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「ALIENWARE 13 R3 OLED」レビュー。国内初登場となった「有機ELパネル搭載のゲーマー向けノートPC」は買いか?
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印刷2017/03/29 00:00

レビュー

国内初登場となった「有機ELパネル搭載のゲーマー向けノートPC」は買いか?

ALIENWARE 13 R3 OLED
(NEW ALIENWARE 13 OLED VR)


ALIENWARE 13 R3 OLED
メーカー:Alienware(Dell)
問い合わせ先問い合わせ先一覧ページ
BTO標準構成価格:23万9980円(税別,送料込み)
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 2016年秋にフルモデルチェンジを果たした,Alienwareのゲーマー向けノートPC。その13.3インチ画面採用モデルとなる「ALIENWARE 13 R3」には,液晶パネル採用の通常モデルとは別に,有機EL,正確を期すならば有機発光ダイオード(Organic Electro-Luminescence Diode)ベースのパネルを採用した特別版「ALIENWARE 13 R3 OLED」(国内製品名:NEW ALIENWARE 13 OLED VR)が用意されている。

 有機ELパネル採用のALIENWARE 13は,海外市場だと2016年から存在していたが,日本市場に登場するのはこれが初めて。そこで今回は,「有機ELパネルで何ができるのか」を中心に,複数の観点からALIENWARE 13 R3 OLEDという製品をチェックしてみたいと思う。

 それに先だってお伝えしておくと,入手したALIENWARE 13 R3 OLEDのスペックは以下のとおりだ。BTO標準構成そのまま,と言ってしまってもいいだろう。
 ただし搭載するSSDはあくまでも入手した個体に関してのものであり,すべての個体で同じものが採用されるとは限らないので,その点はご注意を。

●入手したALIENWARE 13 R3 OLEDの主なスペック
  • CPU:Core i7-7700HQ(4C8T,定格2.8GHz,最大3.8GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)
  • チップセット:Intel HM175
  • メインメモリ:PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックス:HD Graphics+GeForce GTX 1060 6GB(グラフィックスメモリ容量6GB)
  • ストレージ:SSD(NVMe M.2接続,容量512GB,東芝「THNSN5512GPUK」)
  • パネル:13.3インチ有機EL,解像度2560×1440ドット,グレア(光沢)
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.1(Rivet Networks「Killer Wireless-AC 1535」,最大867Mbps)
  • 有線LAN:1000BASE-T×1(Rivet Networks「Killer E2500」,最大867Mbps)
  • 外部インタフェース:Thunderbolt 3×1,USB 3.0 Type-C×1,USB 3.0 Type-A×2,Mini DisplayPort 1.2×1,HDMI 2.0×1,4極3.5mmミニピン×1,3極3.5mmミニピン×1,RJ-45×1,Graphics Amplifier専用ポート×1
  • スピーカー:内蔵2chステレオ
  • マイク:内蔵
  • カメラ:内蔵(720p,顔認識機能対応)
  • バッテリー:76Whリチウムポリマー電池
  • ACアダプター:定格180W出力
  • 実測サイズ:約330(W)×271(D)×31(H)mm(※ゴム脚含む)
  • 実測重量:約2.47kg
  • OS:64bit版Windows 10 Home
  • BTO構成価格:23万9980円(税別,送料込み。税込では25万9178円)

※本稿では,有機ELパネル自体の評価をハメコ。氏とBRZRK氏が,ベンチマークパートを宮崎真一氏が,それ以外を4Gamerの佐々山薫郁がそれぞれ担当します。


極めて視野角が広く,黒が映える有機EL。格闘ゲームには申し分ないが,FPSには……


壁紙を黒くして,暗闇の中で撮影したところ。パネル部は(隠しきれなかった)タスクバーの一部とマウスカーソルの先端以外真っ黒だ
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 というわけで,何を置いても有機ELパネルからである。
 自発光する有機発光ダイオードを採用することもあり,液晶のように「黒を表示していてもその裏ではバックライトが光る」ということがないため,黒は本当に黒い。右に示したのは,スタジオの照明を落としたうえで画面を撮影したものだが,ちらっと写っているタスクトレイとマウスカーソル以外,画面は漆黒なのが分かるだろう。

 また,画面の見栄えも非常に良好だ。ただでさえ黒が締まってコントラストが高いうえに,角度を変えていっても偽色の発生などは少ないため,非常にクリアである。グレア(光沢)加工されているため,外光の映り込みが気になるが,見た目のマイナス要素はそれくらいしかない。

非常にコントラスト感が高く,また,角度をつけていっても色の変化が少ない
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有機ELパネルの上に,2基のマイクユニットともどもカメラユニットがある。Windows標準の生体認証機能「Windows Hello」にカメラが対応する点も含め,このあたりの仕様は「ALIENWARE 15 R3」と変わらない
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XL2430
メーカー:BenQ
問い合わせ先:テクニカルサポートセンター TEL 0570-015-533(平日9:30〜18:00)
実勢価格:4万3000〜4万5000円程度(※2017年3月29日現在)
 画面が焼き付きやすいと言われる有機ELパネルということもあり,そこが心配という人もいるだろうが,幸いにしてALIENWARE 13 R3 OLEDは赤外線カメラとWebカメラを採用することで,ユーザーが画面から目を離したら,画面を消灯したり,LEDイルミネーションの輝度を下げたりする「ディミング」機能を利用できるようになっている。Alienwareとしても,この機能を積極的に使ってほしいということなのではなかろうか。

 では,実際のゲームにおいてはどうだろうか。格闘とFPSという,コアゲーマーの多い観点から見てみたい。
 なお,ここではテストにあたり,BenQの日本法人であるベンキュージャパンから,垂直リフレッシュレート144Hz対応のゲーマー向け液晶ディスプレイ「XL2430」を借り,それとALIENWARE 13 R3 OLEDを比較している。

格闘ゲーマーの視点 by ハメコ。

 今回はSteam版「ストリートファイターV」で有機ELパネルの挙動を確認したが,結論から言うと,違和感はまったくない。アーケード,そして家庭のテレビなど,大多数は液晶パネル搭載のディスプレイデバイスで格闘ゲームをプレイしているかと思うが,筆者が確認した限り,「標準的なゲームプレイ環境を整えたPlayStation 4版」と比べて,プレイ感が極端に異なることはなかった。
 なので,自宅でプレイするのはもちろんだが,プロユース寄りな話をさせてもらうなら,ポータブルな練習環境としても十分役立ってくれる印象だ。

説明不要だと思うが,上がXL2430,下がALIENWARE 13 R3 OLED。詳しく計測したわけではないのだが,十分な性能を持つゲーマー向け液晶ディスプレイとほぼ同じプレイ感がALIENWARE 13 R3 OLEDでは得られた。「表示遅延面に問題はない」と言い切っていいレベルだ
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 競技シーンでは24インチクラスの液晶ディスプレイが標準となっているので,それを踏まえると13.3インチというパネルサイズは明らかに狭い。ただ,有機ELパネルの視野角が極めて広いため,「2人が斜めから画面を覗き込む」というスタイルでも問題なく2人対戦ができるのは,ALIENWARE 13 R3 OLEDの大きなメリットと言えるだろう。
 付け加えると,USB Type-Aポートが筐体の左右に1つずつなのも,アーケードスティックを2台差して2人対戦するには便利だ(※マウス操作用にはタッチパッドもタッチパネルも使える)。
 持ち運びやすい対戦あるいは練習環境が欲しいというニーズに,ALIENWARE 13 R3 OLEDは間違いなく応えてくれると思う。

色の出方や見栄えも大きな違和感はない
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 ただ,プレイヤーとギャラリーが取り囲んでわいわいと対戦する用途だと,画面はさすがにちょっと小さすぎるとも感じた。


FPSゲーマーの視点 by BRZRK

 垂直リフレッシュレートが最大60Hzに制限される時点で,本気のFPSプレイには向かないというのが,正直な感想だ。
 当たり前と言えばそれまでだが,「Overwatch」を起動し,垂直同期を無効化すると,盛大なテアリング(Tearing)が発生し,対策として垂直同期を有効化すると,今度は遅延からもっさり感を受けるようになる。XL2430と比べると体感でワンテンポ遅れる印象で,キビキビとした照準操作が要求されるFPSをこれでプレイし続けられるかというと,かなり厳しい。

 NVIDIA独自の「Fast Sync」を使えばあるいは……と思ったが,ALIENWARE 13 R3 OLEDでは,[Fn]+[F7]キーに割り当てられているはずの,「Optimusの有効/無効を切り換えて,必要なときには単体GPUを常時有効化する」機能が利用できなかった。NVIDIA独自のスイッチャブルグラフィックス技術である「Optimus」は常時有効となり,そのため,Fast Syncは利用できないのだ。テアリングの頻発を覚悟のうえで,垂直同期を無効化するほかないだろう。

暗い部分の濃淡に注目すると,ALIENWARE 13 R3 OLEDのほうが表現力に秀でていると分かる。XL2430は若干白飛びしたような感じだ
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 残像感の少なさや,黒色の高い表現力もあって,暗所にいる敵などの視認性はALIENWARE 13 R3 OLEDに軍配が上がる。だが,垂直同期を無効化してテアリングが生じると,一瞬とはいえ敵を視認しにくくなるわけで,競技用途に堪えるとはとても言えない。
 それこそXL2430のような,垂直リフレッシュレート120Hz超級のディスプレイパネルが(FPSゲーマーの間で)一般化した状況を考えると,ALIENWARE 13 R3 OLEDでいまさら60Hz(=60fps)の世界に戻れと言われても……と思ってしまうのだった。

色という観点だと,とくに違いが出ていたのが,空の青色と葉の緑色だ。残念ながら写真だと青の違いは分かりづらいものの,肉眼では「濃い青空」という表現がぴったりの空模様をALIENWARE 13 R3 OLEDが描いているのを確認できている。幸いにして緑は写真でも区別ができるので,ぜひ右の写真を見てもらえればと思うが,緑の色合いはALIENWARE 13 R3 OLEDのほうが圧倒的に鮮やかだ
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目立つ弱点の少ない,ALIENWARE 13 R3のハードウェア


本体後方,ヒンジの奥に冷却機構がせり出したデザインは,現行のALIENWAREノートPCで共通のものだ。TRON Lightinがないため,この角度からだと光る場所は少なく見える
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 有機EL以外のハードウェアもチェックしていこう。
 ALIENWARE 13 R3 OLEDの筐体デザインは基本的に,4Gamerでレビュー済みの「ALIENWARE 17 R4」(国内製品名:NEW ALIENWARE 17)および「ALIENWARE 15 R3」(国内製品名:NEW ALIENWARE 15)と共通だ。

 違いは,Alienwareが「TRON Lighting」と呼んでいる本体側面のLEDが省略され,より大きな2モデルだと本体正面向かって前面の両端にある2基のスピーカーがALIENWARE 13 R3 OLEDだと側面側に移動していることくらい。ヒンジ部の後方へせり出した冷却機構を採用する点や,カーボンファイバーを筐体素材として採用する点はより大きな2モデルと完全に同じである。

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本体向かって正面側の側面。ALIENWARE 17 R4とALIENWARE 15 R3ではここの左右両端にスピーカーがあるのだが,ALIENWARE 13 R3 OLEDでは何もない
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本体向かって背面側には1000BASE-T接続用のRJ-45やビデオ出力,Thunderbolt 3,Graphics Amplifier接続端子とACアダプター端子が並ぶ
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本体向かって左側面。写真左に見える空気孔はGPU冷却のための排気用で,右のスリット部にスピーカーがある。それに挟まれた格好でUSB 3.0のType-Aポートと3.5mmミニピン端子が並ぶ
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本体向かって右側面も基本レイアウトは同じだが,空気孔はCPUクーラーの吸気用だ。Type-AとType-CのUSB 3.0ポートのみなので,レイアウト次第で,ゲームで邪魔になるようなケーブルは排除できる

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ALIENWARE 13 R3 OLEDのキーボード。大きな破綻のない日本語キー配列になっている
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キーストロークは2mmある
 搭載するキーボードは,ぱっと見,「ALIENWARE 15 R3用の10キーレスキーボードから左端のマクロキーを省いたもの」といったところ。筆者(=佐々山薫郁)のような,メインキーボードの左に追加キーがある配列を忌み嫌うタイプの人間からすると,ALIENWARE 15 R3用のキーボードをベースに打鍵しやすくしたと断言できるタイプだ。

 キーボードが筐体のキーボード面から独立しており,しかも下側からスチールで支えてあるため,打鍵に合わせて筐体がしなるような心配をすることなく,Nキーロールオーバー仕様の安心感を素直に享受できる。キーストロークが2mmあるため,しっかりした打鍵感が得られるのもいい。
 あえて言えば,矢印キーのすぐ近くにある[Page Up/Page Down]キーが鬱陶しいものの,現行世代のゲーマー向けキーボードの中では屈指の完成度だと断言できる。

Microsoftが公開しているWebアプリ「Keyboard Ghosting Demonstration」から同時押し対応を確認したところ。まったく問題ない
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Command Center。LEDイルミネーション管理ツール「AlienFX」と電源管理ツール「AlienFusion」,ゲームごとの最適な設定などの挙動管理・監視ツール「AlienAdrenaline」を利用できる
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 ただし,追加のマクロキーのようなものを便利だと思う人からすれば,「ALIENWARE 15 R3用の10キーレスキーボードから,左端のマクロキーを省いた」は残念な機能削減ということにもなるはずだ。
 実際,専用コントロールパネル「Alienware Command Center」(以下,Command Center)上でも,キーへの機能割り当てを行える機能「TactX」は消え,キーのカスタマイズは行えなくなっているので,この点は注意したい。

AlienFXの名が出たので紹介しておくと,LEDイルミネーションの設定機能周りは従来のAlienware製ノートPCと同じ。今となっては古くさい感じがある
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 使い勝手という観点でもう1つ気になるサウンド出力は,スピーカー,ヘッドフォンとも「使える」レベルにある。よほど音にうるさいタイプの人でない限り,どちらも「ノートPCとは思えないほど,いい音」に感じられるだろう。

Sound Center
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 組み合わせられるサウンドプロセッサスイート(≒サウンド機能群)は,「Alienware Sound Center」(以下,Sound Center)で,これはユーザーインタフェースを見る限り,A-Volute――「Nahimic」と紹介したほうが分かりやすいかもしれない――製の技術を用いたもの。このSound Centerを使うことにより,サラウンドサウンド出力など,細かなサウンド出力設定を行える。

 スピーカーだとバーチャルサラウンドの効果は限定的ながら,ヘッドフォン/ヘッドセットなら(センター正面はさておき)サイドやバックらサラウンドにまでしっかり音が回ってくれるので,3Dゲームで音情報をしっかり聞きたい場合には,Sound Centerとヘッドフォン/ヘッドセットを積極的に活用したい。

Sound Centerからは,「Alienware」「シューター」「戦略」「ロールプレイ」のプリセットを選択でき,それ次第で各種効果の“効き”や,イコライザプリセットも変わる。もっとも,プリセットを選んだうえで,ユーザーがそこからさらにカスタマイズすることも可能だ。個人的には,3Dゲームだと「リバーブ」は無効でいいような気がする
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 なお,Sound Centerからは,2基標準搭載するマイクをビームフォーミングマイクとして用い,フロアノイズを抑えた録音を行える機能もあり,これも相応には使える。ただ,マイク入力に関して言えば,「Inspiron 15 7567 Gaming」の採用する「MaxxAudio Pro」ベースのノイズリダクション機能が圧倒的で,あちらと比べると数段落ちる印象が否めなかった。

マイク関連の設定はなかなか充実しており,ビームフォーミングの効果も確かに得られるのだが,比較すると,Dellブランドのエントリーゲーマー向けノートPCのほうがノイズリダクション品質は圧倒的に高かった
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空冷ファン2基による冷却機構はより大きなモデルと同じ


 Dell製ノートPCの持つ魅力の1つとして,分解の手順を記したサービスマニュアルが公開されており,元に戻せるなら,ユーザーによる分解を行っても問題ないことが挙げられる(※元に戻せない場合は保証対象外)。ALIENWARE 13 R3のサービスマニュアルも当然のように公開済みで,これに従うことで内部構造のチェックや,場合によってはコンポーネントの変更が可能だ。

底面カバーと,そこにある厚手のゴム脚。ALIENWARE 13 R3 OLEDはご覧のとおりの底面吸気となる
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底面カバーを外したところ
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 というわけで今回は,サービスマニュアルの「ベースカバーの取り外し」を参考に底面カバーを外してみたが,最近のAlienware製ノートPCらしく,メモリモジュールやストレージへのアクセスは容易ながら,“それ以上”を行おうとすると途端に分解難度が上がる構造になっている。

底面カバーを開けて内部構造を見たカット。GPUとCPUの熱は合計3本のヒートパイプで2か所あるファン部へ運ぶ仕様になっているが,それ以上のクーラー構造を把握するのは,この状態だと難しい。一方,メモリスロットと拡張スロットへのアクセスは容易だ
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 内部構造で注目したいのは,M.2スロットが1基空いており,熱対策用と思われる銅板も標準で取り付けてあるところだ。ストレージの拡張が容易なのは歓迎したい。

メモリスロット(左)とmini PCI Expressスロット(中央,右)。ストレージ用のmini PCI ExpressスロットにはM.2 type 2280仕様の一般的なSSDカードを差せる。標準でRivet Networks製無線LANカードが差してあるスロットはM.2 type 2242までの対応だ
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GTX 1060シリーズ搭載のデスクトップ機と3D性能を比較してみる


 気になるALIENWARE 13 R3 OLEDの3D性能をチェックしておこう。今回,ALIENWARE 13 R3 OLEDの性能を評価するにあたっては,のとおりのデスクトップPCを比較対象として用意した。ALIENWARE 13 R3 OLEDがノートPC向けの「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB
)を搭載するため,デスクトップPC向けGTX 1060 6GBと,その下位モデルとなる「GeForce GTX 1060 3GB」(以下,GTX 1060 3GB)とも比較しようというわけだ。
 残念ながら,ノートPCとデスクトップPCとでCPUを揃えるのは不可能なので,できる限り近いスペックになるよう,デスクトップPC側では省電力モデルである「Core i7-7700T」を組み合わせている点をお断りしておきたい。

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 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点における公式最新版となる「GeForce 378.92 Driver」で統一。OSはProとHomeでエディションが異なるが,どちらも64bit版Windows 10とした。
 テスト環境は4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0準拠。ただし,どういうわけか「DOOM」はALIENWARE 13 R3 OLEDでエラーが生じて起動できなかったため,テストから省いた。

 解像度はALIENWARE 13 R3 OLEDのパネル解像度である2560×1440ドットと,アスペクト比16:9でその一段下となる1920×1080ドットを選択している。

 なお,ALIENWARE 13 R3 OLEDの実利用環境を想定して,比較対象のデスクトップPCでもCPUの省電力機能である「Enhanced Intel SpeedStep Technology」や,自動オーバークロック機能の「Intel Turbo Boost Technology」は有効にしたままだ。また電力設定は,最も高い性能を発揮できるよう,両者ともWindowsの電源オプションから「高パフォーマンス」を選択している。


GTX 1060 3GBより若干低い3D性能。3Dゲームにおけるターゲット解像度はフルHDか


 以下本稿では,比較対象のデスクトップPCを「i7-7700T+GTX 1060 6GB」「i7-7700T+GTX 1060 3GB」と表記することを断りつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 2.3.3663)のDirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。ALIENWARE 13 R3 OLEDは,i7-7700T+GTX 1060 3GBの93〜94%程度,i7-7700T+GTX 1060 6GBの89〜90%程度というスコアになった。同じGTX 1060 6GB搭載機で比較してざっくり1割引きの性能ということになるが,

  • ALIENWARE 13 R3 OLEDが搭載するノートPC向けGTX 1060:ベースクロック1404MHz,ブースト最大クロック1771MHz
  • デスクトップPC向けGTX 1060 6GB:ベースクロック1506MHz,ブーストクロック1708MHz,ブースト最大クロック1885MHz

と,ブースト最大クロックに100MHz以上の違いがあるので,これが大きく影響しているものと考えられる。それはいきおい,筐体が持つ冷却能力の違いということでもあるはずだ。

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 グラフ2,3はそれぞれ,総合スコアからグラフィックスベンチマークおよびソフトウェア(≒CPU)ベースの物理シミュレーションベンチマークテストの結果を抜き出したものだが,総合スコアがおおむね前者のスコアを反映していることと,今回のテストに用いた2基のCPUで性能差がおおよそ1割であることはここで確認してもらえると思う。

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 同じ3DMarkから,DirectX 12のテスト「Time Spy」の総合スコアと,やはりそこからGPUおよびCPUテスト結果を抜き出したスコアも一緒にまとめたグラフ4でも,スコアの傾向は変わっていない。

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 実際のゲームタイトルを前にするとどうか。グラフ5,6は「Far Cry Primal」の結果だ。「最高」プリセットではグラフィックスメモリ負荷が大きくなってi7-7700T+GTX 1060 3GBがスコアを落とすが,そんな中,ALIENWARE 13 R3 OLEDはi7-7700T+GTX 1060 6GBとほとんど変わらないスコアを示した。1920×1080ドットで,ベンチマークレギュレーションが規定する平均40fpsを大きく上回っており,十分にプレイアブルなフレームレートが出ていると言えそうだ。
 なお,グラフィックスメモリ負荷が下がる「ノーマル」プリセットだと,i7-7700T+GTX 1060 3GBに逆転されるが,スコア差はそれほど大きくなかった。

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 続いては,非常に描画負荷の高い「High」プリセットと,レギュレーション19世代で最も描画負荷の低い「Low」プリセットの両方でテストする「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)だ。スコアはグラフ7,8のとおりで,Highプリセットだと,GeForce GTX 1060シリーズの持つ絶対的な性能限界を前に,スコアが丸まっている。快適なゲームプレイを実現するためには,1920×1080ドットでグラフィックス設定をHighから若干落とす必要があるだろう。
 Lowプリセットは描画負荷が低く,結果としてCPU性能差もスコアを左右するようになるため,ALIENWARE 13 R3 OLEDには不利な結果となっている。

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 いまとなっては描画負荷の低いほうになる「Fallout 4」でも,ALIENWARE 13 R3 OLEDは比較対象に対して置いて行かれる。より描画負荷が高い「ウルトラ」プリセットで,ALIENWARE 13 R3 OLEDはi7-7700T+GTX 1060 3GBの80〜90%程度,i7-7700T+GTX 1060 6GBの79〜86%だ(グラフ9,10)。
 1920×1080ドットでよりスコア差が開くのは,ここでCPU性能がスコアを左右するようになっているからではないかと考えているが,このスコアだけだと断言まではできない。

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 グラフ11,12にスコアをまとめた「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果だ。「最高品質」のスコアに注目すると,2560×1440ドットでスクウェア・エニックスが指標で示す最高評価「非常に快適」のラインであるスコア7000をALIENWARE 13 R3 OLEDは上回っており,1920×1080ドットではレギュレーションでハイエンド環境の合格ラインとするスコア1万をクリアしている点に注目したい。
 実スコアだと,対i7-7700T+GTX 1060 3GBの93〜94%程度,対i7-7700T+GTX 1060 6GBの91〜93%程度のスコアで,こちらも健闘している。

 なお,「標準設定」だと,描画負荷が低くなってCPU性能がスコアを左右するようになるため,スコア差はかなり開いた。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 グラフ13,14にスコアをまとめた「Forza Horizon 3」では,Far Cry Primalと同様にグラフィックスメモリ容量不足が生じたi7-7700T+GTX 1060 3GBが2560×1440ドットスコアを大きく落とすのが目を引くが,その点,ALIENWARE 13 R3 OLEDのスコアは安定している。容量6GBのグラフィックスメモリ容量を確保している点はALIENWARE 13 R3 OLEDの利点の1つとまとめることができそうだ。
 なお,i7-7700T+GTX 1060 6GBと比較すると,ALIENWARE 13 R3 OLEDは「ウルトラ」プリセットで84〜92%程度のスコアだった。「Medium」プリセットであれば,ハイクラス以上のGPUにおける合格ラインである平均60fpsをクリアできる。

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消費電力はノートPCらしく低め。GPU温度は高めを許容?


 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較しておこう。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定して,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。なお,ALIENWARE 13 R3 OLEDはバッテリーが内蔵のため,充電を100%にし,バッテリーの充電で電力が消費されない状態にしてテストを行っている。

 その結果がグラフ15だ。前述のとおり,ALIENWARE 13 R3 OLEDは常時Optimusが有効となるため,アイドル時にはGPUへの電源供給がカットされるが,17Wというのは「いかにも」なスコアと言っていいだろう。
 また,各アプリケーション実行時はi7-7700T+GTX 1060 3GBから19〜53W程度低い。ノートPCらしく,全体的に消費電力は低めだ。

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 続いてCPUとGPUの温度もチェックしておきたい。ここでは3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「HWMonitor」(Version 1.31)から温度のスコアを取得する。テストにあたってALIENWARE 13 R3 OLEDは室温約24℃環境で机上に置いてテストを行い,比較対象のデスクトップPCは同じ場所に,ケースに組み込まない,いわゆるバラックの状態で置いてテストを行っている。

 その結果がグラフ16,17だ。繰り返すが,ALIENWARE 13 R3 OLEDではOptimusが常時有効となるため,アイドル時のGPU温度はN/Aとなるが,それを除くと,総じて,ALIENWARE 13 R3 OLEDの温度は高めに推移している。
 ただ,実際にゲームで使っていても,キーボード面が熱くなるようなことはなかった。ほんのり温かくすらならなかったので,冷却能力自体は足りているという理解でよさそうだ。

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 最後に,ALIENWARE 13 R3 OLEDの動作音も確認しておこう。今回は,本体と正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,アイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の2560×1440ドットで4分間実行した,合計約5分間を撮影している。
 下のムービーをぜひ再生してみてほしいが,テスト開始後最初の1分間はアイドル状態で,ALIENWARE 13 R3 OLEDの動作音は極めて静か。むしろ環境音のほうが気になるくらいだ。それが,60秒後にFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると,しだいに動作音が大きくなり,ベンチマーク実行から3分後(=ファイル冒頭から4分後)には,動作音はハッキリ聞こえるようになる。
 ただ,静かとは言い難いものの,ヘッドフォンをすれば問題ないレベルなのも確かだ。


 筆者(=宮崎真一)としては,もう少しファンの回転数を上げて動作音の増大を許容しつつ,GPUやCPUをさらに冷却し,より高い性能を狙うような動作モードを用意してもよかったのではないかと思う。


総合力がかなり高いALIENWARE 13 R3 OLED


 長くなったがまとめよう。ALIENWARE 13 R3 OLEDの「とくによいところ」と,「とくによろしくないところ」は,それぞれ以下のとおりだ。

とくによいところ
  • 圧倒的に高コントラストの有機ELパネルを採用しており,ゲーム画面がとにかく見やすく,また,格闘ゲームを満足にプレイできるレベルの速度性能を有していること
  • 完成度の高い筐体設計で,使っていて不満を憶えないこと
  • Nキーロールオーバー対応のキーボードが,現状,ノートPC用としては最高レベルの使い勝手を有していること
  • ミドルクラスの3D性能がありながら,持ち運びがそれほど苦にならないサイズであること

とくによろしくないところ
  • いくら有機ELパネル搭載とはいえ,デスクトップPC向けGTX 1060 3GBに若干届かない程度の3D性能を持つノートPCがBTO標準構成で25万9178円(税込)というのはやはり高すぎること
  • 高い垂直リフレッシュレートでノングレア(非光沢)の液晶パネルがBTOの選択肢になく,FPS用途では選びづらいこと
  • 標準マイク入力のノイズリダクション品質がエントリークラスのノートPCより低いこと

 全体として,大きな破綻のないプレミアムモデルだとは言っていいだろう。とくに,最近のゲーマー向けノートPCはハイエンドモデルに限って致命的な問題を抱えていたりすることも少なくない――たとえばALIENWARE 17 R4はスピーカー出力が右寄りに定位してしまう――だけに,ALIENWARE 13 R3 OLEDが持つこの完成度の高さは,素直に評価できるところだ。
 というか,単純な性能ではなく,使い勝手という観点で語るなら,現行世代のALIENWAREノートPCで最も良好なのはALIENWARE 13 R3ではないかとも思う。

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 というわけで,最下位モデルはパネル解像度が落ちるが,搭載するGPUの性能に対して妥当な1920×1080ドットの解像度を持つ液晶パネルを搭載した「プラチナ」以上のモデルであれば,FPSのコアプレイヤー以外にはお勧めできるというのが,ALIENWARE 13 R3の評価となる。
 予算に余裕があり,かつ,有機ELパネルを試してみたいという場合には,最上位のALIENWARE 13 R3 OLEDも十分検討に値するとまとめておきたい。

デルのALIENWARE 13 R3製品情報ページ

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    Alienware

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