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NVIDIAが「DirectX 12 Ultimate」の概要とGeForce RTXでの対応を明らかに。Windows 10の次期大型アップデートで導入
DirectXは,Microsoftのゲーム開発用APIセットであるが,その最新版に関する情報を,開発元ではなくNVIDIAが説明するというのは珍しい。それは,Microsoftの次世代ゲーム機である「Xbox Series X」も対応するという最新のDirectX拡張を,GeForce RTXシリーズがフルサポートすることを示すためであるという。発表の概要を簡単にレポートしよう。
Microsoftはかねてから,DirectX 12の強化を続けている。たとえば,2019年にリリースとなったWindows 10の大型アップデートである「Windows 10 May 2019 Update」(19H1)では,DirectX 12で「Variable Rate Shading」を実装した。また,2020年春リリース予定の次期大型アップデートとなる「Windows 10 20H1」では,リアルタイムレイトレーシング技術「DirectX Raytracing」の次期バージョンとなる「DirectX Raytracing 1.1」(以下,DXR 1.1)をサポートすることを明らかにしている。そしてこれらの拡張は,すべてXbox Series Xでも対応する予定だ。
そんなDirectX 12 Ultimateで追加となる拡張機能は,上述した機能も含む4種類である。NVIDIAは,4つの拡張をフルにサポートして,DirectX 12 Ultimateに対応していくというのが今回の発表というわけだ。
なぜNVIDIAが,わざわざDirectXの次期拡張に対応するなどと,当たり前に思えることをアピールするのかと言えば,ここにもXbox Series Xが絡んでいる。
4Gamer読者ならご承知のとおり,Xbox Series Xは,RDNA 2ベースのAMD製カスタムGPUを採用する予定だ。AMDプラットフォームの次世代ゲーム機で採用となる機能を,NVIDIAがアピールするということに,違和感を持つ人もいるかもしれない。
だが,NVIDIAによると,Xbox Series Xや,やはりAMDプラットフォームの次世代ゲーム機である「PlayStation 5」が,いずれもリアルタイムレイトレーシング技術に対応することは,NVIDIAにとっても大きな前進であると考えているそうだ。PCを含めて主要なゲームプラットフォームがリアルタイムレイトレーシングに対応することで,その普及が加速するからである。
そのうえで,「今後は次世代ゲーム機のリアルタイムレイトレーシングが,ゲームにおけるベースの性能となるので,GeForce RTXシリーズは,ゲーム機以上の性能を提供可能なプラットフォームに位置づけられていくだろう」ということだった。
実際,DirectX 12 Ultimateを構成するDXR 1.1やVariable Rate Shadingなどは,MicrosoftとNVIDIAが共同で開発してきた技術だ。Xbox Series Xの登場によって,NVIDIAが開発した技術がゲーム機にも進出するとも言えよう。そのため,自社のGPUがDirectX 12 Ultimateに対応することは,NVIDIAとしても大いにアピールしていきたいのであろう。
Microsoftの開発者向けDirectX公式Blog(英語)
NVIDIAのGeForce公式Webページ(英語)
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