1996年,ゲーム制作集団“チームグリグリ”によって世に送り出され,「第2回 アスキーエンタテインメント ソフトウェア コンテスト」のゲームツクール部門で最優秀賞を受賞したPC-9801用ホラーアドベンチャーゲーム「コープスパーティー」。
ホラーゲームの名作としてファンに長年愛され続けてきた同作は,これまでiモード向けのアプリ配信やコミカライズなど,さまざまな展開を見せており,2009年にはWindows向けにリメイクされた
「コープスパーティー ブラッドカバー」も発売された。
そのショッキングな内容から,長年「コンシューマゲーム化は不可能」とまで言われていた本作だが……誕生から14年,ついにコンシューマー向けリメイク作となるPSP用ソフト「
コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー」(以下,コープスパーティーBR)が,5pb.から8月12日に発売されることが決定した。参考までにCEROレーティングは「D」(17歳以上対象)となっている。
本作は,Windows版「コープスパーティー ブラッドカバー」をベースに,OPテーマ,EDテーマなどの追加を行い,キャラクターデザインをリファイン。さらにPSP版のみで楽しめるエクストラシナリオなども追加された,まさに
“完全版”と言える内容に仕上がっている。
コープスパーティーBRの発売に先駆けて
本日(8月5日),同作の無料体験版の配信がスタートした。物語の始まりとなる“チャプター1”がまるまる遊べる豪華な内容となっているので,PSPユーザーはぜひともその恐怖を体験してほしい。
「自分怖いの苦手っす!」という人は,本稿でゲームの概要と見どころを確認し,心の準備を整えてから遊んでみるといい。
血噴き肉飛び散る廃校監禁ツアーへようこそ
■ストーリー
呪われた学び舎「天神小学校」で起こった,児童4名,連続誘拐・殺害事件。30年前に封印された骸(むくろ)の祭りが,現代に蘇る!
怪談好きの委員長が見つけてきたおまじない「幸せのサチコさん」。その正体は過去の凄惨な殺人事件により廃校となった,異空間「天神小学校」へといざなう呪いの儀式であった。
果たして,古ぼけた旧校舎に監禁され生殺与奪の権を握られた生徒達の運命やいかに……?
■主要キャラクター
持田哲志:もちだ さとし17歳 如月学園高等部2年本編の主人公。臆病で小心者だが、妹思いの優しい兄。ここぞという時には本気を出せる少年。温厚な性格も手助けし、クラス内ではいつも自然とリーダーシップを取っていることが多いが、同じく女性陣でリーダーになりがちの直美にはいつも頭が上がらない。 |
持田由香:もちだ ゆか14歳 如月学園中等部2年ブラコン、甘えん坊、哲志の妹。兄の哲志に傘を届けに来たために、天神小の事件に一緒に巻き込まれることになってしまった。子供の頃からの甘えん坊気質が抜け切れておらず、よく人に年齢を間違えられる。 |
中嶋直美:なかしま なおみ16歳 如月学園高等部2年哲志とは中等部からの縁。どういう訳か中一のときからずっと同じクラスで「うんざりだよ」などと言いつつも、お互い相手のことが気になっている。勝ち気で男勝りにも見えるが、実はピアノが得意だったり、料理が上手だったりと女性的な面もある。 |
篠原世以子:しのはら せいこ16歳 如月学園高等部2年哲志のクラスメイト。直美とは家が近く、一緒に登校する仲。明るく奔放な性格から友達も多く、時折周囲が驚くような発言をしても、割と許される位置にいる。家には3人の弟妹達が待っており、母親が失踪して以来、長女で一番年上の世以子が弟達の世話をやいている。 |
岸沼良樹:きしぬま よしき17歳 如月学園高等部2年哲志のクラスメイト。少々ひねくれた性格で、よく皮肉を言ったりするが、その実中身は自分に素直な正直者。哲志とは仲がいい。エリート志向で資産家の両親のもとから、勘当同然で家を出て、アルバイトをしながら安アパートで一人暮らしをしている。家庭内では時々会いに来る妹だけが唯一の理解者。以前、あゆみに退学になりそうになったのを助けてもらったことがある。 |
篠崎あゆみ:しのざき あゆみ17歳 如月学園高等部2年哲志達のクラスの委員長。人を怖がらせるのが大好きで、しょっちゅう怪談話を持ってくる。カバンの仲には常に怪談用のろうそくが入っているとのウワサも…。しかしこれは、無意識に臆病な自分を出さないように行っている行為のようで、実は恐ろしい目に遭うと足がすくんで動けなくなる極度の臆病性の一面を持っている。天神小では霊媒体質が災いし、霊に憑依されることが多い。 |
鈴本繭:すずもと まゆ16歳 如月学園高等部2年哲志のクラスメイト。演劇部所属で発育不全気味の小柄な体だが活発で明るく、学年内でも1、2を争う人気者。『すずもとまゆ』から変化し『すずめ』ちゃんと呼ばれており、自らも気に入ってそう自称している。男子人気の割に女子からも嫌われていないのは、分け隔てなく誰にでも飛び込んでゆく、天性の愛嬌を持っているからであろう。同じく演劇部の森繁を『シゲ兄ぃ』と呼んで慕っているほか、生粋の占いマニアの一面もある。家庭の事情で突然転校が決まってしまい、ショックを受けているようだ。 |
森繁朔太郎:もりしげ さくたろう16歳 如月学園高等部2年哲志のクラスメイト。繭と同じく演劇部員で、学校内では大抵一緒にいる。繭とは特に思いを寄せ合っている訳ではないのだが、2人とも中等部の時から同じ演劇部で活動を続けている間に兄妹のような関係になっている。家庭環境の影響か、冷静というよりも数段冷めた目線で世の中を見てしまう性質があり、あまり繭以外のクラスメイトとは接触を持とうとしない。それだけに、今回の繭の転校は彼にとっても大きな衝撃だったようだ。 |
宍戸結衣:ししど ゆい23歳 如月学園高等部2年9組副担任教員採用試験を新卒でパスし、晴れて今期より如月学園に赴任した英語科の新任教員。自他共に認める教え下手な面もあるが、一生懸命に生徒と共に「授業」を作ろうと模索する毎日を送っている。明るい性格と連発する天然ボケが生徒に受けが良く、SHRの時間になると生徒達は目を輝かせる。如月学園のOGで、夢が叶って教師として母校に戻ってきた。 |
冴之木七星:さえのき なほ17歳女子高生霊能師。小説で賞を取ったことにより、作家としても心霊研究者としても有名になった女子高生。「幸せのサチコさん」のおまじないをHPに掲載したのを最後に更新は止まっている。彼女は誰かを捜すために天神小にやってきたらしいが… |
刻命裕也:きざみ ゆうや17歳 白檀高等学校2年4組の学生クラスの仲間と共におまじないを行い、天神小学校に閉じ込められる。男女隔てなく友人は多く、常にクラスの輪に加えられる人気者だが、他人の話に相づちは打っても自分の心の底はあまり周囲に話さない為、親友と呼べるほど深い付き合いのある仲間は案外少ない。天神小では、校舎内ではぐれてしまった妹を捜しているようだ。 |
天神小に現れる亡霊哲志たちの前に、良く現れる、天神小で起きた、児童四名連続誘拐・殺害事件の被害者の一人ではないかと思われる女児の亡霊。なぜ亡霊として現れるのか?彼女に何が起こったのか?天神小を脱出する為にはどうすればいいのか?・・・・全ては謎である。 |
いわゆるノベル系アドベンチャーゲームとは違い,見下ろし型の2D RPGのようにキャラクターを操作して謎解きを行うのが特徴だった初代「コープスパーティー」。そのシステムはもちろん本作にも継承されており,体験版でプレイできる“チャプター1”では,直美と世以子の二人を操作して,天神小学校から脱出する手段を探っていくことになる。
廃校内の張り紙や死体を調べることで,脱出に関する重要な手がかりが得られる。見逃さないように注意しよう
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シーンによって操作キャラクターが切り替わるのも本作の特徴。ゲーム中,仲間と別行動を取る場面も多々あるのだが,その際,プレイヤーは大きな不安感に苛まれることに
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ホラーアドベンチャーにしては珍しく,どこか温かみのある(?)ドット絵で描かれたフィールドやキャラクターに,プレイヤーは最初「え? これ本当に怖いの?」と思うかもしれないが,実際にプレイしてみると,これがめちゃくちゃ怖い。情報量を制限されたドット絵であることが,むしろプレイヤーの想像力を刺激し,恐怖心を増幅するのだ。
それに加え,突然軋む床,施錠されたドアのガチャガチャ音など,意地悪く(誉め言葉)計算された音響効果も,心拍数を上昇させる要素として,プレイヤーの過敏になった耳とハートに鋭く響いてくるのだ。
ちなみに本作では,収録の際に一部「3Dダミーヘッドマイク」が使用されており,ヘッドフォンやイヤフォンを着けてプレイすることで臨場感が増す。その効果は絶大で,実際に耳元で何者かに囁かれているかのような感覚は,本当に気持ち悪い。正直,心臓の弱い方には,あまりオススメできないレベルの怖さだ。
亡霊に追いかけられる場面では,筆者も本当に心臓が縮み上がった。倒すことのできない敵が迫ってくる恐怖感はハンパじゃない
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また本作では,Windows版「コープスパーティー ブラッドカバー」には存在しなかったイベントCGも多数追加されており,物語を効果的に盛り上げてくれる。ドット絵だけでも驚くほどゴア表現がキツイのに,さらにグロテスクな一枚絵でプレイヤーのキモを冷やしにくるのだから勘弁してほしい。というかこのゲーム,よくCERO「D」(17歳以上対象)に収まったものである。
死体の表現はかなり凄惨。ドット絵だからってやりたい放題すぎますよ,外道淫……祁答院さん(原作・シナリオ担当) |
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なお,本作はマルチエンディング方式となっており,チャプターごとにいくつかのエンディングが用意されている。恐ろしいことに9割が悲惨なバッドエンドとなっており,トゥルーエンドに辿り着けた場合のみ,次のチャプターへと進める仕組みだ。このトゥルーエンドに至る条件がなかなかシビアで,ひとつでもフラグを立て損ねると,バッドエンドが確定してしまう。
筆者はチャプター1からバッドエンド地獄に陥り,何度も直美と世以子を死なせたストレスで頭を掻きむしるはめになった。
ひとつアドバイスをしておくと,チャプターごとにセーブスロットが5枠用意されているので,必ずこまめにデータを分けてセーブしておこう。バッドエンドを迎えるたび,最初からやり直していたのでは,恐怖からくるストレスで頭を掻きむしり,筆者のように禿げ散らかすハメになりかねない。
ちなみに製品版では,バッドエンドを見ることが,ショートシナリオであるEXチャプターをプレイするための条件になっている。つまり筆者のように,すぐに登場人物を死なせてしまうプレイを連発していても,実はしっかりと“攻略”していることにはなるというわけだ。
ともあれ,発売まであと1週間。古くからのコープスファンも,そうでない人も,いよいよコンシューマに殴りこんできた「コープスパーティー」最新作の恐ろしさを,まずは体験版で確認してほしい。