連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第401回「買って良かった巡業万歳!」
これすなわち週末にはプロレスをしに地方へと赴く日々。言い換えると,10分前後の試合のために,数時間かけて移動する日々。いや,そのこと自体に不満はないわよ。だってその1試合10分前後,大会のトータルでいうと2時間強を楽しみに見に来てくれる人がいるんだから。待っている人が一定数いる限り,私達はどんな地方にでも行くわよ。笑顔を届けたいからね!
ただ,一定数っていうのがポイントで。移動費や宿泊費ってものがけっこうかかるわけで,それらを捻出できるぐらいの人数に待っていてもらえないと,地方で開催するのはなかなか難しいのよね。なんせ,仕事だからね。
選手としては,行くと決まった土地に笑顔と夢と明日への活力を届けるのは望むところなんだけど,会社としてビジネスを考えたときには事情が変わってくる。このことはプロレスだけじゃないんだけどね。一般社会でも,会社という組織は社会奉仕と金銭勘定のはざまで葛藤しているものよ。だから,笑顔を届けたい一方で金銭勘定的にそれがかなわないケースもある。簡単じゃないわよね。
で,話はがらっと変わるけど,私はこういった自分の考え方をなるべく言語化するようにしているの。もちろん,この連載のような場をいただいているからという理由もあるわ。何を隠そう私,本業はプロレスラーで,副業がゲイムライターなものでして。でも理由はそれだけでもなく,自分の考え方を言語化しておくと便利なのよ。
もし自分の考え方が間違っていて修正したくなった場合に,言語化しておいたほうがさかのぼりやすいからね。「ここまでは正しい,ここからがちょっと間違っていたのかな」って具合に。だからこそ,ハッキリ明記しておくと確認しやすいのよね。この連載で書くこともあれば,とくに誰に見せるでもないところでも書いておく。もしくはメモしておく。そうやって自分の考え方をまとめておかないと,自分でも分かんなくなっちゃうのよ。自分の考え方が。
なんでこういう話をしたかというと。書いてあったメモを見たら,まったく覚えがなくてビックリしたからなのよ。どういう内容だったかというと,「買って良かった巡業万歳!」。……何なんでしょうね。恐らく,「モンスターハンター ストーリーズ」(以下,モンハン ストーリーズ)の話だとは思うの。実際に買って良かったって思っている自分がいるから。ただ,残念ながらどういうテンションで書いたのか,一切覚えていないという。いつ,こんなメモを残しておいたのかすら覚えていない。
泊まりの地方巡業って,ホテルでの時間を持て余すのよ。ご飯をおごった見返りにお尻触るからかどうかは分からないけど,私,後輩から慕われていないのよね。だから誰かとご飯に行くこともあまりない。なので,ホテルでの時間潰しのために買ったのよね,モンハン ストーリーズを。
その結果が前述の謎のメモにつながったんだと思う。まさに「買って良かった」。面白いのよちゃんと。RPGとして。モンハンの世界観をRPGに落とし込めてる。ただまあ,これは予想どおりではあるわよね。でもね,ちゃんとRPGである理由も見えてきたの。それがタマゴのふ化。この要素がRPGとしても面白いし,モンハンとしても面白いのよ。
正直,一瞬思ったわ。「ずるいよ,世界観がモンハンありきじゃねーか」と。今までのモンハンシリーズに出てくるモンスターがタマゴから生まれるんだけど,そのモンスターがどういうモンスターで,どんな性質を持っているかっていうのは,シリーズをヤっている人じゃないと見た目からはイメージしにくいのよね。
例えば,ネルスキュラなんかは,明らかに強そうな見た目なのに,全体的な格としてはやや低い。これってシリーズをヤっている人にしか伝わらないでしょう? だから,ずるいと思っちゃったのね。
でもね,思い直した。考え方の間違いをさかのぼって修正した。モンハンありきで何が悪いのか,と。そもそも,このゲイムがモンハンありきなのに,モンハンありきじゃねーかという不満を持つのが間違っている。炭酸飲料を飲んで「シュワシュワじゃねーか!」ってキレるようなもん。ほかのゲイムだったらそのキレ方も分からなくはないのよ。元ネタを知らずにプレイする可能性もあるからね。
でも,モンハンは違うの。もはや国民的ゲイムの一つだから。作り手の立場に立った場合,このゲイムを作るにあたってプレイヤーがモンハンを知らないなんてことを懸念する必要がない。さっきの一定数の論理じゃないけど,このゲイムをプレイする人の多くはモンハンシリーズのファンだろうからね。プレイする人が期待するのは「どれだけ“RPGのモンハン”なんだ?」って部分だと思うの。
そういう意味ではちゃんとモンハンだから,そこらへんを不安に思ってスルーしている人がいるならば安心してほしいわ。それでいて,ちゃんと初めてプレイする人のことは無視していない。この点には好感が持てたわ。
確かに世界観は“モンハンありき”ではあるんだけど,かといってモンハンを知らない人に対して不親切なわけでは決してない。チュートリアルもしっかりしてる。つまりは面白いのよね。
さすがとしか言いようがないわ,カプコンさん。モンハンでRPGを出す理由が分かったわ。その答えはけっこうシンプルで,モンハンの世界観でモンハンとは違った面白さを提供しますよってこと。そして,それが見事に成功している。ひょっとしたら,この面白さはモンハンの力を借りなくとも成立したかもしれない。でも,モンハンであることで面白さが何倍にもなっている。
スピンオフって,かくあるべきだなと思ったわ。だって,この作品によって損する人は誰もいないんだもん。もちろんジャンルによる好き嫌いはあるわよ。ハンティングアクションのモンハンが好きだって人もいるでしょうよ。でも,違うアプローチでRPGのモンハンが好きって人もいるでしょう。RPGだから,反射神経なんかを必要とするタイプのゲイムの腕前は,ほとんど必要ない。根気さえあれば誰でもある程度はクリアはできる。
そういう意味で腕前よる格差も生まれない。こんなモンハンがあってもいいじゃない。誰も損しないし,もっとモンハンの世界を好きになる可能性だってあるわ。
ともかく,たぶん私が寝ぼけてメモした「買って良かった巡業万歳!」が,モンハン ストーリーズへの印象を端的に表しているということ。巡業があることによって,こんな面白いRPGをスルーせずに済んだ。これは私の人生においてラッキーだったと言わざるを得ないわ。出会えなかったかもしれない楽しさに出会えたんだから。
なので,もし先入観でスルーを決め込んでいるモンハンファンがいるならば,ぜひプレイしてみることをオススメしたいわ。ちゃんとモンハンを踏襲したうえで面白いから。
というわけで,今後も私,いろいろと地方巡業へ赴きます。ゲイムもそうなんだけどプロレスもね,楽しい時間をお届けすることに変わりはございません。あなたのお住まいの近くにプロレスがやってきたら,ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。きっと,今持っているプロレスのイメージの数倍楽しいこと請け合いです。モンハン ストーリーズのようにね。そんな感じでまた来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ウイニングイレブン 2017」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター ストーリーズ」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
モンスターハンター ストーリーズ
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