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[AOGC2007#16]コーエー松原氏が思い描く,オンラインゲームの「向こう側」とは? オンラインゲーム市場の今と未来について
講演のアジェンダには,「国内コンソール機市場」「アジアのオンラインゲーム市場」「オンラインゲームのビジネスモデル」「これからのオンラインサービス」「コーエーのオンラインゲーム戦略」「未踏ソフトウェア事業について」という六つの項目が記されていた。
コーエーの執行役員であり,「信長の野望 Online」「大航海時代 Online」「真・三國無双BB」といったオンラインゲームのプロデュースを担当する松原氏が,広義でのオンラインゲーム市場の今と未来を語るということで,講演会場の受講席は,ほぼ満席という状況。一般受講者だけでなく,多くのパブリッシャ/デベロッパ関係者の注目を集めた講演であった。
一般メディアでもたびたび取り上げられてきた話題なので,すでに知っているという読者も多いだろうが,各ハードについての現状と可能性については,下のスライド写真をチェックしてほしい。
日本では販売台数の少ないXbox 360が,世界累計では1000万台以上のシェアを獲得していることや,苦戦を強いられているプレイステーション3は(複数のコアを組み合わせた)ヘテロ型マルチコアCPUが採用されているが,全世界で圧倒的な影響力を誇るIntelは,(同一のコアを組み合わせた)ホモ型マルチコアCPUを採用していることなどは,今後のオンラインゲーム業界を占ううえで,非常に大きな意味を持っていると言えよう。
松原氏も「店舗に並ぶ気力がわかない」ほどの人気を誇っているWiiについては,微弱な消費電力で持続的なインターネット接続を実現する「WiiConnect24」をはじめ,さまざまなオンライン機能/サービスを実装している点が,特筆に値するとしていた。「MMORPGも含めたオンラインゲームが乗りやすい環境」であるとの発言もあり,オンラインゲーム市場におけるWiiの完成度/可能性の高さが,あらためてアピールされた形となった。
続いての話題は,アジアのオンラインゲーム市場についてだった。松原氏は,大韓民国ゲーム白書のデータを引き合いに出し,韓国/中国の市場規模を解説しつつ,韓国のオンラインゲームトレンドの変化についてコメントした。
4Gamer読者にとっては周知のことだろうが,韓国のオンラインゲーム市場では,本格的なMMORPGの影響力が若干下がってきており,一方でカジュアルゲーム,アクションゲーム,FPSといったジャンルのオンラインゲームが台頭してきている。
そこで松原氏は,韓国最大のゲームショウ,G★でのエピソードを例に挙げ,「真・三國無双BBと非常によく似たタイトルを会場で見かけ,これは当社のコンテンツが,韓国市場のトレンドを補足しているのだという確信を抱き,一方で,競合が多いという意味での厳しさを感じました」と語り,一部受講者から微妙(?)な笑いを取っていた。
オンラインゲームにおけるビジネスモデルというのは,これまでB2C(ビジネス・トゥ・コンシューマー)/B2B2C(ビジネス・トゥ・ビジネス・トゥ・コンシューマー)という形が主流だったが,松原氏は新しいビジネスモデルの可能性として,ゲーム内広告をはじめとするB2B,顧客が制作したコンテンツ(User Generated Contents)を軸とするC2C/C2B2C,そしてパーソナライズド・エンジンを利用したB2Bを挙げている。
ここで注目したいのは,松原氏が「今回お話しする話題の中で,最大の妄想」と前置きした,パーソナライズド・エンジンである。これは,パブリッシャが保有する膨大な顧客データから,行動特性を抽出/数値モデル化し,コミュニティマッチングや,顧客に特化した広告ビジネスにつなげようという構想だ。
オンラインゲーム市場だけでなく,インターネット広告業界にも大きな影響を及ぼしそうな,パーソナライズド・エンジン構想。膨大な顧客データが関わる案件だけに,さまざまな課題をどうクリアし,どうスマートにサービスへと結びつけるかという部分で,メーカー側の手腕が問われそうではある。しかし,数々の国産オンラインゲームを成功に導いた松原氏には,ぜひこれを妄想で終わらせず,ビジネスに結びつく(そして顧客にとって心地良いおせっかいと呼べるような)サービスとして具現化してもらいたいものだ。(大路政志)
- 関連タイトル:
三國志 Online
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真・三國無双 Online Z
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大航海時代 Online
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信長の野望 Online
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