連載
インディーズゲームの小部屋:Room#644「CARRION」
最近,タイピングの速度と精度が落ちてきているのを実感している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第644回は,Phobia Game Studioが開発した「CARRION」を紹介する。本作は,どのように生まれたのかも分からない謎の生物となり,人間達を恐怖のどん底に突き落とすというアクションゲームだ。こ,これは老化じゃなくてキーボードが悪いんだからね……!(八つ当たり)
本作の主人公は,無数に絡まり合ったイトミミズのような,たくさんの触手を持つ肉の塊としか言いようがない謎の生物。研究所のような場所でガラス容器に入れられていたこの生物が,あるとき容器を破壊して逃げ出し,周囲の人間達を捕食しながら施設からの脱出を目指すというのがストーリーだ。ホラーSFのお約束とは言え,どうして人はこういう危険な生き物をガラス容器に入れておくのだろう……。
この謎の生物は,触手を巧みに使って床や天井を自在に動き回り,不定形の体を活かして狭いダクトや排水溝でも移動できる。そして愚かな人間共の死角からそっと触手を伸ばして捕食することで成長し,自らの体を大きくしていく。悲鳴をあげて逃げ惑う研究員に襲い掛かり,容赦なく血祭りに上げていくさまは,まさにホラーSFのモンスターそのもの。心の中で思わず高笑いを上げながら,悪役プレイに熱中してしまう。
しかし,一見すると無敵のように思えるこの生物だが,実は見た目以上に打たれ弱いので要注意。銃で撃たれるたびに体が小さくなり,立て続けに銃弾を浴びるとたちまち瀕死になってしまう。ゲームを進めると,マシンガンや火炎放射器で武装し,触手をはじく盾を構えた兵士などの強敵も登場。複数の兵士から狙われて逃げ回っていると,「おのれ人間,こんなか弱いモンスターをいじめやがって!」という気持ちにもなれる。
では,どうやって卑怯な人間共に対抗すればいいのか。1つはすでに書いたように,死角からの不意打ちだが,もう1つの方法は新たなDNAを吸収し,能力を強化することだ。
施設内にはモンスターが閉じ込められていたのと同じようなガラス容器がいくつもあり,これを破壊して取り込むことで新たな能力を獲得できる。中でも面白いのは,触手を伸ばして寄生した人間を意のままに操る能力で,同士討ちでほかの兵士を襲わせたり,スイッチを操作させて隔壁のロックを解除したりと,さまざまな使い方ができる。
体が大きくなるほど,思うように動かすのが難しくなる不定形のモンスターとなり,触手で人々に襲い掛かるプレイ感覚は新鮮で爽快感も抜群。いかにもホラーSFらしい,おどろおどろしいBGMも雰囲気を盛り上げてくれる。パニックホラーの悪役気分をこれでもかと味わえる本作のPC版は,Steamにて2050円で発売中。またNintendo Switch版とXbox One版も各オンラインストアでダウンロード販売されているので,ホラー映画の悪役になってみたいと思っていた人はぜひどうぞ。オススメです。
■「CARRION」Steamストアページ
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