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[E3 2010]これは本当に凄いぞ! ニンテンドー3DSがなんと実機でお披露目。ほかにも,ゼルダ,マリオ,カービィ,ドンキーコングそれぞれの最新作が発表された「NINTENDO E3 PRESENTATION」詳報
すでに速報としてお伝えしている通り,このカンファレンスでは,Wii専用ソフトとして「ゼルダの伝説」「星のカービィ」「ドンキーコング」といった往年の名作シリーズの最新作と,ファミリー/パーティ向けの「MARIO SPORTS MIX」「Wii Party」などが発表された。
また,かねてから注目されていた「ニンテンドー3DS」の概要が発表され,来場者の全員に実機を触れる機会を設けるというサプライズも。
本稿では,そんなカンファレンスの詳細をレポートしていこう。
「任天堂 E3 2010情報」特設サイト
歴代インターフェイスの頂点となった? 「THE LEGEND OF ZELDA SKYWORD SWORD」
最初に登壇したのはNintendo of AmericaのCOOを務める,“レジー”ことレジナルド・フィサメィ氏だ。
レジー氏は,技術ばかりが取り沙汰されがちな昨今のゲーム業界の風潮に触れ,「しかし技術は一つの道具に過ぎず,それらを使った結果として生まれたものが,我々の生活にどのような影響を与えるかが重要」と一刀両断。
さらに「技術とゲームデザインが組み合わさったときに,最高の体験が実現する」と続けた。
Nintendo of America COO レジナルド・フィサメィ氏 |
「技術は一つの道具に過ぎない……」 |
レジー氏が「任天堂は,その体験の基準を一段階上げる」として,まず紹介したのはゼルダの伝説シリーズ最新作「THE LEGEND OF ZELDA SKYWORD SWORD」のプロモーションムービー。
“右利き”のリンクが剣を振ったり,ボウリングの玉のように爆弾を転がしたりする様子に,会場からは声援と拍手が飛び交った。
そのあとスクリーンに映し出された任天堂の宮本 茂氏は,この最新作を「シリーズが培ってきた長い歴史の分岐点にあたる」と表現。
さらに宮本氏は,「ゼルダの伝説は,剣と盾,数々のアイテム,そしてマップで成立している。それらを自由に使えるインターフェイスについて常に考えてきた」と述べ,今回,その回答となったのはWiiリモコンとモーションプラスだったという。
なお,宮本氏らがそのアイデアを採用したのは,「Wii Resort」の「チャンバラ」で確かな手応えを得たからとのこと。
任天堂の宮本 茂氏。最新作のリンク同様,右手に剣,左手に盾を持っている |
操作のおぼつかないスタッフに,指示を出すが…… |
ゼルダの伝説最新作では,右手のWiiリモコンで剣を振り,左手のヌンチャクで盾を構える。モーションプラスは,両者の動きの精度に大きく関わっているのだが,各種アイテムを使用する場合にも一役買っていると宮本氏は述べる。
ここで,それまでスクリーンに映し出されていた宮本氏が,「自ら実演して説明する」といってステージに姿を表すと,場内はヒートアップ。
宮本氏は,実際にWiiリモコンを使った縦切りと横切り,回転斬りなどをやって見せたほか,剣を掲げてエネルギーをチャージしビームを放つ技や,盾を使った攻撃なども披露した。
何だかんだで宮本氏直々の実演が披露された |
剣をグルグル回して,扉の目を回し,ダンジョンに中に入る仕掛けらしい |
また,アイテムはポケットの中に入っているというイメージ。取り出すためにBボタンを押して円形のメニューを開き,手首を使ってどれを使うか選択する。
宮本氏は,具体例として,パチンコ/爆弾/弓矢の使い方を披露した。その中でも弓は独特で,画面が一人称に切り替わり,操作も実際に引き絞るような動作(「斬撃のREGINLEIV」とは左右逆で,宮本氏はリモコンを前に構え,ヌンチャクを後ろに引いていた)をする必要がある。
相手の弾を盾で弾き返す,シリーズおなじみのアレ |
パチンコ |
爆弾。遠隔攻撃といえばコレ |
弓矢 |
新アイテムとして紹介されたのは「カブトムシ」と「ムチ」。カブトムシは偵察用のアイテムで,Wiiリモコンを使って空を飛ばしたり,アイテムを拾わせたりできる。
またムチはしなったり巻き付いたりすることでさまざまな用途があり,剣とは異なる戦い方もできるようだ。
カブトムシ |
ムチ |
セットの不調か緊張のせいか,宮本氏は思ったようなパフォーマンスができなかったようだが,「E3のショーケースで実際にプレイして,本当にハイラルを冒険している気分になってほしい」と来場者に呼びかけた。
また開発は最終段階に入っているものの年内いっぱいはかかる見込みで,発売は2011年になってしまうとのこと。宮本氏は「来年には皆さんにお届けできるので期待してください」と述べ,紹介を終えた。
初心者をはじめ幅広い層を引きつけるタイトル群を強化。人気シリーズの最新作も
次にレジー氏が「文化/年齢/性別といった,さまざまな壁を越えて楽しめる娯楽」として紹介したのは,Wii用ソフト「MARIO SPORTS MIX」(2011年発売予定)。
プロモーションムービーでは,マリオやピーチ姫,ヨッシーなどのおなじみのキャラクターが,バレーボール/アイスホッケー/バスケットボールをプレイしている場面が確認できた。
ここでレジー氏は,この1年くらい世間で蔓延していた「Wii失速」「Wiiユーザーは,最初の『Wii Sports』などで満足してしまい,それ以降はあまりゲームを買わない」といった憶測に触れる。
レジー氏は,それは現実には正反対であるとアピール。実際には2009年12月の本体売上数,Wii発売開始以来43か月間のソフト売上数,NPD調査によるユーザーのプレイ時間などから,Wiiはほかのコンシューマゲーム機より多くの人に好まれ,実際に普及していることが導き出せるというわけだ。
レジー氏は,好調の理由として,きちんと新規プレイヤーを取り込み,かつ,ほかのゲームへの橋渡しができる「マリオカートWii」や「New スーパーマリオブラザーズ Wii」のようなタイトルが存在しているからだと述べる。
そうした流れを汲むタイトルとして紹介されたのが,Wii用ソフト「Wii Party」とUBISoftの「JUST DANCE 2」である。
その一方,よりゲーマー向けのタイトルとして,ニンテンドーDS用RPG「GOLDEN SUN DARK DAWN」と,Wii用ガンアクション「GOLDEN EYE 007」も紹介された。いずれも2010年のホリデーシーズン発売予定である。
「GOLDEN SUN DARK DAWN」 |
「GOLDEN EYE 007」 |
ディズニーアニメのキャラクター性とアクション性を再現したWii用ソフト「Disney EPIC MICKEY」の初披露プレゼンテーションを行ったのは,Disney Interactive Studiosのウォーレン・スペクター氏とアダム・クレイトン氏。
このタイトルの舞台となる「Wasteland」は,忘れ去られた過去のキャラクターやテーマパークのアトラクションが集められているという,ちょっと異色で懐かしい世界だ。
プレイヤーはミッキーとなって,「絵の具」と「修正液」を使い,ゲーム中の世界を変えていく。世界の変化は,登場人物の性格やストーリー,あるいはミッキーとの関わりに大きな影響を与えていく。
このちょっと風変わりな設定は,ミッキーがゲームの世界でも成功するためには,ほかのタイトルの主人公がやってきたようなことだけでなく,もっと特別な何かを成し遂げなければならないという思いから生まれたとのこと。
続いてレジー氏により,往年のシリーズものの最新作4タイトルが紹介された。
Wii用ソフト「Kirby's Epic Yarn」では,カービイが刺繍を模した新しいデザインで登場し,パッチワークのステージを駆け回る。しかし,最も大きな変化は見た目ではなく,プレイにあるとのこと。
ニンテンドーDS用ソフト「DRAGON QUEST IX Sentinels of the Starry Skyes」は,北米では日本から丸一年遅れての今年7月11日に発売。日本における大ヒットの理由は,プレイヤー同士が交流できるマルチプレイと「すれちがい通信」にあるとの説明がなされた。
8月31日発売のWii用ソフト「METROID Other M」では,シリーズの「孤独感」と「探検」を軸に,かつてないほど感情面を掘り下げたという。
そしてWii用ソフト「DONKEY KONG COUNTRY RETURNS」紹介時の,「このホリデーに,みんなでジャングルに行きましょう!」というレジー氏の言葉で,ゲームタイトルの紹介が締め括られた。
「Kirby's Epic Yarn」 |
|
「METROID Other M」 |
「DONKEY KONG COUNTRY RETURNS」 |
3D表示だけじゃない! グラフィックス/通信機能もパワーアップしたニンテンドー3DS
岩田氏は,ニンテンドー3DSの上画面が3.5インチワイドディスプレイが3D対応であること,3D効果を調整する「3Dボリューム」がついていることを説明した。また下画面は従来のDSシリーズ同様,タッチパネルとなっているが,指紋などの汚れが3D表示を妨げるとして3D表示に対応していない。
さらに岩田氏は,グラフィックス機能も向上しているため,クリエイターの開発モチベーションも上がるのではないかと付け加えた。
任天堂 代表取締役社長 岩田 聡氏 |
操作面では,「スライドパッド」と呼ばれるアナログ入力装置とモーションセンサー,そしてジャイロセンサーが搭載される。岩田氏は,これらを使った新しいゲームが生まれることに期待したいと述べた。
またニンテンドーDSi互換ということでカメラも搭載される。外側のレンズは二つ並んで配置されており,普通に撮るだけでも3D写真が撮れるとのこと。
さらに3Dの映画を再生する機能もあり,会場には視聴用にディズニー/ワーナーブラザーズ/ドリームワークスの作品の3D版予告編が用意された。
また気になる専用の3Dゲームタイトルとしては,Project Soraが開発中の「Kid Icurus UPRISING」(新・光神話 パルテナの鏡)が発表された。
岩田氏は,3D表示が生み出す驚きはキャラクターが立体化されることだけではないと言及し,「ゲーム空間内の広さ/高さ/奥行きがより感じられるようになり,自在に動き回れるようになる」と説明した。
加えてニンテンドー3DSには,アクセスポイントや通信可能なニンテンドーDSを定期的に探す機能があるとのこと。この機能が,スリープモード時に作動するのはもちろんのこと,あるゲームを遊んでいるときに,別のゲームのデータを受信するといったこともできるという。
岩田氏は,かつてニンテンドーDSやWiiを発表したときには,任天堂のアイデアを信じてくれる人はほとんどいなかったと述べる。そのため自社でソフトを開発し,ハードを普及させるしかなかったわけだが,今回はサードパーティからの大きな支援を受けてスタートを切ることができると謝辞を述べ,ニンテンドー3DS用ソフトを発売する予定の21社を紹介した。
併せて,任天堂でも宮本 茂氏が「nintendogs+cats」を開発中であることも明かされた。
カンファレンスの最後は,岩田氏と宮本氏,そしてレジー氏の3人が出演したニンテンドー3DSのイメージムービーが上映されたが,「本物に勝るものはない」との理由で,来場者に実機を触る機会が与えられた。
ちなみに筆者(TAITAI)が軽く実機を触った限りでは,想像以上の出来栄えに「凄い!」の一言。もう数十年とゲームを見続けた筆者であるが,年甲斐もなくワクワクしてしまった。詳細は追ってご報告したいが,岩田社長をはじめとした任天堂の自信に偽り無しといった印象。
今後もしばらく任天堂がゲーム業界をリードし続けそうな予感だ。
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