関連コラム
ゲームでのテストにあたっては,平均フレームレートだけでなく,最小フレームレートも取得している。これまでも4Gamerでは,平均フレームレートだけでなく,最小フレームレートも合わせて掲載していたほうが,ゲーマーである読者には快適さの目安として有用であろう。
特別な事情がない限り,テストに用いるOSは,その時点で最新の64bit版Windows 10とする。
また,レギュレーション19世代まで基本的に無効化していた,CPUの省電力機能や自動クロックアップ機能を基本的に有効化して検証する点は,今回も変わらない。後述するとおり,CPUとGPU(=グラフィックスカード)の消費電力を個別に取得できる仕組みを整えたので,「ゲーマーの日常的な環境のほうがテストに適しているだろう」という判断によるものだ。
一方,Windowsの電源プランは,デスクトップPC環境では,CPUが最高性能を発揮できる「高パフォーマンス」を手動で選択する。ノートPCは,この限りではないため,どの電源プランを選択したかを本文で明記していくことにする。
■3DMark
3DMarkは当初,PCだけでなくiOSデバイスやAndroidデバイス,さらにARMアーキテクチャのWindowsタブレット端末での使用を想定したWindowsストアアプリ版も含めて,異なるデバイスでも横断的な性能検証ができるベンチマークスイートとして登場した。しかし,現在ではPC版とAndroid端末版のアップデートは続いているものの,
その一方で,PC版のアップデートは精力的に続けられており,2016年にDirectX 12対応の高負荷テストである「Time Spy」,2018年には,Time Spyよりも描画負荷の低いDirectX 12対応テスト「Night Raid」といったテストが追加されてきた。
ほかにもPC版では,特定機能に特化した機能テストの追加も行われている。2018年には,Microsoftのリアルタイムレイトレーシング規格である「DirectX Raytracing」(以下,DXR)に対応するレイトレーシング描画テスト「Port Royal」が追加となったほか,2019年にはPCI Expressの帯域幅を測定するテスト「PCI Express feature test」や,Windows 10の機能である「Variable Rate Shading」の処理性能を検証する「VRS feature test」といった機能テストがテストラインナップに加わるといった具合だ。
ULは,DirectXの機能「Mesh Shader」の処理性能を検証する新しい機能テストの追加を2020年内に予定しており(関連記事),Time Spyよりも高負荷で,VRSやMesh Shaderといった新世代の機能を盛り込んだ新ベンチマークモードの実装も進めている。今後も当分は,PCにおけるグラフィックス性能検証に3DMarkは手放せないものであり続けるだろう。
Fire Strike |
Time Spy |
3DMarkのうち,主に利用するテストは,引き続きFire StrikeとTime Spyの2つだ。Fire Strikeには,1920
Time Spyも同様に,解像度2560
Time Spy Extremeは,8コアを超えるハイエンドCPUを想定した負荷の高いテストでもあるので,8コア以上のCPUが増えた現状に適したCPUテストと言えよう。
テスト方法は以下のとおりで,「2回実行し,高いほうを採用する」ことになる。
●実行手順
- 3DMarkを起動
- 「MORE TESTS」を選択
- 「Fire Strike」「Fire Strike Extreme」「Fire Strike Ultra」もしくは「Time Spy」を選択
- 「Include demo」のスライドをチェックし「No」にする
- 「RUN」をクリックしてベンチマークを実行
- スコアデータの取得後,5.を再度実行
- 「BENCHMARKS」タブを選択し,「Time Spy」の「DETAILS」をクリック
- 「Include demo」のスライドをチェックし「No」にする
- [RUN]ボタンをクリックしてベンチマークを実行
- スコアデータの取得後,9.を再度実行
- 「Time Spy Extreme」でも9.〜11.を実行する
■Far Cry New Dawn
そんなFar Cry New Dawnをベンチマークレギュレーションで採用するにあたって,今回は下記のとおりの設定を行うことにした。
●ゲーム設定
- バージョン:最新版(Uplayによる自動アップデート)
- セーブデータ:不要
■ゲーム設定:オプション→映像→モニター
- ビデオアダプター:テストによる
- リフレッシュレート:60
- ウインドウモード:フルスクリーン
- HDRを有効にする:N/A
- ディスプレイ解像度:テストによる
- ディスプレイ:1
- メニューディスプレイ:1
- アスペクト比:ネイティブ(16x9)
■ゲーム設定:オプション→映像→クオリティ
- 画質:最高/中
- テクスチャフィルター:プリセットによる
- シャドウ:プリセットによる
- ジオメトリー&植物:プリセットによる
- 環境:プリセットによる
- 水:プリセットによる
- 地形:プリセットによる
- ボリュームフォグ:プリセットによる
- アンチエイリアス:プリセットによる
- モーションブラー:プリセットによる
■ゲーム設定:オプション→映像→色
- 明るさの調整:任意
- コントラスト:任意
- ガンマ:任意
- 色覚補正モード:オフ
■ゲーム設定:オプション→映像→詳細設定
- V-Sync:オフ
- フレームレート固定を有効にする:オフ
- フレームレート固定:(グレーアウト)
- 視野角のスケーリング:75
- 適応解像度:オフ
- 解像度スケール:1
■ゲーム設定:オプション→音声
- マスターボリューム:任意
- BGM:オフ
- 配信モード:オフ
- 音声言語:日本語
- 字幕:日本語
- 話者名:オン
- 字幕背景:半透明
- 字幕サイズ:デフォルト
- 効果音の表示:オフ
- ボイスチャットインジケータ:オン
- ボイスチャット音量:任意
- ピックアップ感度:0
- ボイスチャット:任意
- マイク:任意
- スピーカー:Windowsのデフォルト
- ボイスオーバー切替:オフ(グレーアウト)
- 音声のテキスト表示:オフ
Far Cry New Dawnにおけるグラフィックス設定は,「オプション」の「映像」に用意された「クオリティ」というサブメニューにまとまっている。それらは,「画質」の項目からプリセットを選択することで一括して設定が可能だ。
用意されているプリセットの選択肢は「最高」「高」「中」「低」の4種類。これらのプリセットから,Far Cry 5と同じく最も描画負荷の高い「最高」と,比較的低い「中」を採用するのが基本となる。
テスト方法だが,Far Cry New Dawnには,オプションメニューから起動できるベンチマークモードが用意されているので,これを使う。
ベンチマークモードのデモシークエンスは,フライバイ(flyby)で市民たちが集まるコミュニティ「プロスペリティ」の拠点から,銃撃戦を行っている池のほとりへ向かうといったシーンを描くものとなっている。テスト中は右上にそのときどきのフレームレートとともにフレームレートの推移が折れ線グラフとして出て,テストが終わると最小,平均,最大それぞれのフレームレートと,レンダリングフレーム数を表示してくれる。また,フレームレートの最終的な推移も折れ線グラフで出力してくれるという親切な仕様だ。
事前検証の結果では,フレームレートのバラツキはほとんど見られなかったため,2回テストを実施し,その平均フレームレートをスコアとして採用することになる。
実行手順は下に示したとおりとなる。
●実行手順
- Far Cry New Dawnを起動
- 「オプション」の「映像」にある「詳細設定」において,「V-Sync」と「フレームレート固定を有効にする」を「オフ」に設定
- 「オプション」の「映像」にある「モニター」において,「ディスプレイ解像度」から解像度を設定
- 「オプション」の「映像」にある「クオリティ」において,「画質」からプリセットを選択
- [F5]キーを押してベンチマークを実行
- ベンチマーク終了後に表示される平均フレームレートと最小フレームレートを記録する
- [Esc]キーを押して「オプション」に戻り,再度[F5]キーを押してベンチマークを実行
- 3.以降を解像度などを変更しながら繰り返す
なお,最小フレームレートで50fpsを確保できると,ゲームの動きは目に見えて違ってくるため,ハイエンドGPUのテストにおいては,この水準をクリアできる平均60fpsを合格ラインにしたいと思う。
組み合わせるCPUは,4コア4スレッドに対応していれば,その性能がボトルネックになることはまずない。4コア8スレッドや6コア12スレッド,8コア16スレッド対応のCPUを用意しても,増えたCPUコア数に比例してスコアが向上するようなことはないが,一方で2コア4スレッド対応のCPUを組み合わせた場合はフレームレートが10%ほど低下するので,この点は押さえておきたいところだ。
最高 | 中 |
---|---|
平均60fps以上 | 平均40fps以上 |
■バイオハザード RE:3
なお,RE ENGINEは,グラフィックスAPIとしてDirectX 11とDirectX 12に対応している。ただ公式には,NVIDIA SLIやAMDのCrossFireXといったデュアルGPUソリューションに対応していない。
テストにあたってのグラフィックス設定は,以下のとおりだ。なお,BIO RE:3にはグラフィックス設定のプロファイルが存在しないため,ユーザーが細かく設定する必要がある点は注意してほしい。
ゲーム設定
- バージョン:最新版(Steamによる自動アップデート)
- セーブデータ:要
■ゲーム設定:OPTION→Graphics
- グラフィックスAPI:DirectX 12
- 画面モード:フルスクリーン
- 画面解像度:テストによる
- レンダリング方式:インターレース
- イメージクオリティ:100%
- ディスプレイ周波数:テストによる
- フレームレート:可変
- 垂直同期:OFF
- アンチエイリアス:FXAA+TAA
- テクスチャ品質:高(3GB)/高(0.5GB)
- テクスチャフィルタリング品質:高(ANISO x16)/高(ANISO x4)
- メッシュ品質:最高/中
- 影品質:高/中
- 影のキャッシュ:ON
- スクリーンスペースリフレクション:ON
- サブサーフェイスキャッタリング:ON
- ボリュームライト品質:高/低
- パーティクルライト品質:高
- アンビエントオクルージョン:SSAO/SSAO(対応箇所のみ)
- ブルーム:ON
- レンズフレア:ON
- モーションブラー:ON
- 被写界深度:ON
- レンズ歪み:ON(色収束あり)
- FidelityFX CAS+Upscaling:ON
■ゲーム設定:OPTION→Audio
- ボイスボリューム:任意
- BGMボリューム:任意
- SEボリューム:任意
- スピーカータイプ:任意
- ダイナミックレンジコントロール:任意
以上のように,設定項目は多いものの,大抵の項目は標準設定値のままで,いくつかの項目を描画負荷が高くなるように変更しているという捉え方で問題ない。
ただ,「テクスチャ品質」の項目だけは,さらに高い設定に変更するとグラフィックスメモリ容量8GBのGPUでもまったく足りなくなるため,実プレイを想定して「高(3GB)」としている。同じ理由で,影品質も「最高」ではなく「高」としている点には注意してほしい。なお便宜上,レギュレーション23世代では,ここで示した設定内容を「高負荷設定」と呼ぶことにする。
その一方,エントリークラスのGPUに向けた「低負荷設定」としては,標準設定として用意されている設定を利用する。設定の各項目で[R]キーを押すと,標準設定に戻るようになっているほか,OPTIONから「Default」を選択することでも,標準設定に戻る仕組みとなっている。
このシーンのスタート地点からゾンビを倒しながら進み,ドーナツショップの前のゾンビを一層したあたりで,ちょうど1分が経過するので,その間のフレームレートをOCATで測定して,グラフィックス設定条件あたり2回テストを行って,その平均値を平均スコアとして採用する。なお,OCATでは最小フレームレートが測定できず,代わりに99パーセンタイルの値が取得可能だ。そこで,突出して低い値を省いた,99パーセンタイルの数値を最小スコアとして採用する。
以上を踏まえた実行手順は以下のとおりとなる。
●実行手順
- OCATでベンチマーク計測時間を60秒に設定
- BIO RE:3を起動する
- グラフィックスや解像度などゲームのオプション設定を行う
- 「Load Game」から該当するセーブデータを選択する
- ゲームが始まったらOCATによる測定をスタート
- ゾンビを倒しながらドーナツショップへと移動する
- 60秒経った時点で計測終了
- [Esc]キーを押して4.〜6.を再度実行
- [Esc]キーを押して「OPTION」を選び,解像度を変更しながら,3.〜8.を繰り返す
ちなみにCPUは,4コア4スレッド対応モデルであれば,スコアの低下は見られない。ただ,それ以上コア数やスレッド数を増やしても,フレームレートの上昇はあまり確認できなかった。その一方で,2コア2スレッド対応CPUでは,フレームレートが2割程度低下することを確認している。
高負荷 | 低負荷 |
---|---|
平均70fps以上 | 平均50fps以上 |
■Call of Duty: Warzone
テストにあたってのグラフィックス設定は以下のとおり。
ゲーム設定
- バージョン:最新(Battle.netによる自動アップデート)
- セーブデータ:不要
■ゲーム設定:オプション→グラフィック→ディスプレイ
- 表示モード:全画面
- ディスプレイモニター:テストによる
- ディスプレイアダプタ:テストによる
- リフレッシュレート:60
- レンダリング解像度:100
- ディスプレイ解像度:テストによる
- アスペクト比:自動
- すべてのフレームを同期(V-Sync):無効
- フレームレート制御:無制限
- NVIDIAハイライト:有効
- ディスプレイガンマ:任意
■ゲーム設定:オプション→グラフィック→細部とテクスチャ
- テクスチャ解像度:高/通常
- テクスチャフィルターの異方性:高/通常
- テクスチャ品質:高
- 着弾&スプレー:有効
- テセレーション:全体/付近
■ゲーム設定:オプション→グラフィック→影と照明
- シャドウマップ解像度:エクストラ/通常
- スポットの影のキャッシュ:有効
- 日陰のキャッシュ:有効
- パーティクルライティング:ウルトラ/通常
- DirectX Raytracing:無効
- アンビエントオクルージョン:両方
- スクリーンスペースリフレクション(SSR):高/通常
■ゲーム設定:オプション→グラフィック→後処理効果
- アンチエイリアス:Filmic SMAA T2X
- 被写界深度:有効
- フィルム密度:1.00
- ワールドモーションブラー:無効
- ウェポンモーションブラー:無効
- フィルム粒子:0.25
■ゲーム設定:オプション→オーディオ→音量
- オーディオミックス:任意
- 音量:任意
- BGM音量:任意
- セリフ音量:任意
- 英語音声:任意
- エフェクト音量:任意
- ジャガーノートのBGM:任意
- ヒットマーカーサウンド効果:任意
■ゲーム設定:オプション→オーディオ→ボイスチャット
- ボイスチャット:任意
- ボイスチャットデバイス:任意
- ボイスチャット記録モード:任意
- ボイスチャット(プッシュ・トゥ・トーク):任意
- オープンマイクの録音閾値:任意
- ボイスチャット音量:任意
- マイク音量:任意
- ボイスチャットエフェクト:任意
CoD:Warzoneのグラフィックス設定にプリセットは存在しない。そこで,オプションの「グラフィック」にある項目を,描画負荷が最大になるように設定した状態を,便宜上「高負荷設定」とする。
一方,エントリー向けGPUなどで描画負荷が大きすぎる場合には,「テクスチャ解像度」や「テクスチャフィルターの異方性」,「シャドウマップ解像度」「パーティクルライティング」,さらに「スクリーンスペースリフレクション(SSR)」の5項目を「通常」に下げたうえで,テセレーションを「全体」から「付近」へ変更した設定を使用する。こちらは便宜上,「低負荷設定」と呼ぼう。
実際に操作を行う都合上,1つの設定条件あたり2回テストを行って,その平均をスコアとして採用する。また,グラフィックスAPIにはDirectX 12を使用し,計測ツールにはOCATを利用。OCATでは最小フレームレートが取得できないため,代わりに99パーセンタイルの数値をスコアとして採用する。
以上を踏まえた実行手順は以下のとおりとなる。
●実行手順
- OCATからベンチマーク計測時間を60秒に設定
- CoD:Warzoneを起動する
- グラフィックスや解像度など,ゲームのオプション設定を行う
- 「練習モード」から「PLUNDER訓練」を始める
- 練習モードが始まったらOCATによる計測をスタート
- 60秒間,指示に従い練習モードを進める
- 4.〜6.を再度実行
- [Esc]キーを押して「オプション」を選び,解像度を変更しながら4.〜7.を繰り返す
CPUについては,最低限4コア8スレッドタイプのCPUを用意したいところ。4コア4スレッドタイプのCPUでは,そこから2割程度フレームレートが落ち込み,2コア4スレッドタイプのCPUにいたっては,フレームレートは5割ほども低下するのだ。一方で,6コア12スレッドのCPUを用いるとフレームレートは若干向上するものの,4コア8スレッドタイプのCPUとの差は1割にも満たなかった。
高負荷 | 低負荷 |
---|---|
平均120fps以上 | 平均70fps以上 |
■Fortnite
本作は,ゲームエンジンの代表格と言えるEpic Games製の「Unreal Engine 4」を採用することで,PCだけでなく,Play Station 4やXbox One,Nintendo Switch,Android,iOS,macOSと非常に多くのプラットフォームをサポートしているが,レギュレーション23世代で扱うのはもちろんPC版だ。PC版はDirectX 11および,β版扱いではあるもののDirectX 12に対応する。その一方で,NVIDIAおよびAMDのマルチGPUソリューションには対応しない。
さて,そんなFortniteをベンチマークレギュレーションで採用するにあたって,今回は以下に挙げるグラフィックス設定を選択することとした。基本的には「品質」のプリセットを切り換えているだけだが,いくつか追加指定した部分があるので注意してほしい。また,本稿執筆時点のFortniteは,フレームレートを計測するOCATをチートツールと判定してしまうようで利用できない。グラフィックスAPIにDirectX 12を使用する場合,フレームレートの計測にはOCATを用いているのだが,Fortniteでは先の理由でそれができないため,テストではDirectX 11で進めることにする。
ゲーム設定
- バージョン:最新版(Epic Games Launcherによる自動アップデート)
- セーブデータ:不要
■設定:画面→ディスプレイ
- ウインドウモード:フルスクリーン
- 解像度:テストによる
- 最大フレームレート:無制限
■設定:画面→グラフィック
- 明るさ:100%
- ユーザーインタフェースのコントラスト:1x
- 色覚モード:オフ
- 色覚強度:0
■設定:画面→グラフィッククオリティ
- 品質の自動設定:自動設定
- クオリティプリセット:最高/中
- 3D解像度:100%
- 描画距離:プリセットによる
- 影:プリセットによる
- アンチエイリアス:プリセットによる
- テクスチャ:プリセットによる
- エフェクト:プリセットによる
- ポストプロセス:プリセットによる
■設定:画面→高度なグラフィック
- Vsync:オフ
- モーションブラー:オフ
- FPSの表示:オフ
- DIRECTXバージョン:DIRECTX 11
- マルチスレッドレンダリングを許可:オン
- GPUクラッシュデバッグの使用:オフ
■設定:オーディオ→ボリューム
- ミュージック:任意
- サウンドエフェクト:任意
- 会話:任意
- ボイスチャット:任意
- ムービー:任意
■設定:オーディオ→サウンド
- 音質:高
- 3Dヘッドフォン:オフ
- バックグラウンド時のオーディオ:オフ
- 字幕:オプション
- サウンドエフェクトを視覚化:オフ
■設定:オーディオ→ボイスチャット
- ボイスチャット:オン
- ボイスチャット方式:任意
- ボイスチャットの入力デバイス:デフォルト入力
- ボイスチャットの出力デバイス:デフォルト出力
- ボイスチャット(埋める設定のマッチ):パーティー
- ボイスチャット通知:オン
Fortniteで選択できるグラフィックス設定のプリセットは,「最高」「高」「中」「低」「カスタム」の5種類ある。選択すると,グラフィッククオリティ以下の個別項目が切り替わる仕様だ。なお,品質の自動設定は,PC環境に合わせて設定が自動で変更されてしまうため,テストでは利用しない。
テストでは描画負荷が最も高くなる「最高」を主に使用する一方で,エントリー市場向けGPUやAPUなどのテストを用いるときに限り「中」プリセットも用い,その場合は本文中で明記する。
グラフィックス設定で注意しないといけないのは,Vsyncを「オフ」にすることはもちろんだが,最大フレームレートを「無制限」に変更することだ。Fortniteでは,最大フレームレートの上限を30/60/120/144/160/165/180/200/240fpsから選んで指定できるのだが,テストでは当然のことながら不要なので,ここは変更する必要がある。
また,3D解像度は「デスクトップ解像度に対して何パーセントの解像度でレンダリングするか」を指定する項目で,100%より低い値にすると拡大表示になってしまうため,ここは必ず100%にする必要がある。
それに加えて,「ゲームプレイにおいては不要で,有効化するとボカシ処理が画面内の情報量を減らしてしまうことから,多くのプレイヤーが無効化している」という理由から,ベンチマーク時もモーションブラーもオフにしている。ゲームプレイでの快適性を測ることが目的であるため,モーションブラーはオフにすべきという判断だ。
さて,実際のテストだが,Fortniteにはベンチマークモードがない。そこでゲームに参加して,「ウィーピングウッズ」の櫓付近に下り立って真っすぐ西に進み,その間の平均フレームレートと最小フレームレートを取得することにした。
「ゲーム最終盤で建物が乱立するタイミングこそ,最も描画負荷が高いのではないか」と思う人も多いだろう。ただ,事前のテストで,最終盤の負荷はゲーム状況によって異なることと,ウィーピングウッズ内こそ最も安定して描画負荷が高くなることを確認できたので,「快適にプレイできるか」を検証するのに十分なスコアが得られると判断した次第である。
具体的には,当該テストの最初に1度プレイして,そのリプレイを繰り返し再生しながら1分間のスコアを取得する。リプレイデータは,ゲームにパッチが適用されるたびに利用できなくなるため,テストを行うタイミングで毎回1度プレイしてリプレイデータを作成する手間が必要というわけだ。
リプレイの再生中,カメラには一切手を付けず,デフォルトのままとする。また,スコアには若干のバラつきが見られたため,グラフィックス設定条件あたり2回テストして,平均をスコアとして採用する。
これらを踏まえたうえで実行手順をまとめると,以下のとおりとなる。
●実行手順
- Frapsからベンチマーク計測時間を60秒に設定
- Fortniteを起動する
- グラフィックスや解像度などゲームのオプション設定を行う
- [プレイ]ボタンをクリックしてゲームを始める
- マッチングが終了してゲームが始まったら,ウィーピングウッズの櫓付近で飛び降りる
- ウィーピングウッズで真っすぐ西に進む
- 1分以上進んだらマッチを離脱しロビーに戻る
- 「キャリア」の[リプレイ]から先ほどプレイしたリプレイデータを選択
- ウィーピングウッズの直前のテスト開始ポイントまでリプレイを進める
- テスト開始ポイントに着いたらFrapsによる計測をスタート
- 9.〜10.を再度実行
- [Esc]キーを押して,解像度を変更しながら,9.〜10.を繰り返す
Fortniteを快適にプレイするための最小フレームレートは,60fpsがほぼ必須。それを実現するためには平均70fpsが合格ラインだ。
一方,垂直リフレッシュレート120Hz以上に対応するディスプレイを持つ人がディスプレイの性能を活かすためには,最小フレームレート120fpsが必要になる。それを実現するには,平均で135fpsが必要になる。
なお,Fortniteはマルチスレッド処理への最適化があまり進んでいないタイトルなので,2コア2スレッド対応のCPUでも,動作クロックさえ高ければGPUの足を引っ張ることはない。CPUのハードルはかなり低い印象だ。
ウルトラ | 中 |
---|---|
平均135fps以上 | 平均70fps以上 |
■Borderlands 3
さて,そんなBorderlands 3のテストにおけるグラフィックス設定は以下のとおり。「ビジュアル」の「詳細」の「全体のクオリティ」からプリセットを選ぶことで,各項目は一括して変更される仕組みだ。
ゲーム設定
- バージョン:最新版(Epic Games Launcherによる自動アップデート)
- セーブデータ:不要
■ゲーム設定:ビジュアル→基本→ビデオ
- ディスプレイモード:フルスクリーン
- ターゲットディスプレイ:テストによる
- アスペクト比:16:9
- 解像度:テストによる
- 解像度スケール:100%
- 垂直同期:オフ
- フレームレート制限:上限なし
- カスタムFPS制限:(グレーアウト)
- HUDスケール:0.6
■ゲーム設定:ビジュアル→基本→カメラ
- 視野:88
- ビーグル視野:86
■ゲーム設定:ビジュアル→基本→調整
- 輝度:任意
- 黒レベル:任意
- セーフ・エリア位置調整:任意
■ゲーム設定:ビジュアル→詳細→一般
- グラフィックAPI:DirectX 11
- パフォーマンスの数値:オフ
■ゲーム設定:ビジュアル→詳細→グラフィック
- 全体のクオリティ:ウルトラ/中
- アンチ・エイリアス:プリセットによる
- FidelityFXシャープニング:プリセットによる
- カメラのモーション・ブラー:プリセットによる
- オブジェクトのモーションブラー:プリセットによる
- テクスチャ・ストリーミング:プリセットによる
- 異方性フィルタリング:プリセットによる
- マテリアルの複雑さ:プリセットによる
- 影:プリセットによる
- 描画距離:プリセットによる
- 環境のディテール:プリセットによる
- 地形ディテール:プリセットによる
- 植物:プリセットによる
- キャラクターのディテール:プリセットによる
- アンビエント・オクルージョン:プリセットによる
- ボリュームフォグ:プリセットによる
- スクリーン・スペース・リフレクション:プリセットによる
■ゲーム設定:音声→音量
- マスター:任意
- 効果音:任意
- BGM:任意
- セリフ:任意
- 受信チャット音量:任意
■ゲーム設定:音声→一般
- マイクのモード:任意
- プレーヤー音声:任意
- サウンド・モード:任意
- バックグラウンド再生:任意
■ゲーム設定:音声→詳細
- 立体音響:自動
選択できるプリセットは「バッドアス」「ウルトラ」「高」「中」「低」「とても低い」の6種類だ。事前に検証したところ,バッドアスは描画負荷が大き過ぎると判断したため,レギュレーション23世代では,描画負荷が大きい設定として「ウルトラ」を採用する。ただ,エントリー市場向けGPUなど,ウルトラプリセットでは描画負荷が大きすぎる場合には,「中」を使用することもある。その場合,記事中にその旨を記載しておく。
ベンチマークモードのデモシークエンスは,flyby形式で滝の上から川沿いに進み,激しい銃撃戦が行われる地点にまで至るというもの。画面右上にはフレームレートや,CPUとGPUのそれぞれのフレームタイムがリアルタイムで表示される。そして,ベンチマーク終了後,「ビジュアル→ベンチマーク→最新のベンチマーク・レポート」で結果を確認できる仕組みだ。
ただ,ベンチマーク・レポートでは平均フレームレートしか表示されないため,別途ログファイルから最小フレームレートを算出する必要がある。そのためには,「ビジュアル→ベンチマーク→一般」にある「レポートの種類」を「詳細」に変更しておく。ログファイルは,最新のベンチマーク・レポート欄にある「レポートの保存先」で指定した場所に,CSV形式で保存されているはずだ。
ログファイルには毎秒のフレームレートが記録されているが,事前検証した限りでは,最小フレームレートが安定しないという問題があった。そこで,Excelなどの表計算ソフトを用いて,突出した値を取り除くために,ログファイルから99パーセンタイルの値を最小フレームレートの代わりに採用する。
具体的な実行手順は以下のとおり。
●実行手順
- Borderlands 3を起動
- 「ビジュアル」の「基本」にある「垂直同期」を「オフ」に設定
- 「ビジュアル」の「基本」にある「フレーム・レート制限」を「上限なし」に設定
- 「解像度」で解像度を設定
- 「ビジュアル」の「詳細」にある「全体のクオリティ」でプリセットを選択
- 「ビジュアル」の「ベンチマーク」にある「ベンチマークを開始」をクリックしてベンチマークを実行
- ベンチマーク終了後,「ビジュアル」の「ベンチマーク」にある「平均FPS」に表示される平均フレームレートを記録する
- 6.〜7.を再実行。2回実行し,その平均をスコアとして採用する
- ログファイルをExcelなどの表計算ソフトを開き,99パーセンタイルを算出。2回の結果からその平均値を最小フレームレートとして記録する
- 4.以降を,解像度などを変更しながら繰り返す
Borderlands 3における描画負荷は,かなり高めだ。しかし,それでも快適にプレイできるラインとして,平均フレームレートは60fps以上を合格点としたい。一方,99パーセンタイルのフレームレートはあまり差が付かないが,それでも最低限20fps以上は欲しいところだ。
なお,Borderlands 3は,6コア6スレッドまでは物理コア数に応じて,フレームレートが伸びていく印象だ。それに対して,4コア4スレッドのCPUでは,6コア6スレッド比で8割程度のフレームレートに留まる。一方,8コア以上CPUにしても,6コア6スレッドCPUと比べたフレームレートの伸びはほとんどない。つまり,Borderlands 3を快適にプレイするのであれば,6コア6スレッド以上のCPUを用意したいところだ。
ウルトラ | 中 |
---|---|
平均60fps以上 | 平均20fps以上 |
■ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ
そんなFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチを使ってテストをするにあたって,グラフィックス設定は以下のとおりとなる。
ゲーム設定
■グラフィック設定:グラフィック設定1- グラフィック設定プリセット:最高品質/標準品質(デスクトップPC)/標準品質(ノートPC)
- 描画設定−水濡れ表現を有効にする:プリセットによる
- 描画設定−オクルージョンカリングを有効にする(見えないものの描画を簡略化する):プリセットによる
- 描画設定−LODを有効にする:プリセットによる
■グラフィック設定2
- 描画設定−リアルタイムリフレクション:プリセットによる
- 描画設定−アンチエイリアス:プリセットによる
- 描画設定−ライティングの品質:プリセットによる
- 描画設定−細かい草の表示量:プリセットによる
■グラフィック設定3
- 描画設定−背景の細かい凹凸表現:プリセットによる
- 描画設定−水面の凹凸表現:プリセットによる
- 描画設定−照り返しの表現:プリセットによる
- 影の表示設定−自分:プリセットによる
- 影の表示設定−他人:プリセットによる
- 影の表現−キャラクターの影のLODを有効にする:プリセットによる
- 影の表現−影の解像度:プリセットによる
- 影の表現−影の表示距離:プリセットによる
- 影の表現−ソフトシャドウ:プリセットによる
■グラフィック設定4
- テクスチャ品質−テクスチャフィルタ:プリセットによる
- テクスチャ品質−テクスチャ異方性フィルタ:プリセットによる
- 揺れの表現−自分:プリセットによる
- 揺れの表現−他人:プリセットによる
■グラフィック設定4
- 画面効果−周辺減光を有効にする(画面の隅を自然に暗くする効果):プリセットによる
- 画面効果−放射ブラーを有効にする(爆発などで周囲に向かって画面をぼかす効果):プリセットによる
- 画面効果−SSAO(立体感を強調する効果):プリセットによる
- 画面効果−グレア(光があふれる表現):プリセットによる
- 水中のゆがみ表現:プリセットによる
- カットシーン効果−被写界深度表現を有効にする:プリセットによる
■ディスプレイ設定
- 画面設定−メインディスプレイ選択:テストによる
- 画面設定−スクリーンモード設定:フルスクリーンモード
- 解像度設定−画面解像度プリセット:テストによる
- ガンマ補正:任意
■サウンド設定
- サウンド全般設定−アプリケーションが非アクティブでもサウンドを再生する:任意
- 音量調整−マスターボリューム:任意
- 音量調整−BGM:任意
- 音量調整−効果音:任意
- 音量調整−ボイス:任意
- 音量調整−システム音:任意
- 音量調整−環境音:任意
FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチも,従来と同様に「グラフィック設定プリセット」でプリセットを選択すれば,各設定項目はそれに合わせて変更される仕組みだ。そのため,プリセット以外の項目は,「ディスプレイ設定」以下を確認する程度という理解でいい。
選択するプリセットは基本的に,最も高い画質を期待できる「最高品質」だ。だが,CPU統合型のグラフィックス機能やノートPCのテストでは,デスクトップPCとノートPCでいくつかの項目が若干異なる「標準品質」を選択する場合もあるだろう。その場合はどのプリセットを選択したか本文で明記することになる。
それらを踏まえたテスト方法は以下のとおりだ。
●実行手順
- ベンチマークソフトを起動する
- 「設定変更」を選択し,設定変更画面へと移行する
- 「グラフィック設定1」タブのグラフィック設定プリセットを適宜選択する
- 「ディスプレイ設定」タブの「画面解像度プリセット」から解像度を選択
- [OK]ボタンをクリックし,メニューへと戻る
- [スタート]ボタンをクリックし,ベンチマークテストを実行
- テスト終了後に表示されるスコアを記録する
- 「レポート出力」をクリックし,平均フレームレートと最小フレームレートを記録する
- 2.以降を,グラフィック設定プリセットと解像度を変更しながら繰り返す
スコアの見方だが,スクウェア・エニックスは以下のような指標を示している。
- 7000以上:非常に快適
- 5000〜6999:とても快適
- 3500〜4999:快適
- 2500〜3499:やや快適
- 2000〜2499:普通
- 1500〜1999:設定変更を推奨
- 1000〜1499:設定変更が必要
- 999以下:動作困難
ひとまずの合格点は,スクウェア・エニックスの指標どおりのスコア7000とするが,フレームレートの傾向を踏まえると,ハイエンド環境では平均60fps以上を狙えるスコア9000以上を目標にしたいところである。
組み合わせるCPUを見ると,4コア8スレッド対応CPUまでは,対応できるスレッド数に応じてスコアが伸びていく。逆に2コア2スレッドでは,4コア8スレッドに対してスコアが3割ほど低下する。「8スレッドまでなら,スレッド数がスコアを左右する」点は,従来のFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチから大きく傾向は変わっていない。
最高品質 | 標準品質 |
---|---|
平均9000以上 | 平均7000以上 |
■PROJECT CARS 2
PROJECT CARS 2は,Slightly Mad Studiosが手掛けるドライブシムで,リアリティの高い映像やクルマの挙動が好評を博している。ゲームエンジンは,前作「PROJECT CARS」と同じ「Madness Engine」であるが,4K解像度やVRに対応するほか,物理エンジン「LiveTrack 3.0」との連係により,新たに路面や天候の逐次変化を実現したのがトピックだ。なお,NVIDIAのSLI,AMDのCrossFire Xにも対応している。
そんなPROJECT CARS 2におけるグラフィックス設定は以下のとおり。本作には描画設定プロファイルが用意されていないため,細かく設定することになる点は注意してほしい。
●ゲーム設定
- バージョン:最新版(Steamによる自動アップデート)
- セーブデータ:4Gamerオリジナル
- セーブデータの保存先:C:¥Users¥ユーザー名¥Documents¥Project CARS 2¥savegame¥25499938¥project cars 2¥media(※Windows 10のデフォルト設定時)
■ゲーム設定:オプション→視覚エフェクト
- ポストプロセスフィルタ:オン
- 外装のレンズフレア:フル
- 内装のレンズフレア:控えめ
- ブルーム効果:オン
- かげろう:オフ
- 露出補正:1.00
- 雨粒:いいえ
- 口径食:はい
- 薄明光線:はい
- 画面の汚れ:いいえ
- コクピットミラー:オン
■ゲーム設定:オプション→パフォーマンス
- 解像度:テストによる
- ウィンドウモード:いいえ
- テクスチャフィルタリング:アニソトロピック 16倍/アニソトロピック 4倍
- 垂直同期:いいえ
- マルチサンプリング:高/中
- ポストプロセス:Off(※グレーアウト)
- スーパーサンプリング(※グレーアウト)
- 反射:ウルトラ/低
- 環境マップ:ウルトラ/中
- 車両のディテール:ウルトラ/中
- コースのディテール:ウルトラ/中
- ピットクルー詳細:すべて
- 影のディテール:ウルトラ/中
- 強化ミラー:はい/いいえ
- モーションブラー:高/低
- 先行フレームレンダリング:4/2
- 草の描画:高
- パーティクルレベル:高
- パーティクル密度:ウルトラ
■ゲーム設定:オプション→カメラ→視界
- バンパーカメラ:70
- フードカメラ:70
- ルーフカメラ:70
- チェイスカメラ:70
- コックピットカメラ:70
- ヘルメットカメラ:70
- 後部座席カメラ:96
- 被写界深度の速度に対する感度:いいえ
- 最低体感速度:95(※グレーアウト)
- 最高体感速度:115(※グレーアウト)
- 最低視界変化速度:60(※グレーアウト)
- 最高視界変化速度:170
■ゲーム設定:オプション→カメラ→移動
- 高速振動:オフ
- 風景の動き:50
- 重力効果:50
- ヘルメットを表示:はい
- ヘルメット・被写界深度:はい
- ヘルメット・エイペックスビュー:50
- ヘルメットの傾き:75
- カメラの傾き:75
■ゲーム設定:オプション→音量
- マスター音量:任意
- メニュー音量:任意
- メニューBGM音量:任意
- プレイヤーエンジン音量:任意
- 対戦相手エンジン音量:任意
- 車両音量全般:任意
- タイヤ音量:任意
- 衝突音量:任意
- ロードノイズ音量:任意
- 環境音量:任意
- 効果音音量:任意
- ピット無線音量:任意
- ヘッドホンのミキシングを有効化:オフ
- LFEの音量:任意
- オーディオデバイス:任意
以上,設定項目は大量にあるのだが,基本的には「オプション→パフォーマンス」における全項目について,可能な限り最も高い設定を適用するというイメージでいい。4Gamerではこれを「高負荷設定」と呼ぶ。
ただ,エントリークラスのGPUやAPUなどのテストを行う場合,高負荷設定では描画負荷が高すぎるケースがある。そのため,比較的描画負荷の低い設定も「低負荷設定」として用意した次第だ。いずれにせよ,搭載するGPUによってインストール直後のデフォルト設定が異なる可能性は否定できないので,設定を間違えないよう,毎回の目視確認は必要だろう。
なお,グラフィックス設定を変更した場合,ゲームの再起動が必要となる。
事前にテストした限り,フレームレートのブレはさほど大きくなかったため,ここでは2回の平均値をスコアとして採用する。
なお,テスト時間が120秒なのは,当該リプレイだと途中から天候が晴れから雨に変わるのだが,60秒だと雨の時間が短くなってしまうためだ。
これらを踏まえた実行手順は下記のとおりとなる。
●実行手順
- Frapsからベンチマーク計測時間を120秒に設定
- PROJECT CARS 2を起動
- 「オプション→パフォーマンス」以下にある「テクスチャフィルタリング」などグラフィックス設定を変更
- 「オプション→パフォーマンス」以下にある「解像度」を設定
- PROJECT CARS 2を再起動する
- 「プロフィール」から「映像」を選択
- リプレイデータの中から「Watkins Glen International(GPコース) Lamborghini Huracan LP620-2 Super Trofeo」を選択
- リプレイ開始と同時にFrapsによる計測をスタート
- 120秒経過するのを待つ
- 「再生操作」インタフェースからリプレイデータの冒頭に戻る
- 8.〜9.を再度実行。2回の平均をスコアとする
- [Esc]キーを押してリプレイを終了
- 4.以降を,設定を変更しながら繰り返す
それを踏まえたうえで,プレイアブルなフレームレートとして,最小30fpsをクリアできる平均50fpsが合格ラインとなる。ハイエンド環境の場合は,最小40fpsを期待できる平均60fpsが目標となる。
ちなみに,CPUは物理コア数が4以上であれば,いくら物理コア数と論理コア数が増えてもスコアに影響はない。その一方で,2コア4スレッドのCPUだと,4コア4スレッドのCPUからスコアが7%ほど低下し,2コア2スレッドのCPUでは25%ものスコアの低下が見られた。
高 | 低 |
---|---|
平均60fps以上 | 平均50fps以上 |
■コラム:OCATおよびFrapsの使い方
4Gamerでは長らく,ベンチマークモードを持たないゲームタイトルのテストにあたって,「Fraps」によるフレームレート計測を行ってきた。だが,DirectX 12(Direct3D 12)やVulkanといった,新世代のグラフィックスAPIを採用するタイトルに対しては,Frapsを利用することができない。
そこで4Gamerでは,DirectX 12やVulkanベースのタイトルをテストするにあたっては,Frapsに代わり,オープンソースのGPU対応アプリケーション開発支援フレームワークとしてAMDが提唱する「GPUOpen」から登場した「OCAT」(Open Capture Analystics Tool)を用いる。こちらはDirectX 12やVulkanのベンチマークに特化したツールだからだ。
OCATのメインウインドウ
OCATの入手法およびインストール方法は2016年12月12日の記事を参照してほしいと思うが,フレームレート計測前にOCATを起動して,「Recording Time Period in Seconds」に計測時間を秒単位で入力する。デフォルトは60なので,1分間の測定であれば変更する必要はない。
また,デフォルトのままで大丈夫だが,「Write performance summary」にチェックが入っていないと,平均フレームレートがログファイルに記録されないので,チェックが入っているかどうかは確かめておいたほうがいいだろう。
フレームレート計測を実行するには,まずOCAT上で右下の[Start]をクリック。その状態で計測対象のゲームを起動する。すると,ゲーム画面の右上にフレームレートとフレーム時間がリアルタイムで表示されるようになる。中には表示されないゲームもあるのだが,その場合でもOCATは動作しているので計測には問題はない。
あとは適切なタイミングで[F11]キーを押せば,フレームレートの計測が始まるという流れだ。
なお,この計測開始のホットキーはOCATメニューの「Recording Hotkey」から変更できる。
さて,設定した時間が経過すると計測が終了し,画面右上に計測結果――「平均フレームレート」「平均フレームタイム」「フレームタイムの99%パーセンタイル値」の3つ――が表示される。ただ,フレームタイムのリアルタイム表示が行われないゲームでは計測結果も表示されないので,「C:\ユーザー\(ユーザー名)\ドキュメント\OCAT\Recordings」に書き出されるcsv形式の概要データファイルを参照する必要がある。
テストを繰り返すと,概要データファイルに結果が次々と書き足されていくので,結果が上書きされるようなことはない。
一方,DirectX 11を用いるゲームでは,これまでと同様にFrapsを用いてフレームレートの計測を行う。
こちらはFrapsのメインウインドウ
Frapsは,DirectX/OpenGLで動作するアプリケーション向けのキャプチャソフトだ。フルバージョンは29.95ドルするシェアウェアで,4Gamerではボリュームライセンスを取得して利用しているが,開発元であるbeepaのWebサイトからダウンロードできる無料の体験版でも,フレームレートの計測は行える(※キャプチャ周りには制限が入る)。
インストールしたら,フレームレートの計測前にFrapsを起動。メインウィンドウが起動するので,「FPS」タブを選び,「Stop Benchmark automatically after」直後にある入力ボックスに,秒単位で数値を入力する。たとえば,Fortniteのベンチマークテストを行うなら「60」,PROJECT CARS 2の場合は「120」と入力すればいい。
続いて「MinMaxAvg」にチェックを入れ,最少/最大/平均フレームレートがログに書き出されるようにしておく。
フレームレート計測を実行するには,まず,Frapsを最小化して,その状態で計測対象のゲームを起動する。すると,画面の隅に黄色の数値が表示されるはずだが,それがリアルタイムで計測されるフレームレートだ。あとはリプレイを再生し,適切なタイミングでフレームレート計測開始のホットキー(標準では[F11]だが,FPSタブの「Benchmarking Hotkey」で変更可能)を実行すればいい。
ベンチマーク計測中はリアルタイムのフレームレート表示が消え,設定した時間が経過すると計測が終了して,再びフレームレートが表示されるようになる。なお,ログファイルはFrapsをインストールしたフォルダ以下,「\benchmarks」の中に保存されるようになっており,上書きされることはない。
CPU性能検証
ゲームのフレームレートはGPUの性能に大きく左右されるが,CPUも無関係というわけではない。GPUを駆動するデータやテクスチャなどの転送はCPUが担うものであるし,ゲームをゲームとして成立させるゲームロジックや物理シミュレーションでは,CPUの役割が大きくなる。よって高性能なGPUには,それに見合う性能を持つCPUが必要だ。
そこで,4GamerによるCPUの性能検証では,まずGPU性能検証に使用する8タイトルを用いて,ベンチマークスコアやフレームレートを検証する。実ゲームのフレームレートをテストする7タイトルでは,CPUの性能差が出やすい低めの解像度から3種類を使ってフレームレートを測定することにした。
なお,使用する3種類の解像度は,テストするCPUやGPUの性能によって適宜変更するが,統合型GPUを用いる場合は1280×720ドットを最小とした3種類を,単体GPUを用いる場合は1600×900ドットからの3種類を基本とする。
8タイトルを利用したゲーム性能を踏まえたうえで,ゲーマーがゲーム以外の用途でPCを使うことの多いであろうジャンルのベンチマークプログラムやアプリケーションを使って,CPU性能のテストを行う。
ベンチマークレギュレーション23世代で採用するアプリケーションは以下のとおりだ。クリックすると各アプリケーションの説明に飛ぶ。
■CPU性能検証で採用したアプリケーション
■OBS Studio
ゲームの録画や配信のために広く利用されているオープンソースの実況配信ソフト「OBS Studio」(関連リンク)。CPU性能検証では,本タイトルを使用して,ゲーム録画性能をテストする。
PC 1台で行うゲーム実況配信は,一般的にはGPU内蔵の動画エンコーダで録画や配信を行うことが多い。しかし,CPU性能検証ではCPUに高い負荷をかけたときの性能を調べるために,エンコーダとしてCPUを用いる「x264」を選択する。録画品質は,12MbpsのVBR(Variable Bit Rate,可変ビットレート)を基本として,テストするCPUのコア数や性能に応じて,使用するプリセットとチューニングパラメータを変更することにした。
●アプリケーション設定
- バージョン:最新版
- 出力モード:詳細
- 種別:標準
- 録画ファイルのパス:任意
- 録画フォーマット:mp4
- 音声トラック:1120
- エンコーダ:x264
- 出力をリスケールする:チェックなし
- カスタムマルチプレクサーの設定:なし
- レート制御:VBR
- ビットレート:12000kbps
- 特定バッファサイズを使用:チェックなし
- CRF:23
- キーフレーム間隔:0
- CPU使用のプリセット:テストによる
- プロファイル:なし
- チューン:テストによる
- x264オプション:指定なし
録画解像度は1920×1080ドットが基本。テストするCPUの性能に応じて2560
録画に用いるゲームタイトルは「Overwatch」である。Overwatchはグラフィックス負荷が軽いため,ハイエンドのGPUであれば最大300fpsで表示できるうえ,画面上にフレームレートを表示する機能もあるので録画のスムーズさを確認しやすいからだ。
具体的なテスト手順は以下のようになる。
●実行手順
- OBSを起動
- 設定→出力→録画をテストの構成に合わせて各項目を設定
- OBSの「ソース」に「ゲームキャプチャ」を設定
- Overwatchを起動
- Overwatchで「トレーニング」→「練習場」を選択し練習場にエントリー
- 録画を開始
- マップを周り約1分ほど録画を行って録画終了
- 解像度を変えて5から再実行
評価の方法は録画したデータの品質,とくにフレーム落ちの有無で確認する。フレーム落ちが発生すると録画データのサイズが減り,ビットレートも低下するので,録画データのサイズが大きいほど録画品質が高く,よってCPUの性能も高いと判断できるという理屈だ。
■PCMark 10
CPU性能検証では,PCMark 10に含まれるテストのうち,設定をカスタマイズできる「PCMark 10 Extended」を選択する。「Customize run」を有効にしたうえで,「Use
●アプリケーション設定
- バージョン:最新版
■Test details→SETTINGS
- Customize run:オン
■Test details→SETTINGS→Tests
Essentials
- Video Conferencing:オン
- Web Browsing:オン
- App Start-up:オン
- Writing:オン
- Spreadsheets:オン
- Photo Editing:オン
- Video Editing:オン
- Rendering and Visualization:オン
- Graphics test 1:オン
- Graphics test 2:オン
- Physics test:オン
- Combined test:オン
■Test details→SETTINGS→Troubleshooting settings
- Use OpenCL:オフ
- Use hardware-accelerated video processing:オフ
- Wait between workloads (seconds):15
- OpenCL device for Video conferencing:テストによる(default)
- OpenCL device for Spreadsheet:テストによる(default)
- OpenCL device for Photo editing:テストによる(default)
- OpenCL device for Video editing:テストによる(default)
PCMark 10で「Customize run」を用いると,総合スコアは得られない仕組みとなっている。そこでCPU性能検証では,4つのテストグループ「Essen
これらを踏まえたテストの手順は以下のとおり。
●実行手順
- PCMark 10を起動
- 「MORE TESTS」を選択
- 「PCMark 10 Extended」を選択
- Test detailsの「SETTINGS」をクリックして「Edit run」ダイアログを表示する
- 「Customize run」のスライドスイッチをクリックしてオンにする
- 「Troubleshooting settings」にある「Use OpenCL」と「Use
hard ware -acce lerated video proce ssing」のチェックをクリックしてオフにする - [CLOSE]ボタンをクリックしてEdit runダイアログを閉じる
- [RUN CUSTOM]ボタンをクリックしてベンチマークを実行
- スコアデータの取得後,8を再実行
■FFmpeg
実際のテストでは,テスト用にあらかじめ撮影した録画データを「libx264」エンコーダによりH.264形式に変換するのに要した時間と,「libx265」エンコーダでH.265/HEVC形式に変換するのに要した時間を計測して,スコアとして採用することにした。トランスコード時間が短いほど,CPUの処理性能は高いと言っていい。
なお,テストに用いるWindows版のFFmpegは,公式のNightly Build(※ソースコードの更新に合わせて即時に配布されるバージョン)としているが,使用するバージョンはある程度の期間,固定することにしている。これは過去のテストとのスコアの一貫性を保つためだ。ただ,テストに使用するFFmpegのバージョンが古すぎるのも問題なので,FFmpeg公式の様子を見ながら適宜バージョンを更新し,テスト時に使用したFFmpegのバージョンを明記することにしたい。
トランスコードの画質設定は,libx264およびlibx265のslowプリセットを用い,映像品質優先のモードでトランスコードを行う。それに加えてlibx264では,チューニング設定として「animation」を指定することで,可能な限り画質の劣化を抑えた変換を行うこととする。
FFmpegはコマンドラインアプリケーションなので,テスト時は,設定を記したバッチファイルをFFmpegに与えたうえで,トランスコードに要した時間を「MPEG4
実際のテストで使用しているバッチファイルは以下のとおり。
del avc.mp4
del hevc.mp4
powershell -c measure-command {.\FFmpeg -i Diademe.avi -c:v libx264 -preset slow -tune animation -crf 18 -threads 0 avc.mp4} >MPEG4_score.txt
powershell -c measure-command {.\FFmpeg -i Diademe.avi -c:v libx265 -preset slow -crf 20 hevc.mp4} >HEVC_score.txt
トランスコードで使用する映像ソースには,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」でゲームをプレイした「7分25秒,ビットレート437Mbps,解像度1920×1080ドット,Motion JPEG形式」の録画データ(※バッチファイル中にある「Diademe.avi」)を利用している。とくにこのゲームである必然性はないのだが,過去の検証結果との一貫性を保つために使い続けている次第だ。
さて,実際のテスト方法は以下のとおりとなる。
●実行手順
- テスト用のフォルダ(C:\transcodeなど)を作成しておく
- テスト用のフォルダに映像ソースとFFmpeg実行ファイル(ffmpeg.exe),およびバッチファイルをコピー
- バッチファイルを実行
- バッチファイルの実行終了後,スコアが記録された2つのテキストファイルがテスト用フォルダに生成されるので,そこからスコアを取得する
■DxO PhotoLab 3
テストでは,ニコン製デジタルカメラ「D810」で撮影した解像度7360×4912ドットのRAWファイル60枚を現像する。用意した60枚の写真データにベンチマーク用のプリセットを適用して,JPEGファイルとして出力。現像の開始から60枚すべてを終えるまでの時間をスコアとして採用する。
●アプリケーション設定
- バージョン:最新版
- プリセットデータ:4Gamerオリジナル
- プリセットデータの保存先:C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\DxO\DxO PhotoLab 3\Presets(※Windows 10のデフォルト設定時)
なお,現像時間の測定は,RAW現像スタート時刻と最後に出力されたJPEGファイルの更新日時から算出する。RAW現像スタート時の計時は手動になるものの,誤差は1秒以内と考えてもらっていいだろう。
具体的な実行手順は以下のとおり。
●実行手順
- DxO PhotoLab 3を起動
- プレビュー画面で60枚のテスト用RAWデータを選択
- 右クリックして「プリセット適用」→「bench」を選択
- 「HDDにエクスポート」→「エクスポート」をクリックして時刻を記録
- エクスポート終了後,最後に出力されたJPEGファイルの更新日時を記録
- 2つの時刻からエクスポートにかかった時間を計算してスコアとする
■CINEBENCH R20
とくに,多数のスレッドを同時に実行できるマルチコアCPU環境で高いスコアが出るアプリケーションなので,AMDやIntelが新CPUをリリースするときに,性能をアピールする目的でCINEBENCH R20のスコアをアピールすることが多い。
レギュレーション23世代のCPU性能検証では,このCINEBENCH R20でCPU性能を検証する。といっても,シンプルなベンチマークアプリケーションなので,とくに設定を行うところはほとんどない。
●アプリケーション設定
- バージョン:最新版
■File
- Keep best score:チェックなし
- Advanced benchmark:テストによる
- Run all selected tests:チェックなし
■File→Preferences
- Render Threads:チェックなし
- Minimum Test Duration:0(初期値)
レギュレーション23世代では,テストを2回実行し,高い方のスコアをそのCPUのスコアとして採用する。実行手順は以下のとおりだ。
●実行手順
- Cinebench.exeを起動する
- (シングルスレッド性能も調べる場合)メニューから「File」→「Advanced benchmark」を選択してチェックを入れる
- 左上にある「CPU」の右側にある[Run]ボタンを押してベンチマークを実行
- スコアデータの取得後,4を再実行
- (シングルスレッド性能も調べる場合)「CPU(Single Core)」の右側にある[Run]ボタンを押してベンチマークを実行
- スコアデータの取得後,5を再実行
■7-Zip
なお7-Zipは,本稿執筆時点ではVersion 19.00が最新版で,レギュレーション23世代でも同バージョンの64bit版を用いる。次期バージョンとなるVersion 20.00のα版も公開されているので,遠からずアップデートすることになりそうだ。
さて,7-Zipのベンチマーク機能はシンプルで,「7-Zip File Manager」を起動したうえで,「ツール」→「ベンチマーク」を選択するとすぐに計測を始める。設定する項目は2つしかなく,実際のテスト時に変更するのは「辞書サイズ」の1項目だけだ。CPUスレッド数は,CPUで同時実行可能なスレッド数が自動で指定されているはずなので,とくに変更する必要はない。
●アプリケーション設定
- バージョン:19.00 x64版
■ツール→ベンチマーク
- 辞書サイズ:64MB
- CPUスレッド数:テストによる
テストが進むと総合評価欄に結果が出るので,そこの右側にあるMIPS値をスコアとして採用する。テストは自動で何回も行われるのだが,レギュレーション23世代では,テスト回数が5回になるまで圧縮/展開の評価値を監視して,スコアに大きなブレがないことを確認したうえでスコアを得ている。
具体的な計測手順を以下に示そう。
●実行手順
- 7-Zip File Managerを起動
- メニューから「ツール」→「ベンチマーク」を選択
- 自動で計測が始まるので,[停止]ボタンを押して計測を止める
- 辞書サイズのリストボックスから「64MB」を選ぶ。自動でテストが再開する
- テスト回数が5回になったら,総合評価欄右端のMIPS値をスコアとして記録する
GPU&CPU消費電力検証
PCまたはテスト環境全体の消費電力測定には,バージョン22までと同様にログの取得可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を使ってシステム全体の消費電力を記録し,各アプリケーションベンチマーク実行時の最大値をスコアとして採用していく。システム全体の消費電力は,テスト対象のGPUやCPUを搭載したPCそのものにおける消費電力の目安を知ることができるという意味で価値あるデータだ。より優れた計測用ツールが登場するまでは,今後もWatts up? PROを使い続けることになるだろう。
とはいえ,Watts up? PROで計測した消費電力値は,グラフィックスカード単体,あるいはCPU単体の消費電力値ではない。記事でテスト対象となる「主役」がグラフィックスカード(以下,便宜的にGPUと表記)やCPUである場合,Watts up? PROによる計測結果だけでは,対象の消費電力を間接的に窺うことしかできないわけだ。
そこで4Gamerでは,可能な限りGPUもしくはCPUそのものに近いスコアを計測するために,独自の計測手法を用意した。以下では,その電力計測方法を説明しよう。
■GPU消費電力計測
ミドルクラス市場もしくはそれより上の市場をターゲットとするGPUは,PCI Express(以下,PCIe)補助電源により電力を賄っている。ただし,PCIeカードスロット経由でもPCIe Gen.3のx16カードの場合,最大75.9Wの電力供給を受けられる仕様なので,そちらの電力も無視するわけにはいかない。また,エントリークラス以下のGPUだとPCIe補助電源コネクタを持たないことのほうが多かったりもする。
そこで4Gamerで用意したのが,オリジナルの計測ツール「4Gamer GPU Power Checker Version 1.1」である。その制作と仕組みについては,レギュレーション22.1で詳しく紹介しているので,興味のある人はそちらを参照してほしい。
簡単にまとめておくと,PCIeリンクの+3.3Vと+12V,そしてPCIe拡張電源の+12Vそれぞれの電源ラインにストロベリーリナックスが販売している電流計測モジュールINA226isoシリーズを入れて,各電源の電流および電圧を測定し,そのデータからGPUの生の総合消費電力を調べるというものだ。
■CPU消費電力計測方法
CPUの消費電力については,レギュレーション22.1で導入した三和電気計器(以下,三和)製のクランプ式電流センサー「CL33DC」と,同社製のデジタルマルチメーター「PC20」を組み合わせて,マザーボード経由でCPUに電力を供給するEPS12Vの電流値を計測する方法を継続して使用する。計測機器と取得するデータの見方について詳しく知りたい人は,レギュレーション22.1を参照してほしい。
CL33DC |
PC20 |
掲載してあるテスト方法は誤りを含んでいる場合があり,予告なく修正されることがあります。また,リプレイデータを公開する場合,それは,4Gamerの読者が実際にベンチマークテストを行うに当たっての利便性を図るためだけに提供されるものですが,出典を明示し,かつ4Gamerへのリンクを明示的に張る場合に限り,商用/非商用媒体で利用できるものとします。
なお,本稿で紹介しているテスト方法やテスト機材を利用した結果,OSあるいはPC本体,その周辺機器などといったハードウェアに不具合が生じても,筆者および4Gamer編集部,Aetas株式会社は一切その責任を負いません。
- 関連タイトル:
ベンチマーク
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