イベント
[GDC 2014]OpenGL ES 3.1でリーダーシップを取るのはIntel? Bay Trail-Tと開発者向けツールでAndroid向けゲームの取り込みを狙う
GDC 2014で積極的なアピールを展開しているIntelだが,今回のテーマは「Bay Trail-T」(開発コードネーム)こと新型Atomプロセッサと,「OpenGL ES 3.1」だ。Bay Trail-T搭載Android端末で,OpenGL ES 3.1をどう活用するかにスポットを当てた興味深い内容だったので,その概要をレポートしたい。
なお,OpenGL ES 3.1については,3月18日掲載の速報版や,西川善司氏によるセッションレポートに詳しく書かれているので,そちらを参照してほしい。
Bay Trail-TでOpenGL ES 3.1を強力にサポート
Huddy氏がOpenGL ES 3.1の評価すべき点として挙げたのは,「DirectX
ただし問題もある。DirectX 11の「テッセレーション」機能が,OpenGL ES 3.1にはないことだ。Huddy氏はこの点を指摘して,「テッセレーションを使用するゲームタイトルをOpenGL ES 3.1に移植するのは,極めて難しくなる」と率直に述べている。
そこで用意された解決作というのが,IntelがテッセレーションをOpenGL ES 3.1の拡張機能(Extension pack)として提供するという手法であった。IntelのOpenGL ES 3.1用テッセレーションソフトウェアは,Bay Trail-Tの統合型グラフィックス機能が持つハードウェアを使用することにより,高い性能を発揮できるという。これにより,「デスクトップPCのグラフィックスがモバイル(※Android端末)で実現できるようになる」と,Huddy氏は主張した。
たしかにGDC 2014では,Intelがスポンサーとなった「AndroidにPlayStation 3やPCのゲームを移植する」というテーマのセッションが組まれているくらいで,OpenGL ES 3.1に向けた力の入れ具合は本物といえよう。
記者説明会には,OpenGL ES 3.1対応レースゲーム「F1 RACE STARS」の開発元であるCodemastersから,Richard Kettlewell氏が登壇し,F1 RACE STARSにおけるテッセレーションやCompute Shaderの活用が説明された。
Richard Kettlewell氏(Codemasters) |
Android用のF1 RACE STARS |
テッセレーションの効果を示したスライドから。左のテッセレーションオフ状態では円柱が角張っているが,右のオン状態ではスムーズに描かれている |
開発ツールでも差をつけるIntel
OpenGL ES 3.1のサポートに並々ならぬ意欲を見せているIntelは,DirectX 11ベースのゲームをx86 CPU搭載のAndroid端末に持ち込むことで,製品の魅力を向上させようとしている。そのために必要となるのが,ゲーム開発者を支援する開発ツールだ。
そこでIntelは開発ツールにおいても,他社との差別化となりそうな取り組みを行っている。その1つが,グラフィックス性能の最適化に役立つ開発ツール「Intel Graphics Performance Analyzer」(以下,GPA)の,OpenGL ES 3.1対応版である。
その1つが「Frame Debugging」というツールで,レンダリング後のフレームを調べて,レンダリングに問題がないかを調査できるのだという。この機能はPC用のGPAには搭載されていないAndroid専用のもので,AMDやNVIDIAが提供する開発者向けツールにも,同様の機能を備えるものはないと,Freeman氏は主張していた。
というわけで,Bay Trail-Tへの取り組みが熱く語られたIntelの説明会だったが,残念なことに日本では,Bay Trail-Tを搭載するAndroidタブレットは,ほとんど手に入らない。世界的に見ても,Bay Trail-T搭載Androidタブレットはマイナーな存在のようで,質疑応答ではその点を突っ込まれていたりもしていた。
だからこそIntelとしては,このOpenGL ES 3.1をバネに,Androidの分野でも存在感を見せたいのだろう。その取り組みが功を奏するかは,今後の動向に注目したい。
Intel@GDC 2014(英語)
キーワード
(C)Intel Corporation