連載「PCゲームを持ち出そう！」。第10回はPSP版「Ghost Recon：Advanced Warfighter 2」を紹介

　PCゲームと関連のあるNintendo DS/PlayStation Portable用タイトルを紹介していく連載「PCゲームを持ち出そう！」。10回めとなる今回紹介するのは，「Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighter 2」（以下，GRAW2）のPlayStation Portable（以下，PSP）版だ。

特殊部隊「Ghost」を率いてテロ事件の解決に挑む

　GRAW2は，作家トム・クランシー氏の小説を原作とするタクティカルシューティングゲーム。本作でプレイヤーはアメリカの特殊部隊「Ghost」のリーダー，スコット・ミッチェル大尉となり，2014年にアメリカとメキシコの国境付近で発生したテロ事件の解決に挑むというストーリーだ。
　4Gamerでは，PC版GRAW2のシングルプレイデモとマルチプレイデモを掲載済み。どのようなゲームか知らない人や，遊んだことのない人はぜひ触れてみよう。

　なおPC版は，「Ghost Recon Advanced Warfighter 2 日本語マニュアル付英語版」として，イーフロンティアから2007年7月に発売されている。
　一方，PSP版GRAW2は日本国内では正規に販売されていないため，入手するには，「game4you.jp」など，海外ゲームを取り扱う販売店で並行輸入品を購入する必要がある。
　編集部で試した限りでは，GRAW2は国内版のPSPでも動作したが，4Gamer編集部およびソニー・コンピュータエンタテインメントでは国内版PSPでの動作を保証しかねるので，あらかじめご了承を。また本作は英語版のソフトであり，ゲーム画面や各種メッセージ，マニュアルなどはすべて英語なので，注意してほしい。

多くのゲームファンにとって遊びやすい作品に
コアなファンにとっては少し物足りなさも

　ゲームの主人公は，PC版GRAW2と同じくミッチェル大尉で，2014年のメキシコが舞台という点も共通している。とはいえ，ストーリーはPC版とは別物だ。Ghostの隊員達を乗せたヘリコプターが攻撃を受け，敵のテリトリーに不時着したところからゲームがスタート。味方との交信を回復し，さまざまなミッションの完遂を目指すのだ。
　PC版でフィーチャーされている「Cross-com」システムも用意されており，無人偵察機を利用して周囲の状況をうかがったり，攻撃を仕掛けたりできる。

　ゲーム画面はPC版と異なり，基本的に三人称視点で描かれる。プレイヤーキャラクターの周囲にオブジェクトがあるときは，自動的に一人称視点に切り替わる仕組みだが，単にキャラクターの表示/非表示が切り替わるだけで，背景そのものに変化はない。実質的に三人称シューティングであるといって差し支えないだろう。

　PSP版GRAW2の操作方法は，本連載の第3回で取り上げたPSP版「Tom Clancy's Rainbow Six Vegas」（以下，Vegas）と同様で，本体左側のアナログパッドで前後左右への移動，右側の△○×□ボタンで視点の移動を行うというもの（アナログパッドで視点移動，△○×□ボタンで前後左右への移動という設定にも切り替え可）。
　第3回で指摘しているように，この方式では敵に照準を合わせるのが困難だ。PSP版GRAW2ではこの問題への対処として，照準を敵の近くに動かすだけで，自動的に照準が合う仕組みが採られている。いったん照準が合うと，その後は敵が動いても捕捉し続けてくれるので，あとは射撃ボタンを押すだけでよい。
　……と聞くと，とても簡単なゲームに思えるかもしれないが，すべての武器がこうなっているわけではなく，自分で照準を微調整する場面も多い。コアなゲーマーもご心配なく。

　またPSP版GRAW2では，PC版に盛り込まれているタクティカルな要素は省略されており，基本的に単独で行動し，周囲に仲間がいても指示を与えたりすることはできない。Cross-comシステムを活用する場面もさほど多くはないだろう。
　このようにシンプルなゲームにアレンジされており，確かに難度はPC版よりも低め。コアなゲーム性を求める人には物足りないかもしれないが，筆者としては，気軽に遊べることに好感を抱いている。

　残念なのは，敵のAIがあまり洗練されていないこと。照準を合わせようとすると左右に動いたり，しゃがみ込んだりといった行動はとるのだが，近くにいる味方が撃たれても気づかないケースや，攻撃を受けたばかりなのにおかしな方向に移動したりするケースが時折見られた。

　なおPC版GRAW2には，3人までのプレイヤーが協力し合って戦うCo-opモードと，32人までのプレイヤーが参加可能なデスマッチモードが用意されている。それに対しPSP版では，無線LAN通信でPSP同士を直接接続するアドホックモードを利用したCo-opモードのみとなっている。

PSP用ゲームとして高いグラフィックスクオリティを実現

　本作がベースとしているPC版GRAW2は，グラフィックスの美しさを一つのウリとしているタイトルであるだけに，PSP版でゲーム画面がいかに再現されているかが気になるところ。結論から言うと，グラフィックスに関してはPSP版Vegasをぐっと上回っている印象だ。

　PSP版GRAW2では，各種テクスチャがPSP版Vegasより緻密に描き込まれていると感じられるが，その違いはさほど大きいものではない。では，グラフィックスの印象をよくしているのは何かいうと，それは“遠景のぼかし効果”だといえる。
　これによってPSP版GRAW2のゲーム画面は，全体に霞がかかったような雰囲気となっており，遠方にあってはっきり見えなかった場所が，近づくにつれて鮮明に描かれるようになる。そのため，常に画面全体がシャープに描かれるPSP版Vegasと比べ，奥行き感のあるゲーム画面に仕上がっているのだ。これは，PSP用FPS/TPSで空間的な広がりを表現できる技法といえるかもしれない。

　PC用FPSには，最新のグラフィックス技術が投入されているものが多く，それをPSPに移植した作品は，ゲーム画面の再現性の面でどうしても不利になることは否めない。しかし，PSP版GRAW2ではこの効果のおかげで，見た目にも十分に楽しめる作品となっている。

PSP版GRAW2の「再現度」は？

　今回紹介したPSP版GRAW2の再現度は，30％とする。ストーリーやゲーム性が大幅にアレンジされ，ミリタリーシューティングにあまり馴染みのない人にも親しみやすいゲームに仕上がっているといえるだろう。

Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighter 2

再現度：30％

「再現度」とは……紹介するNintendo DS/PSP用ゲームが，ベースとするPCゲームをいかに忠実に再現したものであるかを独断で判定したもの。この数字が100％であれば，PC版となんら変わらない完璧な移植であることを意味し，逆に0％であれば，PC版との共通点が一切見出せないほど異なるゲームにアレンジされていることを意味している。そのゲームの面白さ，ゲームとしての出来を示すものではないので注意してほしい。

対応機種：PlayStation Portable
メーカー：Ubisoft Entertainment
発売日：2007年8月21日
価格：39.99ドル
公式サイト：http://ghostrecon.uk.ubi.com/graw2/

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