男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第232回「これからの親との関係性について」

著者近影

　今，私は36歳で，東京都世田谷区で一人暮らしをしているわ。
　18歳で逃げるように広島の島から大阪に出て一人暮らしを始めてから18年。家族と一緒に住んだ年月と，一人暮らしの年月が同じになってしまったわけね。そしてまだ実家に帰る予定はないから，これからきっと，一人暮らしの年月のほうが長くなってしまうんでしょう。
　父親は怒りっぽく頑固で見栄っ張り，凝り性で，でも長続きしないタイプの多趣味人間。柔道を若干かじっており，私が高校生の時に「体育で柔道があるから何か技を教えてくれ」と言ったら，技のかけ逃げによる判定勝ちの方法を教えてくれるという，およそ教育者には向いていないおっさん。
　母親は真面目なうえに，なんでも真に受けるタイプで，数年前などTVを見ていて世が熟年離婚ブームだと知るや，「私も長年の不満がある！」と言ってその場で離婚をぶち上げ，団らん中の家族や父親をドン引かせるという，思いついたら即実行型。……即実行にも程があるわ。
　そんな両親も，もう還暦を超えた。日本人の平均寿命がだいたい80歳ぐらいだとして，あと15年〜20年くらいしか両親は生きられない計算になるの。そして，私は東京で一人暮らしをしているわけだから，年に一回くらいしか会えないわ。
　そうすると，単純計算で両親と会えるのはあと15〜20回しかないってことになるわけ。しかも，それは両親が平均寿命ぐらいまで生きていた場合に限るから，ひょっとしたら会える回数はもっと少なくなる可能性だってあるかもしれない。病気じゃなくても，事件や事故に巻き込まれるかもしれないし，両親じゃなく私に何かがあるかもしれない。そういう想定外のことって，誰にも起こりうるうえに，急にやってくるものでもあるわ。準備なんてできない。でもその時は確実にやってくる。
　問題はここからよ。じゃあどうする？　親孝行ってなんだ？　私には親の気持ちが分からないわ。子供がいないから。世の中ではよく，子供が産まれたときに「健やかに育ってくれれば，それだけでいい」と願うと言われているけど，これも頭じゃ理解できるものの，感覚的には分からない。
　だから，私ができる親孝行を考えたときに，「元気でいればそれでいい」っていうのも違うかな？　と思っているの。自分で自分に「イヤイヤ，君，それ勝手に俗説言ってるだけで親の気持ち分かってないやん」って思っちゃう。かといって，旅行とかそういうお金で何とかなるものも軽い気がして。それはそれで一つの答えだとは思うんだけども。
　というわけで，考えてみたのよ。親孝行の在り方を。幸いにも親がまだ健在のこのタイミングで。いなくなってからではできないからね。

　ケツ論から言うわ。今週はね，紹介できるゲイムがないのよ。親孝行したいときに親がもういなければ本末転倒。それと同様に，ヤりたいときにゲイムが無ければ原稿が書けない。そういうこと。
　手を付けようと思っていた「テラリア」と「真・女神転生IV」は両方とも売り切れ。さあ困った。真・女神転生IVに関しては，興味こそ持っていたんだけど，完全に出遅れた感じ。で，テラリアは私的にノーマークだったんだけど，ゲイマーレスラーの菊タロー先輩に超激しく勧められて興味を持って調べたら，確かに面白そうではありませんか。でも探せど探せど売り切れ。
　興味を持っていて予定に入れつつも，それがプレイできないモヤモヤのほうがつらいのか，急に思い立って興味を持ったはいいが結局プレイできなくてモヤモヤするほうがつらいのか。

　もちろんね，趣味と親の死は重さが違うわよ。でも感情の動きとして，近しい人……たとえば親の死に関して，余命が分かっていたほうがつらいのか，それとも急にやってくるほうがつらいのか。そういう問題は確かにあって，どちらもつらくて，きっとそれまで何もしていなかった自分に後悔もするんだろうけど，でもそうやって人は人とつながってるんだと思う。
　だからってわけでもないけど，ヤりたいゲイムがあったら，それはきっとヤっておいたほうがいいのよ。だから，私はここで宣言をする。ついに！　「トロピコ4 日本語版」の長期政権だったマイXbox 360の時代が動くわ。この原稿を書き終えたら，「Minecraft：Xbox 360 Edition」をプレイします！
　今思うと，Minecraftはうすーくでもチェックしてたのに，テラリアはなぜ気にもかけずにいたのか。私が好きそうな箱庭ゲイムなのに。ゲイマーとしての妖怪アンテナが鈍ってたとしか言いようがないわね。あ，ついでにどうでもいい告白をしておくと，最近男色アンテナのほうは異様に元気が良くて，これはこれで困ってます。テヘ。若いもんにはまだまだ負けんぞ！

　というわけで，3年以上前に発売された「三國志DS 3」ばっかりプレイしている今日この頃。タイトルの語感でだまされがちだけど，ニンテンドー3DSではなくニンテンドーDS用のソフトなんだけども。
　でもね，これがまた面白いのなんの。ひょっとしたら三國志ゲイムでも屈指の面白さかもしれないわ。このタイトルが発売されたときにもそう書いた気がするけど。グラフィックスは，まあDS用ってだけあって，今の目で見るとそこまでクオリティが高いわけではないわ。ただ，そんなことはどうでもいい。武将を集める楽しみと，階級を上げる育成感，そしてややこしすぎない戦争。三國志ゲイムとして押さえるべきものは全部押さえている印象ね。
　そして遊びながら，エンターテイメントとして，お客さんが予想している範囲で求めているものを丁寧に提供したほうがいいのか，お客さんの予想を超えるものを提供したほうがいいのか，昨今の三國志ゲイムはその岐路に立たされてるんだなぁ……と，あらためて思ったわ。
　この三國志DS 3は前者で，ファンが抱いている従来の三國志ゲイムのイメージに沿って作られた，一種の完成形だと思うの。これから先，どうするのか。とがらせるべきはアクション性なのか，シミュレーション性なのか。楽しみで仕方がないわ。
　出し尽くしてしまった感のあるものが，それでも今後は何をどう生み出していくのか。これは一プレイヤーとしてだけでなく，エンターテイメント産業を担う者の端くれとして興味津々よ。ともかく，今さらながら三國志DS 3は，三国志をモチーフにしたシミュレーションゲイムの完成形として，おススメしておきます。


　今のゲイムと昔のゲイム，どっちが面白い？　どっちも面白いわ。当時は当時の全力で作られていて，今は今の全力で作られているんだもん。昔のプロレスと今のプロレス，どっちが面白い？　どっちも面白いわ。同じ。
　今どきの若いもんは，今どきの若いもんなりに頑張ってる。たぶん，昔の若いもんと変わらないくらいには。でも，時というものは残酷で，今をどんどん昔に変えていくのね。年を取ると，きっとそれが怖くなるんだと思う。
　今，私には幸いにも社会的に居場所があるわ。働けているし，何かしらの形で世の中の歯車にはなれている。でも，年を取るとその居場所がなくなる気がして怖くなっていくんじゃないかって思う。そう考えたとき，私なりの親孝行の方法を見つけたわ。もうちょっと，頼ろう。
　「親に頼らず」ってよく言うけど，きっとそうじゃない。自立とは別のところで，親に頼ってもいい局面がきっとある。親から頼られつつ，こちらからも頼る。それぐらいがちょうどいい。体が動かなくなったら，その時，全面的に頼られてやろうじゃないの。それまで楽隠居はさせないわ。
　プロレスは基本的に相手との信頼関係があって殴り合えるものなんだけど，そういう意味で，まさか親とプロレス的な関係になろうとは思わなんだわ。そして，まさかゲイムの連載で親に対してスネをかじる宣言をすることになろうとは。
　ま，要するに自分がしたいと思ったときに行動を起こしなさいよ，後悔する前にって話でした。というわけで，来週はMinecraft！　とうとう動くよXbox 360！

今週のハマりゲイム
（文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム）
PlayStation 3：「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2013」
PlayStation Vita：「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」
PSP：「サモンナイト5」
Wii U：「ZombiU（ゾンビ U）」
Wii：「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS：「三國志DS 3」
Xbox 360：「トロピコ4 日本語版」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ 週末はだいたい所属団体DDTプロレスの興行が入っているディーノ選手ですが，今週末は，暇なわけではないものの，とくにお知らせするような予定もないそうです。そんなときにゲイム以外で何をするのかと聞いてみたところ，「何を楽しみにすればいいのか分かんないのよね。……食べることぐらい？」とのことでした。生きるために食べるのか，食べるために生きるのか。