プレイレポート
「信長の野望・天道 パワーアップキット」で自分だけの歴史ifが実現。歴史好きにはたまらない,魅力たっぷりの要素を遊び尽くそう
信長の野望シリーズといえば,すべてを遊び尽くしたいファンに向けて追加でリリースされるパワーアップキットシリーズが有名だが,本作にもいよいよファン待望の「信長の野望・天道 パワーアップキット」(以下,天道PK)が登場した。
パワーアップキットとは,ベースとなるオリジナルのゲーム本体に,新たなシナリオや追加武将,新フィーチャーなどを付け加える,文字どおりゲーム本体を“パワーアップ”させてくれるアドオンだ。
今回発売された天道PKでは,新たなフィーチャーとして,大名家の力を強化する“文化”という要素の追加と,文化を振興することで新たに建設できるようになるさまざまな“文化施設”を追加。さらに,NPCが操作する大名家のAIを,プレイヤーが自由にエディットしたり,武将個人の能力を自由に変更できるデータ編集機能が追加されている。
もちろんそれ以外にも,11種類の新シナリオ追加や,120人もの新武将,多数の新たな歴史イベントといったところも見逃せないポイントだ。
「信長の野望・天道」公式サイト
文化を振興し,豊かな国づくりと人材の育成を
まず,新たに追加されたフィーチャーの一つである,文化から見ていこう。文化というフィーチャーが,信長の野望シリーズに初めて取り入れられたのは,1990年に発売されたシリーズ第4弾の「信長の野望・武将風雲録」でのこと。武将風雲録では,文化という概念を戦国時代に大きく飛躍・発展を遂げた茶道にからめて,武将が茶会を開くことで文化度を上げたり,武将自身の能力を上げられるという要素になっている。
一方,天道PKの文化要素は,文化を振興させることで武将の個人的な能力を高めたり,領内からの収入を増やしたりできるほか,砦や櫓といった軍事施設の耐久力の上昇や,同盟や停戦交渉のときの仲立ちとして朝廷を利用できるようになるなど,多様なメリットを享受できる。
文化には,武家文化/公家文化/寺社文化/南蛮文化の4種類があり,武家文化を振興するには茶室を,公家文化には公家館,寺社文化には寺,南蛮文化には教会というように,各文化に対応した施設をまず自領内に建てておかねばならない。
各文化に対応した施設を建設し,配下の武将に文化振興を命令すると,一定期間を経過した後に,その文化を修得できる(修得までにどの程度の時間がかかるかは,文化振興に割り当てた武将の政治力にかかっている)。そして文化を修得できれば,その文化に対応した新たな施設の建設ができるようになったり,配下武将の能力をアップさせたりといった恩恵が受けられるわけだ。
ただし文化の振興には,最低でも金1000と,武家文化なら茶室4つ,公家文化なら公家館4つが必要になるなど,最初から簡単にホイホイとできるようなものではない。そのため文化の振興は,地方を統一して金銭や領土に余裕が出てきた,ゲーム中盤あたりから始めていくことになるだろう。
文化を振興させることによるメリットには,武将が持っている戦法の発生確率が上昇するものや,村落での開発速度を上げるもの,櫓や砦の耐久力が上がるものなど多種多様なものが揃っている。どの文化を振興させていくかはプレイヤー次第だが,教練というコマンドが使用可能となる武家文化を振興していくのが筆者のオススメだ。
教練とは,能力値の高い武将が先生となり,生徒となった武将の能力値や兵科適性を引き上げるというものだ。この教練を使いこなせば,輸送させるくらいしか取り柄のない,無能な武将は配下にいなくなることだろう。ただし,各武将の能力値には限界が設定されているため,教練を駆使して能力値をオールMAXにしたスーパー武将軍団を結成するといったことはできない。そりゃそうなんだけど,このあたりはあしからず。
寺社文化を振興していき,文化施設「大社」を建てると,領内で祭が発生するようになる。祭が発生すると,1年間の金銭・兵糧収入,生産量が2割増となる |
配下の武将を教練することで,より充実した家臣団を作り上げていくというのは,大名たるプレイヤーの務めの一つだろう。教える武将と,教わる武将の能力値の差が大きいほど効果が高い |
各種のデータ編集で
自分なりの信長の野望を作ってみよう
天道PKの特徴のもう一つが,各種のデータ編集機能だ。
プレイヤーがエディットできるのは,武将の個人能力値,新たな家宝の登録,そしてAIとなる。武将の個人能力値の編集は,ゲームに登場する各武将の政治力や統率力といった数値を,プレイヤーが自由に編集できるというもので,ひいきの武将の能力値を高めに設定しなおしたりといったことが自由にできる。新たな家宝の登録機能では,自分の名前を付けた茶器(例えば,“朝倉焼の茶碗”など)を登場させるといったことが可能だ。
新規に武将を作成して,ゲーム中に登場させることもできる。自分はもちろんのこと,家族や友人,あるいは芸能人の武将を作成して登場させるというのも面白そうだ |
家宝の種類は,茶器/武器/芸術品/書物など30種類以上もある。1等級〜10等級までの家宝ランクと組み合わせれば,数百種類にも及ぶ新規家宝の作成が可能に |
さて,こういった編集機能の中で,とくに注目したいのが,NPCが操作している大名家の行動パターンを自由に編集できるAI編集だ。AI編集は,大きく内政/軍事/人事/外交という項目に分かれており,それぞれの項目の中に,さらに細かい設定項目が用意されている。
例えば軍事では,ほかの大名家に積極的に攻め込んでいくかどうか。もし攻め込むなら,どこの大名家(または地方)を積極的に攻略目標とするかや,攻め込んでいく攻撃部隊の兵科を統一するかどうか,さらに攻略目標に進軍している途中にある敵大名家の集落を襲ったり,敵の砦などの軍事施設を攻撃したりするかどうかなどが設定できる。また,内政では集落の開発や文化の振興,兵士の募集を積極的に行うかどうかなど,かなり細部にわたった設定が可能となっている。このAI編集機能を使えば,内政ばかりしている上杉謙信や,一心不乱に京を目指す北条家など,一般的な歴史上のイメージを覆すような大名家を創り出せるわけだ。
また,このAI編集は自分がプレイしている大名家でも行えるので,内政をNPCに委任して,自らは軍事と外交のみに専念するといったことも可能だ。ほかにもプレイヤーが選んだ大名家のすべてをNPCに委任してしまう,オートプレイ機能と組み合わせることで,自分がAIを編集・設定した大名が,果たして天下を統一できるかどうか眺めるという,フルオートプレイという楽しみ方もできるだろう。
このAI編集機能の楽しみはこれだけではなく,さらに編集したAIのデータを保存/読み込みができるので,ほかのプレイヤーが作りあげたAIを読み込ませて戦うといった新たな楽しみ方も可能だ。自分が手塩にかけて練り上げた大名家のAIと,友人が作りこんだ大名家のAIを戦わせて,果たしてどちらが勝利するかを競わせるというのは,天道PKならではの楽しみといえる。
史実だけではなく,歴史のif(もしも)を楽しめる11本の追加シナリオ
パワーアップキットならではの要素として,全国モードに5本,群雄覇権モードに6本の合計11本が追加される,新たなシナリオも見逃せない。新シナリオには,PS3/Xbox 360版で追加されたものも含まれているが,PC版でもこれらが遊べるようになるのは嬉しいところだ。このコンシューマ版で追加されたシナリオと,天道PKで新規(PK新規)となるシナリオをまとめて紹介しよう。
全国モードに追加されたシナリオは,織田信長の生まれた年を舞台にした「1534年5月 信長誕生」(PK新規),織田と徳川の連合軍が,浅井・朝倉の軍勢と戦った「1570年6月 姉川の戦い」,明智光秀を討った羽柴秀吉が,柴田勝家や徳川家康といった強豪を相手に天下取りに挑む「1582年12月 野望,再び」(PK新規)といった史実に基づいたシナリオ3本。加藤清正,明智光秀,本多忠勝といった名将達が大名となって覇権を争う「1580年1月 次代を継ぐ者」,秀吉亡き後の豊臣家を守ろうと,前田利家が立ち上がる「1588年1月 慶長大転封」(PK新規)といった,歴史のif(もしも)を仮想体験できる,仮想シナリオ2本となっている。
一方の群雄覇権モードには,織田信秀,今川義元,武田信虎らが覇を競う「1540年1月 嵐の前夜」(PK新規),北条氏康が関東の覇者たらんと里見家,長野家,佐竹家と戦う「1560年1月 関東の群狼」,足利義昭が,織田信長を抹殺せんと大包囲網を作り上げた「1570年1月 信長包囲網」,本能寺で信長を討ち取った明智光秀が,羽柴秀吉,柴田勝家らと戦う「1582年6月 光秀の野望」(PK新規),真田昌幸と徳川秀忠が信州で激突する「1600年7月 上田城攻め」,石田三成と徳川家康が関ヶ原で戦う直前から始まる「1600年10月 関ヶ原決戦」の6本が追加されている。
どのシナリオも面白いが,オールスターが勢ぞろいといった感のある,全国モードの「1588年1月 慶長大転封」が筆者オススメの一本だ。伊達政宗,藤堂高虎,長宗我部元親,徳川家康,柳生宗矩,石田三成,豊臣秀頼といった,錚々たる武将が全国各地の大名として登場,誰が天下を握ってもおかしくない名将達による大混戦が楽しめる。
史実に基づいたものから,仮想の歴史をベースにしたものまで,新たなシナリオが11本も楽しめる |
真田幸村と真田十勇士が活躍する,新シナリオの「1600年7月 上田城攻め」。関ヶ原に向かう徳川秀忠隊を,真田昌幸・幸村父子が迎え討つ |
天道PKをプレイしてみて,新たに実装された文化とAI編集の2大フィーチャーは大きな魅力だった。個人的には,自分の好きな大名のAIを編集して,果たしてその大名が天下を取れるかどうか,フルオートプレイにして眺めて楽しむという,新たなプレイスタイルができるようになったことが何より楽しい。
本原稿の執筆時点では,ほかのプレイヤーが作ったオリジナルAIを読み込んで戦ってみるというプレイスタイルを試せていないのは残念だが,かなり熱い戦いが楽しめることは想像に難くない。
オリジナル版を持っている人にはもちろん,まだ持っていない人には,本編とセットになった「信長の野望・天道 with パワーアップキット」も発売されている。また「こちら」には,「信長の野望・天道」のデモ版紹介もあるので,まだプレイしたことがないという人は,ぜひデモ版をプレイして戦国の息吹を感じ取ってみよう。
「信長の野望・天道」公式サイト
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