連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第212回「勝ったり負けたり」
だいたい負けるのよ。何に関しても。
私はプロレスラーだから,普通の人より目に見えやすい形で勝ったり負けたりしてる。キャリア的に中堅だから,本当に勝ったり負けたり。
まあ,何をもって勝ち負けかというのかは,同じプロレスラーであっても,人にとって違うんだけどね。私にとってはリングがベッドだから,対戦相手の●●の感触を味わえれば,私的には勝ちだと思っているわ。
確かにプロレスのルールって“相手の両肩を3秒間マットにつければ勝ち”っていうまか不思議なものよ? でも,いくら私が相手の肌の感触を確かめて勝利の余韻に浸っていても,3秒間油断しただけで私が負けたことになっちゃうの。
正直,理不尽だと思うわ。思うんだけど,そういうルールでこれまでヤってきたんだから,この世界でお金をもらっていく以上,そのヘンテコなルールを受け入れるしかない。だから,プロレスのルールでは勝ったり負けたり。
でも,勝ったり負けたりって,プロレスに限った話じゃないの。もちろん,私だけじゃなくてみんなもそうなのよ。みんなって,これを読んでるあんたも含めてよ?
例えばスポーツ。個人競技ではどんなに強い人でも,優勝者以外は必ず負けているわけ。その優勝者も,きっといつか負ける。そういうものよね? 誰もが頑張りさえすればいつか勝てるってわけでもないけど,たまに勝ったりもする。もしくは基本的には勝つんだけど,たまに負ける。そんなことの繰り返し。
勉強でもそう。自分より成績が上の人は必ずいる。でも,成績上位の人が間違えた問題が,自分には解けていたってこともある。勝ったり負けたり。その繰り返し。
仕事もそう。ミスすることもある。まあ,仕事は趣味じゃないからしちゃいけないミスもあるんだけど,それでもミスすることはある。誰からも褒められないけど,いい歯車になることがファインプレイになることがある。その繰り返し。それが仕事。
そして恋愛。恋愛も勝ったり負けたりの繰り返し……と言いたいところなんだけど,そうでもないのよねー。これが今週の本題。なぜ勝ったり負けたりの人生の中で,恋愛だけが例外なのか。それは,勝ち負けがほかと比べてことさらハッキリしないから。
というのも,自分の気持ちって誤魔化せるのよ。とくに好きな人がいなかったり,好きな人がいてもほかのことを考えて,その気持ちをぼやかしたり。そうやって,勝ち負け以前にそもそも勝負しない,勝負だと思わないってケースも多いでしょう。そして,知らない間に好きな人に好きな人ができて,戦ってもいないのに負けるという。難しいものよのう人生は。
これまであれこれ例を出してきたけど,要するに私は,“人生ってものは基本的に負けることのほうが多い”ってことを言いたいわけ。もちろん,負けるのは,とても悔しいこと。それが,一生懸命取り組んだものであればあるほど。でも,負けた人間の姿が,見ている人の心を打つこともある。
もちろん,勝者は称賛されるべき。ただ,それとは別に負けたほうの負けたあとの行動にこそ,人間性というものは色濃く出るんじゃないかと私は思っている。勝った相手を妬む心がまったくないわけではないでしょう。それは仕方が無い。だって,さっきまで自分が狙っていたものを取られちゃったわけだもん。未練くらい出てくるわいな。でも,その上でどういう行動を取るか。勝つ人がいれば,負ける人もいる。勝ったら喜べばいい。では,負けたら?
ただ,私はゲイだからギャルに興味が無いわけで,ギャルのゲイムをゲイが歓ゲイするわけでもなく,それでも私がこのゲイムのゲイトをくぐったのは,ゲイムとして一ゲイに秀でているからでしてですね……あー面倒臭い,要するに,“ストーリーが凄い”という情報をキャッチしたから,それならばとプレイしてみたっていう。それだけのこと。
で,プレイしてみた感想なんだけど,まあ,ゲイムだな,と。詳しくは後で述べるわ。そしてそこで凄く褒める。その前に,ゲイムとしてのおススメ度でいうと,実はそこまで高くはないということを告白しておかなければいけない。
それは,さっきも言ったようにギャルゲイだから,まずそこでプレイヤーを選ぶわけ。そして,このゲイムにおいてプレイヤーである我々ができることは,ほぼテキストを読むだけ。選択肢を選ぶパートもあるにはあるんだけど,そこまで多くない。だから,ゲイムとして楽しいかというと,万人が楽しめるわけではないだろうなと。
セリフの言い回しとかキャラクターの設定は,リアリティに欠けるわ。でも,すんなりと頭に入ってくるから,これはこれで間違ってないってことだと思う。そもそも,この作品においてリアリティは重要じゃない気もするし。
つまり,プレイヤーにゲイムという媒体を使って何を伝えるか,どうやって伝えるか。そのために書かれたストーリーな気がするの。だから,たとえ読んで選択するだけでも,この作品はゲイムたり得るんだと思う。
音の効果も素晴らしい。BGMであったり,効果音であったりのタイミングがテキストを邪魔するでもなく,バッチリフィットしている。これこそ,ストーリーに自信があって,そのストーリーを最大限に生かそうとする作り方よね。簡単なように見えて,難しいんじゃないかしら。
そして,特筆すべきがそのテーマ。このゲイムは,ストーリーを読むゲイムだから,ストーリー自体には触れないけど,テーマが秀逸なの。恋愛における勝者と敗者。簡単にいうと,恋愛における二股の話なのよ。で,主人公は一体何を選ぶのか? っていうのが,ストーリーの主軸なんだけども。
これって,片方を選ぶことになるわけだし,選んだほうと選ばれたほうは,そらまあ幸せでしょう。でも,もう片方はどうなの? っていう。このもう片方の傷つく姿を,このゲイムではちゃんと描いているの。主人公のグッドエンドの陰にあるバッドエンドを,あいまいにして終わらないわけ。
だから,心に残る。人生は負けることが多いけど,負けたあとにどういう行動を取れるか。このゲイムをプレイしたら,そんなことを考えずにはいられないわ。ギャルゲイに抵抗が無く,考えさせられるストーリーを体験したい人なら,本作をぜひ一度プレイしてほしいわね。
てなわけで,今週は私にしては珍しいタイプのゲイムを紹介したんだけど,意外だったかしら? でもね,前も言ったかもしれないんだけど,私って見てくれは気にしないタイプなの。だから,ギャルゲイだろうが何だろうが,面白そうだったらヤっちゃうわ。ゲイムでしか味わえない快感がそこにはあるから。
もちろん,ゲイムにも当たりハズレってあるわ。でも,勝つことがあれば負けることもあるのが人生じゃない。戦わない人間は,負けることもできない(恋愛に関してはその限りではないけど)。
ただ,戦わなければ勝ったときの喜びも味わえないわ。だから,私は戦い続ける。少なくともゲイムに関しては! いいこと言った! 結婚はできてないけど! また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「WHITE ALBUM2 幸せの向こう側」
PlayStation Vita:「地球防衛軍3 PORTABLE」
PSP:「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ファンタジーライフ」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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- 関連タイトル:
WHITE ALBUM2 幸せの向こう側
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