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[GC 2007#011]あのクライブ・バーカー氏が挑むFPS,「Clive Barker\'s Jericho」がプレイアブル展示
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印刷2007/08/23 14:04

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[GC 2007#011]あのクライブ・バーカー氏が挑むFPS,「Clive Barker's Jericho」がプレイアブル展示

 「Clive Barker's Jericho」(以下,Jericho)は,イギリスの有名なホラー/ファンタジー作家,クライブ・バーカー氏が監修したホラーFPSだ。1980年代半ばにデビューしたバーカー氏は,現在までに20冊以上の小説を上梓しているほか,映像分野にも積極的で,1987年にはカルト作品として知られるホラー映画,「ヘルレイザー」の脚本/監督も務めるなど,小説にとどまらないマルチタレントぶりだ。
 とはいえ,ゲームジャンルへの進出はあまりうまくいっていない。2001年にElectronic Artsから「Clive Barker's Undying 」(邦題 クライブ・バーカーズ・アンダイイング 完全日本語版)をリリースするが,ゲーム自体の評価は悪くなかったものの商業的に成功せず,次回作として予定されていた「Clive Barker's Demonik」もいろいろな理由で結局キャンセルされてしまう。
 そんなバーカー氏の三度目のチャレンジとなるJerichoの制作発表は,2006年7月,E3(Electronic Entertainment Expo)などの大きなイベントとは無関係にCodemastersの公式サイトで普通に行われた。うっかりすると見過ごしてしまいそうな小さな記事で,妙な勘ぐりをあえてすれば,パブリッシャであるCodemastersも,過去あまりいい成績を残せなかった「バーカー氏のゲーム」に対して自信がなかったのかもしれない。
 ちなみにデベロッパは,スペインのマドリードにあるMercury Steam Entertainmentで,これまでアクションアドベンチャー「Scrapland」(邦題 スクラップランド)を制作している。

悽愴な美しさを持つJerichoのスクリーンショット。中にはかなりグロいものもあるので,その手のものが苦手という人は注意してほしい。うーん,夢に見そう


クライブ・バーカー氏
 ライプチヒ・メッセの第4ホールで展示されていたJerichoは,そんな地味な初登場がウソのような気がしてくるほど巨大なポップが用意され,この秋の一押しタイトルの一つとして大きくプッシュされていたのだ。ここへきて,プレイムービーや紹介ムービーも数多く公開されており,制作も後半にさしかかった今,パブリッシャ,デベロッパとも手応えを感じているのだろう。たしかに,そんなポテンシャルを感じさせるタイトルである。
 ただし,会場に展示されていたJerichoはすべてXbox 360用で,PC版の展示がなかったことがちょっと残念。また,取材班がCodemastersのブースを訪れたのがプレスデイの終了間際ということもあって,やや閑散としていたのも寂しかったかな。

 物語の舞台となるのは,中近東の現代的な都市Al Khaliだ。住民も知らないことだが,この街はいくつかの文明の廃墟の上に築かれており,その最下層で邪悪な存在が目を覚ましたのである。突然,街との連絡が途絶え,通信の試みがすべて失敗した政府は事態を重く見,とっておきの特殊部隊“Jericho”チームを送り込む……というのが基本のストーリーだ。こうした超常現象を相手にするため編成されたJerichoチームは,各メンバーがClairvoyance(透視)やExorcism(悪魔祓い)といった特殊能力を持っているのである。
 7人の隊員の名前と能力は次のとおりだ。

・Capt. Devin Ross:Jerichoの隊長で,サイキック能力を持つ。
・Father Paul Rawlings:2丁拳銃を扱う司祭で,悪魔払い。
・Sgt. Frank Delgado:ファイアデーモンを操り,炎の術に長けている。
・Lt. Abigail Black:チームの狙撃手で,念動力で弾道を自由に変えられる。
・Sgt. Billie Church:自らの血を使ってさまざまな魔法をかける魔術師。
・Cpt. Xavier Jones:幽体離脱を使って偵察をする予言者。
・Cpl. Simone Cole:チームのハッカーで,現実を変化させる力で物資や隊員をテレポートさせる。



 プレイヤーは通常兵器のほかにこうした特殊能力を持った隊員を状況に応じて適宜使い分け,ゲームを進めていく。操作するキャラクターはいつでも変更可能で,プレイヤーが担当していない隊員はAIによって自動的にコントロールされる。ほかの隊員に直接命令を下すことはできないようだ。
 デモをプレイする限り,AI操作の仲間の行動は自然で,一人で飛び出して敵の餌食になるとか,移動パスが見つけられなくて立ち往生してしまうといった,ありがちな症状はほとんど見られなかった。
 特徴的なのは,二人の隊員の特殊能力を結合して一つにできることである。例えば,BlackとJonesの能力を一緒にすれば,Jonesの幽体離脱能力によってこちらから見えない位置にいる敵を発見し,Blackの弾丸を曲げられる念動力によってそいつに正確に命中させられるといった具合だ。こうした能力の結合は,プレイヤーがそのキャラクターを操作している限り続き,プレイヤーが違うキャラクターに移った時点で自動的に解消される。
 このシステム(Threadingと呼ばれる)は,単純にプレイヤーキャラクターを変更する以上に,さまざまな戦略を考える楽しさを与えてくれるはずだ。
 Jerichoチームのメンバーは,拳銃に始まりマシンガン,そして強力なチェーンガンなど現実に存在する各種の武器を使いこなすが,ゲームが進むにつれ,つまり舞台が地下深くになっていくにつれて,通常火器の通用しない相手が登場してくる。



 Al Khaliの地下には,「第二次世界大戦」「十字軍」「ローマ時代」そして「古代」の廃墟が重なっており,それにちなんだ(というのも変だが)モンスターが順に出現してくるのだ。もちろん,クライブ・バーカー氏の小説や映画を思わせる,イマジネーション豊かでグロテスクな相手ばかり。うーん,夢に見そう。プレイアブルデモの舞台となっていた地下はかなり暗く,その中からこうした醜悪な敵が襲ってくるのはかなりショッキングだ。プレイしたのがXbox 360版だったのでPCのグラフィックスとは比べにくいが,闇の中で行われる銃撃戦はなかなか美しく,モンスターのとんでもない造形や,特殊能力を発揮するときのエフェクトなどとも相まって,独自の映像世界を作り上げているのだ。

 闇の奥で目覚めた邪悪な存在を目指してチームは地下深くへ進み,敵はますます凶悪になっていく。ときには仲間がモンスターの犠牲になることもあるだろう。もし仲間が倒された場合,司祭のRawlingsか隊長のRossが彼もしくは彼女を復活できる。Rossは倒れた仲間に十分接近しなければならず,またRawlingsは魔法をかけるため相手が視界に入っていなければならないなどの制約があるが,Jerichoチームは「傷ついた仲間を残さない」が決まりであり,もし助けられなければゲームオーバーになってしまう。
 公式サイトで公開されているティザームービーでは,戦闘中,エキセントリックな髪型をしたBlackがゾンビの刃で胸を貫かれるといったシーンが登場し,ちょっと気になる女性隊員だっただけに惜しいなあ,と思ったものだが,そういう理由で彼女は無事だったようだ。

 このように,さまざまな特徴を持ったJerichoは,PCおよびXbox 360,Playstation 3で2007年秋の発売が予定されている。「Crysis」や「Call of Duty 4」「BioShock」など,激戦区となった2007年のFPSシーン。クライブ・バーカー氏の三度目の挑戦であるJerichoがどこまで健闘するかも含め,発売が楽しみなタイトルだ。(松本隆一)






  • 関連タイトル:

    Clive Barker's Jericho

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Clive Barker's Jericho UK
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