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印刷2009/12/03 17:55

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[G★2009]「ドラゴンボールオンライン」の実現に必要だった二つのフュージョンとは? ICON2009で行われたNTL高宮氏の講演を紹介

 G★2009と併催された開発者向けセッションICON2009では,「ドラゴンボールオンライン」(以下,DBO)の開発元NTLでクリエイティブディレクターを務める高宮孝治氏の講演が行われた。版権タイトルの開発者に向けた興味深い示唆が含まれるのみならず,DBOのゲーム内容そのものにも多く触れられていた,非常に興味深い講演だったといえる。その詳細をお伝えしていこう。

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NTL クリエイティブディレクター
高宮孝治氏
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 講演はまず高宮氏の自己紹介から開始された。氏はテクモでPlayStationとPlayStation2の「モンスターファーム」のディレクターを務め,同作の産みの親として知られる人物だ。その後フリーランスでディズニーキャラクターを使ったPC用知育ゲームを手がけた後,NTLでDBOの開発に携わっている。

 氏によれば,本作には大きな課題が二つあったという。一つは世界的にも巨大なIP(Intellectual Property,知的財産)である「ドラゴンボール」を,どうやってやってオンラインゲーに落とし込むかという課題。そして二つめが日本と韓国にまたがる開発スタッフをどうまとめ上げていくかという課題だ。この二つの課題を原作に登場する「フュージョン」に例えたのが,講演のタイトルでもある「Two "Fusion" necessary for Dragon Ball Online」というわけだ。


※フュージョン……原作に登場した技のひとつ。二人のキャラクターが一人に融合することで強大な力をもつこと。


「ドラゴンボール」という巨大なIPに対し,どうアプローチするか


 ではまず一つめの“原作をどうオンラインゲームに落とし込むか”から見ていこう。ドラゴンボールに限らず,原作ありきのゲームにはメリットとデメリットが存在する。メリットは大きなネームバリューとプロモーションのしやすさ,そしてデメリットは原作ファンから反感を買う可能性と,版権者からのさまざまな制限だ。

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 これらのメリットを生かし,デメリットを回避するためには,まず原作のストーリーやキャラクター,世界感などから抽出した要素を,ゲームシステムに落とし込む作業が必要となる。例えばアクションゲーム「ドラゴンボール レイジングブラスト」PlayStation 3版 / Xbox 360版)の場合は,原作から主にキャラクターを中心に要素を抜き出して,アクションゲームとして落とし込んだ上でストーリーなどを付加する形をとっている。では本作の場合はどうか。

これまでの版権タイトルの場合
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 DBOでは,主に世界観を中心とした抽出を行ったという。もちろんそれ以外の部分からの抽出もあるが,MMOに適した要素,またほかのドラゴンボールを原作としたコンソールゲームからの差別化を考えると,そこに行き着いたという。
 その心は「ごっこ遊び」だ。誰もが一度はマネしたことがあるであろう「かめはめ波」のポーズこそが,本作のヒントとなっている。ごっこ遊びに適した“本物の”ドラゴンボールワールドを構築することこそが,本作に課せられたテーマなのである。

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 思えば「ごっこ遊び」とは,ロールプレイングゲームの原型のひとつである。MMORPGである本作に,これほど相応しいテーマはないだろう。そのほかにもMMORPGとマッチする要素は,原作中にも多数発見できる。例えば「かめはめ波」はスキル,「修行」はレベルアップ,「天下一武道会」はPvP,「ドラゴンボール」はアイテム収集にそれぞれマッチする要素である。

 しかし逆にMMOとは相容れない要素も同時に存在している。MMOのアバター要素を原作に求めるのは難しく,パーティやコミュニティといった概念は,1対1のバトルを基本とする原作とマッチしにくい要素となる。またまた数百数千のプレイヤーが同時に接続するMMOは,コンソールゲームが得意とするようなストーリー演出には不向きだし,原作キャラクターをどう扱うかというのも頭を悩ますポイントだ。


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 そこで本作では,MMOに必要なこれらの要素を原作側にフィードバックし,原作の要素を拡大する手法を選択した。版権タイトルの一般的なアプローチである,原作からゲームという一方通行のトップダウンフローから脱却し,ゲームから原作への双方向のフローを作り出したのがポイントだという。……言うのは簡単だが,実現するのにこれほど困難な手法もないだろう。「それができたら……」というほかのデベロッパの声が聞こえてきそうである。版権元の首を縦に振らせるのが難しいだけでなく,原作にない要素が登場して,プレイヤーにまがい物と感じられてしまっては元も子もないからだ。ではどうやってそれを実現したのだろうか。

「ドラゴンボールオンライン」の場合
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大切なのは「原作愛」,版権元との信頼関係をいかに築くか


 この困難を可能にしたのは,版権元との綿密なやり取り,と氏は語る。当たり前と言えば当たり前の答えだが,これを疎かにしなかったことが,DBOが実現できた鍵であるそうだ。
 本作ではプロジェクトの初期段階から,企画やデザインについて版権元である集英社にコンタクトを取り,互いの関係を暖めてきたという。ことあるごとに「なぜそれが必要なのか」という説明を逐一行い,信頼を積み重ねてきたうえに今日がある。版権元への確認は非常に面倒な作業ではあるが,それを面倒と思わずにきちんと筋を通していくことで,デメリットをメリットに変えていった。「ある程度ゲームが完成してから版権元に承諾を得る」というやり方も手法としてはありえるが,その方法では,本作が日の目を見ることはなかったかもしれない。

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 また集英社サイド,鳥山明氏がゲームに対して深い理解を示してくれたことにも,大きく助けられたという。デザインを例にとれば,基本はNTLがまずデザインを起こし,集英社サイドに承認を求める形だが,一方で,集英社サイドから逆提案が行われることも度々あったそうだ。偉大な原作を前に及び腰になりがちなNTLよりも,鳥山明氏の方が大胆なデザイン案を提示することもあり,原作を拡張することにも積極的だったそうだ。

女性タイプの魔人のような,原作にはないアバターも鳥山明氏の手よるもの。ナメック星人は頭部をどうするか悩んでいたところ,様々な形状が鳥山明氏から逆提案されてきたという
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 初期の頃はNTLが提示した案に集英社サイドが難色を示すこともあったそうだが,次第に勘所を掴んで原作のラインから外れない拡張要素を提示できるようになったという。そしてその根幹には,NTL側の「原作愛」が,版権元に伝わったことと氏はまとめる。思えばCEDEC 2009にて,「NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム」シリーズを手がけるサイバーコネクトツーの松山洋氏も同様のことを語っており,ジャンルは違えど共に版権タイトルを手がける両氏が,同じ結論にたどり着いたのは,非常に興味深い事実といえよう(関連記事)。


「ドラゴンボールオンライン」を実現させる,三つの冴えたやり方


 では,そんな理想的な協力体制の元に,「ドラゴンボールオンライン」がいかにして組み立てられたのか。その具体的な方法論として,氏からは「時代設定」「タイムマシン」「ゲームコンテンツ」の三つの方策が挙げられた。

age1000という時代設定


 DBOは,原作から約250年後の「age1000」という時代を舞台としている。そのため原作とは異なる部分が存する。age1000の地球では,人間とナメック星人,魔人という三つの種族が共存しているのがまず大きな違いで,それぞれPCとして選択できるようになっている。原作キャラクターの多くはすでに亡くなっており,また平和な時代が長く続いたため,高い戦闘能力を持つ者も存在しない。レベル1からのスタートとなるPCにも活躍の場を与えるための設定だ。
 こうした設定に説得力を与え,原作と地続きの世界であることを表現するために,同社はまず詳細な歴史年表を作ったという。例えばage851にはナメック星が崩壊し,ナメック星人達が地球に移住してきた,といった具合に。本作の全ての要素は,この年表に基づき,世界観にブレが出ないよう,細心の注意を払って作成される。

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 例えば原作に登場するキャラクターのうちでも,長命なものはage1000でも登場するが,老眼鏡をかけていたり,しわが増えていたりというように,250年の歳月が感じられるデザインに修正が加えられている。オリジナルのNPCについても,それは変わらない。今会話しているキャラクターは,もしかすると原作に登場したあのキャラクターの子孫かもしれない。そんな想像の余地を残すデザインを心がけたそうだ。また一番苦心したのがモンスターである。原作のコマの隅に,ちらっとだけ登場したモブキャラクターからアイデアを膨らませ,設定を起こしたという。

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PCが使用できる髪型などのアバターも,すべて鳥山明氏のデザインによるもの。またRPGには欠かせない装備品も,原作にはあまり登場しない要素だ。新たにデザインされた武器や衣装の一つ一つに,種族や職業の歴史が反映されている
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原作でベジータとナッパが地球に持ち込んだ栽培マンは,250年の年月を経て野生化している,という設定だ
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原作に登場するランドマークの位置関係から,ワールドマップも新たに書き起こされている

タイムマシンクエストとインスタンス


 DBOのストーリーの鍵を握るタイムマシンクエストは,原作を再現し,追体験するために用意された要素である。原作キャラクターをどう扱うか,という問題への回答がこれにあたる。細かく分類するとタイムマシンクエストの中には,タイムリープクエストも存在しており,どちらもインスタンスゾーンであることは一緒だが,その役割は微妙に異なっている。前者がパーティプレイを意識し,タイムアタックなどの楽しみ方が用意される一方で,後者はソロ用を前提とした,チュートリアル的な役割を持つらしい。
 またインスタンスゾーンとなることで,同期の問題を解決したストーリー演出が行われるのも特徴である。

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チュートリアルでは「時の界王さま」からタイムパトロールの任を命じられたトランクスが登場,プレイヤーをDBOの世界に導いていく
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全てのゲームコンテンツを原作の要素で埋め尽くす


本作のコンセプト概念図。とはいっても,これが本当に巧く機能するかは,始まってみなければ分からない
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 MMOの醍醐味であるマルチプレイコンテンツと,気軽に楽しめるソロコンテンツのどちらを重視するかは,近年のMMORPGの大きな課題といえる。MMORPG初体験というプレイヤーが多くなると予想されるDBOでは,この問題はとくに重要だ。
 そこで本作では,チュートリアル的な意味合いを持つソロコンテンツから,ギルドやPvP,RAIDといったマルチプレイコンテンツへと自然に移行できる構造が,企画段階から設計されているという。
 “ドラゴンボール収集(コレクション)”,“天下一武道会(PvP)”に,“タイムマシンクエスト(ストーリー)”を加えた三つのコンテンツがこれにあたり,原作ファンにとって「分かりやすい」目標をソロとマルチの中間に配置することで,うまくモチベーションを維持してもらおうという仕組みだ。

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 このほかにも,本作では原作から抽出した要素を,ゲーム内に巧く溶け込ませる努力は各所に見ることができる。細かい設定で世界をうめつくし、その世界の一員として「ごっこ遊び」をする。氏の言葉を借りれば,ディズニーランドのような仕組みを,本作は目指しているという。逆に言えば,設定を用意できないコンテンツは実装しない,システムの新規性は必要ないというポリシーだ。

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乗り物も原作に登場したものが実装されている。中央はヤムチャの愛機,ジェットモモンガ
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本作ではギルドのことを“流派”と呼ぶ。流派は“道場”というギルドハウスを所有できる
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クラスチェンジを担当するのは,原作で悟空もお世話になったカリン塔のカリン様。MMORPGでは定番のフィーチャーに,原作を巧く結びつけている
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ど派手な連続技をたたき込むHTBスキルは,MMORPGでは表現しにくいドラゴンボールらしさを表現するために導入されたという
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強力なスキルを使用する場合に必要なRP。“気”を溜めて攻撃するという原作の要素を表現する
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アルティメットダンジョンは,高レベルパーティ用のRAIDゾーンだ。ボスとして登場するのは果たして……?

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原作では悟空の台詞の中に登場したのみのヤードラット星人も,本作では鳥山明氏の手により新たに書き起こされた。悟空にテレポートを教えたという逸話により,倉庫の管理人や,街と街を繋ぐ転送屋として登場する
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セーブポイントのポポストーンは,ミスター・ポポが修行者を手助けするために作ったという設定だ。インベントリーは当然ホイポイカプセル。大量の荷物をどこに持っているのか,というRPGの長年の謎が解明された?


日本と韓国で一つのチームを,NTL設立の経緯


 冒頭に挙げた二つの課題にもどろう。一つめの課題“原作をどうオンラインゲームに落とし込むか”への回答は「原作からMMOに適した要素を抽出し,足りない部分は原作を拡張する」というものだった。そしてそのための基盤となるのが,「原作愛」である。

 では二つめの課題“日本と韓国にまたがる開発スタッフをどうまとめ上げていくか”はどうだろうか。本作は,その当初から日韓の共同プロジェクトとして立ち上げられたタイトルである。その狙いは,韓国のオンラインゲーム開発力と,日本の企画力の融合にあるわけだが,そこまでなら誰もが思いつく発想である。これまでにもそれを試みたタイトルはいくつもあったし,多くのオンラインゲームの運営/開発が日常的に行っている業務である。

 では何故うまくいかないのか。オンラインゲームにおける日韓プロジェクトが陥りがちな失敗の原因として,日本側の「オンラインゲームに関する知識の不足」,韓国側の「IPに関する知識」の不足を指摘する。
 日本側はどうしてもコンソールゲーム的な発想で企画を上げてしまい,いざ実装しようとすると穴だらけということがままある。対して韓国側は,オンラインゲーム基準で企画を通してしまい,原作の世界観を破壊してしまいがちだという。氏はあくまで一般論と念を押すが,オンラインゲームに明るい4Gamer読者なら,思い当たるフシがあるのではなかろうか。

 日本の企画と韓国の開発がビジネスライクな関係に留まり,両者共通のゴールを見いだせないことが問題だという高宮氏は,NTLではこれを打破するためにさまざまな方策をとっていると続けた。

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 NTLの場合を見ていこう。2003年に日本の法人として作られた同社は,翌2004年に韓国法人を設立。同2004年にバンダイコリアとDBOのライセンス契約しており,その開発を本格化する。2005年にプロトタイプを,2006年にはαバージョンを完成させ,2007年,運営を手がける韓国のCJ Internetと契約。そして今年(2009年)9月のクローズドβテストにこぎ着けている。
 なお日本と韓国,会社としては二つではあるものの,実際には一つのチームとして動いているとのこと。現時点で日本のスタッフが12名ほど,韓国スタッフが65名ほどである。

NTL組織図。青が韓国スタッフ,オレンジが日本スタッフと担当が分けられている
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 その分業体制は次のようなものだ。まずゲームシステムやシナリオの企画は日本側のゲームディレクターを中心に先行し,必要であれば版権元の確認を行った後,韓国のスタッフに引き継がれる。コンセプトに基づいた実際のゲームへの落とし込みについては,韓国スタッフの方が知識が豊富であるためだ。
 プログラミングについてはすべて韓国側の担当となる。とくにサーバプログラミングは韓国のプログラマに一日の長がある。
 グラフィックスの場合は,まず日本で2Dのデザインを起こす。NTL側で起こしたデザイン案を版権元に確認し,ときには鳥山明氏に書き下ろしてもらってデザインを確定。フィックスしたデザインのうちアバターや原作キャラクターなどについては,引き続き日本スタッフが担当する。原作の細かい表現や動きは,やはり目の肥えた日本側スタッフの方が表現が巧いという。背景など,それ以外のグラフィックスは韓国スタッフが担当する。
 日韓それぞれの得意とする分野を尊重した結果,このスタイルに落ち着いたとのことである。

原作キャラクター
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 情報共有の仕方についても工夫が見られる。メールやIMツールによる日常的なやりとりはもちろん,アセットマネジメントシステムを利用した最新ファイルの共有や,ビデオ会議システムも構築し,スムーズな情報交換を可能にしている。原作コミックやビデオ等の資料も両国に用意し,リーダーシップをとる人間は,1〜2週間ごとのサイクルで日韓を行き来して,顔をあわせたコミュニケーションも怠らないとのことだ。
 日本語と韓国語の言葉の壁は,通訳専門のスタッフを2名置いているほか,それぞれのチームに1人ないし2人のバイリンガルなスタッフを配し,日常的な会話をサポートしている。また膨大なドラゴンボール用語を辞書登録した翻訳ソフトも用意しており,簡単な会話ならこれで済ますこともできるという。
 そのほか共通のワークショップへの参加や,日韓からアクセスできる社内BBSの利用,通訳スタッフ主導の語学教室,社長主導の食事会から,果ては冠婚葬祭といった家族レベルのつき合いまで,チームの潤滑油となる施策はなんでも試す勢いだそうだ。

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 講演の最後に,氏はDBOというプロジェクトの真のリーダーが誰であるかを語った。NTLはDBOのために作られ,最適化された会社である。日韓全てのスタッフが原作を愛しており,DBOを作るために入社したという者ばかりだ。そのモチベーションを与え続けてくれた人物こそが,本作の真のプロジェクトリーダーに相応しい。それが誰であるかは,ここまで読み進めた読者にとっても,もはや自明のことではないだろうか。

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