連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第235回「『The Last of Us』略して,アス」
名前が素敵だというのもある。直訳すると「アスの最後」だもの。どんだけ凄いことが行われてるんだ,と。ナニがどうなって最後になるんだ,と。ワクワクするじゃない。名前だけじゃなくって,話題作だしちょっくら抑えておきますかっていう部分も大きかったんだけどね。
そんなこんなで,ラストオブアス略して「アス」をプレイしているんだけど,これがまあ面白い。時間を忘れてプレイし続けてしまう。使い古された表現だけど,まさしく映画に介入してるかのような感じね。
“サバイバルアクション”をうたっているゲイムで,確かに固定の武器がなく,拾ったり作ったりしなければいけないあたりがサバイバルっぽい。でも,このゲイムの魅力はそういうゲイム性の部分ではなく,“映画性”にあると思うの。よく「映画のようなゲイム」という表現がされるけども,このゲイムはまさにそれ。
極論すると,ゲイムの持つ映画性を突き詰めた感じ。おそらく,ほかの人がプレイしている様子を後ろから眺めているだけでも,同じように面白く感じられるでしょうね。そういうゲイム。感染者と呼ばれる敵もちゃんと怖いしね。
武器の改造ができたりもするんだけど,それでもやっぱり敵からは見つからないようにしたい心理が働くの。というのも,武器をパワーアップさせたって,主人公が強くなりすぎることはないわけね。ここもポイント。
こういうゲイムって,クリーチャーというかゾンビというか,ともかく敵という名のストレスと,それを倒すことで得られる爽快感に楽しみを見出すものが多いじゃない? でも,このゲイムの場合,純粋にストーリー展開だけでプレイヤーを遊ばせ続ける力がある。
要するに,感染者が続出していて,それに伴う絶望感が大前提にあるストーリーを描くにあたって,敵の強さも武器の少なさも,すべてそれを邪魔しないために調整されているのよ。敵との戦闘やそれにまつわる各種要素は,ストーリーを際立たせるためのスパイスとでも言えばいいのかしら。このあたりが,本当に緻密に作られてると思う。
そのうえで,親子のようなおっさんと少女の関係性までをも描いているわけだから,こりゃもう,ストーリー性の強いゲイムが好きな人にとって,至高の作品となり得ると思うわ。逆に,気楽に敵をバンバン撃って倒したい派には,ちょっと合わないかもしれない。なので,選ぶときには気を付けてほしいわね。
そして「ゲイムから何かを得たい」とか「ゲイムから学び取る何かはきっとある」という気持ちがあるならば,その期待に応えてくれる作品だとも思うわ。
もっとも私は,ゲイムをプレイするのに理由なんていらないと思っているんだけどね。単に好きだからプレイしている。その結果,何かを学び取ることもあるし,何かを得ることもある。ゲイムをプレイすることが目的であって,何かを学び取るためにプレイしているわけじゃない。趣味ってそういうもんじゃない? 好きだから趣味にしてる。それで十分。
ゲイムをプレイしているときだって,思いどおりにいかなくてイライラすることもある。対戦モノで負けてモヤモヤすることもある。でも,ゲイムをプレイすることが目的だから,そのイライラもモヤモヤも結局は趣味の一環なの。興味のない人から見ればゲイムって不毛かもしれないけど,いろいろな楽しみが選べるから私は好きなのよ。
このアスは,映画的なものを楽しみたい人や,そういうゲイムが好きな人にはバッチリおススメよ。
さて,ここからどうでもいい話に移るわ。どうでもいい話から始めてゲイムの話に入るというパターンではなく,ゲイムの話から入ってどうでもいい話につなぐという,いつもとは逆の形ね。
アスをプレイしていて思ったことがあるの。それは,武器って何なんだろうか? ということ。
アスでは,その場に落ちているものが武器になったりするんだけど,敵と戦うには武器が必要なわけじゃない? その“武器”って何なんだろうな? って。
世の中には戦いが蔓延してるわ。誰かよりも数字を稼がなければならない,誰かよりも優れてないといけない,誰かよりも好かれなければならない。喧嘩は良くない,他人と比べるのは良くないと我々は教えられてきたけども,この世の中は争いばかり。
喧嘩は良くないし,他人と比べるのも良くない。それ自体は間違っちゃいない。けど,それプラス世の中に戦いがあるってことは子供達にちゃんと教えないといけないと思うの。
みんなで手をつないでゴールだなんて,確かに理想かもしれないけど,そんなの現実的ではないわけ。戦いがあれば,その結果として順位は生まれるんだから。では,戦うにあたって,自分の武器は何か? それをみんなが考えられるような教育こそ,理想だと思うんだけども……。
実はプロレスラーもそうでね。プロレスって,みんなが戦う場なんだけど,プロレスラーの強さって一つの物差しで測れるようなものではないの。ほかの人の強さとあなたの強さは何が違うの? という質問に対して,自分なりの説明をできる人が,プロレスという世界観の中において強い人なんだと私は思っているわ。
ゲイムの世界もきっとそうね。内部のことは何も知らないから憶測だけど,作り手が面白さを突き詰めるのは当たり前のこと。じゃあほかのゲイムの面白さと何が違うの? これが大切なんだと思う。
教育の場でも,一生懸命やれってところまでは教えるわ。でも,「正しい方向で」が抜けてる気がする。頑張ってるからレギュラーになれるわけじゃない。頑張ることが目的じゃない。勝つためにどういう武器を持ったらいいかを考えて,その武器を育てるために頑張らないと。
アスは映画性を武器に設定して,そのためにゲイム作りを頑張った。だから面白い。少なくとも私にとって面白いゲイムではある。
はい。アスをプレイしながら,いっぱい武器を持つって難しいなあと思ったって話でした。
さて,今週はついに「新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女」発売! でもまだ「真・女神転生IV」をクリアしきってないし,「バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション」はキャンペーンモードこそクリアできたけどRAIDモードはまだまだだし,「テラリア」も納得いくとこまでは進んでないし,このまま新・世界樹の迷宮を買ってしまったら,久しぶりにゲイム迷子になってしまいそう! 迷宮だけに。……ええ,これが言いたかっただけですよ?
また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「The Last of Us」
PlayStation Vita:「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「真・女神転生IV」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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(C)2011 Sony Computer Entertainment America LLC. The Last of Us is a trademark of Sony Computer Entertainment America LLC.Created and developed by Naughty Dog.
- The Last of Us (ラスト・オブ・アス) (初回同梱特典 豪華3大コンテンツのDLプロダクトコード(サウンドトラック、カスタムテーマ、アバターセット) 同梱)
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