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[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
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印刷2012/03/09 21:46

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[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション

 GDC 2012の4日めにあたる北米時間3月8日,「PlayStation Vita, Developing for a New Handheld Console」(新しいモバイルゲーム機であるPlayStation Vitaに向けた開発)と題するセッションが開催された。

Diarmid Campbell氏(ComputerVision Reserach Group, SCE London Studio)
画像集#002のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
 欧米市場においてはPlayStatoion Vita(以下,PS Vita)自体が2月に発売されたばかりということもあり,Sony Computer Entertainment(以下,SCE)America主催となる本セッションの内容は,「PS Vitaの特徴をまとめつつ,開発事例の紹介やデモを行う」という“柔らかめ”なもの。200名強の座席がある室内は満席にならず,セッション全体も基本的にはたんたんと進んでいった。

 「発売されたばかりのゲーム機に関するセッションが満席にならない」あたり,北米市場においてPS Vitaの置かれている状況を示しているような気もするのだが,話はここから。SCE London StudioのDiarmid Campbell氏が登壇し,マーカーレスAR(AR:Augmented Reality,拡張現実)の話を始めると,場の空気ががらりと変わったのだ。今回はその部分をピックアップしてお届けしてみたい。


欧米の開発者が食いついた

マーカーレスAR


 セッションにゲストとして招かれたCampbell氏はまず,「WAAR」(Wide Area AR,ワイドエリアAR)の紹介から始めている。これはTGS 2011のときにも解説された技術だが(関連記事),誤解を恐れず簡単にまとめるなら,「事前にARマーカーの認識を済ませておくと,ARマーカーが画面から消えた状態でも,マーカーに対応したキャラクターやオブジェクトが消えない」というものである。
 ARカードに対応したタイトルとしては,日本でもすでに「リアリティーファイター」が存在しているが,欧米市場向けPS Vitaには標準でARカードが付属しており,WAARを利用した無料タイトルが標準で3本用意されているという。対応ゲームパック第2弾も開発中とのことだった。

ARカードを使ったWAAR対応ゲーム「Fireworks」「Table Football」「Cliff Diving」は欧米市場向けPS Vitaに無料で付属するとのこと。日本市場でもローンチ予定だそうだ
画像集#003のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション

 そして本題。主役となるのが,マーカーレスAR用のミドルウェア「Magnet」である。
 マーカーレスARもやはりTGS 2011のときに紹介されていたが,今回のMagnetは,その実用版に位置づけられるものという認識でよさそうだ。

カメラに写る台所のコンロと壁に,3Dのキューブを表示させた例。「現実世界に3Dをくっつけられる」からMagnetなのだろう
画像集#004のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
 Magnetの仕組みは以下のとおりスライドで示されたが,TGS 2011の時点で発表されたものと内容は基本的に変わっていない。「カメラの移動と,カメラ映像の中にある特徴的な点の関係から測量で距離を割り出し,カメラに映っている現実世界の3D座標をPS Vita内で創出。その結果を基に,3Dキャラクターなどを現実世界にはめ込む」という流れである。

Magnetの仕組みを示したスライド。カメラに映っている風景の中から特徴的な点を探し出す(上)。上のスライドで左の写真にある多数のドットがそれだ。そのうえで,カメラの移動と点の角度の関係から点までの距離を計算し(下),カメラに映っている世界を3Dグラフィックスで合成する
画像集#005のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
画像集#006のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション

 Magnetは屋内に限らず,屋外の映像にもARで3Dオブジェクを配置できる。屋外の敷石に穴が開いてドラゴンが飛び出してくるデモ映像や,テーブルの上に置かれた新聞とテーブルクロスが突然ぐにゃぐにゃと波打つというデモ映像が披露されると,それまで静かだった会場から「Cool!」という声と拍手が起こった点は強調しておきたいと思う。

画像集#007のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
屋外の敷石に穴が空き,ドラゴンが飛び出してくるというゲーム風のデモ。穴の奥は地獄,あるいは火山口っぽい絵になっていた
画像集#008のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション
テーブルクロスと新聞が突然波打つデモ。これらMagnetのデモ映像が紹介されると,会場は沸いた

 さらにCampbell氏は,会場内でのライブデモも実演。机の上にアヒルを並べる様子をその場で見せ,大いに受けていた。

Campbell氏が会場内でMagnetのライブデモを実演。来場者は大いに盛り上がっていた
画像集#009のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション 画像集#010のサムネイル/[GDC 2012]マーカーレスAR「Magnet」のデモに欧米開発者が食いついたPS Vita紹介セッション

 ARは見た目のインパクトが大きい割に,ゲームとうまく融合させた例はほとんどないのだが,ARマーカー不要なMagnetがARの起爆剤,そしてPS Vitaの起爆剤になるかもしれないと思うほど,マーカーレスARは大好評だった。
 Campbell氏は「SDKの提供も可能なので,興味がある人はSCEに連絡を!」と締めていたが,Magnetを用いたタイトルがそう遠くない将来に登場する可能性はあると言っていいのではなかろうか。

PlayStation公式Webサイト

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