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「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会「World Championship 2018」初日をレポート。逆転に次ぐ逆転で,DFMは惜しくも1勝1敗
詳しくはこちらの記事で確認してほしいが,今年のWorldsはプレイインステージ,グループステージ,ノックアウトステージという3つのステージで構成されており,それぞれ会場やルールが異なる。プレイインステージは,グループステージへのシード権を持たない12チームが,4つの勝ち抜けチームを目指して戦うステージで,抽選で決められたグループ内でBo1(1勝先取)の総当たり戦を2回行い,各グループの上位2チームがプレイインノックアウトに進出。ここでBo5(3勝先取)で争い,これを制したチームがグループステージに進出できる。
「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会「World Championship 2018」がまもなく開幕。DFMの対戦相手や見どころなど,観戦するための情報をまとめてお届け
リーグ・オブ・レジェンドの,今年の締めくくりとなる世界大会「2018 League of Legends World Championship」が10月1日に開幕する。本稿ではこれまでの日本チームの挑戦を振り返りつつ,日本代表チームDFMの対戦相手など,より観戦が楽しくなる情報をまとめてお届けしよう。
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DFMは,プレイインステージからの挑戦となる。対戦相手は,Worldsに6年連続で出場している北アメリカのCloud9(以下,C9),そしてブラジルのリーグで2つのシリーズを制したKaBuM! e-Sports(以下,KBM)だ。
まずはDFM対KBM戦から。KBMはCeros選手を警戒して,ハイマーディンガーとジグスをバンした。そんな中でDFMが選んだのは,オーン,キンドレッド,カルマ,ヴァルス,タム・ケンチ。MidレーンのCeros選手がカルマということで,DFMがどのように立ち回るのかに注目が集まった。
対するKBMは,サイオン,タリヤ,シンドラ,トリスターナ,スレッシュという構成だ。
KBM戦は,非常に苦しい展開から始まった。ブルーバフをタリヤに奪われ,上下のリフトスカトルも取られ,ラプターも狩られ……とSteal選手のキンドレッドは身動きが取れない。しかしそれでも,Botレーンでうまく3vs.3を引き起こし,ファーストブラッドをYutapon選手のヴァルスに渡すことに成功する。
さらに,試合開始から13分,Topレーンのタワー下にいたEvi選手に,KBMが3人で襲い掛かるが,Evi選手はどうにか耐え抜き,さらにチームの寄りも間に合って返り討ちに。一気に3キルを手に入れる。
流れはDFMにあると思いきや……ここから,KBMの逆襲が始まった。DFMの隙をついてリフトヘラルドを獲得し,さらにMidタワーを巡る攻防では,サイオンが見事なUltをぶち当てる。さらにタリヤがUltで退路を塞ぎ,逃げ道のなくなったDFMはエースを取られてしまう。続くドラゴンを巡って起きた集団戦でも,再び大敗。この時点での試合時間は20分ほどで,チームのゴールド差は6000,もちろんKBMのほうがレベルが高く,さらにトリスターナは4キル3アシストの育ちっぷりと,かなり苦しい状況に追い込まれる。会場にも,このままKBMが勝つのではないかという空気が漂うが……。
ここでチームを盛り返したのが,Evi選手だ。オーンのUltによる見事なピックアップでトリスターナを撃破。もう一度Ultが使えるようになると,今度はシンドラを捉えて倒し,KBMの勢いを削いて時間を稼ぐ。ここからEvi選手のオーンは,すべての集団戦で的確なUltをぶち込み,大活躍を見せることになる。
試合の決定打になったのが,開始26分だ。バロン前でオーンが捕まってしまい,どうにか離脱するも瀕死の状態に。それをチャンスとみたKBMが,バロンに攻撃を始める。それに対応するため,DFMも集まるが,タリヤのUltで道をふさがれてしまい,バロンピットの中に入れない。
このままバロンを取られれば試合は決まってしまう……。このピンチに,またしてもオーンのUltが炸裂し,バロン周りにいた敵を一気に打ち上げる。さらに,そこに合わせてYutapon選手のヴァルスが矢を放ち,バロンスティールを成功させたのである。さらに,バロン戦で傷ついたKBMを猛追し,一人も欠けることなくエースを獲得する。
続く集団戦も,オーンのUltから一気にひき潰してKBMを壊滅させ,そのままの勢いでネクサスを破壊し,初戦を華麗な勝利で飾った。
次の対戦相手はC9だ。ここで勝利できれば,プレイインノックアウトに進出できる可能性がグっと高まる。
ここでもハイマーディンガーがバンされるが,そのぶんCeros選手の得意なジグスや,今大会で高いピックorバン率の高いアーゴットがフリーに。DFMが選んだのは,アーゴット,シン・ジャオ,ジグス,ヴァルス,タム・ケンチの構成だ。対するC9は,リサンドラ,キンドレッド,イレリア,カイサ,アリスター。複数のレイトキャリーを擁する構成で,DFMに襲い掛かる。
C9戦は,KBM戦と打って変わって,Jungleがかなり動きやすい状況でスタート。Topレーンでファーストブラッドこそ取られてしまったものの,ほぼ互角の堅実な試合展開が続いていく。
試合開始から13分が過ぎ,C9は3人でリフトヘラルドを触り始める。ここで一枚上手だったのがDFMだ。リフトヘラルドに寄っていたアーゴット,ジグス,シン・ジャオに加え,ヴァルスはテレポート,タム・ケンチはUltで急行し,3vs.5の状況を作り上げる。そのまま2キルとリフトヘラルドを獲得し,ついにC9に優位に立ったのだ。そのままリフトヘラルドを使ってMidのタワーもへし折り,視界的にも有利な状況を得ることに成功する。
さらに22分過ぎ,アーゴットとシン・ジャオが捕まって発生した集団戦では,viviD選手のタム・ケンチが瀕死のシン・ジャオを飲み込んで救い,犠牲をゼロに。さらに,逃げるC9をCeros選手のジグスがフラッシュからのエンジニアボムで引き寄せ,キルを重ねていく。リコールするしかなくなったC9を見て,その隙にきっちりバロンも倒し,さらに差をつける。
バロンバフを使ってMidレーンとBotレーンのインヒビターを破壊し,観客席もこれはDFMが大金星を上げるのではないかという雰囲気に。しかし,ここからC9が猛攻を見せる。30分ごろ,イレリアとカイサが育ってきたためか,再び出現するバロンを巡っての攻防で,一人も欠けることなく4キルを獲得するC9。そのままバロンも獲得し,バフの効果でそれまで大きく開いていたタワー差を一気に盛り返す。
さらに次の集団戦では,ジグスを真っ先に倒し,人数的にも有利な状況に。これで,勝敗はどちらのもになるのか,まったく分からなくなってしまった。
しかし,ジグスの死は無駄ではなかった。人数差を作ってから,C9はエルダードラゴンを攻撃し始めたのだが,なんとここでDFMは,ジグスが欠けた状態から集団戦を仕掛けたのだ。これはさすがに予想外だったのか,C9は敗走し,見事DFMはエルダードラゴンを獲得。さらにそのままバロンも獲得し,強烈な2種のバフを得ることに成功したのである。
ジグスは復活し,再び敵のインヒビターも2つ破壊した。試合を見ていた人は,誰もがDFMの勝利を確信したことだろう。
だが,C9は諦めていなかった。ここで素晴らしい動きをしたのが,Licorice選手のリサンドラだ。本陣外の壁の裏,視界を取られていない場所に待機し,ネクサスタワーを攻撃するDFMを強襲したのである。完璧なタイミングで攻勢に転じたC9の一手により,なんとDFMは全滅。しかも,C9は犠牲者なしという,最高の戦果を挙げる。この時点で試合時間は42分が経過しており,デスタイマーも非常に長い。DFMの勝利まであと一歩,いや,半歩というところまでいきながら,最後の集団戦を制したC9が,そのまま反対側のネクサスまで到達し,逆転勝利を手にしたのだった。
プレイインステージ初日のDFMの試合は,1戦目は不利に見える展開からの逆転勝利,2戦目は勝利を手にするかと思った瞬間からの逆転負けという,対照的な展開だった。観客からすれば,この日の試合の中でどちらも印象に残る,非常に面白い内容だったと言える。もちろん,日本チームであるDFMを応援したい立場としては,2試合とも勝利してくれれば最高だったが……。
とはいえ,まだプレイインノックアウトへの道が断たれたわけではない。10月3日に再度KBMとC9と対戦し,その結果によって,プレイインノックアウトへ進めるかどうかが決まるからだ。
初日の試合内容を見るに,まだまだチャンスはある。果たしてDFMは,日本初のグループステージへの進出を成し遂げるのか。次の試合に期待したい。
10月3日は初日と同じ17:00に試合が始まり,事前のDFMの対戦は18:00からとなっている。試合の模様はLJL公式サイトまたはTwitchのLJL公式チャンネルで視聴可能だ。
プレイインノックアウトへの進出が掛かる3日の試合,参考までにどういう結果となればDFMがプレイインノックアウトに進出が確定するのか記載しておこう。
※2018年10月3日18:00 10月3日のDFMの初戦を19:00からと記載しておりましたが,18:00から試合となるため訂正いたしました。
進出が確定する試合パターン
・DFMが全勝(3勝1敗で通過)
・DFMがKBMに勝利(DFMが2勝,KBMの3敗が決まるので通過)
・DFMがC9に勝利し,C9がKBMに勝利(同上)
最後に,初日の試合後に行われたDFMへの合同インタビューの模様をお届けしよう。
「League of Legends Japan League(LJL)」公式サイト
「League of Legends Japan League」公式Twitchチャンネル
――Worldsの舞台に立った感想を教えてください。
Yutapon選手:
KBM戦は,ちゃんと自分達がやることをやれば勝てるなと思っていて,最初は緊張もあったのかミスもしたんですけど,自分達の力を出せてよかったと思っています。
Evi選手:
LJLのファイナルで勝つまでは,そこで勝つことが目標でした。勝った後はWorldsに出て勝つことが目標になったので,来られてよかったという気持ちと,プレイインステージを突破したいなという気持ちです。
Steal選手:
世界の試合の中で,やるべきことはやって戦えているという気持ちで,嬉しいです。
viviD選手:
Worldsに参加できたのは嬉しいですけど,2戦目はちょっともったいなくて,悔しいです。明後日またがんばりたいと思います。
Kazuコーチ:
このチームでファイナルが終わってから,Worldsに向けて,LJLらしい,DFMらしい戦いができるかに重きを置いて練習してきたので,しっかりと戦っていきたいですね。
――KBM戦は,中盤の集団戦に2回負けたあたりまで,厳しい状況だったと思うのですが,そのときのチームはどういった雰囲気で持ちこたえたのでしょうか。
Yutapon選手:
確かに集団戦は落としたんですけど,こっちはやりたいチャンピオンを取っていたので,ボイスチャットではこの先,集団戦やったら絶対勝てるから,大丈夫じゃないかみたいなことは言っていた記憶があります。
Evi選手:
まずいなって気持ちはありましたけど,そこから逆に意識が「しっかり俺のUltで狙わないとな」となり,相手を捕まえていけたのが良かったですね。
Steal選手:
2回負けていても,あと10〜15分試合が伸びれば勝つ自信があったので,割と雰囲気は良かったですね。
viviD選手:
焦りとかは全然なかったです。
――KBM戦は最後のバロンで勝負が決まった印象ですが,あそこはもう仕掛けていこうという意識でぶつかっていったのでしょうか。
Evi選手:
相手がバロンを始めているのが分かったときには,みんな「ここでゲームが決まるな」と思っていたんじゃないでしょうか。
Steal選手:
あのときは,バロンを取られても割と勝つ自信があったから,行こうという感じでしたね。
viviD選手:
ここで決まるなと思ったんですけど,Yutaponがバロンスティールした瞬間「あ,僕ら勝ったわ」って(笑)。バロンを取った表示が出た瞬間叫びすぎて,今も喉が痛いです。
Yutapon選手:
カルマの装備が揃ってて,バロン取られたとしても集団戦で勝てるだろうなと思って入っていきました。相手5人全員がバロンピットの中に見えた時点で,こっちにはオーンがいるし勝ちなのは確定していたんです。僕はとりあえずUlt撃ってトリスターナに当たったので,そのまま倒そうとQを撃ったんですが,バロンが取れてめっちゃ嬉しかったです。多分僕が一番ビックリしていました。
――C9戦では,惜しくも最後の最後で逆転されてしまいましたが,あのシーンの敗因はなんでしょうか。
Evi選手:
相手はあそこで仕掛けないと絶対負けてしまうと分かっていたので,仕掛けてくるはずなんですけど,それに対する警戒が甘かったと思っています。
Yutapon選手:
エルダードラゴンバフが終わりかけだったので,Topに行ったら集団戦までに切れてしまうため,あのタイミングでゲームを終わらせる必要があったんです。相手はリサンドラが裏から入るしかなくて,それは僕達も分かっていたので,正面に見えて「あ,5人いるね」と確認したうえで(ネクサスタワーに)行きました。でも,その後で見えない位置から後ろに入ってきたのがうまかったです。
ただ,それしかないと分かっていたのに,勝ちを焦ってしまったのが良くなかったと思っています。
――今回の会場はLoL Parkとなりましたが,普段通りにプレイできましたか。
Evi選手:
僕は普段通りにできたと思っています。ちょっと寒いとかはありましたけど,言ったら空調も調整してくれましたし,試合中は気にならなかったですね。
Steal選手:
とくには問題なかったです。
Ceros選手:
LoLをプレイするために作られた場所ということで,机とか椅子とか,環境はやりやすいと思いますね。そもそも,Riotさん自体,試合の環境についてはいつもパーフェクトなので,いつも通りいい感じでした。
Yutapon選手:
正直,環境とかあまり気にならないんで,普通にできました。
viviD選手:
僕も気にならないタイプなんですけど,ヘッドセットはすごい良かったですね。
Yutapon選手:
あ,ヘッドセットは良かった。周りの声とか全然聞こえないんですよ。
Evi選手:
LJLさんも同じものを導入してくれないかな(笑)。
――LoL Parkは観客との距離が近いですし,オープンな環境ですけど,それでも周りの声が聞こえないのでしょうか。
Ceros選手:
ホワイトノイズが入っているんですけど,ノイズは小さいのに,性能がいいのかなぜか聞こえないんです。
Yutapn選手:
ノイズあった? ってレベルで分からなかったですね。
――1戦目,2戦目でハイマーディンガーがバンされました。これはDFMが相手だからこその展開だと思いますが,これは予想していましたか。
Ceros選手:
僕が使うのは分かっていたし,相手にとっては知らないチャンピオンなので,バンしてくるだろうなとは思っていました。バンされたところで予想通りだなという感じで,それを踏まえて練習していました。
Kazuコーチ:
コーチ視点だと,今シーズンのLJLでも,ハイマーディンガーはあいていたら使うチャンピオンとして,前に出していました。こちらからすると,ハイマーディンガーにバン枠を使わせることで,アーゴットなどのOPチャンピオンや,Yutaponのヴァルスなどを優先的に取れるので,予想通りの展開です。Cerosはチャンピオンプールが広いので,問題はないですし。
――ピック&バンについて,1戦目と2戦目はどういった狙いで選んでいましたか。
Kazuコーチ:
まだ大会が終わっていないので答えるのが難しいのですが,いかに選手がやりやすいチャンピオンを取れるかを意識していました。1戦目はYutaponとviviDを軸にして,2戦目はStealとEviがやりやすい環境を考えました。
――1戦目と2戦目が終わった後,どんな話をしましたか。
Ceros選手:
どちらも基本的に同じで,見直して「これ,こうだったんじゃない?」という話し合いを始めます。勝った試合であっても,ここ悪かったよねという感じです。
Evi選手:
2試合目は負けた後,自分の中で「俺がこうするべきだった,もっと何かできなかったのか」ということを考えていましたね。
――韓国人選手のお二人は,母国で試合をすることに特別な気持ちはありますか。
Steal選手:
韓国だからというよりは,Worldsだからいつもと違う気持ちという感じです。
viviD選手:
あんまり気にしないですね。1勝できたのは嬉しいですけど,もちろん悔しい気持ちもあるので,次は絶対に勝ちにいきます。
――日本からこの会場に応援に来ている人がいたり,韓国の人でもDFMを応援していたり,あとは日本から応援している人もいたりしますが,そうした声は,皆さんに届いているものでしょうか。
Evi選手:
めちゃくちゃ届いてます。SNSであったり,会場でカードを作って掲げてくれている人であったり,僕達が応援されていることを実感できて,本当に嬉しく思っています。
――明後日の試合に向けて,意気込みをお願いします。
Ceros選手:
正直C9戦は,周りから見ればDFMが試合に勝つって奇跡的なことだと思われてるかもしれませんが,僕らは勝てる可能性はかなり現実的なものだと思っているので,グループステージ目指して勝ちにいきたいです。
Evi選手:
今日のC9戦に勝っていたら,ほぼほぼプレイインノックアウト進出は確定していました。目標としては,日本チームが一度もしたことのないプレイインステージ突破を目指していて,その目標に本当に近いところまで行って,それでも負けてしまったんですけど,気持ちをリフレッシュして,しっかりと準備を整えて,明後日の試合に挑みたいと思います。
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