テストレポート
Core i3搭載でどう変わった? 11.6インチ液晶搭載ノートPC「Alienware M11x」パフォーマンス速報
ただ,あらかじめお断りしておくと,筆者が新型Alienware M11xを手にしたのは24日12:00過ぎのこと。撮影と原稿執筆,その他業務時間を差し引くと,テストの時間は3時間も取れていない。そのため今回はどうしても“取り急ぎ版”のデータになるので,この点はご了承いただきたい。
ベースデザインは同じだが,肌触りと色合い,
そしてインタフェースが刷新に
- 黒色と銀色から選べる本体天板のうち,前者が,光沢のある「コスミック・ブラック」だった従来モデルから,新モデルではラバーコートされた非光沢の「ステルス・ブラック」へ変更になった(※銀色は「ルナ・シャドウ」で変更なし)
- タッチパッド周辺,パームレスト部のプラスチックが,従来比で若干ざらつきを増した
- 本体左側面に用意される外部グラフィックス出力端子が,従来はDisplayPort,HDMI,D-Sub 15ピンだったのだが,新モデルではD-Sub 15ピンが廃され,またレイアウトも変更になった
といった違いはある。従来モデルだと,光沢のある天板に指紋がつきやすかったので,その点,ちょっと期待していたのだが,新モデルでは「前よりはつきにくくなった」レベルで,根本的な改善には至っていないようだ。気になる場合,マメに拭いたりしなければならないという部分に変化はない。
D-Sub 15ピンによるアナログRGB出力がなくなったのはコストカットといえるものの,ゲーム用途でマイナスになることはまずないだろう。
※25日10:30追記
初出時,天板について「従来モデルだと,光沢のある天板に指紋がつきやすかったのが,新モデルでその問題が解決しているのはポイントが高い」としていたが,一晩使ってみると,そうでもなかった。拭けば取れるが,従来同様,指紋は結構目立つ印象を受けたので,本文を修正している。
天板の違い(左)と,パームレストの違い(右)。いずれも左が新モデルだ | |
両サイドのインタフェース一覧。上が新モデルとなる |
従来モデルでは,GeForce GT 335Mと,Intel製のチップセットに統合されたグラフィックス機能を,用途に応じて手動で切り替えるSwitchable Graphics(スイッチャブルグラフィックス)という仕様になっていた。これに対して新モデルでは,Core i5&i3に統合されたグラフィックス機能を使って最終的な描画を行いつつ,3DゲームやCUDAアプリケーションを実行するときだけ,GeForce GT 335Mを“3Dアクセラレータ”的に利用できるようになったのだ。
そのため,バッテリー駆動時間重視でGPUを無効化したり,あるいは3D性能重視でGPUを有効化したりといった手間がかからなくなった。また,詳細はOptimusの紹介記事に譲るが,Intel製チップセットやCPUに統合されたグラフィックス機能をベースとしたSwitchable Graphicsの場合,エンドユーザーが自由に「Verde Notebook Driver」をインストールすることができなかったのが,Optimusではこの制限が外れ,最新版ドライバを利用できるようになるというのも大きい。
新旧Alienware M11xをざっくり比較
価格対性能比は確実に向上も,ドライバの“解禁”待ち?
というわけで,さっそく新旧Alienware M11xを比較してみよう。今回入手した個体のスペックは表のとおりで,いずれもBTO標準構成ママという理解でOKだ。Core i3-330UMは「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)をサポートしていないので,動作クロックは従来モデル比で100MHz下がったことになるが,「Intel Hyper-Threading Technology」のサポートにより,2コア4スレッド動作が可能になっているという違いがある。BTO標準構成価格が1万円下がっているのも注目すべきポイントだ。
今回テストに用いたアプリケーションは,「3DMark06」(Build 1.2.0),「FINAL FANTASY XIV OFFICIAL BENCHMARK」(以下,FFXIVベンチ),「『ストリートファイターIV』(PC)ベンチマーク」(以下,ストIVベンチ),そしてPC総合ベンチマークソフト「PCMark Vantage」(以下,Build 1.0.2)の4つ。テスト条件は下記のとおりだ。
- 3DMark06:4Gamerベンチマークレギュレーション9.2準拠で,「標準設定」の1280×720ドットを実行
- FFXIVベンチ:Lowモード。キャラクターに「ミコッテ」を選ぶ。2回実行し,高いほうのスコアを取得
- ストIVベンチ:「フルスクリーン」を「ON」,「ディスプレイ垂直同期」を「OFF」,「モデルの品質」「背景の品質」「セルフシャドウの品質」「モーションブラーの品質」「パーティクルの品質」を「高」,「ソフトシャドウの品質」を「最高」に設定して,それ以外はデフォルトのまま,解像度1280×720&1366×768ドットで実行
- PCMark Vantage:デフォルト設定で実行
結果はグラフ1〜4のとおりとなる。
注目したいのは,以下の3点だ。
- 3DMark06とPCMark Vantageの総合スコアが従来モデルより高い
- FFXIVベンチのスコアなど,従来モデルより低いスコアがある
- 従来製品とほとんど変わらないスコアを示すことがある
まず1.についてだが,これは,2コア4スレッド処理の恩恵を受け,Core i3-330UMを搭載する新型Alienware M11xの総合スコアが,従来モデルより高く出ているということになる。総合スコアで見ると,前者は約6%,後者は約12%高い値だ。PCMark Vantageで各項目をチェックするに,ビデオやサウンドデータのトランスコードがテストに含まれる「TV and Movies」&「Music」,テキスト編集や検索,Webページのレンダリングといったマルチタスクを行う「Productivity」において,処理できるスレッド数の多いCore i3-330UMのメリットが出ているようである。
2.は,FFXIVベンチと,PCMark Vantageの「Memories」「Gaming」が代表例となる。
ところで,先にも述べたように,Optimus対応ノートPCでは,ユーザーがNVIDIAのリファレンスドライバをセットアップできる。そこで「Verde Notebook Driver 257.21」を試してみたのだが,結論からいうと,今回はセットアップできなかった。
NVIDIA関係者によると,ドライバのリリース時点で「発売前」というステータスのノートPCはサポートされないそうなので,FFXIVベンチにおけるパフォーマンス向上は,新型Alienware M11x向けにRelease 256世代のドライバが解禁されてからのお楽しみということになりそうだ。
MemoriesとGamingのスコアが低い理由は不明だが,前者は画像処理,後者はゲームにおけるGPU処理がテストに含まれるので,これもドライバの原因という可能性はあると思われる。
最後に3.だが,ストIVベンチの結果を見る限り,アプリケーションプロファイルが提供されている場合,新モデルは,少なくとも従来モデルと同等の3D性能を示せる,と見ることができる。ここでポイントとなるのは,Core i3-330UMを搭載した新モデルのBTO標準構成価格が,従来製品よりも約1万円安価であることだろう。
グラフィックスドライバの“解禁”と
Turbo Boost対応のCore i5&i7モデルに期待
従来モデル比で約1万円安価な新モデルには,その1万円分の差額を加えることで,Turbo Boostに対応した「Core i5-520UM/1.06GHz」(Turbo Boost有効時の最大動作クロック1.86GHz)を選択できるというチョイスの幅が生まれ,さらにその上位CPUとなる「Core i7-640UM/1.20GHz」(同2.26GHz)も用意されている。これらのパフォーマンス次第では,低価格なゲーマー向けノートPCの本命となる可能性もありそうだ。
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