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印刷2010/04/26 11:37

連載

海外ゲーム四天王 / 第42回:「The Scourge Project」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第42回:今週の世界を影で操る巨大企業:「The Scourge Project」
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 PCゲームとアクションとSFとCo-opとスペインが好きな人なら,これっきゃないといえるのが,今週の「海外ゲーム四天王」のお題,「The Scourge Project」だ。ちょっとアレなAIや,十分とはいえない難度調整,そしてスキップできない長いカットシーンなど,残念ながら「超A級」とか「星五つ」とか「殿堂入り」とまでは呼べないものの,だからといって,ダメ! とも言い切れない魅力を併せ持つ,ゲーム通好みの一本なのだ。そんな本作に,通の中の通,合わせてW通と呼ばれる四天王の一角,ムーチョ朝倉こと朝倉哲也氏が挑んだ。

いやあんた,一人で敵の中に飛び込んでいくことないでしょ と叫ぶのもまた楽しい気がする,スペイン産TPSを遊ぼう

 

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 巨大企業「Nogari Corporation」が,世界の政治や経済を裏から支配する近未来の地球。Nogariのやり方に反感を持つ人々が結成した「Tarn Initiative」は,超一流の傭兵を集め,Nogari独裁から世界を開放すべく大規模な反撃に出ようとしていた。プレイヤーは,Tarnの傭兵達を率いて潜入したエージェントを救出すると共に,Nogariが開発した新エネルギーに関する情報を手に入れなければならないのだ。

 今週の「海外ゲーム四天王」で紹介するのは,そんなストーリーを背景にした三人称視点のSFアクション「The Scourge Project」であります。  開発は,スペインに本拠を置くTragnarion Studiosで,2003年に設立されて以来いくつかのパズルゲームを送り出しているが,今回のようなハードな設定の本格的アクションゲームは初めてのようだ。ゲームエンジンとしては,いまやジャンルを問わず数多くのタイトルに採用されている,「Unreal Engine 3」が使われており,スクリーンショットでも確認できると思うが,グラフィックスレベルはなかなか高い。

 

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 シングルプレイキャンペーンでは,プレイヤーは4人の仲間とチームを組み,常に彼らと行動を共にすることになる。誰をプレイヤーキャラクターとして選択するかは自由で,選択しなかった残りの3人はAIが操作してくれる。選択できるキャラクターとしては,アメリカ軍出身のStonewall,スリルを求めて傭兵稼業に身を投じた紅一点のAmp,ショットガンが得意なマッチョのMass,体の多くの部分をサイボーグ化したShadeと,かなり個性的な面々が揃っている。
 スクリーンショットを見れば分かるように,彼らは「Crysis」のナノスーツを思わせるごっつい戦闘スーツを着込んでいるが,見た目と裏腹に撃たれ弱く,敵の銃撃で意外にあっさりと倒れてしまう。ただし,本作では敵の銃撃で倒れても即死はせず,その場でしゃがんで動けなくなってしまうものの,規定の時間内に仲間に回復してもらえば,すぐに戦場復帰が可能だ。
 仲間が倒れたときも同様で,やはり一定時間のうちに駆けつけて回復させれば問題なし。ただし,回復が間に合わなかったり,全員が倒れてしまうと,そこでゲームオーバーとなり,オートセーブされた直前のチェックポイントからやり直しになる。
 敵との戦闘は,そのへんに置いてあるコンテナなどの遮蔽物に隠れながら,敵の銃撃の合間に顔を出しては撃ち返すという,最近のアクションゲームではおなじみになったカバーアクションが取り入れられている。

 

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 主な敵は,これまたナノスーツを着たような完全武装の兵士で,プレイヤー達と同様に遮蔽物を利用しながら攻撃を仕掛けてくる。
 じっと隠れて待っていると,わざわざこちらまで出てきたりするので助かるが,AI操作の仲間が,敵がいるのもお構いなしに撃ちまくりつつ前進して集中射撃を浴びて戦闘不能になり,それをプレイヤーが助けて回るといった状況にもなりがちだ。おいおい。
 敵の銃撃が激しいためになかなか助けに行けず,あげくに時間切れでゲームオーバー,という事態が起きやすく,このあたりのAIの挙動はもう少し煮詰めてほしい。味方AIに関する不満はSteamのフォーラムでも多く見られるので,筆者の腕前とは関係なさそうだ。たぶん。

 

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 ストーリー的には,ゲームを進めていくにつれてNogariの秘密が少しづつ解明されてくるところが面白い。物語はなかなか凝っており,これからプレイするかもしれない人のために説明は避けるけど,なにやらエイリアンのテクノロジーが関係しているのだ。

 

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 マルチプレイでは,最大16人のプレイヤーがNogariチームとTarnチームに分かれて戦うチームデスマッチや,キャプチャー・ザ・フラッグなどのほか,4人でのCo-op(協力プレイ)モードが楽しめる。
 これは,それぞれのキャラクターをほかのプレイヤーが担当し,シングルプレイのキャンペーンシナリオを進めていくというものだ。プレイヤーが足りない場合は,AIが操作する仲間が入ってのチームプレイとなるため,参加者が来るのを待ち続ける必要はない。
 AI操作がプレイヤー操作になれば,もちろん上記のような問題は起きず,ゲームの雰囲気はガラリと変わる。あんなに難しかった場面も,プレイヤー同士の華麗な連係プレイで鮮やかにクリア,などという場面に何度も遭遇するはず。基本的に,マルチプレイCo-opを前提としたゲームなのだと思える。

 

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 ただし,Co-opプレイでは同一チームに同じキャラクターが参加できないという制限があり,筆者のように紅一点キャラクターのAmpでどうしてもプレイしたいと思った場合,すでにAmpを使っているプレイヤーがいるゲームには参加できない。そのため,シングルプレイで気に入ったキャラクターを使って参加できるゲームがない! というようなことも起きるが,まあそれほど重要な問題ではないだろう。

 

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 巨大企業の隠された秘密を探るという展開や,弾雨の中,遮蔽物を利用しながらの戦闘など面白い場面も多いのだが,味方を回復できないバグがあったり,カットシーンをスキップできなかったりと,細かい部分の煮詰め方が不足気味で,心底楽しめたとはいいにくい。パッチなどでの修正を期待したところだ。
 Steamで販売されているので日本でも入手性がよく,価格も19.99ドル(2010年4月26日現在)とお手軽。面白いCo-opを楽しめる手軽なタイトルとして,本作の価値は高いだろう。

 

コラム:音が出ないよ,どうしたの? という人のために

 本作には「サウンドが再生されない」という問題がたまに発生するようだ。筆者の場合も,オープニングムービーから一切のサウンドが再生されず,ゲームがスタートしても無音のまま。どうやらゲーム側に問題があるようで,Steamの専用掲示板でも取り上げられている。
 デベロッパでもこの問題を重要視しているようなので,今後のアップデートなどで修正されるだろうとは思うが,もし問題が発生した場合は,掲示板の「こちら」を参考にして,Windowsのサウンド関連を調整するといいはずだ。

 

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■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
 最近,というかずっと熱中し続けているゲームが「Age of Conan: Hyborian Adventures」だというライターの朝倉氏。ヒマさえあれば,あるいはヒマを捻出してでもプレイを続けているというから,筋金入りだ。初期のさまざまな問題もほとんど解決し,リリース直後の状況とはまったく違う,面白いタイトルになっているという。5月11日の発売が決まった拡張パック「Age of Conan: Rise of the Godslayer」に熱烈期待中だ。
  • 関連タイトル:

    The Scourge Project

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