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[GDC 2010]5年ぶりに登場する超人気ストラテジー最新作「Civilization V」。日本文明の新リーダーは,あの……
Sid Meier's Civilizationは,「シミュレーションゲームの父」ことシド・マイヤー(Sid Meier)氏が1991年に開発した作品。その完成度の高さは,2005年の「Sid Meier's Civilization IV」に至るまで一貫しており,ターンベース型ストラテジーゲームの金字塔ともいわれている。
遊びやすいわりに奥が深く,「次のターンだけもう1回……」などとプレイしているうちに病み付きになり,寝不足状態で通学,通勤する人を続出させた。かくいう筆者もその一人である。
Civ Vに関しては,数週間前に開発発表が行われており,少しながらも情報が出ていることは,Civファンならばご存じだろう。
「ヘックス」や「ユニットのスタック禁止」など,ゲームプレイを根本から変化させる新仕様が意欲的に取り入れられることで,シリーズを愛してきたコアファンの中には不安を感じた人もいるかもしれない。
だが実際のゲームデモを見てみると,探索や外交といった基本システムはそれほど変わっていない。ただし,戦闘シーンがよりタクティカルになったという印象は受けた。
デモを担当していたのは,Firaxis Gamesのマーケティング部に籍を置く,Pete Murray(ピート・マレー)氏。彼の話によると,シド・マイヤー氏はいつものようにエグゼクティブ・プロデューサーという立場にあり,実質的に開発をリードしているのは,このシリーズで初めてリード・デザイナーの役職を担う,Don Schafer (ドン・シェーファー)という人物だそうだ。
ちなみにDon Schafer氏は,「Sid Meier's Civilization II」時代にテスターとして入社したそうだから,叩き上げの古参開発者といえるだろう。
最初のデモは,南に海がひらけた半島の先に,首都テベスを設置するところから始まった。ヘックス型のマス目になったことによって,首都の周りは6弁の花のような模様の国境になっている。Civ IVの+型の国境になじんでいる人には,ちょっと違和感のある光景かもしれない。
画面の脇に並べられたインタフェースは,青を基調とした見やすい雰囲気に。このあたりは,Civilization Revolutionからの影響だろう。
ユニットへのコマンドは画面左下に寄せられ,ユニットの廃棄といった使用頻度の低そうなオプションは,「セカンダリー」にまとめられていた。ここにマウスカーソルを合わせることでメニューが拡張される,といった形だ。
インタフェース関連では,新しく「Notification」という機能が追加されていた。
これは右下のインタフェースに表示され,ターンごとに自分の国境内でどのようなことが起こっているのかをポップアップさせるもの。そのNotificationを押すと,どれだけ国境が広がっていても,該当の位置まで瞬時に移動できるようになっていた。
また,前作では削られていたアドバイザー達が復活。各分野のアドバイザー達が,近辺の文明に接触しろだの,軍事ユニットを増やせだのといった助言を与えてくるのは,Civシリーズに慣れていない人にとって親切な仕様といえるだろう。
ここで,担当者が2つめのシーンに切り替え,今度は別の地形を使ったライブデモを始めた。今度は,首都のテベスが「9」レベルのサイズまで成長しており,その国境もかなり広がっている。
Civ Vでも,文化の発展度によって国境が決定していくとのことだが,森や山岳地帯によって文化の影響速度が変化するため,右側の沿岸地帯にそって,細長い国境を形成していた。
この首都テベスの左には,アメリカ文明の首都ワシントンがあり,緩衝地帯になっているのか,マス目一つ分の空白地域で隔てられていて,直接国境を接している部分はない。そのラインに沿った形で,両文明の戦闘ユニットが広がっていた。
Civ Vが,これまでのシリーズと最も異なるのは,やはり「1マス1ユニット」に制限されていて,何十ものユニットを重ね合わせた「スタック」ができなくなったことだろう。
スタックは,これまでのCivシリーズの基本とも言える仕様だったため,この変更に関しては難色を示すファンもいるかも知れないが,マレー氏の言葉によると,スタックで大量のユニットを移動させつつ,敵の都市を占領していくというプレイは,それ自体がマンネリ化を生み出すものであり,ゲームシステムとしては変更の余地があったという。
確かに,今回のデモで1マス1ユニット制になったのを見ると,国境に合わせて広がった軍隊の様子が,いかにも戦争をしているかのように感じられる。
デモでは,必ずエジプトが勝てるようにエジプト軍の総数が10個ほど,アメリカはその半分といったくらいに設置されていて,アメリカ軍は全て初期ユニットのウォーリアー,エジプト軍は弓兵,と槍兵,そしてソードマンという構成になっていた。
丘陵や森にディフェンスボーナスが与えられているのは変わらないが,本作では弓兵やキャノンなどの長距離攻撃型ユニットは1マス離れた場所から攻撃することが可能になっている。そのため,丘に登ってプレイヤーの軍隊を待ち構える敵のウォーリアーに,まず弓で攻撃を仕掛けてから,ソードマンを突撃させるという戦法が確認できた。
また,一回の攻撃でユニットが全滅してしまうことはないようで,自分のユニットに有利な状態ながらも,引き分けになってしまう確率が高いようだ。
都市の扱いも大きく異なり,今回からは都市のサイズに合わせて,ヘルス値の概念が導入されている。つまり,都市に兵士をこもらせる必要がないのだ。
ヘルス値は,ターンごとにある程度回復していくため,1ユニットで攻撃,占拠するのはほとんど無理。その間に,攻撃された側の文明がユニットを近隣都市で生産し,救援に送り出すことが可能だからだ。
サイズ「11」のワシントンをウォーリアーが攻撃しても,削られるヘルスは5分の1程度。そして都市の回復は,それ以上というのが,今回のデモでは確認できた。
もっとも,こういった細部の仕様も今後の開発過程で調整されていくことになるだろう。
目新しいところでは,今回からは独立した「都市国家」(City States) がゲームに登場する。今回のデモでは,エジプトの近くにブダペスト,アメリカの近くにシドンの地名を持った国家が紫色の国境で存在していた。
これらの都市国家は,武力で制圧してしまうことも可能だが,友好関係を築いて特産物の交易をしたり,相手の反対側にある都市国家と軍事同盟を結んで,挟み撃ちにするような外交もできる。
これとは別に,従来「グディーハット」とも呼ばれていた,ランダムにゴールドやテクノロジーを発見したり,もしくはユニットや蛮族を登場させたりする小屋は,Ruin(遺跡)という名称に変わって存続している。
ちなみに,前作にはあった宗教やスパイといったシステムがなくなっているが,今回マレー氏の説明で分かったのが,文化侵略もできなくなっているということだ。
前作までは,自国の文化レベルをどんどんと引き上げて国境を拡大し,敵の首都をも飲み込んでしまうというようなことが可能になっていたが,今回は都市国家を含めて,文化で都市を寝返らせることはできないとのことだった。
ただし,ここにも新しい仕様が開発されていて,今回からは自分の国境に隣接する空白地を,ゴールドで買収することが可能である。
外交面でも大きな変化が見られるが,まずビジュアル的に新しくなったのは,各文明のリーダーたちだ。膝上あたりからのキャラクターモデルが描かれており,その身振り手振りも強調されている。
それぞれの文明に合わせた言葉を話すというのも,新たな表現の試みだろう。
外交ウィンドウのアートも随分と変っているが,そのオプションも多様になっているようだ。今回はResearch Agreementという新しい選択肢のデモが行なわれ,相手の文明にお金を払うと,そのリサーチ能力が一定時間向上するようになっている。
デモでは,150ゴールドを払えば,未開発のテクノロジーを研究する能力が,20ターンの間,15%向上すると表示されていた。
また,文明のリーダーとして,ジョージ・ワシントン(アメリカ),エリザベス女王(イギリス),ビスマルク(ドイツ),ナポレオン(フランス)が復活することも判明した。
文明の数やリーダーの顔ぶれが同じなのかを聞いたところ,マレー氏は,「今の段階ではお教えできない」としか答えてくれなかったが,日本文明も復活することは明らかになっている。
そしてこのデモの終了後には,マレー氏が帰り際の筆者を追いかけてきて,「日本文明のリーダーは織田信長」と教えてくれた。日本文明に複数のリーダーが用意されるのかは教えてくれなかったが,前作で登場していた徳川家康は,リーダーから降格してしまったと見るべきか……。
いずれにせよ,エリザベス女王は艦隊の生産に勤しんだりと,各リーダーの個性をより強調するものになっているとのことだった。
今回のSid Meier's Civilization Vのデモはまだプレα版とのことで,インプレッションも暫定的なものに留まるが,全体的に見られる大きな変化は,どれもCivシリーズらしい緻密なゲーム性を,さらに輝かせるためのものだという印象を受けた。
マレー氏は,マルチプレイヤーモードや使いやすいMOD機能の存在を匂わせていたが,それらは今後,徐々に明らかにされていくことだろう。なお,本作のリリースは北米地域では2010年内の予定だ。
- 関連タイトル:
シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
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