連載
CoDMW2連載 / 第1回:モダン・ウォーフェアシリーズが描き出す国際社会とは
2007年にリリースされた,「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」(PC/PlayStation 3/Xbox 360。以下CoD4)に続き,全世界で驚異的な大ヒットを飛ばしている「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」(PC/PlayStation 3/Xbox 360。以下,モダン・ウォーフェア2)。現在,スクウェア・エニックスから音声吹き替えによる日本語版が発売されており,日本での人気も上々のようだ。発売から1か月半ほどが経過しているので,シングルキャンペーンはすでに終わり,大盛況のマルチプレイを楽しんでいる人も多いかもしれない。
今週から始まった連載,「タスクフォース141:まさかのときの野戦(フィールド)マニュアル」は,そんなモダン・ウォーフェア2をより深く楽しんでもらうためのものだ。出てくる敵をバリバリ撃っていたら終わってしまった,ああ,面白かった。でもいいのだが,やはりマカロフ(悪役)の目的はこういうことだったのか,とか,ああ,この武器はこんなときに使うのか,みたいなことが分かったほうが,当社比で5倍は嬉しいのだ。
さて,まずはコール オブ デューティシリーズについて少し説明しておこう。
2003年にPC向けにリリースされた第1作「コール オブ デューティ」以来,2006年(一部機種は2007年)の「コール オブ デューティ3」(PlayStation 3/Xbox 360)まで,一貫して第二次世界大戦を背景にしてきたコール オブ デューティシリーズ。それまでも高い人気を誇ってきたシリーズだったが,上記のように,テーマを現代戦に変えたCoD4が世界的に大ヒットし,シリーズに新たな展開を加えたのである。
2008年にリリースされた「Call of Duty: World at War」(日本未発売)が,再び第二次世界大戦に回帰しているので,今後は,第二次世界大戦モノのコール オブ デューティシリーズと,現代戦を描くモダン・ウォーフェアシリーズの二本立てでいくのかもしれない。
どちらのシリーズにも共通していえるのが,スクリプトを多用したドラマチックな演出が施されていることだ。ミッションの途中で目的や状況が目まぐるしく変わり,まるで,アクション映画の主人公になったかのような高揚感が味わえる。リアリティよりはアクション性に重点がおかれており,ダメージを受けても自動的に回復するし,弾薬は比較的豊富に手に入り,敵の落とした武器を拾うことも可能だ。
マニアにとって嬉しいことに,モダン・ウォーフェアシリーズは,ほかのFPSにはあまり出てこないような最新兵器が,どんどん登場することでも知られている。
グラフィックスも写実的でありながら,技術的に極端にハイレベルというわけではなく,要所を押さえた作りとなっている。わざわざハイエンドPCを用意しなくても,迫力ある画面で無理なくプレイできるのだ。
シリーズ第二弾となるモダン・ウォーフェア2の物語は,前作から続いている。そのため,本作から初めてプレイするという人の中には,ところでこの囚人は誰? ザカエフって何者? ニコライっておいしいの? 的な疑問を持つ人も多いはずだ。
そんな人のために,まずは前作のあらすじをざっと紹介しよう。世界のあちこちでさまざまな事件が起き,クライマックスに向けてそれが収斂していくという,CoD4のドラマチックなストーリー展開を知ってほしい。
ただし,気をつけては書きたいものの,ネタバレチックな部分もあるはず。そのため,これからCoD4をプレイしてみようという人は,ぜひとも斜め読みすることをお勧めしたい。ちなみに,この連載はPC版を元にして書いているが,シングルプレイの内容については,PlayStation 3/Xbox 360版でも変わらない。
2010年,ロシアでは改革を唱えるクーデター軍と政府支持派が衝突し,内戦が勃発した。そして中東の某国では,超国家主義組織のトップに登りつめたアル・アサドが権力を握ろうとしていた。
イギリス軍の特殊部隊,SASの新人隊員ソープ・マクタビシュは,上官のプライス大尉から「ソープとは妙な名前だな」とからかわれながら,仲間と共に貨物船強襲作戦に参加する。ソープ達が強襲した貨物船には,核兵器が積まれているという情報があったのだ。
彼らは敵の激しい抵抗をなんとか排除し,核兵器を確認したものの,飛来した敵機の攻撃によって貨物船は沈没,核兵器は貨物船と共に海の底に沈んでしまった。
その頃,中東の某国では,アサドが武装勢力を蜂起させ,クーデターを起こした。大統領は身柄を拘束され,処刑場に連れて行かれる。意識朦朧の大統領が最後に見たのは,大柄の片腕の男だった。その男に銃を手渡されたアサドは「これが始まりだ」とつぶやき,大統領は凶弾に倒れた。
ソープらSAS部隊は,コーカサスの山中へ向かっていた。目的は,超国家主義派に拘束されたロシア人諜報部員,ニコライを救出することだ。核兵器の搬送情報をSASに伝えたことが発覚したのである。
激しい戦いの末,ニコライの救出に成功したSAS。だが,米軍がすでにアサドを抑えるために派兵したことを知ったニコライは,気になる言葉を口にする。「彼らは間違いを犯している。アル・アサドを捕えることはできないだろう……」
中東某国では,5万人の兵力を投入したアメリカ軍が,クーデターの鎮圧作戦を展開していた。海兵隊のポール・ジャクソンもその一人で,ターゲットであるアサドを確保すべく目標地点へ向かっていた。
アサドが国営放送局にいると判断した海兵隊は,放送局に突入したが,アサドがいるはずのスタジオは空っぽで,彼の放送は録画されたものだった。これは何かの罠なのか?
ソープらがコーカサスから脱出するために四苦八苦している間,アメリカ海兵隊は最新情報に基づいて首都に進出した。アサドがいると思われる大統領宮殿へと包囲網を狭めていくが,そのとき,強烈な閃光があたりを昼間のように明るくし,巨大なキノコ雲が立ちのぼった……。
ニコライの懸念は的中した。アサドの居場所には心当たりがあるというニコライの言葉に従って,SASはアゼルバイジャンの山中に飛んだ。
アサドらとの激しい銃撃戦ののち,プライス大尉は事件の黒幕である隻腕の男の正体を知る。名前はイムラン・ザカエフ。15年前,チェルノブイリ原発事故でゴーストタウンになったプリピャチ市で核物質の取引を行っていたザカエフを狙撃したのが,プライスだったのだ。だが暗殺は失敗し,ザカエフは逃亡した。
プライスの昔話が語られたのち,SASは過激派の拠点から脱出を試みる。再び激しい銃撃戦が発生するが,彼らはからくも脱出に成功した。
徐々にザカエフの包囲網を狭めるSASと海兵隊は,ザカエフの息子,ビクトルの確保を計画する。ロシア現政府支持派の協力のもと,作戦は実行された。
息子を失ったザカエフは,報復のためロシアのアルタイ山脈にあるミサイル基地を制圧する。その情報を入手したSASと海兵隊の合同チームは,ミサイル発射の阻止に向かう。
しかし,合同チームが基地を制圧する前に,ミサイルは発射されてしまう。被害予想は,アメリカ東海岸で4000万人以上だ。すぐさまロシア政府に解除コードを要請するが,なかなか教えてもらえない。わずかな時間も無駄にはできない。
激しい抵抗に遭いながらも管制室にたどり着いた合同チームは,解除コードを入手し,核弾頭は無力化された。
だが,ヘリで脱出しようとするザカエフを追った合同チームは,予想外の抵抗に遭う。続々と到着する敵の援軍。攻撃ヘリコプターに追われた合同チームは,絶体絶命の窮地に陥ってしまう。
……というのが前作,CoD4のあらすじだ。かなり駆け足だったが,2007年11月27日から6回にわたって掲載した連載「兵隊やくざ現代版 ワシにまかせろ」でも詳しく触れているので,そちらも参考にしてもらえると幸いだ。
なにしろ,ゲームに出てくる説明が少ないこともあり,キャンペーンを進めるだけで全体像をつかむのは難しいが,そのもどかしさもまた演出なのだ。
CoD4の敵は二人の超国家主義者だった。とくに米英に強い恨みを持ち,なおかつ自国が疲弊したのは西側諸国のせいであると考える武器商人のザカエフと,同じく西側諸国の影響を排除し,革命を起こしたいアサドの利害が合致したのだ。彼らの陰謀は特殊部隊の活躍で阻止された。
だが,物語はそれで終わらなかったのである。
ロシアの改革を目指し,過激派として暗躍していたザカエフは討たれた。モダン・ウォーフェア2の舞台となるのは,事件が終わってから5年が経過した世界だ。
ロシア政府内では反米感情が高まっていた。いまやザカエフは,ロシアの英雄だ。
そしてザカエフの死後,かつて彼の飼い犬だったウラジミール・マカロフが新たなリーダーとなり,野に放たれた狂犬のごとき脅威となっていた。マカロフを抑えられるのはザカエフだけ,しかし彼はもういないのである。
アフガニスタンに駐留していたジョセフ・アレンは,陸軍第75レンジャー連隊の二等兵だが,実戦での彼の活躍を見たシェパード大将によって,猛者が集う「タスクフォース141」のメンバーに抜擢された。
着任早々,彼には極めて重要かつ特殊な任務が与えられた。CIAの諜報員となり,マカロフの実動部隊にメンバーとして潜入するというものだ。しかしこの部隊が行ったのは,CIAも予想外のことだった。モスクワのザカエフ空港で全世界を震撼させる大事件が発生したのだ。
一方,前作に引き続き登場したソープは,SASの大尉になっていた。現在はシェパード大将のタスクフォース141に参加しており,新米のローチ・サンダーソンとともに,墜落した偵察衛星の重要機密部品であるACSモジュールを奪還するため,カザフスタンの天山山脈にある航空基地に潜入していた。
激しい抵抗に遭いながらもACSモジュールを回収して帰還したソープとローチは,CIAの潜入工作が失敗に終わり,米国の国際的な立場が窮地に立たされていることを知る。ザカエフ空港での事件がアメリカ主導によるものではないことを立証できる証拠を掴む必要が生じたのだ。
マカロフに武器を提供した商人,アレハンドロ・ロハスを追うため,SASはブラジルのリオデジャネイロに飛んだ。
ファベーラ(貧民街)で民兵からの激しい攻撃を受けながらも,なんとかロハス確保に成功したSASだが,脱出のための回収を要請するも,指令部と連絡が取れなくなってしまう。それもそのはず,このときアメリカ本土はかつて経験したことのない非常事態に陥っていたのだ……。
と,なんだかいろんなことが起きたように感じるかもしれないが,ここまではまったくの序盤。始まったばかりもいいところだ。モダン・ウォーフェア2はこのような感じで,あれよあれよという間に物語が展開していく。前作以上にさまざまなロケーションが登場し,“プレイヤーを飽きさせない演出”にはさらに磨きがかかっているのだ。
ちなみに上記のジョセフ・アレンの活躍は「こちら」に,またカザフスタン山中におけるソープとローチの突入作戦の模様は「こちら」にムービーを用意したので,あわせてチェックしてほしい。
個人的な印象だが,前作のシナリオが緻密に練り込まれていたのに対し,モダン・ウォーフェア2では,エンターテイメント性を重視したせいか,少々無理のある部分も見受けられる。とはいえ,次はどうなるのか? という展開や,思わずのめりこむ演出は,ストーリーの細かい瑕疵などは気にさせない。いやあ,ヒットするわけだと,本当に思う。
という感じで,今回は前作からのストーリーの流れをざっと紹介した。これでもう,モダン・ウォーフェア2で何が起こっているのかすっかり分かったはずだ。分からない場合は,何度も読もう。
さて,次回はモダン・ウォーフェア2のシングルキャンペーンの見どころを紹介していく予定だ。ゲームの背後に隠された意外な真実に気がつきそうな気がするので,ぜひお楽しみに。
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