連載
インディーズゲームの小部屋:Room#574「APE OUT」
近頃はライトセイバーを振り回して,飛んでくる箱を真っ二つにしている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第574回は,Devolver Digitalの「APE OUT」を紹介する。本作は,研究施設から脱走したミュータントゴリラとなって,人間達を蹴散らしていくというアクションゲームだ。うう,普段は箸より重いものを持たないので筋肉痛が……。
本作のゲーム性をひと言で表現すると,ゴリラが主人公の「Hotline Miami」といったところ。詳しい事情は分からないが,このゴリラは何かの実験によって生み出されたミュータントだと思われ,研究施設のような場所に捕らわれている。ゲームの目的は,檻を破壊して脱走したミュータントゴリラを操作して,追っ手を振り切って逃げ延びることだ。
人間達は銃や火炎放射器などで武装しており,こちらを見つけると容赦なく攻撃してくるが,ゴリラが取れるアクションは「押す」と「つかむ」の2つだけ。ゴリラなので,相手が落とした銃を拾って使うといったことはできず,持ち前の怪力だけが頼みの綱だ。押すというよりは,ものすごい勢いで相手を突き飛ばし,壁に叩きつけるのがメインの攻撃方法となる。敵同士をぶつけるとまとめて始末できるので,うまく狙っていきたい。
また,ゴリラは身を守る手段として,人間をつかんで盾にすることもできる。つかまれた相手は苦し紛れに銃を乱射するので,これを利用して周囲の敵を巻き添えにしてやろう。弾切れで用済みになった盾は,生き残っている人間に向かって投げつけてやれば一石二鳥だ。ウワハハハハ! ひれ伏せ,人間共よ!
しかし,ここまでやっても圧倒的な数の暴力の前に,プレイ中,ゴリラは何度も力尽きること間違いなし。前衛アートのようなビビッドなグラフィックスにうっとりし,激しいジャズドラムのBGMに身を任せて,ひたすら戦いに明け暮れることになるだろう。ハイペースで死と復活を繰り返していくうちに,気づけばどっぷりとこの暴力的な世界にのめり込んでいるという,中毒性の高いゲームに仕上がっているのだ。
本作では,各ステージをジャズのアルバムに見立てており,ステージの前半をA面,後半をB面と表現しているのも面白いところ。ステージ構成は研究施設に始まり,超高層ビル,戦場,巨大タンカーと変化に富んでおり,ゲームが進むほど敵の攻撃も激しさを増していく。たかがゴリラ相手にロケットランチャーを持ち出すのは卑怯でしょう……。本能のまま,ゴリラのように暴れ回りたい人に,ぜひオススメしたい。そんな本作はSteamにて,1480円で発売中だ。
■「APE OUT」公式サイト
https://www.apeout.com/- この記事のURL:
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