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  • 発表日:2008/03/03
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[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う
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印刷2014/03/22 17:12

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[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う

 北米時間2014年3月20日,Intelは,Game Developers Conference 2014(以下,GDC 2014)に合わせて,同社のモバイルゲーム開発に対する取り組みについて解説する記者説明会を開催した。

 GDC 2014で積極的なアピールを展開しているIntelだが,今回のテーマは「Bay Trail-T」(開発コードネーム)こと新型Atomプロセッサと,「OpenGL ES 3.1」だ。Bay Trail-T搭載Android端末で,OpenGL ES 3.1をどう活用するかにスポットを当てた興味深い内容だったので,その概要をレポートしたい。

Richard Huddy氏(European Games Enabling Manager,Intel)
画像集#002のサムネイル/[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う
 説明を担当したのは,欧州のIntelにてゲーム開発者向けサポートを担当するRichard Huddy氏。Huddy氏は旧ATI Technologiesで,GPUの技術面を担当していた人物であり,AMDとの合併後もGPU分野のキーマンとして知られていた。2011年にAMDからIntelに移籍したときには,一部で話題になったこともあるという人でもある。

 なお,OpenGL ES 3.1については,3月18日掲載の速報版や,西川善司氏によるセッションレポートに詳しく書かれているので,そちらを参照してほしい。


Bay Trail-TでOpenGL ES 3.1を強力にサポート


発表されたばかりのOpenGL ES 3.1対応のBay Trail-T用グラフィックスドライバソフトも提供を開始している
画像集#003のサムネイル/[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う
 Huddy氏はOpenGL ES 3.1について,「モバイルのグラフィックスに変革をもたらすもの」と高い評価を与えた。それを踏まえてIntelでは,Bay Trail-T用のOpenGL ES 3.1対応グラフィックスドライバをすでに提供しているなど,積極的に取り組んでいるのだそうだ。

 Huddy氏がOpenGL ES 3.1の評価すべき点として挙げたのは,「DirectX 11に極めて近い」という点だ。OpenGL 4.3から受け継いだ「Compute Shader」などにより,DirectX 11で標準的に使われているディファードライティング(Deferred Lighting)などの手法が移植しやすくなったという。

 ただし問題もある。DirectX 11の「テッセレーション」機能が,OpenGL ES 3.1にはないことだ。Huddy氏はこの点を指摘して,「テッセレーションを使用するゲームタイトルをOpenGL ES 3.1に移植するのは,極めて難しくなる」と率直に述べている。
 そこで用意された解決作というのが,IntelがテッセレーションをOpenGL ES 3.1の拡張機能(Extension pack)として提供するという手法であった。IntelのOpenGL ES 3.1用テッセレーションソフトウェアは,Bay Trail-Tの統合型グラフィックス機能が持つハードウェアを使用することにより,高い性能を発揮できるという。これにより,「デスクトップPCのグラフィックスがモバイル(※Android端末)で実現できるようになる」と,Huddy氏は主張した。

OpenGL ES 3.1の利点は,DirectX 11に近いこととHuddy氏。テッセレーションの不在は問題であるものの,Intelが拡張機能として提供するそうだ
画像集#004のサムネイル/[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う

OpenGL ES 3.1とIntel製テッセレーション拡張パックによるデモ画像。左のワイヤーフレーム表示がテッセレーションオフの状態で,中央がオンの状態。中央をレンダリングした画像が右となる
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OpenGL ES 3.1で作成されたゲームを披露したのはIntelだけ! と豪語しているスライド
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 Huddy氏はGDC 2014で披露したIntelの取り組みによほど自信があるようで,「IntelはこのGDCで,デモに加えてOpenGL ES 3.1で作成されたゲームを披露した唯一の企業だ」と胸を張る。さらに,「本当のGPUベンダ(※NVIDIAやAMDのことだろう)ではなく,OpenGL ES 3.1ではIntelがリーダーシップをとっている」と豪語するほどだ。
 たしかにGDC 2014では,Intelがスポンサーとなった「AndroidにPlayStation 3やPCのゲームを移植する」というテーマのセッションが組まれているくらいで,OpenGL ES 3.1に向けた力の入れ具合は本物といえよう。

 記者説明会には,OpenGL ES 3.1対応レースゲーム「F1 RACE STARS」の開発元であるCodemastersから,Richard Kettlewell氏が登壇し,F1 RACE STARSにおけるテッセレーションやCompute Shaderの活用が説明された。

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Richard Kettlewell氏(Codemasters)
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Android用のF1 RACE STARS

OpenGL ES 3.1では,Compute Shaderを利用することで10倍以上のパーティクル(ここでは雪)を表示できるという
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 たとえば,雪が降るシーンではCompute Shaderを活用することで,未使用時の10倍ものパーティクルを表現できるという。説明会場にあった試用機で実際にゲームも体験してみたが,動作はかなりスムーズで,30fps以上のフレームレートを確保しているように見えた。ゲーム用途では,なかなか期待が持てる性能を実現できているのではないだろうか。

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テッセレーションの効果を示したスライドから。左のテッセレーションオフ状態では円柱が角張っているが,右のオン状態ではスムーズに描かれている


開発ツールでも差をつけるIntel


 OpenGL ES 3.1のサポートに並々ならぬ意欲を見せているIntelは,DirectX 11ベースのゲームをx86 CPU搭載のAndroid端末に持ち込むことで,製品の魅力を向上させようとしている。そのために必要となるのが,ゲーム開発者を支援する開発ツールだ。
 そこでIntelは開発ツールにおいても,他社との差別化となりそうな取り組みを行っている。その1つが,グラフィックス性能の最適化に役立つ開発ツール「Intel Graphics Performance Analyzer」(以下,GPA)の,OpenGL ES 3.1対応版である。

Jeff Freeman氏(Intel Software and Services Group)
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 GPAの解説を担当したIntel Software and Services GroupのJeff Freeman氏によると,GPAはOpenGL ES 3.1に対応したというだけでなく,Android用のゲーム開発に使える新しいツールも搭載したという。
 その1つが「Frame Debugging」というツールで,レンダリング後のフレームを調べて,レンダリングに問題がないかを調査できるのだという。この機能はPC用のGPAには搭載されていないAndroid専用のもので,AMDやNVIDIAが提供する開発者向けツールにも,同様の機能を備えるものはないと,Freeman氏は主張していた。

Frame Debuggingという機能は,Atom用Androidアプリを開発するときだけに使えるもので,AMDやNVIDIA,Atom以外のIntel CPUでは使えない機能であるとFreeman氏
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 というわけで,Bay Trail-Tへの取り組みが熱く語られたIntelの説明会だったが,残念なことに日本では,Bay Trail-Tを搭載するAndroidタブレットは,ほとんど手に入らない。世界的に見ても,Bay Trail-T搭載Androidタブレットはマイナーな存在のようで,質疑応答ではその点を突っ込まれていたりもしていた。
 だからこそIntelとしては,このOpenGL ES 3.1をバネに,Androidの分野でも存在感を見せたいのだろう。その取り組みが功を奏するかは,今後の動向に注目したい。

Intel@GDC 2014(英語)


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