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[COMPUTEX 2008#14]Intel,「Intel 4」チップセットを正式発表し,最終仕様を公開
Intel 4シリーズチップセットは,同社製チップセットで初めて,65nmプロセス技術を採用して製造されるのが大きな特徴。高い性能と低い消費電力の両立が謳われ,さらに,PCI Express 2.0がエントリー〜ミドルクラス製品にももたらされるなど,機能強化も図られている。
今回発表されたのは,以下に挙げる4製品だ。従来同様,「P」は,グラフィックス機能を持たないチップセット(以下,ディスクリートチップセット)で,「G」がグラフィックス機能統合型チップセットになる。
- Intel P45 Express
- Intel P43 Express
- Intel G45 Express
- Intel G43 Express
PCIe 2.0,XMP,Turbo MemoryをサポートするP45
P45は,PCI Express 2.0やデュアルグラフィックスをサポートする |
発表会では,Intel Extreme Tuning Utilityを使って,CPUクロックを3GHzから3.6GHz,メモリクロックを1333MHzから1600MHzにオーバークロック動作させるデモが行われた |
P45は,PCI Express 2.0 x16をサポートし,8レーン×2構成でのデュアルグラフィックス環境をサポートするのが大きな特徴だ。つまり,2-way ATI CrossFireXをサポートするわけである。
内蔵するメモリコントローラはDDR3/DDR2両対応で,DDR3-1333のXMP(eXtreme Memory Profile)もサポート。“純正オーバークロックツール”ともいうべきパフォーマンスチューニングソフトウェア「Intel Extreme Tuning Utility」にも対応する。COMPUTEX TAIPEI 2007のときに開催された「Intel 3」シリーズチップセットの発表会において,Intelは「Intel P35 Express」(以下,P35)でXMPとIntel Extreme Tuning Utilityをサポートする意向を示していたが,ついに実装されぬまま,主力チップセットの座を譲ることになった。
マザーボードベンダー関係者によると,XMPの利用時は,メモリチャンネル当たり1スロットしかDIMMを差せない仕様になっているという。そのため,ほとんどのマザーボードベンダーはメモリ周りの回路設計をリファレンスから見直し,PC3-10600メモリモジュール4枚構成でも安定した動作を実現できるよう,製品開発を行っているとのことだ。
Intel 4シリーズを紹介する,IntelのEric Menzer副社長(Vice President, Mobility Group, General Manager, Chipset & Graphics Development, Intel) |
Intel Turbo Memory Dashboardを利用すると,起動時間を短縮したいアプリケーションをユーザー側で任意に指定できる |
Intelでチップセットおよびグラフィックス開発事業を統括するEric Menzer副社長は,「高速に起動をしたいアプリケーションを,ドラッグ&ドロップで登録できる管理ソフト『Intel Turbo Memory Dashboard』を提供する」として,より積極的にTurbo Memoryを利用できる環境を整える意向を示す。これは,起動時間を短縮したいアプリケーションを指定するなど,Turbo Memoryの積極的な活用を実現するソフトウェアだ。ゲームを指定したとき,ローディング時間の削減に効果がありそうである。
正直なところ,Turbo Memoryモジュールだけでなく,市販のUSBフラッシュメモリでも同機能を使えるとありがたいのだが,まあ,それを望むのは厳しいだろう。
なお,P45の下位モデルとして位置づけられるIntel P43 Express(以下,P43)だが,デュアルグラフィックスサポートとXMP対応は省かれる一方,PCI Express 2.0をサポートするなど,スペック面ではP35を上回る。実際,P45をハイエンドと位置づけ,P43をP35の後継と位置づけるマザーボードメーカーもあるほどだ。
P45,P35と,Intel 3シリーズとのスペックを表1にまとめたので,参考にしてほしい。
統合型シェーダアーキテクチャ採用のG45
もう少し具体的に述べると,Intel GMA X4500HDでは,統合型シェーダに相当する演算ユニットの数が(「Intel G35 Express」に統合されたグラフィックス機能である)「Intel GMA X3100」の8基から10基へと引き上げられている。各演算ユニットは5スレッド処理が可能なので,最大50スレッドの同時実行が可能だ。また,CPUに負荷をかけることなく,Blu-rayなどの高解像度ビデオコンテンツ再生を行うため,処理を行うデコーダパイプラインも別途実装されている。
主なスペックは表2のとおりだ。
チップセットはコプロセッサへ
Menzer氏は「Connecting to Processing」と,各種接続を司るチップから,CPUのコンパニオンチップへと,チップセットが進化していく見通しを示す |
ICH10 |
氏はまず,チップセットがLANコントローラやSerial ATAなどのストレージコントローラ,サウンドコントローラなどを統合しながら進化を重ねてきた過去を振り返り,「チップセットは革新のときを迎えようとしている。これからのチップセットは,インテリジェントなコプロセッシング(Co-Processing)機能を統合していくことになるだろう」と述べた。
Intelが目指すコプロセッシング機能とは,すでにチップセットへの統合が済んでいるAMT(Active Management Technology)やQST(Quiet System Technology),パワーマネジメント機能などの延長線上にあるようだ。CPUから独立して制御できる,特定の用途に特化した機能をチップセットに統合することで,さらなる進化を目指す。
2008年末にも登場する見通しの次世代CPUアーキテクチャ「Nehalem」世代では,CPU側にメモリコントローラが移されるため,Intelプラットフォームにおけるチップセットの役割は,大きく変わっていくことになる。その意味では,特定用途向けといえども,チップセットが“知能”を持ち,CPUのコンパニオンチップとしてパフォーマンスを向上させていくというビジョンは,実に現実的な進化の方向性といえそうだ。
- 関連タイトル:
Intel 4
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