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「World of Tanks」の世界大会「Ural Steel Championship 2012 Grand Finals」がモスクワで開催。初参加となる日本チームの活躍はいかに
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印刷2012/09/24 10:00

イベント

「World of Tanks」の世界大会「Ural Steel Championship 2012 Grand Finals」がモスクワで開催。初参加となる日本チームの活躍はいかに

画像集#001のサムネイル/「World of Tanks」の世界大会「Ural Steel Championship 2012 Grand Finals」がモスクワで開催。初参加となる日本チームの活躍はいかに

 ベラルーシのゲームメーカー,Wargaming.netは2012年9月16日,同社がサービス中のオンラインゲーム「World of Tanks」の世界大会「Ural Steel Championship 2012 Grand Finals」をロシアの首都モスクワで開催した。その取材というわけで,まずは一曲歌ってみよう。♪は〜るばる,きたぜ〜モスクワ〜,っと……やめておけば良かった。

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 今年で2回目となるUral Steel 2012は,厳しい予選を経て世界各地から集まったチームが,世界一の戦車兵の座を目指して激しく戦う,いわゆるeスポーツの大会だ。タイトルに冠された“Ural Steel”とはロシアの大手製鉄会社の名前で,同社の公式サイトを見る限り戦車そのものは作っていないようだが,ロシアの戦車生産に深く関係しており,その流れで今回のイベントのスポンサーになったとのこと。ただ,ロシアやベラルーシの人に「Ural Steelってなんですか?」と聞くと,「戦車メーカー」と答える人が多かったので,なんとなくそういう風に見られている会社なのかもしれない。個人的に「ウラルの鋼鉄」という呼称はなーんかカッコイイなあと思っていたが,「USスチール」とか「新日本製鐵」とか,たぶんそういう感じなんだろう。

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「World of Tanks」公式サイト

「Ural Steel 2012」紹介ページ


 それはともかく,ベラルーシのWargaming.netが,モスクワで大会を開くのは,スポンサーがロシアの会社だからだが,もちろんロシア/東欧のプレイヤー数が群を抜いて多いということもあるし,また,移動/交通の便が良かったからという理由もあるようだ。聞くところによると,Wargaming.netのあるミンスクからモスクワまでは,列車で6時間ぐらいとのこと。


日本代表が初参加した「Ural Steel 2012」とは何か?


 さて,今回のUral Steel 2012において,4Gamer的に最も重要なポイントはやはり日本のチームが登場するということだろう。βテストを経て2012年4月に正式稼働を開始したSouth East Asia,通称SEAサーバーの代表として,日本の「Apostles」(日本のプレイヤーの間では,「RAHAB」という名前でも知られているとのこと)が出場し,世界を相手にするというわけで,これはもう,取材するしかないだろう。いや,東京ゲームショウ2012であまり戦力にならなそうな筆者がヒマしていたので出張でもさせとけとか,そういう理由によるものではないので,くれぐれも誤解なきよう。

会場であるCSKAスポーツアリーナ。でもこっちは,メディアなどが出入りする裏側
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 会場となったのは,モスクワのプロバスケットボールクラブ「CSKA MOSCOW」のホームである,CSKAスポーツアリーナで,普段,バスケットボールの試合などが開催される施設だ。収容人数は約5000人だが,オープニングセレモニーが始まる頃には会場はほぼ人でいっぱいで,しかもロシアのテレビ局が生中継までするというから,個人的にもう少しこぢんまりしたイベントを想像していた筆者は,割とびっくり仰天した。World of Tanksって,そんなことになっていたのだ。うーん,知らなかった。

開場前の内部の様子。5000人収容ですって
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 現在稼働中のサーバーと,その代表として出場するチームは以下のような感じだ。まず,ロシア/東欧のプレイヤー向けのURサーバーと西欧中心のEUサーバー,そして北米のNAサーバーからはそれぞれ4チームずつが出場。中国オンリーのCNサーバーからは2チーム。そしてSEAサーバーから1チームが出場する予定だった。ただ,別枠だったベトナムチームが直前で出場を辞退したので,CNサーバー代表が1チーム増えて3チームになったとのこと。参加チームは計16で,1チームは7人編成なので,100人以上の選手がモスクワに集合したのだ。計算が合っているといいんですが。

 URサーバーなどは1年以上も稼働を続けており,当然ながらプレイヤー数も多く,各チームが激しく切磋琢磨を繰り返している。そんな中に,スタートしてわずか数か月(βテストからアカウントを引き継げるとはいえ,それでも半年程度)のSEAサーバー代表の日本チームが,賞金総額7万7000ドル(!)を賭けて挑むのだ。

別室で行われた予選の模様
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 とはいえ,でかいアリーナでガンガン盛り上がる観客を前にしてプレイされるのは,準決勝2試合と3位決定戦,そして優勝決定戦の4試合で,出場するのは4チームだ。それを選ぶ予選,グループリーグは別会場でこっそり行われるのだが,具体的には16チームを4ブロックに分けて総当たり戦を行い,そこから代表を選ぶというダンドリになっている。
 計算するまでもなく,3試合を戦ってその結果で予選突破というわけだ。一回の試合は,最大6戦を行って,先に3勝したほうが勝ちとなる。各サーバーでオンラインで行われた代表決定戦では,プレイヤーは自分のアカウントを使うことになっており,そのため使える戦車に違いがあったが,この本戦ではすべての車両が使える特別のアカウントが用意されており,そういう点での有利不利はない。

(お一人欠けているが)前日に行われた「クビンカ戦車博物館ツアー」で,マウス重戦車を前に勝利を誓う日本代表チーム
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 さあ諸君,細かい説明はもういいだろう。果たして我らがApostlesの戦いは,どういう結末を迎えたのか? という場面で,ここでイベント開催中に行われたプレスカンファレンスについてちょっとお伝えしたい。つまり,話が盛り上がったところで別の話題を挟み,読者をちょっとじらそうという憎い構成の記事になっているのだ。……えーと,自分で言うようなことではないですね。


ロシアで「World of Tanks」を中心としたプロリーグを設立


Wargaming.netのグローバルオペレーション担当副社長 Andrei Yarantsau氏
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 CSKAスポーツアリーナの一室にプレスを集めて行われたカンファレンスでは,Wargaming.netの今後の取り組みについて説明された。
 ちなみに,今回のイベントには,北米やロシア,中国や韓国など世界各地から50を超えるメディアが集まっていたのだが,大半はロシアのメディアだった。その割には英語で行われたプレスカンファレンスだが,メディアの前に立った,Wargaming.netのグローバルオペレーション担当副社長のAndrei Yarantsau氏は,Wargaming.netがロシアを舞台にプロのeスポーツリーグである,Wargaming eSports League(たぶん仮称)を立ち上げると宣言したのだ。具体的な時期などについては明らかにされなかったが,すでに優れたプレイヤーを選び,同社がスポンサーになることも決まっているという。「World of Tanksを真のeスポーツの種目にするため,今後もさらに努力していきたい」と同氏は語った。

プレスカンファレンスの模様。割と狭い部屋にメディアがいっぱい
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 現在ロシア/東欧に約450万人のプレイヤーがいるというWorld of Tanksだけに,ここで力を入れれば,eスポーツのトップタイトルになる素地は十分にあるということだろう。今年の参加チーム数が昨年の約5倍になるなど,Ural Steel 2012も規模を拡大しており,さらに,Wargaming.netには「World of Warplanes」「World of Warships」という期待の新作がリリースを控えている。それらのタイトルをWargaming eSports Leagueに統合し,大きなムーブメントを作り出したいとのことだった。eスポーツタイトルに必要な観戦モードについても,実装を準備しているという。

 質疑応答では,ロシア/東欧以外のリージョンに対する質問が出され,それについてYarantsau氏は「北米やアジアについて積極的に取り組んでいきたい」と述べ,とくにリージョンごとに,地域の特性に応じた対応を行っていくという。気になるコンシューマ機版「World of Tanks」の可能性についても質問が出されたが,こちらの質問については,すばらしい可能性があるとしつつも,現在のような頻繁なパッチやアップデートの配布が難しくなるほか,Free-to-Playとパッケージ販売という具合にビジネスモデルもかなり違うので,興味はありつつも,現在のところ具体的な動きはないようだ。

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試合の合間には,さまざまなパフォーマンスが行われた
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 Yarantsau氏は,「このUral Steel 2012を見ると,我々の努力は間違っていなかったことを確信する。今後もこうしたイベントを続けて,eスポーツコミュニティにさらに大きなファンベースを築いていきたい」と語ってプレスカンファレンスを終えた。うーむ,コンシューマ機版とか出てきたら,日本でも話題になりそうだけど,どうでしょうかね。


こんなイベントだったとは
「World of Tanks」を始めるのは今しかない!


 というわけで,再び話は予選に戻るわけだが,結論から言うと我らが日本代表Apostlesは残念ながら予選敗退してしまったのだった。うーむ,残念。
 敗因をリーダーのVeyNさんに聞いてみたところ,やはりチームでの練習がままならなかったのが最大の理由とか。日本人プレイヤーのほとんどがUSサーバーにいるが,小さなクランに分かれてしまい,まとまってトーナメントに挑むプレイヤーはほとんどいないという。つまり,ほかの国のように,いくつものチームが切磋琢磨して腕を磨き合っているという状況にはまだなっていないようだった。
 とくに,市街地を舞台にしたマップでは,位置取りや相互の連携が重要になるので,そこがうまくいっていなかったという。何はともあれぶっちゃけ早い話,相手が強かったことに尽きるそうだ。

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 また,彼らは気にならないとは言っていたのものの,例えば9:00に予選がスタートするはずが,いろいろとダンドリが悪くて10:00スタートになったり,トイレがやたらめったら遠いところにあったりなど,お国柄チックなものに気を取られたところもあるかもしれない。まあ,飛行機で10時間以上かけて来るのと,当日の朝,家から出てくるのではちょっと違うってのは仕方ない話だ。

 というわけで,セミファイナル,3位決定戦と,イベントは順調に続いた。次の対戦まで,準備にちょっと時間がかかるゲームなので,合間合間にクイズ大会や,赤軍の制服を着た人によるアコーディオン演奏とか,筋肉兄弟の肉体パフォーマンスとかが入って,なかなか盛況だ。問題は,実況を含めてすべてロシア語ということで,欧米メディアはやや困惑していたが,まあ,欧米メディアではない筆者も困惑したので,ここは引き分けということにしておいてあげよう。

 決勝は,ロシア,ウクライナ,そしてイスラエルの連合チーム,The RED: Rush Unityと,ロシアとウクライナの選手がジョイントしたThe RED-Z GRAの戦いになり,Lakeville mapを舞台にストレート勝ちしたThe RED: Rush Unityがファイナルを制した。3位に入ったのはロシア・ウクライナ連合のVirtus.Pro ACES,だった。ちなみに賞金は,1位が3万5000ドル,2位が2万1000ドル,そして3位が1万4000ドルと,必ず7人で割り切れる数字になっており,均等に分ければ取り合いになる心配はない。

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 かくして,日本チームが初めて参戦したUral Steel 2012は幕を閉じた。さすがに1000(!)チーム以上が2か月近くかけて戦ってきたRUサーバー代表だけあって,実力は圧倒的だったのだ。
 とはいえ,どうですか? ちょっと出てみたくなってきませんか? Apostlesの人に話を聞いたところでは,SEAサーバーはRUサーバーほど混戦ではなく,だいたい5試合ぐらい勝って代表になったという。
 代表になれば,モスクワに招待されるだけではなく,前日には「クビンカ戦車博物館ツアー」など,なかなか行けないようなところに行けてしまう。また,我々メディアが取材している間には選手だけでの「赤の広場」の観光なんかもあったみたいだし,空港への送り迎えありで,しかも通訳付きなんだから,あら,なんか書いているだけでうらやましくなってきたぞ。ちなみに筆者は,空港からタクシーに乗ったら,全然違う場所に連れて行かれたというプチアドベンチャーまで楽しめたのだが,ああ,心細かった。
 というわけでWorld of Tanks,始めるのは今しかない。たぶん。

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珍しい戦車のコレクションを誇る,クビンカ戦車博物館にも行けてしまう。
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「World of Tanks」公式サイト

「Ural Steel 2012」紹介ページ

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