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インテル,メディア向け説明会を開催してWiMAXへの取り組みをアピール。さらにWiMAXの普及を推進する大々的なキャンペーンを実施と発表
WiMAXに対する「気づき」を与えるキャンペーンを実施
宗像氏は,2020年までに約310億台のデバイス――PCだけでなく,スマートフォンやテレビ,タブレット端末など――がインターネットに接続されるという同社の予測を披露し,このようにインターネットに接続するデバイスが急速に増加する状況下でCompute Continuumを実現するためには,ネットワークのインフラ整備が欠かせないと強調した。
さまざまなデバイスがネットにつながる社会では「ワイヤレスブロードバンドが広がっていくはずで,その中でもUQコミュニケーションズのネットワークは世界最速だと考えている」と宗像氏。
IntelがWiMAXを推進するのは,Compute Continuumの実現に欠かせないからというわけだが,その一方,2010年8月31日にIntelがInfineonのワイヤレス部門を買収(関連記事)したことから,今後はLTE(Long Term Evolution)に力を入れ,WiMAXの取り込みを後退させるのではないかと考えた読者もいるかもしれない。
記者発表会の質疑応答でももちろん,この話題が出たのだが,宗像氏は「いま現在モバイルブロードバンドとして使えるソリューションはWiMAXと考えている。インテルは(LTEを含め)世界標準の技術をサポートしていくが,同時に,今使える最新のテクノロジーを推していきたい」と述べていた。
事実,WiMAX搭載のPCは確実に増え続けており,「2010年11月の段階で,WiMAXを標準で搭載したPCは10メーカー,46機種にのぼっている。世界各国のWiMAXインフラも広がり続けており,年末には世界中で約8億人がサービスを受られるようになる」と宗像氏は強調した。
さらに,2010年10月に開催されたCEATEC JAPAN 2010でデモが披露されたIEEE802.16m(通称WiMAX2)についても触れ,「IEEE802.16mはスペック上,300Mbps以上の速度が出せる。IEEEにも第4世代(4G)の通信方式として認定されており,こうした技術も手の届く場所にあり,WiMAXを中心にワイヤレスブロードバンド世界が広がっていくだろう」と,WiMAXの将来にも自信を見せていた。
日本だけでなく世界中でWiMAXが拡大しており,2010年末には8億人以上がWiMAXを利用できるようになるという |
CEATEC JAPAN 2010でデモが披露されたIEEE802.16m,通称WiMAX2の概要。最大300Mbpsという高速通信が可能だ |
これについては,同社のマーケティング本部本部長,山本 専氏から具体的な内容やスケジュールが説明されたのだが,簡単に言うと,東京都内のビジネスマンを対象に,通勤時や昼食時,帰宅時など,さまざまな時間帯,さまざまな場所でWiMAXの利用をアピールすることによって,「(WiMAXへの)気づきを与える」ことを狙ったもの。
11月から12月にかけて電車の吊り広告の実施,WiMAX搭載PCの広告が入ったランチボックスの販売,WiMAX搭載PCを展示するショーウインドウの設置などを行うと同時に,都内2か所で実際にWiMAX対応機器に触れられるイベントを開催する予定だ。
速度と価格に自信を見せるUQコミュニケーションズ
発表会では,ゲストスピーカーとしてUQコミュニケーションズの代表取締役社長である野坂章雄氏が招かれており,登壇した氏は「2011年3月までに1万5000局を開局する」と,サービスエリアの順調の拡大をアピールした。
冒頭でも述べたように,11月に入りNTTドコモ,そしてソフトバンクモバイルが続けて高速データ通信サービスの開始をアナウンスしたが,それに対しても「今の段階では(UQコミュニケーションズのサービスが)最速で最安価である」と野坂氏は自信を見せ「将来的には料金の変更もあり得る」と,価格競争についても言及した点が注目できる。
また,KDDI(au)から3GとWiMAXの双方に対応できるデータ通信カードが発売されていることも挙げて,エリア,速度,価格,いずれの面でもUQコミュニケーションズのサービスが先行していると強調した。
次世代の通信方式を採用することから,NTTドコモのLTEサービス「Xi」(クロッシィ)に注目している読者も多いとは思うが,野坂氏が主張するように,現時点における速度や価格ではWiMAX勢に軍配が上がりそうだ。さまざまなサービスが立ち上がり,競争を繰り広げるのは,我々エンドユーザーにとって大きなメリットである。
高速モバイル通信の分野から,しばらく目が離せそうにない。
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