「ArcheAge」らしさも再確認。2014下半期ロードマップの詳細やなぜバーベキューパーティーだったのかをプロデューサー石元氏に聞いてみた

　ゲームオンは2014年7月27日，東京のお台場にてMMORPG「ArcheAge」のオフラインイベント「ArcheAge1周年記念パーティ」を開催した。

　2013年7月23日に正式サービスをスタートさせ，1周年を迎えた「ArcheAge」では，それを記念するイベントをゲーム内外で開催しており，今回行われたこのパーティーもその一つだ。「こちら」の記事でもお伝えしたように，大阪，福岡，札幌，東京の4か所で「ArcheAge」のプレイヤーを招いて催されたバーベキューパーティーだが，福岡，札幌会場では動物とも触れあえるようになっており，ゲーム内で畜産もできる「ArcheAge」らしいパーティー会場になっていたようだ。


　さらに，トリとなった東京会場では，今年下半期の「ArcheAge」のロードマップが発表された。すでに先述の記事で確認した読者も多いと思うが，2014年内のロードマップとして，「海」をキーワードにしたさまざまなアップデートが予定されている。ただ，その内容は概要的なものなので，詳細までは触れられていない。
　そこで今回4Gamerでは，「ArcheAge」運営プロデューサーの石元一輝氏に，イベントで発表されたロードマップの詳細についてインタビューしてみたので，その内容を確認してみよう。

「ArcheAge」公式サイト

2014年下半期は海にまつわるコンテンツが目白押し

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。2014年下半期のキーワードは「海」ということが今回のイベントで発表され，それにまつわるいろいろなコンテンツが公開されました。

石元一輝氏（以下，石元氏）：
　そもそも，なぜ海なのかというと，主な理由はエアナードが実装されたときに大幅な仕様変更があったからなんです。

4Gamer：
　どういうことでしょう？

石元氏：
　たとえば，フリーダムロードの金貨交易商に貿易品の納品ができなくなったりして，プレイヤーさんが海に出る機会が減ってしまったんですね。

4Gamer：
　そうなると，連鎖的に海賊も海に出る理由がなくなりますね。

石元氏：
　ええ，獲物がいなくなりますから。海賊勢力なのに，泣く泣く山賊稼業というプレイヤーも多いと思います。

4Gamer：
　そこで，プレイヤーに海へ戻ってもらうコンテンツを追加するわけですね。

石元氏：
　そうです。

4Gamer：
　では，発表されたそれらの新コンテンツについて，詳細を教えてもらえますか。まずは「リバイアサン」について，クラーケンとは違った戦い方になると聞いていますが。


石元氏：
　はい，クラーケンとはまったく違った戦闘スタイルになります。クラーケンは，遭遇したポイントで大砲を撃ち込んで戦うというスタイルですが，リバイアサンは捕鯨に近いかなと。暴れ回っているのを追いかけ回して倒す，というイメージに近いかもしれませんね。

4Gamer：
　ということは，銛を打ち込んで逃がさないようにするなんてことも？

石元氏：
　あるかもしれません（笑）。そうして逃げるリバイアサンを追跡したりとか。もちろん，船一隻で倒せるようなモンスターではないので，何隻も船を出して，みんなで協力して倒すことになると思います。


4Gamer：
　ドロップするアイテムはどうでしょう。クジラには「捨てる部分がない」なんてよく言われますよね。

石元氏：
　アイテムが取り放題ということはありませんけど（笑）。ただ，リバイアサンを倒したあと，陸地まで運んでつるし上げ，解体することで，高性能なアイテムが手に入るなんていうのもある予定です。そのなかでも，中型帆船の設計図や材料は目玉になるのではないでしょうか。

4Gamer：
　なるほど。しかし，このアイテムの入手方法は，いかにもArcheAgeらしいですね（笑）。倒したら手に入るではなくて，陸地に持ち帰って解体したら……なんて，ゲームとして考えれば，もっと簡略化されそうなものですし。

石元氏：
　ええ（笑）。それが“らしさ”なんでしょうね。

4Gamer：
　ちなみに，いまのお話にあった「中型帆船の設計図」は，新しく造船できるタイプのものですよね。

石元氏：
　はい。現在は小型帆船が一番大きな船ですが，その上位となる中型帆船が実装されます。中型帆船は移動速度が上がったり，大砲の数が増えたりしますし，船側から大砲が出現するギミックも付いています。さらに船の中には，パイプオルガンが設置されています。これもArcheAgeらしいと言えるかもしれませんね。


4Gamer：
　そのパイプオルガンは実際に演奏できるんですか？

石元氏：
　できますよ。この中型帆船もそうですが，小型帆船も含めて，今後，カスタマイズ機能が搭載される予定です。たとえば船首のフィギュアヘッドや砲門のパターン，備品などですね。能力がアップするものから，単なるデコレーション的なものまで，かなりの種類があります。

4Gamer：
　各パーツは，船に装備させるといったイメージになるのでしょうか。

石元氏：
　カスタマイズ用のインタフェースがあり，そこにアイテムを当てていくといった感じになります。このアップデート以降は，船で体当たりするというギミックも追加され，ぶつかっただけで相手の船にダメージが与えられるようになります。


4Gamer：
　それはいかにも海賊っぽいですね。船首を衝角にして，与えるダメージを強化した船も登場するかもしれません。
　もう一つの海洋コンテンツの目玉として，「深淵の衝撃（仮）」が発表されました。拠点をめぐって勢力が争うとのことですが，PvPになるのでしょうか。


石元氏：
　海洋でのPvPコンテンツになります。これは，プレイヤーさんから「欲しい」という意見が多かったコンテンツなんです。その意見が出始めたころから，実はすでに開発中だったことを知っていまして……それを発表するわけにもいかず，僕らも「早く完成して！」という心境でした（笑）。

4Gamer：
　知っているからこそのもどかしさですね（笑）。では，ようやく伝えられたことですし，「深淵の衝撃（仮）」の詳細について教えてください。

石元氏：
　1日1回，海のとある場所に存在している女神像に，クラーケンの触手が巻き付きます。その触手を排除してから，もっとも早く女神像に「拠点を落とした」という刻印を行った勢力の勝利となります。そして勝利した勢力には，次回までの特殊なバフや，アイテムなどが与えられます。

4Gamer：
　聞いていると，単純なPvPというわけではなさそうですね。

石元氏：
　ええ，PvEとPvPが融合したコンテンツになる予定です。

4Gamer：
　勢力としての海賊は無関係になるのでしょうか。

石元氏：
　海賊も当然有効です。ですから，触手を倒すだけではなく，各勢力ともぶつかりますし，それに海賊も加わって，最終段階の女神像への刻印をめぐる戦いは相当激しいものなると思います。


4Gamer：
　勝利条件が刻印ですから，下手につぶし合いになると最終局面で戦力がもたないでしょうし，それぞれの駆け引きが面白そうですね。ところで，開催は1日1回とのことですが，開始時間は決まっているんですか？

石元氏：
　ええ。実時間の何時から何時までといった形になると考えています。

4Gamer：
　そうすると，どうしても参加できないプレイヤーも出てきますよね。

石元氏：
　たしかに，実施時間が固定になると，参加できないプレイヤーさんもいるでしょう。一方で，船は一人で操作しきれませんし，戦闘で多くのプレイヤーさんが必要になります。ですから，プレイ状況を見ながら，ピークタイムを中心にした時間で決めると思います。

4Gamer：
　まあ，昼間に始まったとして，クラーケンの触手すらどうにもできなかった……では，コンテンツとして成り立たないでしょうし。

石元氏：
　そうですね。

4Gamer：
　分かりました。それにしても，お聞きしたこの三つのコンテンツは，「リバイアサン」で「中型帆船」の設計図と材料を入手し，船の戦力強化を図って「深淵の衝撃（仮）」に参加するという感じで，プレイの流れがリンクしていますよね。

石元氏：
　おっしゃるとおりです。ですから，この三つのコンテンツは同時に実装したいと思っています。

4Gamer：
　海のコンテンツと言えば，もう一つ，海上のモンスターとして登場するという「幽霊船」がありました。


石元氏：
　幽霊船は，頑張れば船一隻でも戦えるレベルの相手です。ランダムポップで，運良く（？）遭遇したときに倒せば，お金や素材アイテムが手に入るという感じで，少人数で楽しめるコンセプトになっています。

4Gamer：
　幽霊船に乗り込むことはできるんですか？ 船に乗り込んでそこに宝物があって……なんて展開を期待したくなります。

石元氏：
　乗り込めるかどうかは，未確認なのでお答えできません。ただ開発元からもらった情報ですと，現状では「幽霊船を撃沈する」というコンテンツなので，もし乗り込めたとしても，乗り込んだ時のメリットがどれだけのものになるかは分かりません。でも，そういう楽しみ方も欲しいですよね。

4Gamer：
　はい。船に乗り込む理由が，何か追加されることに期待したいです。

誰にも倒せなかった「レッドドラゴン」は弱体化

陸地のコンテンツにもさまざまな追加や調整を予定

4Gamer：
　今回の発表では，海だけではなく，陸地の新コンテンツもいろいろ公開されました。これらについても教えてください。

石元氏：
　まず，旧大陸のスパーキングビーチ周辺の2エリアと，ヌイア大陸のボーンベースの北西にある島が開放されます。ヌイア大陸の島では，モンスター狩りよりも，釣りだったり，生産資源だったりの採集がメインになります。日本でいうワカサギ釣りみたいに，小魚を大量に採れるようになる予定です。


4Gamer：
　画像を見ていると，北極のような氷の世界といった感じで，野生のシロクマだったりが出てきそうな雰囲気がありますね。オーロラも見られそうです。

石元氏：
　見られると良いですね（笑）。

4Gamer：
　かなり寒そうなところですが，耐寒装備がないと危険ということはないのでしょうか。

石元氏：
　いえ，とくに特別な装備が必要ということはありません。薄着だとHPが徐々に減るだとか，移動速度が遅くなったりだとかがあるなら，それも面白そうですが（笑）。

4Gamer：
　ちなみに，この島へは船で上陸することになるのでしょうか。

石元氏：
　船での行き来は可能ですが，設置されるポータルでも直接行くことができるようになる予定です。

4Gamer：
　なるほど。一方の旧大陸はどのようなマップになるのでしょうか。 遺跡のような建造物が見えますし，ダンジョンも追加されそうな感じですが。


石元氏：
　残念ながら，今回，ダンジョンは実装されません。

4Gamer：
　あら，そうなんですか。

石元氏：
　フィールドのみですね。旧大陸の新マップは，レベル53〜55相当のエリアで複数のクエストが追加されるので，レベリングしやすいエリアになっています。

4Gamer：
　分かりました。新PvPコンテンツの「グラディエイター」は，これまでのものとはどう違うのでしょうか。

石元氏：
　1vs.1のPvPコンテンツ「グラディエイター」は，勝利したプレイヤーだけでなく，敗北したプレイヤーにも少しですが名誉ポイントが入ります。


4Gamer：
　対戦相手はオートマッチングになるんですか？

石元氏：
　ええ，オートマッチングです。もともと同勢力であれば決闘というシステムもありますが，こちらはデメリットなしでいろいろなプレイヤーと戦えるのがポイントです。
　ただし，アビューズ（※意図的に相手にポイントなどを譲る行為など）が起こる可能性があるため，5vs.5のPvPコンテンツ「アリーナ」の報酬を増やして，グラディエイターでアビューズをしても意味がないように調整をかける予定です。

4Gamer：
　なるほど。このグラディエイターを使って，大会を開催してみても面白いかもしれませんね。

石元氏：
　オートマッチングなので，指定のプレイヤーとの対戦ができないんですよ。そのためオンラインでは難しいですが……，オフラインイベントであれば何かできるかもしれませんね。


4Gamer：
　お，期待していますね。次にレッドドラゴンについて，弱体化されるということですが。

石元氏：
　レッドドラゴンは，現存する最強のネームドモンスターなんですが，まだ一度も倒されていないんです。さすがに強すぎたようなので，弱体化を図ることになりました。倒せるか倒せないかのギリギリが一番面白いと思うので，そこを目指していきたいですね。

4Gamer：
　ちなみに，韓国では倒されていたんですか？

石元氏：
　実は，韓国でも倒せていませんでした。

4Gamer：
　なんと……。

石元氏：
　韓国では日本よりもサービス開始が早いため，全体的に装備レベルが高いのですが，それでも倒せなかったんです。

4Gamer：
　では，韓国でも弱体化は行われる，もしくは行われたんですか？

石元氏：
　ええ，弱体化が行われて，その当日に討伐に成功したと聞いています。

4Gamer：
　なるほど，少なくとも倒せるレベルにはなったわけですね。ところで，韓国のほうが装備レベルが高いとおっしゃっていましたが，日本で行われるレッドドラゴン弱体化も韓国と同様のものになるのでしょうか。

石元氏：
　はい。韓国と同一条件のものを一度適用します。それでも日本の戦力が追いついていないようであれば，さらに弱体化させる可能性もあります。ただ，1サーバーで1回ずつくらいは，なんとか倒してもらいたいですね。

4Gamer：
　ドラゴンはファンタジーの華みたいなものですから，簡単に倒せるというのも違いますし，バランスを取るのは難しいでしょうね。ともあれ，プレイヤーの皆さんには頑張ってほしいですよね。


石元氏：
　そうですね。でも実際に戦うとなると，戦力とはまた別のところで大変だと思います。

4Gamer：
　と言いますと？

石元氏：
　ArcheAgeの世界はとにかく情報が重要なんです。情報が漏れれば，ほかの勢力に行動を阻まれる可能性がありますから。

4Gamer：
　ああ，なるほど。貿易品を運ぶルートにしても，敵勢力に運搬中だという情報が漏れれば襲われますよね。フィールドの巨大なモンスターを倒すとなると，妨害される可能性は高くなりそうです。

石元氏：
　ですからプレイヤーさんは，情報をできるだけ外に漏らさず，自分達でしっかりと管理，コントロールしています。それでも，どこかで漏れていたりして……本当に油断のならないゲームなんです。
　実際に，クラーケンも安定的に倒せるのは，1ワールドぐらいしかないんですよ。単に戦力がないという理由ではなく，「クラーケンが倒されることによる（ドロップアイテムなどの）メリットを，相手勢力に享受させないため」に妨害が入りますから。

4Gamer：
　たしかに勢力間で争っているわけですから，相手をみすみす強化させるわけにはいかないですね。

石元氏：
　おそらくレッドドラゴンが弱体化したとしても，同じ理由で妨害が起こる可能性はあると思います。なので，こういったことが足かせになって，いつまでも倒せない状況になるのであれば，さらに若干の調整が必要になるだろうと考えています。