インタビュー
[TGS 2016]LogitechがSaitekをMad Catzから買収。担当者にその意図を聞く
買収に関するニュースリリースのなかで,ゲーマー向け製品ブランド「Logitech G」(日本では「Logicool G」)を率いるUjesh Desai(ユージャッシュ・デサイ)氏は,「G29やG920といったステアリングホイールのような,シミュレータ系製品において,Saitekが持つ製品群はLogitech Gのラインナップを補完してくれるだろう」と述べている。
また,Mad Catz Interactiveのリリースによると,航空宇宙および農業シミュレータ用周辺機器デバイスの研究開発に携わる8名のスタッフはLogitechへ移籍することになる一方,2007年のSaitek買収以降,Mad Catzブランドのマウスやキーボードを開発してきたスタッフは,資産売却後もMad Catzに残るとのことだ。
Logitech Gに聞く「Saitek買収の理由と今後」
Logitechでゲーム製品のテクニカルマーケティングマネージャーを務めるAndrew Coonrad(アンドリュー・クーンラッド)氏が,東京ゲームショウ2016のために来日していたので,4Gamerではこれ幸いと,氏に買収のポイントを直撃してきた。以下,その結果をお伝えしたい。
4Gamer:
単刀直入にお聞きしますが,なぜSaitekを買収したのでしょうか。
Andrew Coonrad氏:
第一に,Saitek自体がとても魅力的であったことと,Saitek製品のファンもまた魅力的であるということが挙げられます。
ほかに,今後のLogitech G/Logicool Gがゲーマー向け製品市場においてVR関連製品を展開すると考えるうえで,シミュレータ用製品で実績のある彼らの技術が,私達の製品ポートフォリオを補完してくれるであろうことも,大きな理由の1つです。
4Gamer:
Saitekは,何と言ってもフライトシミュレータ用のマニアックなコントローラが有名ですが,リリースではステアリングコントローラに関する言及もありました。Saitekの技術全般について,どういう評価をしていますか。
Andrew Coonrad氏:
そうですね,たとえばVRに関して言えば,Saitekはすでに,VRコミュニティを持っていて,技術も持っています(※)。そんなSaitekを迎え入れることで,私達は一気に,VRゲーム用周辺機器の市場,そしてVRコミュニティの中へ入っていけるわけです。
私達がこれから力を入れようと考えている分野に対する技術を持っているのですから,当然,高い評価をしているということになります。
※Saitekは,「Pro Flight X-56 Rhino H.O.T.A.S. System for PC」という宇宙空間フライトシミュレータ用コントローラで,VR対応ヘッドマウントディスプレイを装着していてもボタンを押し分けられるよう,ボタン形状を変更したり,“誤爆”を避けるべく距離を離したりといった対応をすでに行っている。
Saitekの技術を相当に買っているということですね。
一方で気になるのは,SaitekというブランドをLogitechがどう扱うのかです。Saitekといえば,非常にハイエンドでニッチなフライトシミュレータ用周辺機器のメーカーとしてよく知られていますが,これは専用ソフトも必要であり,少なくとも現時点におけるLogitech G/Logicool Gとは目指している方向が違うというか,1つのブランドにマージするのは相当に困難ではないかとも思います。
今後Logitech GはSaitekを吸収するのでしょうか。それとも,Logitech G傘下のブランドとしてSaitekを残すのでしょうか。
Andrew Coonrad氏:
今回の発表はあくまで「買収した」というものであり,ブランドを統合するのか別々にするのか。設定ソフトを統合するのか別々のままにするのかといったことは,発表内容に含まれていないのです。いい質問ですが,直接の回答はできません。
ただ,1つお話できることとしては……Saitekはすでに素晴らしいコミュニティ(≒熱心なユーザー)を持っていますよね?
4Gamer:
ええ。
Andrew Coonrad氏:
その人達に対して,何か妥協を強いるとか,持っている何かを傷つけるとかいったことは,決してありません。
Logitechとロジクールは,Saitekの持っているコミュニティとの関係を,さらによくしていきたいと考えていますし,それをやっていかねばならないと考えています。なので,何をするにしても,それはSaitekのファンにもっと喜んでもらえることになるはずです。
4Gamer:
その一言で,相当数のSaitekファンが安堵すると思います。ありがとうございました。
Saitek公式Webサイト(英語)
4GamerのTGS 2016特設ページ
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