プレイレポート
初登場のマルチプレイはこうなった! 発売直前「バイオショック2」のプレイレポートを掲載
人知れず海底に広がる巨大都市「ラプチャー」。規制や宗教に縛られないその場所で,ある遺伝工学者が生み出した「ADAM」という物質は,炎や雷などを自在に操る特殊能力「プラスミド」を人間にもたらした。しかしADAMの過剰摂取を繰り返した人々は異形の存在「スプライサー」へと変貌してしまう。そのスプライサーから血を採集し,ADAMを精製する「リトルシスター」と呼ばれる少女達。さらには屈強な潜水スーツに身を包み,リトルシスターを護衛する「ビッグダディ」……こうした独自のキャラクターや世界観,そして発売当時は最高峰と謳われたグラフィックスが話題を呼び,世界中で絶賛された「バイオショック」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)から約3年。
待望の続編となる「バイオショック2」「バイオショック2」(PlayStation 3/Xbox 360)の日本語版が,2010年3月4日にディースリー・パブリッシャーから発売される。
これまで数本のムービーが公開され,いくつかの特徴は明らかになったものの,まだまだ謎の多い本作。いったいどこがどう変わるのか気になって仕方がないという人も多いと思われるが,今回,発売に先駆けてシングルプレイの序盤とマルチプレイの一部を体験する機会が得られた。果たしてバイオショック2はいかなる進化を遂げたのか,さっそくお伝えしていこう。なお,今回はXbox 360版をプレイしており,本稿で示す操作方法や名称などはすべてXbox 360版に準じていることをあらかじめお断りしておく。
華麗に襲ってくるビッグシスターの恐怖!
ADAMの採集やハッキング方法にも変化あり
まず戦闘スタイルだが,右手に武器,左手にプラスミドという形は変わらないものの,本作では両方同時に構えられるため,いちいち切り替える手間がなくなった。多数のスプライサーを相手にした場合,武器切り替えのワンクッションが命取りだったことも多かったので,複合攻撃が繰り出しやすいのはありがたい話。もっとも,両手攻撃を駆使して戦わなければ勝てない戦いがいずれ求められるのではないかという,いい意味で嫌な予感もつきまとう。
次に大きく変わったのがADAMの採集方法。前作では,護衛役のビッグダディを倒したあとでリトルシスターから頂戴するという手順だったが,今度は自分がビッグダディ。ということで,リトルシスターを連れ歩き,彼女にADAMを採集してもらわなくてはならない。
ほかのビッグダディを倒してリトルシスターを奪い,その直後に「救済」か「搾取」の選択が入るところまでは前作と一緒。ここで救済を選べば,リトルシスターを肩に乗せて,一緒にADAMが残っている死体の捜索へ出向くことになる。
といっても,アチコチ歩き回る必要はなく,この状態でXボタンを長押しすればリトルシスターが目的地まで導いてくれる。死体を見つけたらリトルシスターを降ろし,ADAMの採集に入ってもらうわけだが,採集中にスプライサーがワラワラ集まってくるため,その間は全力でリトルシスターの護衛にあたらなくてはならない。
このあたり,前作の終盤にも似たようなシチュエーションがあったので,プレイした人なら想像がつくのではないだろうか。採集が終わったら再びリトルシスターを肩に乗せて移動し,通気口に帰せばようやくADAMの獲得……となるのだが,帰す前に再度,救済か搾取かの選択ができる。さすがにここでの搾取は,人として選べないだろうと筆者は思ったのだが,もちろん,どうするかは各プレイヤーの自由だ。
1回のハッキングが数秒で終わるため,ゲームの進行がスムーズだ。さらに新たな武器として「ハッキング・ガン」も追加されており,監視カメラやタレットなどのターゲットにハッキング弾を撃ち込めば,遠い場所からのハッキングも行える。もちろん前作のように接近してからハッキングという方法もとれるので,状況によって使い分けていこう。
また,写真を撮って敵の弱点を知るというカメラシステムにも若干の変更があり,カメラはカメラでもスチールではなく,ムービーを撮るという設定になっている。前作ではやや距離をとってパシャパシャとシャッターを切っていればよかったが,本作ではカメラでターゲットを捕らえて撮影開始ボタンを押したら,武器に持ち替えてターゲットと戦わなくてはならない。その結果によってポイントが溜まり,相手の弱点が判明するのだ。離れて撮影したり,死体を撮影したりではポイントが入らないので,のちのちの戦闘を有利に進めようと思うならば,体を張ってガンガンいくしかなさそうだ。
しかし実際に序盤をプレイしただけで,それが非常に甘い考えだったと思い知らされてしまったのだ。まだロクに武器もプラスミドも揃っておらず,残弾に余裕があるはずもない状況でヤツが現れたときは,イベントシーンに違いないと見とれていたのだが,次の瞬間には吹き飛ばされ,画面が朱に染まっていた。
そう,ビッグシスターは序盤から何度となく姿を現し,事あるごとにビッグダディに襲いかかってくる恐怖の存在だったのだ! やけに甲高い叫び声が耳に残り,ベッドに潜ってもなお聞こえてくるような気がしてならず,夢見が悪くなることこの上なしなので,読者の皆さんも,ビッグシスターとの対決には心して挑んでいただきたい。
待望のマルチプレイモードは,
世界観にマッチした秀逸な仕上がり
とはいえ,マルチプレイモードについても,謎に包まれ内容に不明な部分が多かったのは同じ。こちらも実際のプレイで詳細を把握できたので,ここでお伝えしていこう。
通常はクイックマッチでのプレイがメインとなるはずだが,フレンド同士で集まれるモードが別に用意されているのは,なかなか気が利いている。
肝心のゲームモードは全部で7種類と判明。なかにはビッグダディ・スーツが出現するモードもあり,これが勝利を握るためのカギとなってきそうだ。では,それぞれ以下に解説していこう。
●適者生存
2〜10人が参加可能な,いわゆるデスマッチ。自分以外のすべてのプレイヤーと戦いを繰り広げ,誰かが200ポイントのスコアに到達するか,制限時間がいっぱいになった時点で最もスコアの高い人が勝利となる。
アイテムとしてビッグダディ・スーツが出現し,これを着るとケタ違いに強力になる。誰かがそれを手に入れたときは,敵といえどもほかのプレイヤーと共闘し,ポイントの荒稼ぎを阻止する必要が出てくるだろう。
●市民戦争
2〜10人が参加可能な,いわゆるチームデスマッチ。仲間と協力しながら敵を倒し,先に200ポイントのスコアに到達するか,制限時間がなくなった時点で最もスコアの高いチームが勝利となる。
こちらにもビッグダディ・スーツが出現するので,うまく手に入れたチームは,その他のメンバーでビッグダディの護衛にまわるなどして勝利を確実なものにしたいところ。
●キャプチャー・ザ・シスター
2〜10人が参加可能なラウンド制のチームバトル。攻撃側はリトルシスターを奪取して通気口まで運ぶことが目的で,防衛側は,制限時間までリトルシスターを守り抜くことが目的だ。これを交互に繰り返して,ラウンド取得数の多いチームが勝利となる。
防衛側は必ず誰か一人にビッグダディ役が割り当てられるので,リトルシスターを護衛するため,できるだけその火力を長続きさせたい。
逆に攻撃側は,ビッグダディをいかに素早く撃退できるがポイントとなってきそうだ。守備側がリトルシスターを奪われたとしても,通気口まで運ばれないうちに所有者を倒せばセーフ。ただしリトルシスターはその場を動いてくれないため,防衛地点がジワジワと通気口へ近づいていくことになってしまうという,なかなか熱い駆け引きが楽しめるモードだ。
画面にはリトルシスターと通気口の位置を示すアイコンが常に表示されている。これを頼りに進めばよいが,やはりマップを覚えたほうが有利だろう |
まさにリトルシスターが通気口に運ばれようとした瞬間,ギリギリで阻止することができた。だが残り時間はこの場所で防衛しなければならない |
ビッグダディが守りについている限り,そう簡単にリトルシスターは奪えない。いかに短時間でビッグダディを始末できるかが攻撃側のカギとなるだろう |
敵になると強く感じるビッグダディだが,自分が担当するとなると動きが重く,走り回る相手に翻弄されてしまう。火力を活かしきれていない感じ |
●縄張り争い
2〜10人が参加可能なチームバトル。マップ上には三つのコントロール・ポイントが存在しており,接近するとメーターが画面に表示され,それが一杯になるまでその場に留まれば制圧したことになる。
制圧中にはスコアが加算されていき,制限時間までにより多くのスコアを獲得したチームが勝利する。複数のポイントを長時間キープし続けることが重要となるので,戦力をどのように分散させるかよく考えなくてはならないだろう。
欲張って全ポイントを押さえるより,確実に2か所を押さえるほうが勝てる確率が上がりそうな気もするが,必ずポイントを守りきれるとも限らず,なんとも悩ましい。シンプルに見えて,なかなか奥の深い駆け引きが味わえそうだ。
これがコントロール・ポイント。接近してその場に留まっていれば制圧できるのだが,近くに敵がいる場合はメーターが動かなくなる |
敵を倒しても勝敗を決するスコアには結びつかないので,深追いは禁物だ。あくまで,コントロール・ポイントの奪い合いが基本 |
●ADAM争奪戦
リトルシスターを抱きかかえている相手にはマーカーが表示されるので,どこかに身を潜めることはできない。早めに倒してタイム加算を阻止しよう |
途中で誰かに倒されるとリトルシスターの所有権は失われるものの,再度奪い返せば時間も続きから増えていくというルール。したがって,とにかく短時間でも繰り返しリトルシスターを確保して勝利へつなげていきたい。また,あらかじめタレットなどをハッキングしておくと,リトルシスター所有時に生き延びる確率が上がるかもしれない。
リトルシスターゲット! プラスミドが使えるとはいえ,うしろを振り向いている余裕などなし。ひたすら角を曲がったり,2階から飛び降りたりと,射線を外すように逃げ回れ! |
あらかじめタレットをハッキングしておき,リトルシスターを確保したあとで立て籠もるという方法もある。そう長くはもたないが,十分にタイムは稼げるはずだ |
●ADAM争奪チーム戦
「ADAM争奪戦」のチーム版で,こちらは2〜10人の参加が可能。ルールは個人戦と同様だが,仲間がリトルシスター所有者の護衛にしっかり当たれば,勝てる確率は格段にアップしそうだ。
仮に所有者が倒されてもチームメイトがすぐに拾い上げればよいわけで,そのあたりの連携プレイが求められることになるだろう。侵入ルートが限定されるような場所で防衛戦を張るというのも有効かもしれない。
●ラスト・スプライサー
倒されたらリスポーンできないということであれば,やはり姑息に立ち回っていくしかない。比較的安全な2階から味方の援護に入る筆者である |
マルチプレイに使用できたキャラクターはランクが低く,使用できる武器やプラスミドにも制限があったため,なかなか派手な戦いにはなりにくかった。
だが,着実にランクを上げていけば徐々に制限が解除されて攻撃手段も増えていくわけで,そうなれば戦術の幅も広がり,さまざまな武器やプラスミドが飛び交うバイオショックらしい戦闘が楽しめるようになりそうだ。
しかし,ちょっと気になるのは最大10人という同時対戦人数。最近は100人以上の同時対戦を可能にしたマルチプレイ作品も多く,そのあたりと比べてしまうと数字の上では見劣りしかねない。
ともあれバイオショック初のマルチプレイは,リトルシスターやビッグダディをうまくルールに取り入れ,独特の世界観をしっかり際立たせているという印象だ。
10年の時を経て目覚めたビッグダディ
彼を待ち受ける運命とは?
と,プロローグ部分を簡単に紹介してみたが,やはり前作の10年後が描かれたシングルプレイモードの内容も,激しく気になるところだ。だが,あまり深く触れてしまうとネタバレになってしまう可能性もあるので,ここはビジュアル優先でお見せしたい。オープニングから始まり,ステージ1の「アトランティック急行」,およびステージ2の「ライアン遊園地」までのさまざまな場面を掲載した。発売までのあとわずか。これを眺めて胸を高鳴らせていただきたい。
「バイオショック2」公式サイト(要年齢認証)
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