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「Alliance of Valiant Arms」日本代表のDeToNatorと,ボクシング世界チャンピオンの佐藤洋太選手の座談会が実現。世界の頂点を目指す心構えとは
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印刷2013/04/26 12:00

インタビュー

「Alliance of Valiant Arms」日本代表のDeToNatorと,ボクシング世界チャンピオンの佐藤洋太選手の座談会が実現。世界の頂点を目指す心構えとは

戦術の引き出しを増やすために,さまざまな経験をしたほうがいい


MaxJAM選手:
 僕は今,38歳なんです。AVAを始めたのは33歳のときだったんですが,やはり10〜20代のプレイヤーと比較すると,身体能力的に不利だと思うことがあります。佐藤選手は今,29歳になって,若かった頃と変わったと感じることはありますか。

佐藤選手:
 何もないですね。今が一番いいと感じています。ボクシングは殴られるスポーツなので,長年やってダメージが蓄積すると反応速度が落ちたり,身体の切れが悪くなったりするということも聞きます。ですが僕はアウトボクサーで,ディフェンス主体のスタイルなので,あまり殴られないんです。だからいいのかもしれませんね。

井上氏:
 でもそうやって,ベストの状態の佐藤選手とスパーリングできるのは,前川選手にとってもいい経験ですよね。

前川選手:
 はい,楽しいです。

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佐藤選手:
 あと僕は,ボクシング以外で,趣味としてスケートボードをやっているんですが,スケボーも今が一番うまいですね。

Darkよっぴー選手:
 ひょっとしてスケボーの大会とかにも参加しているんですか。

佐藤選手:
 いえ。本当に趣味で,好きでやっています。だから,やる気がしないときは,練習にいってもスケボー仲間とただしゃべっているだけなんてこともあります。ボクシングだと,ジムに来たらやっぱり練習しますからね。スケボーでは,そういう自由も楽しんでいます。

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Darkよっぴー選手:
 佐藤選手にとって,スケボーの魅力は何でしょうか。

佐藤選手:
 ボクシングと同じで,自分と向き合うところですね。たとえば,40歳前後のスケボー仲間は,もうド派手なアクションはしなくなっていますけれども,年齢なりの技を見つけて楽しんでいます。年齢を重ねると,小狡くなるというか,技数を増やしたりできるようになりますしね。
 これはボクシングでも同じです。今,僕は,肉体的な部分と,そういった小狡さのバランスが取れている感じがします。まあ,1年後,2年後,ひょっとしたら5年後にも同じことを言っているかもしれませんけれど。

井上氏:
 なるほど。AVAのようなゲームだと,10代後半のやり込んでいるプレイヤーは0.15秒くらいの反応速度を出せるのですが,20代になると0.18秒を切るのが難しくなり,30代になると0.2秒以上になってしまうんです。

佐藤選手:
 AVAでは,たとえば反応速度が0.2秒を切れないプレイヤーが集まっても,連携でカバーできるものなんですか。

Darkよっぴー選手:
 できますね,ポジション取りの巧みさで勝敗が分かれることも普通にあります。それこそ佐藤選手のおっしゃるような,小狡さも重要ですね。

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MaxJAM選手:
 僕はもう一線を退いていますが,現役のDeToNatorの選手とたまにタイマンをやっても勝てますからね。もちろん負けることもありますが,負けっぱなしということはないです。それは,どう立ち回ればいいのか熟知していたり,まさに小狡さがあったりするからでしょう。ただ,集中力は落ちました。昔は1時間続けられたことが,今は10分やったら休憩を入れないとダメになっていますね。

佐藤選手:
 では,戦術とかは全然分からないけれど,神の領域とも言える反応速度でバンバン相手を倒すプレイヤーはいるのでしょうか。

MaxJAM選手:
 ああ,中学生とか若いプレイヤーに多いですね。ただ,戦術や連携,立ち回りが分からないと,なかなか試合には勝てません。

佐藤選手:
 ボクシングだと,龍斗がそういうタイプなんですよ。戦う能力は超高いのに(笑)。ただ龍斗も,これから人生経験を積むことで,ボクシングに幅が出てくると思います。たぶん,20歳になったら,もっと駆け引きができるようになって,試合運びもガラッと変わるでしょう。それはゲームでも変わらないのではないでしょうか。

井上氏:
 確かにそのとおりです。

佐藤選手:
 僕は,ボクサーももっといろんな経験を積むべきだと思っています。ボクサーというと,ストイックにトレーニングばかりしているイメージがありますが,それだと引き出しも少なくなってしまうでしょう。

井上氏:
 僕ら運営チームも,選手達と話す機会があると,よく「プレイの引き出しを増やしてほしい」と伝えています。長い時間対戦する中では,同じ戦術を繰り返していると,必ず対策を取られてしまいますから。
 僕らが今,国際大会に積極的に参加したり,国際試合を頻繁に開催したりするのも,さまざまな国の代表と戦うことで,日本の選手達の引き出しを多くしたいからなんですよ。日本国内だけで戦っていたのでは,いつの間にか,国内でしか通用しないローカルルールや,暗黙のしきたりができてしまいますから。

佐藤選手:
 日本人は真面目ですからね。どうしてもセオリーを作って,それを大事にしてしまいがちです。それでは対応されやすくなってしまいますから,もっといろんなものを取り入れていいと思いますし,そういう意味では,AVAで国際的な展開をしているのはいいことですよ。

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井上氏:
 ちなみに,お二人には海外修行の経験はあるんですか。

佐藤選手:
 僕は,まったくないです。

前川選手:
 僕はタイとフィリピンで試合をしました。

佐藤選手:
 日本では17歳にならないとプロになれないので,龍斗は15歳のとき,タイでプロデビューしたんですよ。タイでは3戦3勝,フィリピンで1戦1勝です

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生活のサイクルの中で,トレーニングと仕事/遊びのメリハリを付ける


Darkよっぴー選手:
 それでは,トレーニングについても教えてください。佐藤選手は仕事を続けているということですけれども,ボクシングのトレーニングとの時間配分はどうなっていますか。

佐藤選手:
 そもそもジムが開くのが午後ですし,昼間の仕事を持っているプロボクサーは夜に来ますから,僕もそれに合わせて夕方から練習をしています。逆に,夜働いて昼練習する人もいますが,僕は人間としての生活のリズムを考えて,今のスタイルにしています。

Darkよっぴー選手:
 差し支えなければ,どんなお仕事をしているのか教えてください。

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佐藤選手:
 18歳のときからずっとガソリンスタンドで働いています。ガソリンスタンドで7:00から働いて17:00にあがり,それからジムで練習というサイクルを続けています。まあ,今はチャンピオンになったので,生意気にも12:00で仕事を上がらせてもらっていますけれど(笑)。

井上氏:
 朝から働くというところは変えないんですか。

佐藤選手:
 7:00に出勤するために,6:00に起きるのがいいんですよ。それが一つの戒めになって,生活のリズムが生まれるんです。そういう戒めがないと,人間ってどうしてもダラダラしてしまいますからね。朝から仕事があると,夜更かしとかもしなくなりますし。

MaxJAM選手:
 ジムでの練習は,毎日やるんですか。

佐藤選手:
 ええ,ジムの定休日となる日曜日以外は基本的に毎日来ます。ただ,疲れが溜まっているときは休みます。

Darkよっぴー選手:
 1日,どれくらい練習するんですか。

佐藤選手:
 僕は短期集中型なので,短いですよ。僕のジムでの練習は,一般的なイメージとは比較にならないくらい短いです。僕はほぼスパーリングしかしないんですよ。

MaxJAM選手:
 ロードワークはしないんですか。

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佐藤選手:
 ああ,それはジムとは別にきちんとやっていますよ。ボクサーと言うと,早朝に走るイメージがあるかもしれませんが,僕は仕事があるので夜に走っています。
 ともあれ,ボクシングはハードなスポーツですから,一度に長時間練習するとバテてしまうんです。1ラウンド3分で8ラウンドをキッチリやったら,それだけで結構キツいんですよね。そのあとミットを打ったりして,僕はだいたい1日1時間という感じです。

前川選手:
 僕は1時間半くらいです。

佐藤選手:
 1時間半から2時間くらいが普通だと思いますよ。僕はもう,ベテランの域に入っていますから,より短い時間で実のある練習をするようにしています。

Darkよっぴー選手:
 短時間のほうが,効率的に練習できるということでしょうか。

佐藤選手:
 それもありますが,カロリー消費の問題もあるんです。世界戦に合わせて12ラウンドのスパーリングをすると,僕の場合は体重が2.5〜2.8キロ落ちるんですよ。たった36分で,3キロ近く落ちるくらい体力を消耗するわけですから,長くやっても疲れるだけなんです。それに怪我をする可能性も高まりますし。

MaxJAM選手:
 なるほど。そうやって時間を決めて仕事と練習をして,残りの時間は何をやっているんですか。

佐藤選手:
 自分の好きなことをやります。まあ好きなことと言っても,僕はスケボーしかないんですけどね(笑)。スケボーがなかったら,何をやっていいか分からないくらいですよ。

MaxJAM選手:
 ぜひAVAをやってみてください。まあ,プロデューサーの井上さんがいる前で,僕が言うのもなんですが(笑)。
画像集#020のサムネイル/「Alliance of Valiant Arms」日本代表のDeToNatorと,ボクシング世界チャンピオンの佐藤洋太選手の座談会が実現。世界の頂点を目指す心構えとは

井上氏:
 ちなみに前川選手は,何かお仕事をしているんですか。

前川選手:
 ジムで,PCにデータを入力する仕事をしています。

井上氏:
 時間は,毎日決まっているんですか?

前川選手:
 12:00からです。

井上氏:
 と言うと,毎日3:00までAVAで遊んで,12:00に出勤,そして夕方以降に練習,帰宅してまたAVA……というサイクルができているわけですね。

Darkよっぴー選手:
 DeToNatorでも,それぞれが仕事や学校から帰宅した22:00くらいから24:00くらいまで集まって練習をしていますから,そうやって決まったサイクルを作るという部分はお二人に似ていますね。

井上氏:
 ちなみにスパーリングの中で,各ラウンドごとに目標を決めたりするんですか。

佐藤選手:
 もちろん,考えますよ。1ラウンドめは積極的に,2ラウンドめはディフェンス重視,3ラウンドめはカウンター狙い……とか。試合前だとスタミナ重視の練習に切り替えたり。

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Darkよっぴー選手:
 なるほど。DeToNatorだと,2時間ずっと実戦形式の練習を続けることが多いのですが,たとえばある時期は連携重視,またある時期は個人の立ち回り重視,そして大会前に実戦重視といったような形にしてみるのもよさそうですね。

佐藤選手:
 ただ,ほかのジムの選手など,初対面の相手に対しては,スパーリングであっても全力で潰しにいきます。初対面の1発めというは,二度と訪れませんから,実践と同じつもりでやりますよ。本当は,毎日でも違う相手とスパーリングしたいくらいです。
 ゲームでもそうじゃないんですか? 毎日違う5人と戦ったほうが,おそらくプレイのスキルが向上しますよね。

Darkよっぴー選手:
 そうですね。その反面,同じ相手と戦うことで,前回ああだったから,今度はこうしようというように策を練ったり,事後に反省会をして次につなげることもできますから,どちらも重要ですね。

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プライドが自分を潰す。「自分は大した存在じゃない」と自覚して目標に向かった方がいい


MaxJAM選手:
 ちなみに佐藤選手は,たとえばトレーナーから新しい練習方法を提案されたとき,素直に受け入れますか。

佐藤選手:
 一旦受け入れますね。そのうえで自分の中で噛み砕いてみて,使えるようなら続けますし,そうでないならそこで終わりです。

井上氏:
 前川選手にアドバイスしたりしますか。

佐藤選手:
 しますよ。僕,言いたがりですから(笑)。

前川選手:
 そのアドバイスが参考になることもあり,そうでもないこともあり(笑)。

佐藤選手:
 ただ,プライドの高い人は,なかなか他人の提案を受けれられないみたいですね。それだと,自分で自分の伸びしろを潰してしまうと思うのですが。

MaxJAM選手:
 確かに僕自身の経験からも,プライドが高くて他人の意見を受け入れないプレイヤーは,一定のレベルを越えらないケースが多いです。DeToNatorは,日本のトップレベルというだけで,世界を見ればもっとすごいプレイヤーはいくらでもいます。だから,つまらないプライドは必要ないと常々選手達に言っています。

佐藤選手:
 プライドを持って何かに臨むという行為がカッコいいという風潮ってありますよね。でもそれは,譲れない部分はあっても,ほかのものを受け入れる余地があるからこそ,成立すると思うんです。
 ここで言うプライドが高くてほかの意見を聞かない人達っていうのは,ただ自分に酔っているだけなんですよ。

井上氏:
 AVAももう5年サービスを続けていますが,消滅してしまうクランや,引退してしまうプレイヤーを見ていると,何かに固執しているケースが非常に多いですね。

Darkよっぴー選手:
 大会で1回負けただけで,即解散するというクランも多いんです。

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佐藤選手:
 ボクシングも同じです。とくに,自分に期待しすぎる人は,1回負けただけですぐに辞めてしまうんですよ。
 僕自身もインターハイ3位という経歴を持っていましたから,プロデビュー戦では自分に期待していました。結果,負けてしまったわけですが,そこで「所詮,自分はこの程度」と自覚できたからこそ,這い上がれたと思うんですね。

MaxJAM選手:
 AVAの場合はチーム戦ですから,クランの中で「オレがこんなに頑張っているのに,何でアイツは……」みたいな感情が芽生えることもあるんですよね。勝ってるうちはそれでもいいんですが,いざ負けたときにそれが噴出して,解散してしまう。本来であれば,全員が負けた事実に直面し,どうすれば次に勝てるかみんなで考えるべきなのですが。

佐藤選手:
 ああ,チームは難しいですね……。これは受け売りなんですが,人間って集団になったとき,少人数であっても自分より下の存在を作りたがるらしいんですよ。だから5人集まれば,どうしても一人は嫌われ者が生まれてしまうんです。しかし,その嫌われ者を排除して4人になっても,その中からまた誰かが嫌われます。

MaxJAM選手:
 そうなんですよね。とは言え,僕のようなマネジメントの立場からすると,だからしょうがないと諦めるのではなく,何とかして5人の気持ちを一つにする方法を考えなければなりません。

佐藤選手:
 ボクシングは個人競技ですから,苦手な人がいたら近づかないようにすればいいんですけれどね。高校の部活では「アイツ嫌い」というようなことも確かにありましたが,こうやってプロが集まる場だと,そんなつまらないことに関わっているよりも,各自が次の試合に勝つことを考えますよ。
 でも団体戦であっても,選手それぞれが自覚して臨むことは重要だと思います。「アイツさえいなければ……」では,何も解決しませんから。

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井上氏:
 分かりました。それではせっかくの機会なので,前川選手に,AVAをプレイしてボクシングに役立ったことがあれば教えてほしいのですが。

前川選手:
 うーん,集中力が高まったと思います。毎日3〜4時間,集中してプレイしていますから。あとはちょっと視力が悪くなったかも(笑)。

 一同笑

井上氏:
 それでは最後に,Darkよっぴー選手はAVAの国際エキシビションマッチに向けて,佐藤選手はWBC世界Sフライ級チャンピオン防衛戦に向けて,それぞれ意気込みをお願いします。

Darkよっぴー選手:
 DeToNatorは長きにわたって活動していますが,団結という点ではまだまだ課題が残っています。5月3日のエキシビションマッチでは,それを可能な限り克服し,台湾代表へのリベンジを果たしたいと思います。

佐藤選手:
 今度の防衛戦はタイで戦います。実はタイは非常にアウェーな地で,世界戦の日本人選手の成績は,0勝16敗1引き分けなんですよ。そういう土地で世界チャンピオンを防衛し,「日本をなめるな」という姿勢をアピールしたいですね。ぜひ応援のほど,よろしくお願いします。DeToNatorの皆さんも,お互い頑張りましょう。


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 今回の対談でDetoNatorが得たものがあったのかどうかは,5月3日に開催される国際エキシビションマッチを観戦すれば確かめられるかもしれない。大会の様子は,Ustreamとニコニコ生放送でも配信されるので,詳しい観戦方法などは公式サイトで確認してほしい。

「Alliance of Valiant Arms」公式サイト


「Alliance of Valiant Arms International Championship 2013」公式サイト

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