連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第25回:「ピンチはチャンス。それが若さ」
著者近影
男色ディーノに……というかこの連載に,始まって以来最大のピンチが訪れた。っていうか現時点で訪れているまさにその最中。
というのも,まっこと久しぶりに原稿がボツったのだ。この連載の掲載は火曜日。そしてこの原稿を書いている今が、その火曜日。で,今回私は本来の締め切りを華麗にスルーして,月曜の昼に原稿を提出した。それがボツった。
その理由は,とあるゲイムに対して私が少々はしゃぎ過ぎたから。担当氏から妥協案というか代替案として,メーカーからの画像を使わず,伏せ字をこれ見よがしに使って乗り切ることが提案されたが,それではどうにも美しくない。
第一,毒を入れた饅頭を食べさせようとして書いた記事の毒を抜いたのでは,ただの饅頭になってしまう。それはダメだ。書き直さねばなるまい。誤解のないようにハッキリ言っておくが,私はメーカーをまったく恨んじゃいない。っていうか,ダメだと言ったメーカーはむしろ偉いとさえ思う。
私は日曜日の興行で,久しぶりにイメージどおりの試合ができた。そのことでついついテンションが上がってしまい,思っていることを素直に,生まれたての赤ん坊のような無垢な気持ちで書いてしまったのである。まあ個人的に愛はあったのだが。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン。初めて聞いた時にはこの歌詞の意味がまったく分からなかったが,今なら分かる気がするよポイズン。
で,書き直すことになったはいいが,月曜の夜にちょっとした用事があり,たった今帰ってきたところ。それが6:15。ピンチだ。誰がどう考えてもピンチだ。担当氏が出社するまでにこの原稿を仕上げねばならない。これを読んでいる読者のほとんどは,今の時点で寝ているだろう。
正直,今ドラゴンボールが七つ揃っているならば「今寝ているやつらを叩き起こしてくれ」という願いを叶えたい。そんな気分だ。「めざましテレビ」の時報がこんなに腹立たしく感じたことはない。テレビを消す。
ぶっちゃけ,私の中でストックされているゲイムはない。だが,原稿を飛ばすことはできない。ふと,一つの方法(今までプレイしたゲイムを思い出して書くこと)が頭に浮かんだ。だが,今の状態で過去のゲイムについて思い出して書いたのでは,偏った記憶しか蘇ってこないだろう。
そして何より,私は変態でマゾだ。
「自分を追い込めディーノ。新作だろここは」
心の中の私が亀甲縛りされた状態でささやく。
そうだ。楽な道を選んではいけない。まだプレイしていないゲイムをプレイしつつその感想を書けばいい。プレイしながら原稿。新しい。こいつぁイけるぞ! うまくいけばさぞかし緊迫感のある記事が書けるだろう。ピンチはチャンス。それが若さ。私はそう思い「バイオハザード5」の封を開け,PLAYSTATION 3にディスクをねじ込んだ。
6:26 いきなり誤算が。こんな一刻を争う有事に,本体のバージョンアップおよびソフトのインストールがスタートしやがった。だがもう引き下がれない。今のうちに取説を読んでおこう。もしも今停電になったら,東京電力にカチコミします。
6:38 インストール終了。デモムービーがいきなり怖い。そういえば,怖いからという理由でこんな大作を未プレイだったのだ。だが,ここはひるんではいられない。今の私はバイオハザードよりも原稿を落とすことのほうが怖いのだから。
6:40 ネットワークにサインインせずにプレイ開始。難度をアマチュアにしておけばいいのに,ここでも亀甲ディーノに囁かれ,ベテランを選択。イヤ,ちょっと待てデモムービーだけでなく,オープニングムービーもなんとなく怖い。PS3の高い表現力とカプコンの技術力がこの際忌々しい。思わずスキップ。
6:44 オープニングムービーをスキップしたもんだから人間関係が分からない。誰か分からない女性が同行している。しばらく歩くとムービーが始まった。装備をゲット。広場に行けと命令される。
6:49 プレイヤーが調べたりしている間も,女性は物をぶっ壊したり金を拾ったり独自に行動している。PS3スゲー。そして,これは予感だけれどもこのゲイムたぶん面白い。
6:56 ぎゃあああああ初めての敵! 動きが早いよこいつ。「追っ手が来る前に先を急ぎましょう」って言われたけど追っ手が来るの? 勘弁して欲しい。そしてもっと言うと,できることならこれからゲイムクリアまで敵には出てこないでほしい。
7:09 ムービーのあと,なんだか大勢の敵に襲われる。撃てども撃てどもやってくる。そして気付くとパートナーの女性が倒されている。「your partner dead」ですって。ゲイムオーバー? っていうか怖いよこのゲイム。
という感じでバイオハザード5を一通りというか一度プレイしてみた。そしてプレイしながら書いた内容を読み返してみると,緊迫感が出ているというか,むしろ緊迫感しか出ていないことに驚いた。だがこの手法を否定してはもはや私には何も残らないから,これはこれで良しとする。
っていうか,バイオ5面白い。ひとまずこの原稿を送信して続きをプレイしてみようと思う自分がいる。バイオについての詳細は来週報告するとしよう。それではまた来週!
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