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[Gamescom]中世ヨーロッパの暗部を描く「Hellion」は,マニアックな作り込みがウリのホラーアクション
同社は前回,火災の様子を非常に写実的に描画するデモンストレーションを行い,来場者の目を引いた(関連記事)。今回のデモでは,城や教会といった建造物が細部まで作り込まれていることを紹介していた。
ゲームとして出来上がるまでにはまだまだ時間がかかりそうだが,デモを見る限り,かなりの大作となりそうな印象だ。
本作では,ヨーロッパの史実をモチーフとする物語が展開する。
主人公は,父を目の前で殺されたことから母国のイギリスを去ったゴドリック。彼は,旅先で修道会「ドミニコ会」の修道者と出会い,悪魔祓い(エクソシズム)の儀式を習得する。物語は,その話を聞きつけたバチカンに,“インクイジター”として雇われるところからスタートする。
本作でインクイジターは,ローマ教会から宗教裁判の全権を委ねられた役職で,その地位を利用し,「非宗教者」のレッテルを貼られた人々を殺戮したという設定になっている。そのインクイジターとして雇われた人物を主人公とすることで,“宗教批判”というセンシティブなテーマを盛り込もうとしているようだ。
ゲームの舞台である13世紀頃のヨーロッパといえば,十字軍遠征の失敗がほぼ確実となり,“社会的な疲労”による飢饉や,疫病がヨーロッパ全土を襲った時期だ。当時のヨーロッパには,民衆の“キリスト教離れ”から数々のカルト集団が誕生していったという。
本作では,そのような歴史的背景がデフォルメされ,たった一人で,カルト集団やデーモンなどのクリーチャーと戦いを繰り広げるゴドリックの活躍が描かれるのである。
デモンストレーションを行ってくれた同社のアシスタント・プロデューサー,Maciej Kowalski(マシエフ・コワルスキー)氏によると,自らがインクイジターとして戦っているという感覚をより強く味わえるよう,一人称視点を採用したとのこと。HPなどの情報を画面上から極力排除しているのも,同じ狙いからなのだそうだ。
とはいえ,フィニッシュ・ムーブを繰り出すときには三人称視点に切り替わる。敵の首や手足を切り落としたり,心臓に剣を突き立てたりといった具合に,かなり残忍な描写が見られた。
また,剣以外にもダガーナイフや弓,グリークファイヤー(中世に存在したという火炎放射器のような武器)などが登場するという。
戦いを重ねるにつれてそれぞれの武器に慣れ,攻撃時の精度が高まるほか,その武器に関連するスキルを習得し,派手な攻撃やコンボ技を繰り出せるようになるのだ。
通常の剣などでは太刀打ちできないデーモンに対しては,10種類近く用意されたエクソシズムを用いて攻撃する。今回は確認できなかったが,これはいわゆる呪文のようなものだろう。
なおエクソシズムには,人間に憑依するデーモンを追い払うといった使い方もあるようだ。
独自に開発されたゲームエンジンによるグラフィックスは非常に美しく,細部まで作り込まれた建造物の描写は見事の一語に尽きる。ステンドグラスを通して入ってくる光線に目を凝らすと,埃が舞っていることまで見て取れるのだ。
舞台となっている,フランスやスペイン,イタリアに実在した城や大聖堂を,できる限り正確に再現することに力を注いでいるという。デモで見せてもらった教会は,13世紀頃は建設中だったそうで,大工達が足場を使って作業を進めている様子まで確認できた。
Hellionは,PCおよびXbox 360,PLAYSTATION 3向けに2010年に発売される予定。パブリッシャは未定だが,Gamescomをきっかけにアメリカの大手メーカーとの交渉が始まったらしく,近々正式発表が行われることになるかもしれない。
- 関連タイトル:
Hellion: Mystery of the Inquisition
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