プレイレポート
「レイストーム」がHDで復活! 「RAYSTORM HD」はどこが新しく,どこが昔のままなのか
原作である「レイストーム」は,1996年にタイトーがアーケードゲームとしてリリースした,縦スクロールシューティングゲームだ。グラフィックスは3Dポリゴンで描かれ,奥行きもあるが,移動できる範囲は2Dに限定されており,プレイ感覚はまさに2Dシューティングゲームである。
ストーリーは,近未来の地球政府と,それに敵対する惑星の連合「セシリア連合」の対決を描いたもので,プレイヤーは地球政府側の人間となって最新鋭の戦闘機を駆り,セシリア連合に挑むことになる。
ゲームは全8ステージで構成されており,地球からスタートする戦いは,やがて宇宙空間へと戦場を移し,最終的にはセシリア連合の本拠地へと乗り込んでいく。各ステージにはいずれも巨大なボスが待ち構えており,強力な攻撃を繰り出してきて,迫力満点の戦いを楽しめる。
レイストームはアーケード版のほか,プレイステーションやセガサターンなど,コンシューマゲーム機に移植されたが,今回のリメイクではコンシューマ版がベースとなっており,ゲーム性はそのままに,現行機種のスペックに合わせてグラフィックスが大幅に強化された。また,オリジナル機体の追加や,ネットワークを介してランキングボードでスコアを競える機能など,さまざまな新要素が盛り込まれている。
発表から配信まで少し時間はたったが,このたび無事配信となったRAYSTORM HDについて,紹介していこう。なお,今回の記事制作にはXbox 360版を採用している。
ロックオンレーザーで敵をまとめて倒す爽快感がGood
RAYSTORM HDは,多くのシューティングゲームと同じように,敵を倒すと出現するパワーアップアイテムを獲得することで,自機の性能が上がっていく。アイテムは複数あり,赤いアイテムは三つ入手するとショットが一段階パワーアップ,黄色のアイテムは一つ入手するとショットが一段階パワーアップ,緑のアイテムはロックオンできる数が一つ増える,青のアイテムはショットとレーザーが最強状態になるといった効果がある。
攻撃方法で特徴的なのは,通常ショットのほかに「ロックオンレーザー」による攻撃が用意されていることが挙げられる。これは機体の前部についている照準を敵機に合わせ,ロックオンした相手すべてにレーザーを放って一気に掃討するというシステムだ。オートとマニュアルのどちらか選ぶことができるので,ゲームに慣れないうちはオートでやってみるといいだろう。
ロックオン時に「ピッピッピッ」と効果音が鳴り,その後まとめて撃墜するというのは,爽快感抜群でとても楽しいし,エフェクトも派手で見応えがある。ちなみにロックオンする敵が多いほど得点の倍率が上がっていき,スコアをたくさん稼げるといったメリットもある。敵の登場パターンを覚えて,どうやれば効率よくロックオンレーザーで倒せるかを考えるのは面白い。
また,特定の一か所をロックオンし続けると,「ハイパーレーザー」という絶大な攻撃力を持ったレーザーに変化するのもユニークだ。これは,例えばボス戦において硬い装甲に対して使い,これを引き剥がすときなどに重宝するものである。
ほかに「スペシャルアタック」というシステムがある。これはほかのシューティングゲームでいうところの「ボム」にあたるもので,広範囲に爆発を起こしたり,一定時間無敵になったりという効果があるので,緊急回避に使うことも可能だ。スペシャルアタックは,一度使うと専用のゲージが空になるが,ロックオンレーザーで敵を倒していくことで回復していき,また使用可能になる。
ハイパーレーザーはR-GRAY 1とR-GRAY 2のみが使用できる攻撃方法だ。R-GRAY 1なら広範囲に爆発を起こし,R-GRAY 2はブラックホールのようなものを出現させ,ダメージを与える | |
スペシャルアタックはR-GRAY 1とR-GRAY 2なら強力な範囲攻撃,R-GEARは無敵になる。後半のステージは攻撃が激しいので,これでピンチを切り抜けよう |
プレイヤーが使用できる機体は「R-GRAY 1」「R-GRAY 2」の2種。さらに特定の条件を満たすことで「R-GRAY 0」というモデルと,RAYSTORM HDのために用意された「R-GEAR」という隠し機体がアンロックされる。隠し機体を含め全部で4機登場するが,これらはすべてのモードで使用可能だ。ただし,13機モードに限りR-GRAY 0とR-GEARはどちらか一方しか選べないという制限がある。機体についてそれぞれ簡単に説明していこう。
豊富なモードを搭載し,やりこみプレイに対応
RAYSTORM HDのモードには,アーケード版を移植した「アーケードモード」と,PlayStation版のオリジナルモードだった「エクストラモード」がある。こちらは二人での同時プレイが可能だ。ほかにソロプレイ専用モードとして,獲得したスコアがリーダーボードに載る「ランキングモード」の三つが最初から遊べる。この中でもエクストラモードは,敵の行動パターンやボス戦などにアレンジが加えられており,ゲームセンターでやりこんでいた人でも新鮮な気持ちで遊べるのが特徴だ。また,エンディングもオリジナルのものが用意されている。
それ以外では,条件を満たすことで,使用できる機体が13機でコンティニュー不可の「13機モード」や,ステージごとにスコアアタックに挑む「ステージセレクトモード」といったモードがアンロックされる。
また,ゲームオーバー時にはリプレイデータの保存が可能だ。保存したデータは「リプレイモード」から確認でき,ステージ研究や神業プレイの保存などに使えそうだ。なお,「リーダーボード」からはトップランカーのリプレイをダウンロードできるので,こちらもぜひチェックしてみよう。
13機モードでは,R-GRAY 1とR-GRAY 2をそれぞれ6機ずつ,R-GRAY 0とR-GEARはどちらか1機の計13機を使用できる。どのような順番で使うかはプレイヤーの自由だ |
リプレイは最大で20個保存可能。自分のリプレイ以外にリーダーボードから,トップランカーのリプレイもダウンロード可能となっている。上手い人のプレイは動きの参考になるはずだ |
Playstation 3,Xbox 360のタイトルということで,トロフィーシステム/実績にも対応している。ただ,解除にはシューターとしての実力が問われるものが多々あり,とくに「ノーコンティニューでゲームをクリアする」というのは,かなり難しい部類に入るだろう。筆者の場合,終盤のステージでは,ボスにたどり着く前に何度も撃墜されコンティニューを繰り返しているようなレベルなので,実績全解除は夢のまた夢だ。
設定を細かく変更できるのは優れたポイントだろう。残機数は5機と多めだが,それでも使い切ってしまってゲームオーバーになるということが多々あった。難しい…… |
無限コンティニューがあるのはありがたい。モードのアンロック条件は,ゲーム内では説明されていないが,実は実績の解除条件を説明している文章を読めば分かったりする |
充実のオプションモード
RAYSTORM HDではオプションが充実しており,ゲームの設定を細かく調節することが可能だ。残機の数やコンティニューできる回数,「VERY EASY」から「NIGHTMARE」まで8段階ある難度など,自分の腕にあわせて設定できるのがいいところ。遊んでみた印象では,難度を上げるほど敵の耐久力が上がり,倒しにくくなるようだ。
グラフィックスは16:9の画面比率で,ハイビジョンテレビ向けにリファインされている。これについては“違和感がある”と感じるほどでもなかったが,オリジナルが4:3で作られているのだから,解像度のオプションで4:3を選べてもよかったかなとは思う。
RAYSTORM HDはエクストラモードで,BGMの種類を変えられる。タイトーのゲームといえば,ZUNTATAのサウンドが魅力の一つに挙げられるが,デフォルトでは「TANZ MIX」になっていて,このほかに「ZTT MIX」というものがある。名前からして後者がZUNTATAバージョンだろうか? 複数のバージョンのBGMを,しっかり収録している点は評価したいポイントだ。
細かいところで気になる部分はあるが
遊んでいて楽しいタイトル
RAYSTORM HDを遊んで,まず最初に感じたのは,懐かしさだ……もう10年以上も前のタイトルなので当然ではあるが。筆者はシューティングゲームに関しては,下手の横好きというレベルなのだが,それでも遊んだ当時のことを思い出し,遊んでいて懐かしい気分に浸ることができた。
PlayStation版を遊んだ当時は高校生だったが,今回あらためて遊んでみた率直な感想を言わせてもらうと,「こんなに難しかったっけ?」といったところ。単純に加齢で動体視力が落ちただけかもしれないが,最も易しいVERY EASYでも撃墜されまくりだった。
RAYSTORM HDは,いわゆる「弾幕系」のシューティングではないと思うが,敵の攻撃は遅い弾や猛スピードで直進してくるレーザーなど多彩で,それを突破していくというのは,なかなか難しかった。ただ,救済措置もとられており,一定数コンティニューを繰り返すと「無限コンティニュー」がアンロックされるので,力押しでエンディングを迎えることは可能になっている。
先にも述べたように,本作はハイビジョンテレビを視野に入れて移植されているため,グラフィックスがちょっと引き伸ばされた印象だが,遊んでみるとそんなに困りはしなかった。「こんな感じだったよな」と,記憶を頼りに攻略パターンを試してみて,それがうまくいったりもして,個人的にはHD化によるゲーム性に変化はないように感じた。なお,ネットで調べてみると,ゲーム機の解像度の設定を変えることで,4:3の画面比率で遊ぶこともできるようだ。決してオススメするわけではないが「どうしても」という方は,自己責任でやってみるのもアリだろう。
個人的に気になったのは,リーダーボードの記録である。どういうわけか,どのモードでも20位までしか閲覧できないのだ。まさか,20程度の人達しかエントリーしていないということはないだろうし,ここは改善してほしい。あとはオンラインで一緒に遊べたらもっと良かったかのだが。
また,体験版で遊べる部分が短すぎるのはちょっと残念に感じた。せめて最初のステージくらいは通しで遊ばせてほしかった。
RAYSTORM HDは,ゲームモードが豊富にあり,トロフィー/実績システムにも対応しているため,それらを解除するためにやりこめば,かなりじっくり遊べるゲームといえる。モードの中では,とくにランキングモードが気に入っている。ハイスコアの更新を狙うだけでなく,家にいながら世界中のプレイヤーとスコアを競えるというのは面白いし,オリジナルにはなかった「オンライン」という要素を,うまくゲームに取り込んでいる印象だ。
筆者を含め,どちらかといえば懐かしさが先に立つタイトルだが,アーケード版やコンシューマ版を遊んだプレイヤーに限らず,オリジナルを知らない若い世代にも,広くアピールできるものになっているのではないだろうか。
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