インタビュー
[COMPUTEX]ASUS海外セールス担当VPインタビュー。R.O.G.ブランドはどうして生まれ,何を目指すのか
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。かなり幅の広そうな役職ですが,Hsuさんは,ASUSのどういう部門を統括されているのでしょうか。
(Jackie Hsu氏,以下Hsu氏):
4Gamer:
分かりました。では,R.O.G.ブランドの成り立ちや,今年のR.O.G.ブランド製品の訴求するポイントについて教えてください。
Hsu氏:
我々ASUSは,長らく一般ユーザー向けの製品開発に注力してきました。
しかし,6年前,特定層に向けた製品開発に挑戦してみようというプロジェクトが立ち上がり,まず最初に,ゲームプレイヤー向け,オーバークロッカー向けの製品開発を行うことにしました。それが事実上,R.O.G.ブランドの発足となりました。
とくに力を入れたのがマザーボードの開発だったのですが,当時は,「ゲームプレイヤー向けのマザーボード」という定義自体が定まっていませんでしたので,まず,どんな機能が必要なのかを洗い出し,そのなかから有益だと判断される機能を搭載していきました。
4Gamer:
具体的にはどんな機能でしょうか。
Hsu氏:
ハードウェア機能3つのうち,1つはCross Chillと呼ばれる空冷と液冷のハイブリッドな冷却システムです。2つめはCPU動作状態や温度状態を表示し,オーバークロック制御が行えるOCパネルで,3つめは,高度なサウンド機能を提供するSupreme FXになります(関連記事1,関連記事2)。
ソフトウェア機能は,1つめが,SSDのパフォーマンス改善によく使われるSecure Erase機能,2つめがシステム性能の向上やパソコンの使用感改善につながるRAMディスク機能をBIOSレベルでサポートしたことです。同様な機能を提供するサードパーティ製品もありますが,ASUS純正の形で提供したことが重要だと考えています。そして,ソフトウェア機能の3つめは,ゲームプレイ中に敵キャラクターが立てる音の定位を可視化するSonic Radar機能です(関連記事)。
この6つの機能は,ほかのブランドにはないR.O.G.製品だけの特徴になるでしょう。
4Gamer:
R.O.G.は「ゲーマー共和国(Republic of Gamers)」という意味の造語ですよね。「ゲーマー」という文字がブランドに含まれているのですが,R.O.G.からはゲームプレイヤー向け製品とオーバークロッカー向けの製品の両方がリリースされています。ゲームプレイヤーとオーバークロッカーではニーズが違うはずなのに,R.O.G.ブランドでは一緒になっていますから,少し分かりにくくないですか?
Hsu氏:
そうすると我々の製品ラインナップも分かりやすく見えてきませんか。
たとえば,OCパネルが付属する「MAXIMUS EXTREME」シリーズは,ゲームをプレイするものの,ゲーマー度の高さよりは「テクノロジー好き」度が飛び抜けているユーザー向けの製品です。
複数GPU対応で安定動作志向の「MAXIMUS FORMULA」シリーズは,「テクノロジー好き」のユーザーへのアピール度はそこそこですが,ゲーマー度の高いユーザーには響く製品となっているはずです。
コンパクトサイズの「MAXIUMUS IMPACT」は「テクノロジー好き」度はそこそこ,ゲームプレイは重視するが,ウルトラハイエンドなグラフィックス環境までは求めていないというPCゲーマーの人向きの製品です。
4Gamer:
なるほど。
Hsu氏:
ASUSの企業理念には「人のことを思いやる」というものがあります。ですから,たとえばの話ですが,我々の支社のあるフランスで重大な事件があったとすれば,我々は同じことをしたことでしょう。こう言うと語弊がありますが,日本だけを特別視しているわけではなくて,我々は,世界のすべての人々に対して同じ度合の思いやりを持って接しながら,ビジネスを展開しています。
ただ,このマザーボードにメッセージを刻印した件に関しては,製品の開発に従事した技術者の一人が,個人的に日本に対して特別な思いを持っていたことも理由の一つとなっています。会社の命令でやらせたわけではありません。ちなみに,あのメッセージが刻印されたマザーボードは量産品にはなりませんでした。
4Gamer:
CPUソケット2基搭載の強烈な製品でしたが,発売されなかったのは残念ですね。
そのマザーボードのように,ASUSやR.O.G.ブランドでは,毎年のCOMPUTEXで,ユニークなコンセプトモデルをいくつも展示していますよね。あれはどういった経緯で開発されるのでしょうか。また,他社にはないユニークな製品なのに,最終的に発売されないこともありますが,どうしてなのでしょうか。
Hsu氏:
毎年発表される,独特で個性的な機能を持つコンセプトモデルは,いくつかの種類に分類されます。1つは,担当技術者やその開発チームが,ユーザーの反応を窺うような目的で開発するタイプです。もう1つはマーケティングサイドから提案されたアイデアに基づいて開発されるタイプです。
展示を行ったあと,来場者からの意見を取りまとめて,ユーザーが欲しているものと判断されれば,最終的に量産されて発売へと踏み切ります。いくらユニークで話題作りに貢献できたとしても,ユーザーのウケがよくなかったものは発売に到りません。
4Gamer:
ゲーマー向けデバイスでは,PC本体も重要ですが,ディスプレイ製品も重要です。R.O.G.ブランドでゲーマー向けディスプレイを出す考えはありますか。
Hsu氏:
今後は,最近話題の4K解像度のディスプレイ製品や,要望の多い超低遅延に対応したディスプレイなどを出していきたいと思っています。
4Gamer:
分かりました。
では,最後に日本のPCユーザー,そしてASUSやR.O.G.ファンに向けてメッセージをお願いします。
Hsu氏:
日本のPCゲーマー向け市場は,世界に類を見ないほどハイエンド指向の人が多いんです。そして日本のPCユーザーは全般的に知識が豊富です。我々ASUSグループでは,ミドルクラスからハイエンド製品に関しては,世界で最初に日本で発売することもあるくらいです。
今後とも,日本プレイヤーからの反応に積極的に耳を傾け,そして日本のお客様が求める製品を提供していけるように努力していきたいと思っています。これからもASUSグループ,R.O.G.シリーズをよろしくお願いいたします
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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