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極私的コンシューマゲームセレクション:第20回「エースコンバット6 解放への戦火」
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印刷2007/11/14 18:01

連載

極私的コンシューマゲームセレクション:第20回「エースコンバット6 解放への戦火」


» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,編集部のTAITAIが,Xbox 360の「エースコンバット6 解放への戦火」を取り上げる。なんだかんだで20回めを迎えた今回は,調子に乗ってリプレイムービーをアップしてみたので,記事とともに楽しんでほしい。



とにかくカッコイイゲーム,それが「エースコンバット」


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 飛行機のパイロットといえば,子供の頃になりたかった“夢の職業”としてよく挙げられるものの一つ。空を飛ぶ実際の飛行機を仰ぎ見ながら,あるいは映画やテレビのカッコイイ主人公を見て,果てしない蒼空を自由に飛び回れるパイロットという職業に,男の子ならば多少なりとも憧れたことがあるだろう。

 今回紹介する「エースコンバット6 解放への戦火」(以下,ACE6)は,そんな夢のパイロットになりきれるという,男の子心をくすぐるタイトルだ。本作は,現代の戦闘機をテーマとしたフライトシューティング「エースコンバット」シリーズの最新作。プレイヤーは,超音速の最新鋭戦闘機を操るパイロットに扮してさまざまな戦いに参加。友軍を勝利へと導く“エースパイロット”として活躍することになる。

実在の戦闘機が数多く登場する本作。「F-22 ラプター」や「Su-33 フランカー」といった最新鋭機だけでなく,現実世界では試作機しかない「Su-47 ベルクト」の姿も
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 ACE6のゲームシステムは基本的に,ミッションの概要を説明するブリーフィングパート,機体や兵装の選択を行うハンガーパート,そして実際のゲーム部分となる戦闘パートを繰り返して進んでいく。ミッション間には,ドラマチックな物語を描くムービーシーンが挿入され,プレイヤーの気分を盛り上げてくれるほか,戦闘によって受け取った報酬を使って,新しい機体や装備を入手するといった要素も盛り込まれている。
 簡単な操作で空戦を楽しめるお手軽さに加え,ドラマティックなシナリオ展開やカッコイイ演出の数々,そしてその時代時代で最先端を行くグラフィックスは,エースコンバットシリーズの大きな特徴だ。

 1995年に発売された初代「エースコンバット」から,今回で派生タイトルを含めて8作めとなるACE6は,Xbox 360用のタイトルとして2007年11月1日に発売されたばかり。人気シリーズの最新作としてはもちろんのこと,次世代機のグラフィックス能力を十二分に引き出している作品としても,大きな話題となっている。
 発売から4日で約7万6000本(メディアクリエイト調べ)を売り上げ,国内のXbox 360用のタイトルとしては,初週販売本数の歴代2位を記録(1位は「ブルードラゴン」)。瞬間的とはいえ,Xbox 360本体の売上台数がプレイステーション 3のそれを超えるという快挙(?)の立役者になるなど,前評判通りの売れ行きを見せ,メディア/プレイヤーの双方を賑わせたのは記憶に新しい。

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祖国の空を守るため,「ガルーダ隊」が大空へ羽ばたく


ガルーダ隊の2番機「シャムロック」の声を当てているのは,「24 -TWENTY FOUR-」のジャック・バウアー役の吹き替えなどで有名な声優,小山力也さん。渋ーい声質がカッコイイ
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 実在する数多くの戦闘機が登場する本作だが,物語の舞台となるのは,アネア大陸という架空の地域。キャンペーンモードでは,隕石落下の被害によって起きた経済破綻と,そのあとの内戦から復興を成し遂げたエストバキア連邦と,そのすぐ横で繁栄を謳歌していた隣国エメリア共和国との争乱が描かれている。
 今回プレイヤーが扮するのは,エメリア共和国空軍に所属する通称「ガルーダ隊」の1番機パイロット,TACネーム「タリズマン」その人。プレイヤーは,2番機の相棒「シャムロック」と共に,巨大兵器を擁する軍事国家エストバキア連邦に立ち向かっていくことになる。

 またミッションの合間に挿入されるムービーパートが,タリズマンやシャムロックといったパイロットの視点だけではなく,民間人や地上部隊の兵士,あるいは占領地に残された子供など,立場の異なる7人のキャラクター達の視点を交錯させながら進んでいくのも,本作の大きな見所。エストバキア連邦とエメリア共和国の戦い,そしてプレイヤーの戦い(行動)の影響が,いろいろな視点(角度)から描かれていくのである。

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ストーリー

1999年、小惑星「ユリシーズ」は無数の隕石となり、地表へと降り注いだ。 被害が少なく復興への道を歩んだ「エメリア共和国」と、経済が破綻し、内戦状態に陥った「エストバキア連邦」。 アネア大陸を東西に分ける2つの国家は、この時を境に異なる道を歩みだす。

軍事政権のもとエストバキアの再統一がなされ、大陸に平和が訪れたかに見えた2015年。 繁栄を謳歌するエメリアの首都グレースメリアの空に、突如エストバキア軍機の大編隊が来襲する。 次々に緊急出撃するエメリア空軍。 戦闘機部隊「ガルーダ隊」にも、グレースメリア防空の任務が下された。

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新世代機のパワーをまざまざと見せつけられる
美麗なパノラマグラフィックス


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 最新作であるACE6でまず目を引くのが,プラットフォームを新世代機であるXbox 360に移したことによる,グラフィックスの圧倒的な進化だろう。地平線まで見渡せる大パノラマに,リアリティあふれる雲の表現。そして細かいディテールまで再現された戦闘機の数々……と,陳腐な表現で申し訳ないのだが,そのクオリティの高さは文字通り実写と見まごうほどだ。
 まぁ“百聞は一見にしかず”ということで,本記事と一緒に掲載しているスクリーンショットを見てもらえば,そのクオリティの高さは一目瞭然だろう。プレイステーション 2で発売された前作「エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー」も,当時は「PS2でよくここまで」といわれるほどのグラフィックスだったが,今回はそういった次元を超えてしまった感がある。グラフィックスの表現力は,もうPCに勝るとも劣らない出来映えといってもいいだろう。

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 またグラフィックス向上のおかげで,ゲームプレイ後に鑑賞できるお馴染みのリプレイ機能のありがたさも倍増している。正直,前作まではそれほどリプレイ機能を利用しなかった筆者だが,今回は,自分の飛びざまをいろいろな確度で眺めてはうっとりしている。気に入ったら即保存(今作ではリプレイを保存できる)を繰り返すほど。

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両軍入り乱れる大軍 vs. 大軍を表現した
「ダイナミックミッション」システム


数百ものユニットを同時に制御する必要がある「ダイナミックミッション」システムは,次世代機の演算能力をもって初めて実現可能になったのだという
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 次世代機のパワーの恩恵は,なにもグラフィックスの向上だけではない。これまでは,一つのミッションを次々とこなしていくという形式だったエースコンバットシリーズだが,ACE6では,一つのミッションの中で複数の戦闘作戦が同時に進行する「ダイナミックミッション」システムを採用。広大な戦場のあちこちで敵味方が激突するという,大規模な集団戦を表現している。
 今回,一つのミッション(戦場)に展開する敵味方の部隊は,陸/海/空を合わせると数百という規模。戦場に参加しているそれぞれの部隊は,各々に与えられた作戦目標を持ちながら自律的に行動し,各部隊が作戦目標を達成したか失敗したかによって,戦場の展開は刻々と変化していく。
 同時進行する複数の作戦の中から,どの作戦に参加していくのかはプレイヤー次第。プレイヤーが参加しない戦域では味方が壊滅してしまったり,あるいは無線でしきりに救援を求めてくるなど,本作では,「大規模作戦に参加している一人の兵士」という視点を存分に味わえるというわけだ。

新要素の偏差射撃。ディスプレイに「SHOOT」という文字が表示されたときにミサイルを撃てば,命中率がアップする
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 ちなみにゲーム中に飛び交う無線音声による演出は,エースコンバットシリーズの伝統ともいえる要素だが,今回もそれは健在。各部隊がそれぞれの戦況を報告してくるほか,先述したとおり,プレイヤーに対しての救援要請や「空の奴らはなにやってやがる……!」といった悪態も多く流されるのが面白い。
 戦場では,敵味方の部隊がそれぞれ勝手に戦っているわけだが,基本的に味方の部隊はやや劣勢に設定されているようで,放っておくとどんどんやられていってしまう。要するに,その劣勢の味方部隊をエースたる主人公がさっそうと現れては助けていくというのが,ゲームの基本的な流れというわけだ。“ただの”パイロットではなく,“エース”パイロットの気分が味わえるというのが,本作のタイトルである“エース”たるゆえんなのだ。
 救援に向かうと「ガルーダ隊が来てくれたぞ!」と歓声をあげ,敵を撃破すれば「さすがタリズマンだ!」など,ゲーム中に味方が惜しみない賛辞をくれる“プレイヤーよいしょ”も,従来のシリーズどおり。また実際の戦闘ではあり得ないことなのだが,演出として敵側の無線の声が盛り込まれているのも,本シリーズの大きな特徴。主人公機を認識するや否や,「あの速い奴が来たぞ!」と警鐘を鳴らしたりするなど,演出といってしまえばそれまでなのだが,流れるBGMや手に汗握るゲーム展開などと相まって,プレイヤーの気分を高揚させてくれる作りは,相変わらず見事というほかない。

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バンダイナムコゲームスの底力を感じさせる納得の完成度
ただ,オンラインモードはちょっと物足りないかも


新要素その2は,急旋回が可能になるハイGターン。ドッグファイトには必須テクか
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 現時点で最高峰のグラフィックスに遊びやすいゲームシステム,そして燃えるゲーム展開と,あらゆる要素が高いレベルで作り込んであるACE6。国産のXbox 360用ゲームの中では,間違いなく1〜2位を争うタイトル。バンダイナムコゲームスの底力を感じさせる,非常にクオリティの高い作品だといえるだろう。
 従来のシリーズと比較すると,キャンペーンモードのボリュームがやや少ない印象を受けたが,今作は「ダイナミックミッション」システムの採用によって,1ミッションごとのボリュームが大幅にアップしており,クリアまでにかかるプレイ時間という意味では,それほど変わりがないという雰囲気(それでも6〜7時間もあれば一通りクリアはできてしまうのだが)。この手のアクションシューティングゲームとしては,まあ標準的なボリュームといえるだろう。
 そのほか,チュートリアルモードや地面に激突しても墜落とならない「EASY」モードなど,シリーズ初心者への配慮が見受けられるのも好印象。またミッション中にやられてしまった場合でも,直前のチェックポイントからすぐにやり直せるなど,快適さ重視のシステム設計も嬉しい。

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 ただ……一つ残念な点を言わせてもらえば,オンラインモードの作り込みの甘さが挙げられるだろう。まあ,もともと対戦ゲームとして作られているわけではないし,あくまでおまけ的な要素という位置付けなのかもしれないが,10機以上の空中戦になると,ミサイル(特殊兵装)が飛び交うだけの,ほとんど駆け引きらしい駆け引きも感じられない状態になるのはいただけない。特殊兵装に制限をかけるか,シングルモードとはバランスを変えるなど,若干の調整があったほうがよかったかもしれない。
 また,協力プレイ用のマップが二つだけというのも非常に残念なところだ。例えば「Halo 3」や「Gears of War」といったFPS系のタイトルのように,シングルキャンペーン用のミッションを協力して遊べれば,どんなにか楽しかったことだろう。本作の内容からすると,対戦よりも協力プレイにこそオンラインのニーズがありそうな気がするのだが,それは筆者の思い過ごしだろうか……。
 とはいえ,ダウンロードコンテンツとしてオンラインモード用対戦/協力ステージの追加が予定されているとのことなので,早めの登場に期待したい。

 全体的に見ればかなり高次元でまとまっている本作。国内外を問わず,2007年を代表する1本になるのは疑う余地はないと思う。一人用のキャンペーンモードの面白さは間違いなく一級品だし,大空を駆け抜ける爽快感も,一度味わえば病みつきになるはずだ。この手のジャンルは苦手という人でないなら,購入を検討してみる価値はあるだろう。

 最後となるが,記事末に筆者のプレイ動画(とリプレイ動画)のムービーを掲載しておく。本文中に「リプレイを見てはうっとり」と書いたが,このムービーを見れば,その筆者の気持ち(?)を理解してもらえるはず。ぜひ本作の格好良さを体感してもらいたい。なお,ムービーの解像度は,800×450ドットというサイズ。より大きな画面で見たい場合は,全画面表示にするか,ファイルをダウンロードして鑑賞してほしい。

Firefox+MediaPlayer11の環境の場合,正常に動画が表示されません。
全画面表示にするか,ファイルをダウンロードして鑑賞してください。


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全画面表示にするか,ファイルをダウンロードして鑑賞してください。



■■TAITAI(4Gamer編集部)■■
4Gamer最古参スタッフの一人。面白そうなコンシューマゲーム機のタイトルは「とりあえず買う」といういいお客さんだが,買った数が多くてプレイが追いつくはずもなく,あれもこれも未プレイという積みゲーマーだったりする。


エースコンバット6 解放への戦火
対応機種:Xbox 360
メーカー:バンダイナムコゲームス
発売日:2007年11月1日
価格:7800円(税込)
CEROレーティング:A(全年齢対象)
公式サイト:http://www.acecombat.jp/
  • 関連タイトル:

    エースコンバット6 解放への戦火

  • 関連タイトル:

    ルミネスライブ!

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