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[TGS 2013]ゲームカルチャーの30年が凝縮されたテレビドラマ「ノーコン・キッド」。その裏話を脚本家の佐藤 大氏らが語る
タイトルの「ノーコン・キッド」は,ノーコンティニュー(=ワンコイン)でゲームをクリアする人物の意 |
スクリーンで披露された,劇中のスチル。ロケ地となったゲームセンターは,かつて浅草橋にあった店だそうだ |
ノーコン・キッドは,ゲームセンターを営む家の息子である渡辺礼治が,同級生の木戸明信,そしてゲーセンに現れる美少女・高野文美とともに,「ゼビウス」が大ヒットしていた1983年から2013年までの30年,ゲームとともに悩み,成長していく姿を描く物語である。
番組内では,過去の名作ゲームが年代ごとに実名で登場。アニメやゲームなどで知られる脚本家の佐藤 大氏が原案とシリーズ構成・脚本を担当していることもあって,発表後から一部ゲームファンやゲーム業界関係者の間で話題となっていたので,聞いたことがあるという読者も多いだろう。
今回のトークショーにはその佐藤氏と,監督の鈴村展弘氏が登場。番組プロデューサーを務める五箇公貴氏が進めるセッションにおいて,ドラマ制作の様子や裏話などを語ったので,今回はその模様をお伝えしてみたい。
「ゲームにだけは嘘をつきたくない」
演技だけでなく,登場するゲームや関連の小物も要注目
そんな企画のスタートにあたり,登場させるゲームのネタ出しには,かなり苦労したとも氏は振り返っていた。番組のサブタイトルにもなっている「ゲーム史」が,ステージに立っている3人だけでなく,スタッフ,そして関係者全員で異なっており,さらに各自がこだわりを持っていたため,調整はかなり難航したという。その結果,登場させることを泣く泣くあきらめた作品も,かなりの数に上ったそうだ。
また鈴村氏にとっても,「スペースインベーダー」や「ギャラクシアン」などといった固定画面のシューティングタイトルが世にあるなか,初の「スクロールするシューティングタイトル」として出てきたゼビウスのインパクトは大きく,「ゲーム開始時の,印象的なメロディを撮影現場で聞いたときは,30年前の『忘れていたこと』が頭によみがえってきた」そうだ。
五箇氏は佐藤氏と鈴村氏よりも年下であるため,「テーブル筐体に天井の照明が反射するのを防ぐため,筐体の上に置く段ボール」の存在を知らなかったのだそうだ。「そういった,世代ごとに移り変わるゲームカルチャーも,ドラマの中でちゃんと描かれている」(五箇氏)という。
映像をあえて古くさく撮影したり,小物は都内のレトロゲーム店やコレクターなどから借りたものを使ったりと,細部までこだわっているという鈴村氏は,「録画して,コマ送りで見てほしい(笑)」とまで述べていた。
また番組中は,ゲームの裏技などが紹介されるのはもちろんのこと,各話のそこかしこに,「誰も説明しないけど,毎回すごい隠れキャラが登場する」(佐藤氏)そうだ。このあたりは,オールドゲーマーであればあるほど楽しめる内容になっているところと言えるかもしれない。
かなり珍しいスタイルだが,これは脚本上,1話で数年が経過することもあって,キャストを変更すると,「翌週にキャストがいきなり変わってしまう」違和感が生じるためだそうだ。
最後に,佐藤氏と鈴村氏のメッセ−ジで,本稿の締めとしたい。
佐藤氏「いろいろなゲームメーカーさんにご協力いただいて,役者の方やスタッフのみなさんといいドラマを作れるようにがんばっていますので,10月4日から毎週楽しみに見てください」
鈴村氏「あまたあるドラマの中で,ゲームとドラマの融合という,本当に新しいタイプのドラマで,毎週いろんな楽しみが見られます。楽しみにしていてください」
ノーコン・キッド番組公式Webページ
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