連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第156回「俺屍とシャンプー」
小学生時代は,サッカーとファミコンばかりヤってた。中学生になると,比較的ゲイムをプレイする時間は減ったけど,サッカーはヤってた。高校生になると,サッカーとスーパーファミコンばかりヤってた。そして大学生になると,一人暮らしを始めたもんだからPlayStation,セガサターン,NINTENDO64を揃えてゲイムと学生プロレスばかりヤってた。東京に来たばかりの頃は,プロのレスラーになったはいいけど金がないもんだから,ゲイムばっかヤってた。そして今は,リングで対戦相手をまさぐることと,ゲイムの連載を書くことを日々の糧に生きている。
私の人生は,まさに“NOゲイム,NO LIFE”。そんなこんなで,物心が付いたときからゲイムをやり続けてきた私だけど,今,ちょっとしたショックを受けているの。というのも,かつて“ただの面白いRPG”だと思ってプレイしていたゲイムに,もの凄いメッセージが込められていたことに,今さらながら気付かされてしまったから。
12年前,私がPlayStationでこのゲイムをプレイした時は,「ゲイムシステムとタイトルがうまくかみ合ったいいゲイムだなー」なんて軽く考えていたんだけど,この一週間でPSP版をプレイしてみて,これは人間の営みそのものを描いた作品なんだということに,今さらながら気付かされたわ。
人は,人の死を乗り越えて生きていく。言葉にすると陳腐でありふれたものよね。でも,22歳の頃に初めてプレイした私に比べて,34歳の今の私のほうが,いくつかの人の死に触れてきている。生きるというのはそういうこと。知らず知らずのうちに,私は誰かの屍を越えて今ここにいる。
ゲイム内で死を迎える際,主人公はこう言うわ。「俺の屍を越えて……ゆけ」と。そして,死んだ主人公は当然ゲイム内には登場せず,また同じようにゲイムが進んでゆく。現実の世界で私が,誰かの死を乗り越えて,こうして普通に生きているように。
まだPSP版をプレイし始めたばっかりの段階で言うことではないけど,この作品は12年後にもう一度リメイクしてほしいわね。46歳の私は,どれだけの屍を乗り越えているのか。そもそも,私が屍となっている可能性もあるけど,その時に,「俺の屍を越えてゆけ」と言えるのだろうか。
そして,これが一番切実な悩みだけども,言う相手はいるのだろうか。分からない。分からない。ぜーんぜんぜんぜん分からない。このゲイムをプレイしてたら,子供を作らなきゃいけない気がしてならなくなったわ。
自分も先祖から受け継がれてきた命。そして,この命が継がれるべきものなら,受け渡さねばならない。屍を越えて,そしていつかは越えさせなければならない。問題は私がゲイってことだけど,私も子孫を残すべく,形だけでも結婚はしなければいけないのかもしれないわね。……そんな,人類としての務めについて考えさせられる俺屍,オススメですよ。
おっと,ここまでゲイムから伝わってくるメッセージ性ばかりをクローズアップしたけど,もちろんゲイムとしても面白いのよ。実際に22歳のときの私は,ちょっと風変わりなRPGとして楽しんでいたわけだから。
さっきも書いたけど,「だんだん主人公が強くなっていく」というRPGのだいご味を「子孫がだんだん強くなる」システムでちゃんと違和感なく表現できているのね。難度というかプレイ時間も選べるし,ロード時間もほぼ気にならないし,ストレスもとくに無い。何気に粗のない,いいRPGだと思うわ。
強いて思いつく問題点を挙げるならば,セーブ時の選択肢で「『花』を聴いて終了」を選ぶと,流れる歌を飛ばすことができない点くらい。ただ,この花という歌がまた薄暗くてメッセージ性があって,俺屍にマッチしたいい歌なのよ。たぶん,曲を飛ばせない仕様にも意図はあると思うけども,間違ってこの選択肢を選んでしまったときには,ちょっと憂鬱になってしまう。ここが残念ね。それ以外に不満はないわ。
こういう,ちょっとクセのあるゲイムこそ,多くの人にプレイしてほしいわね。ゲイムの雰囲気はやや暗いのに,前向きな気持ちになってしまうゲイムよ。
そう! いくら子供が作れないからって悩んでる場合じゃない。誰かのせいにはしたくない。でも自分のせいにはしたくない。ましてや「NEWラブプラス」の発売が延期になって腐ってる場合でもない。どうでもいいけど,クリスマスにラブプラスをプレイする略してラブプるのと,新発売日であるバレンタインにラブプるのではどちらが人生を満喫している感じになるんでしょうね。
そんなこんなで,今週は俺屍について熱く語らせていただきましたが! まだネクストバッターズサークルに入っていたはずの「FINAL FANTASY 零式」をプレイしていないのはご愛敬。そういや,「スーパーマリオ 3Dランド」にも,まだ手を出していないわ。
Xbox 360再起動の変についてもボチボチ語らねばならないし,Wiiの「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」も,ちょっと無視できない感じになってるし,PlayStation 3「二ノ国 白き聖灰の女王」についても語らねばならないし……。
ウン,やっぱ楽しいわね。34年も生きていると昔を思い出すことも多いけど,逆に昔の自分は今こうやって面白いゲイムに囲まれて生きていることなんて,想像だにしていなかったでしょうね。ゲイムもきっと,色々な屍を越えて今に至っている。例えばバーチャルボ……おっと危ない。
だから,今をこうやって生きている人は,楽しまなきゃいけない。いろんな屍を越えて。屍に感謝しながら。自分が屍になるまで終わらない宿題。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2012」
PSP:「俺の屍を越えてゆけ」
ニンテンドー3DS:「スライムもりもりドラゴンクエスト3 大海賊としっぽ団」
Wii:「ファミリーフィッシング」
Xbox 360:「迷宮クロスブラッド リローデッド」
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(C)Sony Interactive Entertainment Inc.
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