連載
インディーズゲームの小部屋:Room#547「The Messenger」
強風で吹き飛ばされそうになりながら出社してきた筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第547回は,Sabotageが開発した「The Messenger」を紹介する。本作は,悪魔に支配された世界で一人の忍者が使命の旅を繰り広げるという横スクロールアクションだ。信号機の支柱がぐらぐら揺れて,見ているだけで怖い……。
本作の舞台となるのは,人類を根絶やしにするため,悪魔の軍団が再び地上に現れるという言い伝えが残る,滅びた世界。人類最後の生き残りである忍者の隠れ里では,その来たるべき日に備え,鍛錬が続けられていた。そして里が,ついに復活した悪魔の襲撃を受けたその日,一人の若き忍者がとある使命を携え,危険に満ちた世界へ旅立った……。
というわけで,プレイヤーはその名もなき忍者となって,悪魔の軍団と戦いながら旅をすることに。その使命とは,主人公の危機を救った“西の英雄”と名乗る謎の人物から託された巻物を,はるか遠方の氷河山の頂上で待つという三賢者に渡すことだ。
ひと目見れば分かるとおり,本作は「忍者龍剣伝」にインスパイアされた作品で,8bit風のグラフィックスから漂ってくる雰囲気はまさに当時のまま。筆者は昔,「忍者龍剣伝」をさんざんやり込んだだけに,懐かしさで胸がいっぱいだ。とは言え,本作はただ懐かしいだけのゲームではなく,現代風のアレンジを盛り込んだ横スクロールアクションに仕上がっている。
基本となるのはジャンプと刀による攻撃だが,忍者らしく垂直の壁に張りついたり,手裏剣を投げて攻撃したりもできる。また,灯籠を壊したり,敵を倒したりすると入手できる「時のかけら」を集め,ステージの途中にあるお店で主人公をパワーアップするという要素もある。ゲームを進めると,店主がサービスで忍具をくれることもあり,これによってムササビの術のように滑空したり,鉤縄を使って移動したりといった新しいアクションが可能になる。
ゲーム難度は「忍者龍剣伝」ほど難しくなく,軽快な動きで気持ちよく敵を蹴散らす楽しさを味わえるのが本作の魅力で,変化に富んだステージ構成も素晴らしい。また,丁寧な日本語ローカライズのおかげで,敵のボスやお店の店主とのユーモアたっぷりな会話を楽しめるのも嬉しいところで,プレイ中は思わず何度も吹き出してしまった。
そして,公式紹介文に「8bitと16bitの世界を行き来しながら呪われし土地を探索しよう」とあるように,本作にはある大きな仕掛けが隠されている。確かに8bit風のグラフィックスのゲームだが,16bitの世界とは何なのか。その答えは,ゲームの中盤で明らかになるので,気になる人はぜひ自分の目で確かめてほしい。そんな本作のPC版はSteamにて2050円で,Nintendo Switch版はニンテンドーeショップで1980円(税込)で発売中。オススメです。
■「The Messenger」公式サイト
http://www.sabotagestudio.com/- この記事のURL:
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