インタビュー
サービスイン4周年を目前に活発な展開を見せる「桃色大戦ぱいろん」。その好調の理由を,白川 龍プロデューサーに聞いてみた
今回,「桃色大戦ぱいろん」の展開が,ここに来て活性化している理由や今後の展望などを,同作のプロデューサーを務めるエクストリームの白川 龍氏に聞いてみた。
「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」公式サイト
最大の特徴はそれぞれ異なる世界観を持たせた100人超のオリジナルキャラ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。4Gamerでの「桃色大戦ぱいろん」に関するインタビューは初めてということで,まずは白川さんがこのタイトルにどのように関わっているのか教えてください。
「桃色大戦ぱいろん」はさまざまなプラットフォームで展開していますが,私はその元祖と言えるPCオンライン版「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」から本タイトルに携わっており,現在はモバイル版を含めた関連タイトル全般のプロデュースをしています。
4Gamer:
PCオンライン版のサービスインが2008年9月ですよね。4年近くサービスを継続できた要因──プレイヤーにとっての魅力をどう分析していますか?
白川氏:
何よりまず,基本が麻雀ゲームですから,老若男女,幅広い層に遊んでいただけることが挙げられます。
次に,このタイトルの特徴である,さまざまなイラストレーターの描く二次元美少女キャラと,著名な声優陣の起用が大きな魅力になっていると思います。実際,アニメやコミック,ライトノベルが好きな10〜30代の層が厚くなっていますし。
4Gamer:
確かに,毎週のようにオリジナルキャラが追加されていますよね。
白川氏:
実際,今でも月に3〜4人追加しています。
4Gamer:
現在,キャラクターは何人になったのでしょう?
白川氏:
2012年6月13日(インタビュー収録日)の時点でオリジナルキャラ104人,コラボレーションキャラも100人以上になっています。
4Gamer:
単純にすごい数ですよね。2〜3役を兼ねた方もいるとはいえ,それぞれに声優さんもいますし,公式サイトの出演声優紹介ページは壮観です。その中で,特別なキャラはいますか?
白川氏:
2012年5月に100人目のオリジナルキャラとして登場した「桃鈴」ですね。80人を越えたくらいから,「これは100の大台に乗る」と意識して,それ以降,どういう形にすれば100人目の記念キャラとしてプレイヤーに受け入れられるかを考えていました。
サービスイン時にイメージキャラとして吉崎観音さんに描いていただいた桃鈴なら,公式サイトやゲームのロード画面に登場するので,どのプレイヤーも必ず知っているだろうと,正式にゲーム内に登場させることにしたんです。
4Gamer:
そういえば,ゲーム内キャラクターとしては登場していなかったんですね。それで「0人目にして100人目の少女」というキャッチコピーが付いたわけですか。
白川氏:
ええ。実は,オリジナルキャラにはそれぞれ背景となる世界観があり,一人一人が異なる世界から「桃色大戦ぱいろん」の世界にやってきているという設定なんです。なので,それぞれのキャラクターが独立して関係性がない中で,桃鈴だけはすべての世界に干渉できるという設定になっています。
4Gamer:
そんな設定があったんですか。ところで,声優さんの名前を見て思わず反応してしまったんですが,桃鈴のボイスは國府田マリ子さんなんですね。
そうです,声優界のレジェンドです!(笑) これも100人目ということでかなりこだわって,國府田さんを起用しました。國府田さんにも非常に喜んでいただけて,未だにTwitterなどでゲームの宣伝をしてくださるんですよ。
4Gamer:
すごく思い入れがありそうですね(笑)
白川氏:
実は吉崎さんと國府田さんというと,往年のシューティングゲームでお馴染みですよね。私自身も子供のころからファンなので,そういう意味で桃鈴は個人的にも非常に思い出深いキャラになりました。
人気の声優には積極的にオファーを出し,イラストレーターとは信頼関係を築く
4Gamer:
「桃色大戦ぱいろん」というと,やはり声優陣の豪華なラインアップが目を引きます。桃鈴は別としても,声優さんの選択について,何か基準はあるんですか?
もちろんプレイヤーからのリクエストを踏まえていますが,今後リクエストが増えるであろうと予想できる方にも積極的にオファーを出しています。その一方では,キャラクターに合うボイスかどうかを重視して,新人の方を起用することも多いんですよ。
4Gamer:
人気の声優だと,多忙を理由にオファーを断られることもあるんじゃないかと思うのですが。
白川氏:
正直な話,企画開発当初はかなり厳しかったですね。オンライン麻雀も,美少女をウリにしたゲームもたくさんありましたし,何より麻雀ゲームで“桃色”云々というタイトルだと,やはり脱衣麻雀を連想されてしまうんです。そこで「成人向けはちょっと……」となってしまうことも多々ありました。
4Gamer:
あー,確かにイメージしてしまうかもしれません。
白川氏:
そんな中,釘宮理恵さんと植田佳奈さんにご参加していただけて,このタイミングから,少しずつ知名度が上がっていきました。ですのでサービス初期は,お二人をはじめ声優さんのネームバリューをお借りしていたと言っても過言ではありません。
4Gamer:
今ではもう,そんなこともないんですか。
白川氏:
もちろん今でもネームバリューにお力をいただいてるところがありますが,おかげさまで,今では一定以上のプレイヤー数を獲得していますし,多くの声優事務所さんにもどんなゲームかご理解いただいていますので。
4Gamer:
これだけ豪華な顔ぶれだと,声優目当てでゲームを始めるプレイヤーも多そうですね。
白川氏:
多いと思いますよ。中には,麻雀ゲームだと知らずにゲームを始めたという方がいるくらいで(笑)。
逆に,それまで麻雀のルールを知らなかったけれど,「桃色大戦ぱいろん」で覚えたという方もいます。麻雀自体,日本ではポピュラーなゲームですから,きっかけは何であれ,このタイトルを通じてルールを覚えたと聞くと,やはり嬉しいですね。
4Gamer:
それではイラストレーターはどうでしょう? 昨今のカードバトルタイプのソーシャルゲームの隆盛で,イラストレーターさんも相当に忙しくなっていそうです。
白川氏:
私達の場合は,そうしたソーシャルゲーム以前から多くのフリーのイラストレーターさんと良好な関係を築くよう努めていましたので,とくに何かが変わったということはありません。
最初のころは,それこそ声優さんと同様に,成人向けと勘違いされることもあったのですが,今では,お知り合いのイラストレーターさんを紹介してくださるケースもあるくらいです。
4Gamer:
長年の信頼関係が築けているわけですね。
白川氏:
ええ。きちんとイラストレーターさんのお名前を明記したり,公式サイトにホームページのリンクなどを貼ったりと,基本的なことですが,心がけてきました。これは,私達とイラストレーターさんとで,お互いに責任を持ってキャラクターを育てていきましょうという意味を込めてやっていることでもあります。
また私達がTwitterで何か告知すると,イラストレーターさんがリツイートしてくださったりもします。本当にいい関係を構築できたと感謝しています。
オリジナルキャラの設定はエクストリームが決めることが多いですが,それをもとにイラストレーターさんが絵を描き,声優さんがボイスを当てて魂を入れることで,ぱいろんのキャラクターが完成します。どれが欠けても成立しませんから,信頼関係の構築は必須です。まさに三者の共同作業なんですね。
2012年6月11日にはハンゲームでサービスイン。海外展開も2012年内に4か国に
4Gamer:
「桃色大戦ぱいろん」は,ブラウザゲーム版も展開しています。ニコニコアプリに続き,2012年6月11日にはハンゲームでもサービスが始まりましたね。
ハンゲーム版は,ニコニコアプリ版を移植しています。おかげさまでハンゲーム版は大変好調でして,たくさんの方に遊んでいただいています。
4Gamer:
ハンゲームユーザーからの感想などはどうですか?
白川氏:
もともとハンゲームさんはオンライン麻雀に強いポータルですから,全般に関心が高いです。
「桃色大戦ぱいろん」のウリとなるキャラに関しては,まだ具体的なデータが出ていないので何とも言えないのですが,うまく支持していただけるんじゃないかと期待しています。
4Gamer:
では,プラットフォームごとで,プレイヤー層の違いは感じられますか。
白川氏:
PCオンライン版とニコニコアプリ版との比較になってしまいますが,後者の方が10〜20代が多く,全体的に若いですね。
4Gamer:
なるほど,ニコニコ動画ユーザーの年齢層が,そのままプレイヤーの年齢層になっている感じですね。
白川氏:
ええ。動画を見て,ゲームに興味を持つという流れがあるようです。とはいえ,ご意見・ご要望に関しては,どちらもあまり変わらないですよ。
4Gamer:
年齢層が違っても,求める部分は同じというわけですね。それはハンゲーム版でも変化なさそうでしょうか?
白川氏:
変わらないと思います。ハンゲームさんのオンライン麻雀は,割と高い年齢の方も遊んでおられると聞くので,さらなるプレイヤー層の拡大に期待しています。
4Gamer:
ちなみにプラットフォーム間のアカウントの共有はどうなっているのでしょう?
白川氏:
PCオンライン版,ニコニコアプリ版,ハンゲーム版それぞれで独立しています。プラットフォームごとに,大会などのインゲームイベントの内容も異なっていますので,いろいろ参加したいという方は,それぞれにアカウントを作ってくださるようです。
4Gamer:
場が違っても麻雀であることは変わらないですし,同じように楽しめますよね。ちなみに,オリジナルキャラクターの追加は,全プラットフォームで同じタイミングになるのですか?
白川氏:
基本的には,PCオンライン版が最初で,ニコニコアプリ版,ハンゲーム版とサービス開始順に追加しています。キャンペーンなどで,例えばニコニコアプリ版先行キャラみたいなこともやりますが,最終的にはどのプラットフォームにも全部のキャラが登場します。
4Gamer:
なるほど。では今後,プラットフォームを増やす予定はあるのでしょうか。
白川氏:
もちろんあります。やはり多くの方に遊んでいただきたいですから。
海外展開にも力を入れていきます。2011年11月から台湾でサービスを開始していますし,2012年6月には香港でオープンβテストを開始しました。さらに2012年内に2か国でサービスを展開する予定です。
4Gamer:
海外運営は,現地のパブリッシャが行うのですか?
白川氏:
ええ,ライセンスアウトという形でやっています。また現地の文化に合わせたゲームシステムのローカライズも行います。例えば香港ではプレイヤーがゲーム内コインを賭けて対戦する仕様を採用しているんです。
4Gamer:
というと,今後は各国独自キャラも登場するのでしょうか?
白川氏:
いえ,それはやりません。イラストもボイスも,エクストリームで用意したものを使います。これは海外展開をしていく上でも,メイドインジャパンがぱいろんらしさを形成していく重要なファクターだと考えているからです。なので,あえて海外独自のキャラを実装する予定はありません。実際に台湾や香港ではイラストはもちろん,ボイスにしても「日本と同じだからこそいい」というプレイヤーが多いらしいですよ。
4Gamer:
なるほど。海外,とくに東アジアでは日本のキャラクター人気が高いですしね。
今後はさらなるメディアミックスを展開。2012年はグッズ展開も熱い年に
4Gamer:
それでは日本での今後の展開について教えてください。
基本的に,オリジナルキャラの追加とコラボ展開を随時行っていきます。直近では,2012年夏に東山奈央さんがボイスを演じるオリジナルキャラが登場します。また9月にはPCオンライン版のサービス開始から4周年を迎えますので,それに向けてゲーム内を盛り上げていきます。それぞれ詳細は追って発表しますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
ちなみにコラボの基準は何かあるのでしょうか?
白川氏:
基本,何でもウェルカムです。
4Gamer:
いわゆる美少女系以外のタイトルともコラボしていますよね。
白川氏:
ええ。メサイヤさんの「超兄貴」と,ケイブさんの「真・女神転生IMAGINE」ともコラボしました。ほかと比較すると異色のコラボでしたが,いまだにキャラを使ってくださっている方もいますよ。
4Gamer:
そういった異色コラボは,もうやらないのですか?
白川氏:
いろいろ考えてはいます。例えば乙女ゲームとのコラボや,同じシステムを使って女性向けのタイトルを用意するといった話は何度か出ていますが,実現には至っていません。いずれは,何かしら別の形の「ぱいろん」を作ってみたいですね。
4Gamer:
最近はメディアミックスも活発になりましたよね。
白川氏:
2012年はアンソロジーコミックの刊行,そしてブシロードさんのカードゲーム「Chaos TCG」への参戦と,メディアミックス展開を果たせました。メディアミックスはようやく実現できたという感じです。これまでは「桃色大戦ぱいろん」のプレイヤーしか知らなかったオリジナルキャラ達が,いろんな世界に羽ばたいているのを見ると感慨深いですね。
さらにグッズに関して,2012年内に大きな展開があります。今のタイミングでは詳しくお話できないのですが,2012年はかなり熱い年になりますので,プレイヤーの方はご期待ください。
4Gamer:
それでは将来の展望なども教えてください。
白川氏:
先々はボイスドラマやアニメ,さらには劇場版アニメなどにも挑戦したいです。実際,「桃色大戦ぱいろん」のオリジナルキャラが持つ魅力はそのくらいのポテンシャルを秘めていると思います。100人以上のオリジナルキャラそれぞれに世界観があるので,その気になればいくらでもストーリーを作れますから(笑)。
4Gamer:
スピンオフのネタはかなり豊富ですね(笑)。ちなみに,コンシューマゲーム化は考えていないんですか?
白川氏:
もちろん,そういう話も出ますが,まだまだ知名度が足りないと捉えています。これまで各方面とのパイプを作ったり,ノウハウを蓄積したりと土台を固めてきて,ようやく複数のプラットフォームでサービスを展開できるようになったところですから。
繰り返しになりますが,これまでは他社さんのタイトルや声優さん,イラストレーターさんのネームバリューに胸をお借りしていた状態でした。今後は「桃色大戦ぱいろん」を,新規タイトルを告知する場や,参加した声優さんやイラストレーターさんにとってステータスになるようなタイトルにしていきたいですね。
4Gamer:
分かりました。では最後に,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
白川氏:
このゲームには,魔法使いも忍者もナイトもナースも料理人も……とにかく,あなたの好きなタイプのキャラが一人はいるはずです。公式サイトのキャラ紹介で,どんなキャラがいるのか,そのボイスをどんな声優さんが演じているのか見ていただくだけでも楽しいと思います。今回,ハンゲーム版も加わりましたので,お好きなプラットフォームを選んで遊んでいただけます。
また,麻雀を知らないという人が,ルールや役を覚える場としても最適です。たとえ負けても可愛いキャラが励ましてくれますので,ぜひ一度お試しください。
4Gamer:
ありがとうございました。
世の中に数多く存在するオンライン麻雀と差別化するために,多数のオリジナルキャラを用意し,著名声優陣を起用した──そう表現すると,安易なアイデアであるかのようにも思えてしまう。しかし白川氏の発言からはイラストレーター/声優との信頼関係の構築や,キャラクターそれぞれファンに対する誠実な思いといった,地道で実直な取り組みが読み取れるのではないだろうか。
そうした努力の積み重ねの結果,サービスイン4周年を迎える「桃色大戦ぱいろん」だが,今後のさらなる発展に期待したい。
「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」公式サイト
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