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「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
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印刷2011/05/21 00:00

インタビュー

「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは

画像集#005のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
 2011年5月25日,MMORPG「PRIUS ONLINE」で大型アップデートが実施される。このアップデートでは,プレイヤーキャラクターとして新たな種族/クラスが追加されるほか,戦闘システムが大幅に変わる「チャンスシステム」が導入される。正式サービス開始から3年目迎えようとする同タイトルが,なぜ今,こうした大きな変化を遂げるのか。開発元の韓国CJIG 企画チーム長 ジャン・ヒョンイル氏と,ゲームオンでPRIUS ONLINEの運営プロデューサーを務める秋山享司氏に話を聞いた。

「PRIUS ONLINE」公式サイト


防御に優れた前衛クラス「無影騎士」の設定や外見には強いこだわりがある


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今回,PRIUS ONLINEでは過去最大級の大型アップデートが実施されますが,その企画意図を教えてください。

ジャン・ヒョンイル氏(以下,ジャン氏):
 まずプレイヤーの皆さんに新しい体験を提供することと,これまで不便だった部分を改善するという,大きな目的があります。
 具体的内容としては新プレイヤーキャラクターの導入,パーティプレイの強化を目的とした戦闘システムおよびスキルシステムの刷新,アニマとの連携強化になります。


画像集#001のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
CJIG 企画チーム長 ジャン・ヒョンイル氏
画像集#002のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
ゲームオン 運営プロデューサー秋山享司氏

4Gamer:
 それでは新キャラクターの無影騎士について,コンセプトを教えてください。

ジャン氏:
 無影騎士は,既存種族の一つであるアイン族の女性です。PRIUS ONLINEの世界では,女性アインは呪いがかけられているため,ごく少数しか生存していません。また,そうした生きている女性アインのほとんどが,敵対組織である「レグノス再臨会」に操られています。
 女性アインは,呪いによっていつ死んでしまうのか分からないという設定なので,外見的にも陰のある雰囲気にしたのです。また戦闘時には,敵にダメージを与えると自分にもダメージが返ってくるというスキルなども用意しました。

4Gamer:
 複雑な背景を持つキャラクターなんですね。

ジャン氏:
 女性アインは,ストーリークエストの節目となるところに登場してきた重要な存在です。韓国では以前からこの女性アインの人気が非常に高く,プレイヤーキャラクター化の要望が強かったのです。そこで今回,そうした要望に応えるということを踏まえて,よりインパクトを強めるためにあえて複雑な設定にしたんです。

4Gamer:
 開発チームとしては,無影騎士をどのように使ってほしいですか。

ジャン氏:
 無影騎士は,これまでのPRIUS ONLINEに欠けていた防御特化型クラスですから,パーティプレイではぜひタンクとして活躍させてほしいです。また2次職では攻撃型クラスを選ぶこともできますので,そちらも試してみてください。
 従来の男性アインは日本でも韓国でも人気が高い種族でしたから,女性アインも人気が出るでしょう。

画像集#003のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは

4Gamer:
 日本で先日の大型連休中に行われた公開テストでのアイン女性の反響を教えてください。

秋山享司氏(以下,秋山氏):
 簡単なアンケートを実施したのですが,評判は上々です。とくにスラッとした外見が好評でしたね。

ジャン氏:
 開発チームとしても非常に嬉しいです。あまり公言はしていないのですが,実は日本のプレイヤーに喜んでもらえるようにデザインした要素もいくつかあるので,きちんと理解していただけたと安心しました。

秋山氏:
 ただ,目立ったのが「もっと髪型を充実させてほしい」という意見です。ちょっと昔風の髪型が多いので,今時の女性のようなものを追加してほしい,と。実際,無影騎士の日本オリジナルイメージイラストも,髪型は新たにデザインを起こしたんですよ。

ジャン氏:
 なるほど……髪型については,女性アインのコンセプトに沿って,あまり派手にしたくなかったという意図があるんですよ。とはいえ,追加する髪型についてはその限りではありませんから,今後の展開に期待してください。

秋山氏:
 これからはプレイヤーキャラクターとして活躍するわけですから,ずっと暗い過去に縛られているのもおかしな話ですしね。日本のプレイヤーは,自分好みの外見をクリエイトしたいという欲求が強いですから,運営チームとしても開発チームに強く提案していきたい部分です。

4Gamer:
 ちょっと面白いと思ったのが,2次職で防御型を選ぶと,武器がトンファーになるところです。オンラインRPGではあまり見かけない武器なので,意表を突かれました。

画像集#004のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
ジャン氏:
 もともとはレイピアや鞭などが候補に挙がっていたのですが,それではありがちになってしまい,どうも物足りなかったんです。そこでどんな武器がいいのか,専門のチームを編成して検討しました。
 そしてあるとき,メンバーの一人がたまたま中国の武術映画でトンファーを見たんです。そこでチーム全員が「これだ!」と納得したんですよ。
 またおっしゃる通り,ファンタジー系のオンラインRPGだとトンファーはほとんど登場しませんが,実は非常に派生アクションを作りやすいことも判明しました。今後,上位スキルを作るにあたって面白いモーションが作れるんじゃないかというのも,トンファーを採用した理由の一つです。

4Gamer:
 トンファーを使ったモーションも見どころの一つというわけですか。

ジャン氏:
 ええ。かなり研究して作りましたから,ぜひジックリ見てほしいですね。

4Gamer:
 そのほか,女性アインの見どころを教えてください。

ジャン氏:
 男性アインと並んだときにベストカップルに見えるようなデザインにしました。なので女性であるにも関わらず長身ですが,そういった細かいこだわりに気づいていただけると嬉しいです。
 またお話しした通り,無影騎士は攻撃すると自分にもダメージが返ってきますので,そこを把握したうえでうまく戦ってほしいですね。


非公認テクニックに代わって新たな刺激を提供する「チャンスシステム」とは


画像集#006のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
4Gamer:
 それでは,大きく変わったシステムについて教えてください。今回,チャンスシステムが新たに登場したことに加え,スキルの習得システムが変更されましたよね。

ジャン氏:
 どちらのシステムも,プレイヤーの間で定着している通称「モーションキャンセル」というテクニックと非常に密接な関係にあります。
 実は,このテクニックはシステムの不具合を利用したもので,開発チームの企画意図にはなかった存在なんです。そのため,このままモーションキャンセルを黙認していると,将来的に必ず開発上の問題が発生してしまいます。例えば現状では,モーションキャンセルを使うと近接攻撃クラスが圧倒的に有利になってしまうため,パーティプレイのバランスが崩れています。

4Gamer:
 モーションキャンセルありきのコンテンツ開発やバランス調整は,この先より困難になっていく,と。

ジャン氏:
 またモーションキャンセルは正式なテクニックではないですから,新規のプレイヤーは誰かに教えてもらわないと使えません。もともと不具合を使ったものですから,我々がチュートリアルなどでやり方を教えるというのも妙な話ですしね。そうなると,ベテランプレイヤーとの間に差が生まれてしまい,結果として新規の方が定着しないという問題も生じています。

4Gamer:
 なるほど。新規プレイヤーが入って来やすい環境作りの一環でもあるわけですか。

ジャン氏:
 それにモーションキャンセルを使うと,せっかく新スキルを作ってもダメージ以外の要素が無視されてしまいますから,開発チームのモチベーションも下がってしまいます。
 そこで,このタイミングで不具合を取り除き,モーションキャンセルに代わってプレイヤーさんを楽しませるような新しいシステムを導入しようと考えたわけです。

4Gamer:
 それが,チャンスシステムというわけですね。

画像集#007のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
秋山氏:
 ええ。チャンスシステムは,スキルコンボを簡単に繋いで爽快感を得られるようにしたシステムです。日本でも,公開テストを通じて多くのプレイヤーに実際に体験していただきました。その感想は「面白い」という意見がある一方で,モーションキャンセルの廃止を疑問視する声が大半を占めていました。それに対する回答は,今,ジャン企画長が述べた通りです。
 ただ運営チームの見解を述べさせてもらうと,現状のチャンスシステムでは,モーションキャンセルによって得られていた戦闘のスピード感を補いきれていません。そこでチャンスシステムに調整を施し,可能な限り以前得られていたスピード感を再現できるよう,開発チームに要請しているところです。

4Gamer:
 実際のところ,チャンスシステムのスピード感を強化する余地はあるのでしょうか。

ジャン氏:
 一番簡単な方法は,スキルのクールタイムを短くすることです。しかし,韓国でアップデート前に試行錯誤したのですが,その方法ではチャンスシステムに変更する意味がなくなってしまうんです。
 とはいえ,ほかにもスピード感を出す方法はあります。具体的にはチャンス発動の頻度を上げる,あるいはチャンス連動スキルの種類を増やすといった方法です。今まさに,プレイヤーが望む形に近いものはどれだろうと開発チームで検討しています。

秋山氏:
 またチャンスシステムには,スキルの組み合わせを自由にカスタマイズしたり,特定の組み合わせで必殺技のようなものが発動するようにしたり,あるいはアニマと連携したりとまだまだ発展させる余地があると思います。今回のアップデートで実装するチャンスシステムの仕様が,そのまま続くわけではありませんので,ぜひ実際に触ってみたうえで,さまざまな感想や意見をいただきたいです。

ジャン氏:
 スキルの組み合わせを自由にカスタマイズできるようにする案は,開発チームでも近日中の実現を目指し検討中です。プレイヤーがモーションキャンセルの廃止とチャンスシステムの導入に不安を覚えていることは,開発チームも強く感じています。日本の運営チームと連携して,プレイヤーが満足できるシステムに仕上げていきます。

4Gamer:
 それではスキルの習得に,スキルツリーを採用した理由を教えてください。

ジャン氏:
 スキル習得システムの変更については,従来のままだと同じクラスのプレイヤー同士で個性を打ち出せなかったからです。そうなると,高レベルのプレイヤーはレベリングに対するモチベーションを保てないという問題が生じるんですね。そこで今回,スキルポイントとスキルツリー形式を採用したことで,そうした不満の解消を試みています。
 また,以前は攻撃型だったけれど,今回のスキル一新によって回復型になっているクラスがあります。これは,よりパーティプレイを楽しんでいただくための配慮です。これまでは回復型のクラスが一つしかなかったので,どうしてもパーティのバリエーションが限定的になっていましたから。申し訳ないのですが,その点,ご理解いただけると幸いです。

アニマはゲームの主軸となる存在。引き続き魅力をアピール


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4Gamer:
今回,アニマのスキルシステムもリニューアルされますが,それはなぜでしょうか。

ジャン氏:
 最も大きな理由は,韓国でアニマのコンセプトが理解されなかったことにあります。アニマは育成した性向に応じてさまざまなスキルを使いますが,プレイヤーが意図していない敵を攻撃する,意図していないスキルを発動するといったことがあり,それをストレスに感じる人が多かったようです。

秋山氏:
 アニマは体力がゼロになると蝶のような姿になるのですが,韓国ではわざとその状態にして一人で戦うプレイヤーが多いそうです。

ジャン氏:
 日本では,きちんとアニマのコンセプトを理解していただけたのですが……。
 そこで今回,日本でも韓国でも受け入れられる形でアニマのスキルシステムをリニューアルしたんです。具体的には,スキル習得にスキルツリーを採用して,よりプレイヤー各自の好みをアニマに反映できるようにしました。またアニマを戦闘に参加させたくないという人もいらっしゃるでしょうから,そういう育成をすることもできます。
 ……正直なところ,我々開発チームが考えるアニマは,PRIUS ONLINEの世界の中で最も重要な存在なんです。しかし,仕様が原因でプレイヤーにとって邪魔な存在になってしまったのでは元も子もありませんから,今回の変更に踏み切りました。

4Gamer:
 新しいアニマに対する公開テストの反応はいかがでしたか。

秋山氏:
 実はあまり目立った反響はなかったんです。これは,チャンスシステムやスキル習得システムの存在が大き過ぎて,短い公開テスト期間ではアニマにあまり目がいかなかったからだと思います。
 運営チームでテストしたときは,アニマにきちんとスキルを割り振ると以前よりも与ダメージ量が上がるといった効果を確認できましたので,実装後にぜひ体験していただきたいです。
 またジャン企画チーム長が述べた通り,日本のプレイヤーはアニマをきちんと理解していますから,今回の変更によって今まで以上に愛情を注いでもらえるのではないかと期待しています。
 その一方では,アニマを活かしたコンテンツがもっと必要だとも考えていますので,いろいろ運営チームで企画していきます。

ジャン氏:
 日本の運営チームからの企画である,アニマを連れていないと入れないダンジョンや,アニマだけで攻略するダンジョンなども企画/開発しています。これからもアニマの魅力をアピールしていきますよ。

秋山氏:
 日本では,アニマだけのイベントを開催すると凄く盛り上がるんです。
 また日本のプレイヤーからは,アニマだけで何かできないかという要望をいつもいただいています。まだ具体的な実装時期まではいえないのですが,今,開発チームでかなり前向きに取り組んでいるので,ぜひ期待してください。

4Gamer:
 それでは,PRIUS ONLINEの中長期的な展開について教えてください。

画像集#009のサムネイル/「PRIUS ONLINE」に起きる大改革ってなんだ?開発/運営スタッフが語る大型アップデートの狙いとは
ジャン氏:
 今後は,今回のアップデートで変更・追加されたシステムを土台に展開していきます。
 その一つの例が,モンスターをアニマの能力によりテイムして入手する騎乗ペット「ペロ」のコレクション機能です。コレクションの内容に応じて,プレイヤーのステータスが上昇したり,インベントリの容量が増えたりといったボーナス効果が得られます。
 またペロの種類も増やします。騎乗ペットとして違和感のないモンスターは,ほとんどペロにできるようにする予定です。
 また,日本の運営チームからの企画で,現在は仮の名称で「アナザーアバター」と呼んでいるのですが,装備を合成して,気に入ったデザインのアバターに,気に入った性能を加えるシステムも開発しています。

4Gamer:
 そういったシステムの実装時期は,いつ頃になりそうですか。

ジャン氏:
 具体的なことは言えないのですが,次回アップデートでの実装を目標にしています。
 また,さらに先の話をすると,最大3パーティ計18人で攻略するレイドダンジョンや,先ほどお話したチャンスシステムを任意に設定できる「チャンスエディター」の開発に取り掛かっています。

4Gamer:
 最後に,PRIUS ONLINEの今後に期待する人達に向けてメッセージをお願いしいます。

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秋山氏:
今後の展開も含めて,今日お話した内容はどれもこれも早く実現したいものばかりです。とはいえ,リソースには限界がありますから,一つ一つ着実にやっていくほかありません。まずは今回のアップデートで実装するシステムを楽しんでいただきたいです。とくに戦闘システムはかなり大きく変化しますから,ある意味,慣れていただく期間も必要かと思います。「モーションキャンセル」が無くなることは,既存プレイヤーの皆様には大きな不満であることは我々も十分承知しております。皆様に満足していただくためには,新しいシステムをただ受け入れるわけではなく,様々な調整や新たな機能を実現する事を皆様に対してお約束し,満足頂ける環境を我々運営チームが整えなければなりません。
 またチャンスシステムは,新規プレイヤーにとってかなり面白いものではないかとも捉えています。というのも,PRIUS ONLINE未経験という弊社スタッフに遊ばせてみたところ,「テンポがよく楽しい」という感想が返ってきたからです。運営チーム,開発チームとも皆さんが遊びやすい環境を目指して日々精進していますので,よろしくお願いします。

ジャン氏:
 正式サービス開始から2年というタイミングで,大きな変化をもたらすことになりました。既存のシステムに慣れ親しんだプレイヤーに対して,大変申し訳なく思っていますが,開発チームとしては,今後のステップアップのために必要な改善だと捉えています。
 とはいえ,我々が全面的に正しいわけではないでしょう。楽しんでくださるプレイヤーがいてこそのPRIUS ONLINEです。ぜひ実際にプレイしてみて,さまざまな意見をお寄せください。それを参考に,PRIUS ONLINEは進化していきます。

4Gamer:
 ありがとうございました。

 ジャン氏曰く,PRIUS ONLINEの開発チームは相当にアニマにこだわりを持っているとのことで,そのコンセプトを理解している日本のプレイヤーに対して感謝を述べていた。しかし,そうであるがゆえに,日本で定着しているモーションキャンセルを修正するかどうかについては,相当に迷ったという。
 結局,今後のスムーズな開発の進行と,それに伴うPRIUS ONLINEのさらなる発展のため,今回の変更を決断したそうだ。ジャン氏は,今回実装されるチャンスシステムがあくまでもベース部分に過ぎないことに何度も言及し,実際にプレイしたうえで意見や要望を寄せてほしいと述べていた。PRIUS ONLINEの現役プレイヤーはもちろん,このインタビューを読んで興味を持った休眠プレイヤーや新規プレイヤーも,ぜひ一度新しく導入されたシステムに触れてみてほしい。

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