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Intel,Atomプロセッサのロードマップをアップデート。「Medfield」と「Cloverview」は2012年,「Cedarview」は年内登場か
さらに同氏は,「タブレットPCやNetbookは,信頼のおける友達(朋友)のような存在であり,『コンパニオンコンピューティングデバイス時代』を切り開く製品だ」と主張。またタブレットPCが「デュアルスクリーン」「コンバーチブル」「スライダー」「デタッチャブル」といった数々のフォームファクタを誕生させたことで,さまざまなライフスタイルに「製品の多様化」をもって対応できるようになっており,我々の生活に浸透し始めていると述べた。
タブレットPC市場は,わずか1年で急速な成長を遂げたという |
タブレットPCの出荷量予測。2014年には出荷数が1億台を超えるとされている |
各国市場ごとのタブレットPC出荷量予測。ヨーロッパと中国市場の伸びが目立つ |
「タブレットPCは,信頼のおける友達(朋友)のように,手放せない存在になる」とDavis氏 |
ライフスタイルに合わせたさまざまなフォームファクタが,タブレットPCをきっかけに登場したとのこと |
コンパニオンコンピューティングデバイス市場は立ち上がったばかり。今後順調な成長が見込める市場だとDavis氏は説明する |
タブレットPC向け次世代Atomプロセッサ
「Medfield」&「Cloverview」は2012年末に登場
32nmプロセスを採用するタブレットPC向けAtomプロセッサとして,「Medfield」と「Cloverview」の2製品を投入すると明らかにした。その詳細は2011年の後半に公開される見通しだ |
Davis氏によると,現行の45nmプロセスから32nmへとシュリンクした次世代のタブレットPC向けAtom「Medfield」(メッドフィールド,開発コードネーム)と「Cloverview」(クローバービュー,同)を,2012年末までに市場投入する計画になっているという。
同氏は両製品の詳細を明らかにしなかったが,Intelに近いタブレットPCベンダーの話によると,「MedfieldとCloverviewではコア数が異なると聞いている」とのことだ。つまり,現時点ではシングルコアモデルしか存在しないタブレットPC向けAtomが,2012年末までには,32nmプロセスの恩恵によって,マルチコア化する見込みだというわけである。
さらに,IDF 2011 Beijingのテクニカルセッションでは,“その次の次”となるタブレットPC向けAtomでは,2013年に22nmプロセスへ移行することが予告されている。タブレット市場で先行する競合他社を足早に追いかけ,追い越す意向が示されたといえるのではないだろうか。
2012年には32nmプロセス,2013年には22nmプロセスをタブレットPC向けのAtomプロセッサでそれぞれ採用する計画。タブレット市場におけるパフォーマンス面で優位に立とうというのだろう |
Atomプロセッサのプラットフォームロードマップ。タブレットPC向けとなるAtom Zシリーズは,短期間のうちにどんどんと進化していくことになるようだ |
Netbook向け「Cedar Trail」プラットフォームは2011年末
ファンレス設計が可能で10時間駆動を実現へ
「Cedarview」と,そのプラットフォームとなる「Cedar Trail」。Cedar Trailでは,1080pのHD動画再生がサポートされるほか,消費電力の低下によりバッテリ駆動時間が向上するという |
Netbookは,Webブラウズやメールなどといった基本的な用途をまかなえる程度にまで性能を落とし,その分コストも抑えることで,PC導入のハードルを下げる存在として登場してきたが,ARMベースのタブレットやスマートフォンの高性能化によって陳腐化してしまい,新しく差別化のポイントを生み出す必要に迫られている。そこで今後3年間でIntelは,ムーアの法則を上回るペースでAtomプロセッサファミリーを進化させる。
Davis氏は,「現在45nmプロセスを採用しているNetbook向けAtomプロセッサは,まもなく32nmプロセスに移行,さらに24か月以内に22nmプロセスへの移行を果たす」と述べ,短期間のうちにNetbook向けAtomプロセッサの性能や省電力性を大幅に引き上げる意向であることを明らかにした。
タブレットPC向けAtomと比べてより具体的なロードマップが示された格好だが,そんな32nmプロセス版のNetbook向けAtomで最初に登場するのは,「Cedarview」(シダービュー,開発コードネーム)。Davis氏は,このCedarviewを6か月以内に市場投入するという。そのプラットフォームとなる「Cedar Trail」(シダートレイル,同)では,ファンレス設計が可能になるため,いままでより薄くて軽いNetbookを実現できるとのことだ。さらに,1080pのHDムービーのデコードをサポートするとともに,6セルバッテリーで10時間駆動が可能になるといった見通しも示されている。
なお同氏は,Cedar Trailプラットフォーム採用製品の登場時期について「今年のクリスマス商戦には主要ベンダーが搭載Netbookを市場投入するだろう」と予告している。
45nmプロセスから32nmプロセスに移行することで,半導体のトランジスタパフォーマンスを25%向上させることができ,消費電力も10分の1に低減できるとアピール |
22nmプロセスを採用する第4世代のAtomプロセッサでは,アクティブ電力が半分になり,トランジスタ密度が2倍になるなど大幅な性能向上が見込まれる |
Cedarviewは,WiDiやWireless Music,PC Syncなどを搭載し,スタンバイからの復帰も高速に |
Cedarviewを搭載したDell製のNetbookを使って,WiDiのデモを行っている様子 |
Oak Trail搭載製品を披露
中国ではタブレットPCの人気が高い
Davis氏は,IDF 2011 Beijingにあわせて発表されたOak Trailプラットフォームとその採用製品についても紹介している。
「中国市場においては,タブレットPCを買いたいと思っているユーザーが41%と,米国の11%,全世界の22%と比べてみても,注目度が高い」として,同氏は中国のタブレットPC市場が急速に拡大すると分析。この巨大市場に向けて,富士通,Lenovo,ASUSTeK Computerといったメーカーが「Lyncroft」(リンクロフト,開発コードネーム)こと「Atom Z670/1.50GHz」採用のタブレットPCを2011年前半中に市場投入すると明らかにした。
この状況を受けて,中国国内では,携帯向けゲームをタブレットPCへと移植する開発場が進められている。「Intel Architecture」のソフトウェア資産を活かし,アプリケーションを充実させることで,タブレットPC市場における優位性を確立していく腹づもりのようだ。
タブレットPC購入者の主な用途。ゲームを楽しむユーザーも約3割と多い |
東芝やMSI,ECS,OQOなどのメーカーもOak Trailプラットフォームを採用したタブレットPCを計画中だ |
Oak Trailプラットフォームでは,WiDiやWireless Music,PC Syncに加え,Anti-theft,vPro Hubなどの機能もサポートする |
Oak Trailプラットフォームを採用するタブレット製品群。写真の右側に置かれているのがLyncroftのウェハだ |
Oak Trailプラットフォームを採用した富士通のビジネス市場向けタブレットPC「STYLISTIC Q550」 |
Shanda Gamesは,携帯用ゲームアプリなどをOak Trailプラットフォームに移植する意向を表明している |
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