連載
【ヒャダイン】「ストリートファイターII」の三角跳びの謎について考える
ヒャダイン/前山田健一 / 歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第15回「『ストリートファイターII』の三角跳びの謎について考える」
エドモンド本田。スモウレスラーなんですけど,重力を無視して地面に水平に飛んでいき頭突をするという。わお。ミステリアスアジア。
ダルシム。ヨガの達人ということで,火も炎も吐けるし,足や腕がゴムゴムの実を食べた彼のようにびよーーーんって伸びるし,ついにはテレポテーションまで! わお。ミステリアスインディア。
ブランカ。アマゾンの野生児として育ったことから,電気うなぎのごとく,体から発電することが可能。敵を感電させることができるという! あと体を高速回転させながら縦横無尽に飛び回れるという。わお。ミステリアスジャングル。
格闘ゲームにおいて「キャラ立ちさせるならここまで振りきれよ!」という基礎を築き,広く受け入れられた作品が,ストIIだったんじゃないでしょうか。中途半端な常識は一切無視! そのキャラらしかったら重力も無視。この勢い,素晴らしい。
その中で,プロレス一筋ザンギエフとボクシング一筋バイソンの存在感もすごいですよね。ザンギエフ。某映画で悪役扱いになっていてびっくりしたんですが,悪役だったんですか? 僕は格ゲーのテクニシャンじゃないのでザンギエフは使いこなせなかったんですが,上級者はガンガン“吸い込んで”スクリューパイルドライバーを決めまくっていたのが,すげえなあと思っていました。自分が使おうものなら,波動拳をよけきれずノーダメージで「YOU LOSE」。トホホですよ。
そんな自分が一番使っていたのは,やはり春麗でした。攻撃力や体力こそ低いものの,すばしっこくて使い勝手は最高。華麗に舞わせて相手を踏みつけたり,投げ飛ばしたりするとスカっとしましたねえ。グラフィックスもセクシーだし。げへへへへへ。
画面左端まで後退すると,それ以上進めない。画面右端に行っても,それ以上進めない。それゆえ,優れたジャンプ力を誇る春麗は,右端や左端を「壁」ととらえて,その壁をロイター板として利用して,とんとーーん,て二段構えのジャンプをできるんです。そう。それが三角跳びってやつです。これをやると,すごい飛距離を稼ぐことができて,あっという間に対戦相手との距離を詰められるんですが……。
冷静に考えたらおかしいぞ? 街中の道で戦っているのに,右端と左端が決められている。もしかしたらストリートファイター界の公式ルールとして,右端と左端の距離が決められていて,その線を超えたらアウトー! という,いわば土俵システムが採用されているのかもしれません。
ひょっとしたら,右端左端に線が引かれていたり,ポールが置かれていたりするのでしょうか。
……であるならば,端まで行くとそれより進めなくなるというのは,土俵際の力士のように自分の意志であるという解釈もできるわけですよ。
しかし。三角跳び。そう。三角跳び。これの解釈が難しくなってまいります。一つの案として,右端と左端に簡易的な壁を用意している,という考えはいかがでしょう。
世界ストリートファイター協会のルールにより,公式ストリートファイトが行われるとなったら決められた距離に二枚の壁を設置する,と。それが中華街の雑踏であれ銭湯の中であれ米軍基地の中であれ,世界ストリートファイター協会が定めたルールは厳格に守らねばならない,と。
こうなると,ストリートファイト前日はバイト君をたくさん雇って夜通し建て込み作業ですよ。カンカンカンカン。春麗のジャンプ力でも超えられない壁を設置しなきゃいけないんですから,相当高くないといけない。しかも,ザンギエフやベガの攻撃力にも耐えられるだけの強度がないといけない,
ということは,相当な重さ,厚さということですよね。これは大変な作業です。エドモンド本田が壁に向かって百裂張り手でもした日には,バイト君達が絶叫です。
もしくは,テレビ番組「ほこたて」に出てくるような壁職人が居て,「エドモンド本田の張り手でもびくともしない壁」という触れ込みで,仕事を取ってきたりしているのかもしれません。
ならばいっそのこと,三角跳びより「波動拳」の原理について考えておくべきだったかもしれません。かめはめ波と同じだもんなあ,フォームは。原理も同じなのかしら。それにしても,手のひらから飛び道具を出せるなんて本当に羨ましい。実は僕,まだ諦めてないんです。波動拳やかめはめ波は,いつか出せると信じております。そのために一生懸命仕事しています。
話を戻しましょうか。波動拳のようなものが出せる世界と考えると,人知の及ばぬ力が存在していてもおかしくないはず。そうだ! ストIIの左右の限界は壁ではなく,結界である。ということで,いかがでしょうか?
世界中の公式ストリートファイターが試合を始めるにあたって,ストリートファイター協会会員である審判(ラウンドワンーファイッっていう人)が公式ルールブックに則った奥行き,距離にしたがって結界を張る。
それは格闘する範囲を限定する効果があると同時に,周囲の観衆や一般人に流れ弾的な被害を及ぼさないという安全のため,という意味合いがあるのです。はい。書いていて,これ,すごく納得できるような気がしてきたぞ!
それでは今回の結論。三角跳びは,結界を蹴っ飛ばして高く跳んでいるのであーる(ヒャダイン説)。
しかし,バルログさんが金網をエッホエッホ登っている間,背中をボコボコに出来ない理由はまだ解明されておりません。まだまだ研究材料は残っておりますね。
■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■ ニューシングル「笑いの神様が降りてきた!」が,5月29日(水)に発売されるヒャダイン氏。4月4日(木)24:45〜25:45にはフジテレビで,人気漫画「モテキ」や「アゲイン!!」の作者である久保ミツロウ氏とのトーク番組,「久保ヒャダ こじらせナイト」が放送されます。 |
- 関連タイトル:
ストリートファイターII コレクション
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