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2K Games,サンフランシスコで「Borderlands」のイベントを開催。FPSとRPGをミックスしたBorderlandsとは,果たしてどんなゲームなのか?
2K Games,サンフランシスコで「Borderlands」
のイベントを開催
北米のパブリッシャである2K Gamesは,2009年10月に発売を予定しているFPS「Borderlands」(PC/PLAYSTATION 3/Xbox 360)のメディア向け体験会を現地時間7月21日,カリフォルニア州サンフランシスコで開催した。
イベントでは――メディア向けとしてはほぼ初となる――Borderlandsのテストプレイが行われたほか,開発を担当するGearbox Softwareの創設者であり社長でもあるRandy Pitchford氏への個別インタビューなどが行われたので,ここではまず,プレイレポートからお伝えしたい。
「Borderlands」Randy Pitchford氏インタビュー
Borderlandsを開発しているのは上述のようにテキサスのGearboxで,Brothers in Armsシリーズのヒットによって日本でも知られるようになったデベロッパだ。現在は,このBorderlandsのほか,(状況がどうなっているのか情報が少ないが)SEGAが2010年に発売を予定している「Aliens: Colonial Marines」(PC/PLAYSTATION 3/Xbox 360),そしてタイトルが公表されていない作品を数本抱える,このところなかなか忙しそうなメーカーでもある。
Brothers in Armsシリーズが,FPSとしてカテゴライズされながらもRTSのようなシステムが特徴的だったように,このBorderlandsも,一応ジャンルはFPSとされているものの,RPG的要素を多分に持ったクロスオーバー的な作品だ。会場には,4〜5台の試遊機が置かれていたが,すべてXbox 360版で,HDDにインストールされていたのは「βの少し前」のバージョンとのこと。
Borderlandsの舞台となるのは辺境の惑星「Pandora」だ。かつてここは「有用な未知の資源が眠っている」として,ある大企業が率先して開発を進めていたが,やがて撤退し,現在は,ならず者やトレジャーハンターばかりが残る無法の惑星になっている。惑星のあちこちにはかつての採掘場や街の跡が残り,そこを土着の凶暴な生き物が徘徊しているという状況だ。
あくまで個人的観測だが,なんとなくその大企業がストーリーにからんできそうだし,また未知の資源を含む,今は滅びたPandora文明のアーティファクトなんかも出てきそうな気配がするが,間違ってたらごめんなさい。
マップはかなりの広さを持っており,また移動の際にローディングは発生しないとのこと。そんなマップを自由に行き来して,請け負ったミッションをクリアしていくというGrand Theft Auto風のゲームシステムになっているわけだが,完全なオープンフィールドではなく,ゲームが進むにつれてアンロックされる土地が増えていくようだ。このへんもGTAプレイヤーならおなじみだ。ゲートに阻まれて先に行けないといった状況のほか,ビークル類が手に入るまで,単純に遠すぎて行くのが面倒な場合もあるらしい。
本作には四人のキャラクターが登場する。Mordecai(モルデカイ)はハンタータイプで,狙撃など遠距離からの攻撃が得意。ごついBrick(ブリック)は見た目どおりのタンクで,近接攻撃に秀でている。Roland(ローランド)はソルジャーで,攻守揃ったバランス型。そして紅一点のLilith(リリス)はさまざまな特殊技能を使いこなす。プレイヤーはこの四人から一人を選んでゲームに入っていくわけだが,キャラクターメイキングなどはとくになかった。
広大な土地を自由に行き来して
ミッションをクリアするシングルプレイ
というわけで,まずはシングルプレイ。スタート地点の「Arid Badlands」と呼ばれる土地は辺境の惑星というより,アメリカ西部開拓時代のゴーストタウンといった風情で,当然ながらそれを狙っているのだろう。SFウェスタンだ。
6月5日に掲載したE3 2009レポートにもあるように,3か月ほど前にアートスタイルがガラリと変更され,フォトリアルともカートゥーン調ともいえない独特なものになっているが,太い枠線付きで描かれるオブジェクトやデフォルメされたキャラクターなど,プレイしていて違和感はまったくない。
似ているとすれば,Ubisoft Entertainmentの「Prince of Persia」(PC/PLAYSTATION 3/Xbox 360)だが,本作では“ハンドペインティングレンダリング”と名付けられた独自技術が使われているという。なぜ完成間際の段階でここまで徹底的にアートスタイルを変えたのか? そこにはどういう意図があり,技術が使われているのか? といったことは,Pitchford氏へのインタビューにまとめる予定なので,そちらを参照してほしい。いずれにせよ,グラフィックスの雰囲気は個性的である。
オープニングムービーおよびチュートリアルは別途用意されるとのことだったが,プレイを始めるとプレイヤーの目の前にはClaptrapと名乗る小さなロボットがいて,うるさく話しかけてくる。まずは,このチビスケの指示に従ってジャンプやオブジェクトの拾い方,修理の仕方などを学ぶわけで,まったくのチュートリアル。このへん,ちょっと分からないが,まあ,βより少し前のバージョンということで。
やがて,敵が出てきて銃撃戦になる。個人的にコントローラでの撃ち合いがあまり得意ではないので苦労したのだが,被弾ダメージは少なめとはいえ敵も非常に硬い印象が強かった。もちろんこれが最初の撃ち合いで,おそらくゲーム中最弱の武器を使っているせいもあるだろうが,ヘッドショットが決まって“Critical”の表示が出ていながら立ち上がってくるヤツもいたりして,なかなか撃ち倒せない。
そのようにして敵を倒すと,ClaptrapはプレイヤーをDr.Zedのシェルターに連れていく。Dr.Zedが与えてくれる最初のミッションは,荒れ地をうろつく犬のような野生動物,Skagを5匹殺すことだ。それが終わると,自動販売機で防具の一種,Med Bender Shieldを買うことへと続く。このように,銃やアイテム(防具や回復薬など)はおおむね自動販売機で買うのが前提だ。費用はミッションをクリアして得られる報酬のほか,あちこちを探すとお金が落ちているので,それを拾い集めればいい。
RPG的な要素が強いとはいえ,NPCとの会話はシンプルで,ダイアログツリーは用意されておらず,こちらは基本的に向こうのオファーを受けるか受けないかを選ぶだけだ。そのため,Dr.Zedは身振りも手振りもなくそこに棒立ちで,いささか素っ気ない。いずれ個性的な人物が登場してくるのかどうかは分からないが,序盤のNPCはただ単に仕事をくれる存在だ。
具体的な数は教えてもらえなかったが,Borderlandsには複数のミッションから構成されるチャプターが30ほど用意され,さらに,メインミッションに匹敵する種類のサブミッションがあるとのこと。四人のキャラクターの誰を選んでもメインストーリーの展開は同じだが,サブミッションをクリアしてさまざまな武器/アイテムを獲得することで,プレイヤーキャラクターに個性が出せるというゲームデザインだ。RPGのように,時間と手間をかけてキャラクタースキルや武器をレベルアップするプレイスタイルもいいし,FPSのように自分の腕を頼りにゲームをどんどん進めても構わないのだろう。
続いてDr.Zedは,「盗賊を8人殺す」というミッションをくれる。下のスクリーンショットを見てもらえばお分かりのように,ミニマップは表示されないものの(マップを呼び出すことは可能),向かうべき大ざっぱな方向はゲージに示される。また,自分のヘルス値や防具の耐久度,残弾数,敵に与えたダメージなども表示されるので,ゲーム画面はなかなか賑やかだ。最近のFPSで流行りの「HUDレス」とは逆方向のユーザーインタフェースを採用しているわけだ。
盗賊を8人撃ち倒せば,即座に「ミッション終了」の文字が浮かび,報酬がどこからともなく入り,次に向かうべき方向が表示されるという分かりやすさ。プレイした範囲に限って言えば,それぞれのミッションは5〜10分ほどで終了し,レベルアップの頻度も高い。
経験値はミッションをクリアすることや敵を倒すことで得られ,また同じ武器を使い続けていると,その武器に関する練度も上昇するようだ。ちなみにキャラクターのスキルはツリー形式になっており,得られたポイントを好きなように割り振るスタイルになっている。
スキルはキャラクターごとに異なっており,我々がプレイしたRolandの場合,「Infantory」「Support」,そして「Medic」の三つのカテゴリにそれぞれ7種類ずつ,計21個のスキルが用意されていた。特殊な火器が使えるようになる「Scorpio Turret」,グレネードがパワーアップする「Grenadier」,近くの仲間を蘇生できる「Revive」など,内容は豊富だったが,まあ,ありがちなものが多いような印象もある。もっとも,魔法使い役のLilithの場合,姿を消したり念力パワーを使ったりといった,普通のFPSではまずお目にかかれないようなスキルを持っているらしく,ギャル,侮りがたし。
Skagに盗まれた食料を取り戻したり,人に会って情報を得たりと,ミッションを五つほどクリアした時点で約30分のテストプレイはタイムアップになった。これからいよいよ面白くなってきそうだ,というあたりだったのでちょっと残念だったが,じゃ,続いてマルチプレイ。
アリーナシステムがユニークなマルチプレイ
BorderlandsのマルチプレイはCo-opが基本となる。テストプレイでは「Canyon」と呼ばれるマップが使われたが,これは文字どおり谷底の一本道で,そこを四人一組で前進していくという設定だ。敵の来る方向が決まっているので分かりやすいが,いきなりレベルを20に上げてさまざまなスキルを使えるようにしてもらったものの,その使用にもあまり慣れていなかったため,お世辞にもチームワークが取れていたとは言い難かった。早い話,あれよあれよという間にやられて,やがて終わってしまった印象だ。
マルチプレイに関して特筆すべきは「アリーナ」の存在だろう。本作も最近のコンシューマタイトルの例に漏れず,他人のゲームに飛び込んでシングルプレイを一緒にクリアするというフィーチャーが用意されているが,とはいえ,たまにはプレイヤー同士で戦いたいときもあるかもしれない。「おまえとオレ,どっちがいけてるか,勝負だ」という感じかもしれない。違うかな?
そのためにマップのあちこちにアリーナが用意され,そこを使ってジャンプインしてきたほかのプレイヤーと勝負できる仕組みになっている。詳細はPitchford氏へのインタビューに譲りたいが,デスマッチやチームデスマッチ,デュエルといったゲームモードがアリーナごとに用意されており,シングルそっちのけでマルチに突入可能なのである。
こうした,シングルとマルチの垣根が低いゲームシステムは,現在開発中のいくつかのタイトルが標榜するトレンドの一つだが,Borderlandsではアリーナシステムによってそれを実現しようとしているわけだ。実際にプレイすることはできなかったが,話を聞く限りは興味深い仕掛けだ。友達なくしそうな気もするけど。
2007年の開発発表以来,E3,GC(Games Convention)などで公開されてきたBorderlandsだが,正直,いま一つ紹介しづらいタイトルであったことも事実。「RPGとFPSの融合」「数万種類の武器が自動生成」といったコピーは分かりやすいが,前例に乏しいだけに,それが面白いかどうかを評価しようがなく,また以前のグラフィックスは美しかったが,やはり既視感は避けられなかった。
アートスタイルを変更して一皮むけた本作は(短時間のプレイではあったが),かなりユニークな作品に仕上がりつつあるようだ。7月24日に掲載した記事にもあるように,アジア地域では2009年10月23日のリリースが発表されており,開発も順調とのこと。続編やシリーズ物が花盛りの欧米ゲーム市場に新IPをもって挑戦するBorderlands。RPG人気の高い日本でもヒットしそうな雰囲気があるだけに,ローカライズの話題なども期待したい。
「Borderlands」Randy Pitchford氏インタビュー
「Borderlands」公式サイト
- 関連タイトル:
ボーダーランズ【日本語マニュアル付英語版】
- 関連タイトル:
Borderlands
- 関連タイトル:
Borderlands
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