プレイレポート
「世界一汚い言葉が使われたゲーム」としてギネス認定された異色のガンシューティング「ザ ハウス オブ ザ デッド:オーバーキル」のプレイレポートを掲載
本稿では実際にプレイした印象を交えつつ,ゲームの概要を紹介していこう。なお,本作はCERO“D”指定の作品で,対象年齢は17歳以上となっている。記事内でも過激な表現を用いているので,その点には注意してほしい。
「ザ ハウス オブ ザ デッド: オーバーキル」公式サイト
飛び交う暴言! 噴き出す血しぶき!
ホラー映画マニア必見の作品が登場!
本作で描かれるのは初代「ザ ハウス オブ ザ デッド」から8年前の物語。1990年のアメリカ南部“バイユーシティ”を舞台に,政府機関AMSの新米工作員“G”と一匹狼の刑事“アイザック・ワシントン”の凸凹コンビが,グロテスクなミュータント共と死闘を繰り広げていく。
全編を通してエログロナンセンス大盛りで,演出や展開が“一昔前の低予算ホラー映画”を彷彿とさせる(ガチで誉め言葉)のが,本作の特筆すべき魅力。また,血みどろのホラーかと思えば意外にコメディ要素が強く,緊迫した状況下でも,どこか間の抜けた雰囲気が漂っていて,クスリとしてしまうシーンが多々ある。妙にノリの良いBGMも手伝って,ぶっちゃけ全然怖くないので,ホラーが苦手な人にもオススメできる作品だ。
ただし,一部の登場人物……とくにワシントンの口の悪さには要注意! 彼はゲーム中で「このマザーフ※※カーが!」「ファ※ク!」などと,完全にレッドゾーンな放送禁止用語をマシンガンのように連発しており,その甲斐あって(?),なんと本作は「世界一汚い言葉を使ったゲーム」としてギネス認定されている。こういう下品なネタも楽しめる,17歳以上の男の子女の子なら,本作との相性はバッチリのはずだ。
もうここまで読んでいただければ分かると思うが,本作は従来の「ザ ハウス オブ ザ デッド」シリーズとは一味違った“バカゲー”なのである(もちろん良い意味で)。
さて,肝心のゲーム部分についてだが,基本的にはシンプルなステージクリア方式のガンシューティングだ。ひっきりなしに襲ってくる敵をWiiリモコンで狙い撃ちし,殲滅していくことになる。
移動がオートで行われるのは従来シリーズどおりだが,本作では画面端に照準を向けることで,ある程度の視点移動が可能となっているのがポイント。敵はプレイヤーの視界外から攻撃してくることはないので,その特徴を上手く利用すれば,有利な状況で戦うこともできる。
なお,ストーリーモードでは二人協力プレイも可能だ。その場合は1P側がG視点,2P側がワシントン視点となる。シングルプレイでもワシントンが一緒なのには変わりないが,その場合,引っ切りなしに悪態をついたり叫んだりするだけで,悲しいかな戦闘には参加してくれない。
看護師だったり囚人だったりピエロだったりと,ステージによってさまざまな容姿・能力を持った敵が登場するのも本作の魅力の一つだが,中でも各ステージの最後に登場するボスミュータントは必見。良い意味で「どこかで見たような」「ベタベタな」「安っぽい」クリーチャーデザインに,ホラー映画マニアならば思わずニヤニヤしてしまうだろう。盛大なネタバレになるので詳しいことは書けないが,スプラッター映画の傑作と名高い「ブレインデッド」が好きならとにかく最後まで遊んでみるべし……とだけ言っておこう。「これマジでD指定かよ!?」と驚かされること請け合いだ。
また,ステージ内にはさまざまなアイテムが存在しており,それを撃つことで入手したり,効果を発動したりできる。HP回復アイテムはもちろん,1発で大量の敵を吹っ飛ばせる手榴弾や,一定時間周りの敵の動きをスローにするアイテムなど,有用なものがほとんどなので,積極的に獲得していきたいところだ。
先述したように,本作では移動がオートで行われるので,視点の切り替えが非常に早い。常に敵の接近を牽制する必要があるため,唐突に出現するアイテムを獲得するのは困難だ。敵やアイテムの出現タイミングは毎回同じなので,繰り返しプレイすることで腕を上げていく“覚えゲー”の要素が強いといえる。
まぁストーリーモードに関しては,コンティニューが無制限なので,クリアだけを目指すのならば,ガンシューティング慣れしていないプレイヤーでも安心して楽しめるだろう。
ステージクリア後には成績画面が表示されるのだが,このときスコアに応じた賞金が獲得できる。賞金を貯めればガンショップでショットガンやアサルトライフルなど,より強い銃を購入したり,性能を強化することも可能だ。
ちなみに,一度に持っていける銃は二丁まで。いつでも持ち替え可能なので,状況によって使い分けていくと良いだろう。
なお,本作では弾を外さずに敵を連続して倒すと,その数に応じて画面左上にある“コンボメーター”の弾痕が増加。弾痕が五つ溜まるごとに“コンボレベル”が上がり,レベルが高くなるほど獲得できるスコアが高くなる。より多額の賞金を求めるなら,コンボは積極的に狙っていくべきだ。
また,ステージ中で「ヘッドショット50回」「敵を2000体撃破」などといった条件を満たすことにより,コンセプトアートやムービーなどもアンロックされる。これらのコレクションは90種類以上も用意されているとのことなので,やり込み好きにはたまらない要素だ。
さらに,本作には最大4人で遊べるミニゲームも用意されている。流れてくる的を撃って射撃の腕を競う「MONEY SHOT II」,際限なく沸いてくるミュータント相手になるべく長く生き残る「STAYIN' ALIVE」,一般市民を無事にミュータントから逃がす「VICTIM SUPPORT」の3種類だ。しかし,これらのミニゲームは多人数で競い合うことを前提としているため,一人で遊ぶと少々空しい……。
また,ストーリーモードクリア後のお楽しみとして“ディレクターズカットモード”がある。基本的な流れはストーリーモードと変わらないが,追加シーンがあるほか,ミュータントの数や得られるアイテムが増加。コンティニューも,無制限だったストーリーモードとは違って3クレジットしかないので,クリアは格段に難しくなっている。ストーリーモードをクリアしたことで,自分の腕がどれだけ上達したのか試すには最適。遊び応えは満点だ。
クソッタレなコンビによるクソ最高な物語
ただのガンシューと思ったら大間違いだ!
まぁ,ゲーム性に関してはどうしても大味さが否めないが,個人的には近年稀に見る“最凶にイカれた”シナリオが本作の魅力を一気に跳ね上げていると思う。ご都合主義で,ありがちで,視聴者置いてけぼりな展開が頻繁にあるにも関わらず,なぜか目が離せない……まさに“クソ映画”そのものだ。
なお,勘違いしないでほしいのだが,この場合の「クソ」は最大級の褒め言葉である。ニュアンスとしては「クソ度胸」とか「火事場のクソ力」とかそんな感じ。この世には筆者を含め,そんなクソ映画を愛好する変人……いや玄人共が多数存在するのだ。本作からはそういうクソ映画に対する作り手の愛がビンビン伝わってくる。
クソクソ言いまくってクソ失礼なクソ文章になっているが,こんな風に書けるのは本作が「世界一汚い言葉が使われたゲーム」という素晴らしい称号を得た作品だからこそである。あとワシントンがゲーム中で「クソッタレ!」を連呼してるせいだ。
とにかく,このクソ記事でピンときたなら間違いなく「ザ ハウス オブ ザ デッド: オーバーキル」はクソオススメな作品。クソ映画好きでWiiを持っている人は,遊んでおかないとクソ後悔するぞ!
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ザ ハウス オブ ザ デッド: オーバーキル
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