連載
インディーズゲームの小部屋:Room#444「MANDAGON」
ゾロ目でなんとなく縁起がいい「インディーズゲームの小部屋」の第444回は,Blind Sky Studiosの「MANDAGON」を紹介する。本作は,チベットの神学や哲学にインスパイアされた横スクロールアクション。チベット仏教ニンマ派の経典である「チベット死者の書」が説く,生と死の中間の状態「バルド」を描いたという,ドット絵による独特で緻密なアートワークが大きな魅力だ。
プレイヤーが操作するのは不思議な石像で,ジャンプを駆使してマップを探索しながら,あちこちにある6つの石碑を起動させるのがゲームの目的となる。ただし,石碑を起動するためには,それにはめ込む小さな石版が必要で,まずはこれを見つけ出さなければならない。
石版は石碑の数と同じ6つあり,それぞれマップ上に点在する小屋の中に安置されている。本作には敵が一切登場しないので安心して探索に専念でき,雪が残るチベット高地の寺院を思わせる背景は新鮮で,退屈に感じることはないだろう。また,マップ上にはエレベーターのような仕掛けや,一時的に飛行能力を与えてくれる石像などの,ちょっとしたギミックも用意されている。
そして,ところどころにある不思議なオブジェからは,本作のストーリーらしきものを読み取ることができる。ゲームを開始して最初に見つかるオブジェのメッセージは,ゲームを進めるためのヒントになっているが,それ以降のものについてはかなり謎めいており,正確な意味はよく分からない。だが,どうやら病死した娘を,わが身を捧げて救おうとする父親(=主人公)の話ではないかと思われる。あんまり自信ないけど。
本作は,普通にプレイしても1時間もかからずにクリアできる小作品で,Steamを通じて無料で配信されている。2016年8月4日のリリース以来,記事執筆時点ですでに1300件以上のユーザーレビューの投稿があり,そのうちの96%が高評価を付けているなど,その独特の世界観とストーリーに多くの人が心を奪われている。チベット仏教をテーマにした素晴らしいアートワークだけでも一見の価値があるので,興味を持った人はぜひプレイしてみてほしい。
■Blind Sky Studios公式サイト
http://blog.blindskystudios.co.uk/- この記事のURL:
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